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桐野夏生

著者情報
著者名:桐野夏生
きりのなつお
キリノナツオ
生年~没年:1951~

この著者の本を読んでいる会員ランキング

このランキングは1日1回更新されます。
      緑の毒
      カテゴリー:小説、物語
      3.5
      いいね!
      • 桐野夏生氏の小説は、いつ以来だろう。「東京島」以来かな。

        題名のとおり、ヒドい毒入り小説だ。悪意が満ち溢れれている。
        だからこそ、またどんどん読み進んでいってしまった。
        >> 続きを読む

        2015/04/18 by STALIN

      • コメント 2件
    • 他1人がレビュー登録、 4人が本棚登録しています
      天使に見捨てられた夜
      カテゴリー:小説、物語
      4.5
      いいね!
      • 主人公のミロの心情がメインになりすぎて、依頼内容の結末が取って付けた感が印象に残ってしまいました。
        話の展開には、引き込まれていたので、少し残念ではあります。
        >> 続きを読む

        2017/11/25 by rojin

    • 他1人がレビュー登録、 6人が本棚登録しています
      リアルワールド
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      • 成長の過程で、社会とのかかわりが自分の中でこなれていない時代。
        生きていくには、平行して付いてくる暗い部分も認めるのが日常というものだと思うが、それらと共存していく知恵、良くも悪くも現実を知ることが大人になっていくということだろう。

        「取り返しのつかないこと」というキーワードが出てくる。
        なにもかもうまく解決するということは、人間の持つ知恵の限界であって、簡単に出来ることではない。
        それが思い返せば「取り返しがつかない」と言う気持ちになる。
        不完全な人という者は、それらを未解決のままで見つめて持っていくしかないことが、次第に分ってくる。

        高校生の彼女たちは、それぞれの環境の中に、友達にも話せない自分だけの世界がある、
        それがこの事件で「ミミズ」との関わり方がひとひとり違った形になっている。
        そして自己を突き詰めると、その心の奥にある装っていた友人関係とは別の自分の個性がはっきり見えてくる。
        友達関係がこれを起点に崩れていく。人との関係は見える部分で繋がっているのかもしれないと感じる。

        そしてついに一人は深い自己分析の中で、「取り返しの付かないこと」を解決する方法を選ぶ。

        「取り返しの付かないこと」は、人生の中で、それに気づいたり気づかなかったり、次第に忘れたり、諦めたりしながら折り合いをつけている。

        「取り返しのつかないこと」で明らかに重い罪を感じたこの4人の少女たちの異なった生き方が、現実を展いて見せてくれている。

        コギャル世代を実にうまく描いていて桐野さんの作品を読むのは「ダーク」で終りそうもない。
        >> 続きを読む

        2015/01/16 by 空耳よ

      • コメント 2件
    • 他1人がレビュー登録、 5人が本棚登録しています
      I'm sorry,mama
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      • 現代の作家の中で、女性の性の中にひそむ"怪物"を描かせて、桐野夏生の右に出る作家はいないのではないかと思っています。
        そのくらい、桐野夏生という女流作家は傑出した存在だと思う。

        児童福祉施設で育ったアイ子を主人公にした「I'm sorry,mama.」という今回読み終えた小説は、「OUT」「柔らかな頬」「グロテスク」などの桐野夏生の他の作品でお馴染みの、対象を突き放す透徹した視線をもって、女の恐ろしさ、気味の悪さ、図太さ、計算高さといった、目をそらしたい、自分の中に認めたくないと願っている負の要素を、これでもか、これでもかと暴きたてるんですね。

        この小説の冒頭の、アイ子登場のエピソードからして凄まじい。
        結婚20周年の食事に焼き肉屋に出掛ける門田夫妻、という何てことのない始まりの光景に気を許してはいけないんですね。

        この夫婦、なんと25歳も年が離れているのだ。出会いは、妻の美佐江が働いていた児童福祉施設。夫の稔は、その園生だったのだ。
        おまけにこの夫婦、何だか少し様子がおかしいのだ。稔の美佐江への甘えようが尋常ではないのだ。まさに母子プレイのようなのだ。

        このいびつなカップルが焼き肉屋で、お運びの仕事をしているかつて園生だったアイ子に再会するところから、物語は走り出す。

        盗みはおろか殺人すら辞さない壊れた女を狂言回しに、門田夫妻に負けず劣らず奇妙な人物が大勢登場する。
        障害物を蹴散らしながら疾走するアイ子に、読む者が連れて行かれる先、そこで見せられる光景とは?-------。

        読んで瞠目、終わって呆然。かなり強烈なインパクトのある小説だと思いますね。

        それから、この小説には、かつての桐野夏生の作品にはあまり見かけることのなかった特徴があるように思う。
        それは、笑いなんですね。かなり陰惨で救いのないエピソードが、てんこ盛りであるにもかかわらず、巨漢の女偉丈夫・アイ子をはじめとする登場人物のキャラクターや言動が、おかしくてたまらないんですね。

        怖い、なのに爆笑するという-----。そして、笑いながら鳥肌が立つ。
        相反する感情に引き裂かれながら、アイ子が次にしでかす悪行が知りたくて、ページを繰る手が止まらない。

        桐野夏生という作家に、これほど捻じれたユーモアのセンスがあったとは驚きです。
        桐野夏生の作品をどうも重くてと、敬遠していた方にもお薦めしたい、彼女の新境地を示す奇妙な味のピカレスクロマンなんですね。

        >> 続きを読む

        2018/07/02 by dreamer

    • 他1人がレビュー登録、 5人が本棚登録しています
      東京島
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      • 人の、女の、肉々しさや生々しさ、醜悪で悲惨な強さ。
        男数十人に女が一人という設定と、実話なのではと疑ってしまうほどに具体的な描写は、これまでの人生で幾度となく日常会話の一部として行ってきた「無人島に・・・」の想像をゆうに超えるものだった。文明からは遠く離れた小さな島で、ホンコンとトウキョウ、男と女、それらは色濃く対比させられていく。生活力に長け無人島の生活に適応しつつも、トウキョウ島からの脱出すべく逞しく生きていくホンコンと、虚脱感と現実逃避の空気が立ちこめ、生活力の向上よりも道楽に走るトウキョウ。また、中年の女が一人きりで、あとは全員男という、異常な状況がもたらす、清子と男たちの変化。この物語は、文明からある日突然切り離され、文明に恋い焦がれる人々を通じて、またこの場合でより強調される(これは理性の鎧が前提とされる現代社会においては、知覚することすらないであろう)「人間らしさ」の血生臭い強烈な臭いを発する。「生きる」とは本来こういった生臭く凄惨な営みであり、顔を背けたくなるようなグロテスクな側面を持ち合わせているはずなのに、なぜか現代の社会からはこの臭いがしないどころか、忌み嫌われる。この臭いをどうしたって振り払えないほどに嗅覚に刻みつけたような作品だった。 >> 続きを読む

        2017/07/22 by にゃんぱ

    • 他1人がレビュー登録、 20人が本棚登録しています
      メタボラ
      カテゴリー:小説、物語
      2.0
      いいね!
      • 日を増す毎に上がり、湿った空気がまとわりつく
        うっとおしく、諦め、疲れるが今年もそんな季節かと懐かしみを覚える
        そんな空気をまとった一冊
        小さな嘘を抱えた二人がそれぞれ生きて、死ぬ
        安っぽい虚しさよりも
        生きていく長すぎる時間に空しくなる
        >> 続きを読む

        2017/07/11 by kotori

    • 1人が本棚登録しています
      女神記
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      • 桐野夏生版「古事記」といったところでしょうか。
        私は古事記とか神話とか、どちらかというと不得意ジャンルなので、読みやすい入門書として受け止めました。
        イザナキ・イザナミたちに海蛇の島の人間模様を織り交ぜたストーリーでした。

        イザナキたちの話より、とにかく海蛇の島の話がおもしろくて!
        陽と陰の順番で、その人の運命が決まってしまう。
        昔々、こういうことはたくさんあったんだろうな・・・。

        それはそうと、私はマヒトが許せませんっ!!!ヽ(`Д´#)ノ
        ナミマの生まれた子どもが女の子だったから、魔が差したんだろうけど・・・。
        自分の子どもまでも利用しカミクゥの夫となり、それを死ぬ間際まで隠し通すという・・・
        ナミマは最終的に許していたけど、私だったらどうかな。
        イザナミのように永遠に許せない、ということはないと思うけど。(疲れるから)

        男女の形って、今も昔も大きくは変わってないのかもしれないですね。
        >> 続きを読む

        2014/12/18 by あすか

      • コメント 4件
    • 4人が本棚登録しています
      アウト
      カテゴリー:小説、物語
      5.0
      いいね!
      • 止まらない。
        次の展開が気になって手が止まりません。
        こんなに本を読むことだけに集中したのは久しぶりでした。

        ―雅子、43歳、主婦。弁当工場の夜勤パート。彼女は、なぜパート仲間が殺した夫の死体をバラバラにして捨てたのか
        平凡な主婦たち4人が自由を求めて日常を離脱・脱社会化し、「OUT(アウト)」していく物語である。

        同じ弁当工場のパートをしている山本弥生が、夫を衝動的に殺したことから物語は始まります。
        その死体を香取雅子、吾妻ヨシエ、城之内邦子が雅子の家の風呂場で解体し、生ごみとして処理します。
        ―と、書いてるとゾワッとしてきますね。
        それぞれ家庭崩壊や介護、夫のギャンブル狂やカード破産と抱えるものがあります。
        4人の愚かな女たちの人物像がよく描かれていたと思います。
        このようなドロドロとした作品は他にもあると思いますが、この作品を読んでいると、今まで読んだ本とは違う凄まじさを感じるんですよね。
        人間の闇がリアルに描かれていて、飲み込まれそうになりました。

        気がついたときには、4人は抱えていたしがらみから「OUT」しています。
        ただしそれに伴う代償は大きなものでした。

        この作品のおもしろさは、死体をバラバラにしただけでは終わらなかったところです。
        警察が事件を突き止めていき、逮捕されるまでを描いていくのだと思っていました。
        展開が2転、3転し、予想外の結末へ。
        手に汗握る展開が続きます。

        後半は佐竹、十文字、宮森ら男性陣のキャラクターも良かったなと。
        特に宮森とのやりとりは良かったです。彼の存在は、唯一の清涼剤でした。
        佐竹は気持ち悪すぎて理解出来なかったけどw(多分理解するようになってはいけない)
        あと、十文字が銀行勤め時代の雅子の姿から、ビジネスに誘ったシーンが好き。
        職場の中で孤立していたけど、ちゃんと見てる人は見てるんだなぁって。

        この本おすすめしてくださった空耳よさん、課長代理さん、どうもありがとうございました(*´∀`*)
        また素敵な読書ができました!!!
        >> 続きを読む

        2015/03/23 by あすか

      • コメント 27件
    • 6人が本棚登録しています
      顔に降りかかる雨
      カテゴリー:小説、物語
      3.7
      いいね!
      • ミロという32歳の女性がいい、弱さも強さも含めて彼女のキャラクターが魅力的で面白い。
        今回行動を共にする村瀬も、ハンサムで知的、ミロがちょっと惹かれかけるのも無理がない。
        又、展開の速いストーリーも飽きないし、ミロの周りには、調査業を引退した父親の、アドバイスもある。
        優秀な探偵だった父親の友人も多い。
        夫に死なれた過去をまだ引きずってはいるが、ミロは自分が家庭で静かに人生を送るタイプではないと自覚している。
        こういう自立した生き方は女性の形としては歓迎されるだろう。

        ミロという名前に見覚えがあったので探してみると本棚の奥から「天使に見捨てられた夜」という第二作目の本がでてきた。
        1997年の文庫としては初版本で、乱歩賞の作家を読んでみようと思ったのかもしれない、忘れてしまっていたけれど。
        >> 続きを読む

        2015/01/17 by 空耳よ

      • コメント 4件
    • 12人が本棚登録しています
      Out
      Out
      カテゴリー:小説、物語
      3.8
      いいね! chappaqu
      • 一気

        2016/02/10 by chappaqu

    • 20人が本棚登録しています
      ローズガーデン
      カテゴリー:小説、物語
      3.0
      いいね!
      • こちらの表紙でなく新装版で読みました。

        短編が4つあり、基本「ミロ」シリーズで、推理、ミステリー系かな。

        最近の桐野夏生さんにはないジャンルだけども、本題の「ローズガーデン」の男女間の絶妙で繊細なテーマ感はとても目を引きました!

        で、

        自分で言うのもあれですが、感受性が強い自分にふ・・・と世の中で生きづらいな~なんて思っちゃいますが、小説はそんな心理描写が事細かく紙に文字に描かれていて、いつでもそんな一瞬一瞬の数ある感情を感じ、それは時として共感からくる安堵感や安心感。また同じ境遇やら、戒めを感じる時もあるし、自分では覗く事の出来ない自身の背中を見せつけられたりで、苦しくなる時が読書ではあります。

        でもなんやかんや日々ありますが、こうして読書を通じて落ち着き、自分を見つめる事も大事なのであまり肩ぐるしく考えずに本、読書と向き合いたいですね!^^

        あまり友達がいなかったり、いろんな自分なりの境遇でもありますが、こうして読書ログでそれなにり自分なりの本を語り少しでも皆さまと共感する時間を大切にしたいですね!
        >> 続きを読む

        2018/03/14 by ジュディス

    • 2人が本棚登録しています
      ダーク
      カテゴリー:小説、物語
      3.0
      いいね!
      • ダーク(上・下)


        村野ミロのシリーズの、長編作品はこれが三作目。

        ただ、これがシリーズを切り上げるときの一つのスタイルなのだろうか、今まで思いいれのあったキャラクターが徹底的に変貌し崩壊している。
        心身ともにタガがはずれ、生活者としての基本的な枠組みを踏み外し、読者としては見たくない個々の本性に振り回される。
        追い詰められ、殺され、復讐の塊にもなる。乾いた中にやりきれない人々の行末に、読んでいると次第に気持は救いようのないダークな所に降りていってしまう。

        何もかも壊れてしまい、読むほうもこのシリーズもこれで終わりなのだと思い、だからここまで読んだ。
        ミロの養父との血縁のない奇妙なつながりや愛憎は、想像の中でしか理解できない荒れた部分がある。
        フィクションとは全てを含めて作者に沿っていかなければ、読み手はそこで想像力の限界を感じるだろう。
        私は嫌いではない桐野さんのこういう本を読んでみて、読者ならこれもありなのだろうと思った。そしてシリーズは最後を見届けなくてはやはり心残りだった。


        韓国の愛人の過去に当たる光州事件の記述は、圧巻で読み応えがある。この部分は☆5、作者の実力で。
        >> 続きを読む

        2015/01/24 by 空耳よ

      • コメント 8件
    • 3人が本棚登録しています
      白蛇教異端審問
      3.0
      いいね!
      • 世間のリフジンと闘い続けるケンカ・キリノの一線を越えたエッセイ集。

        なんだ、桐野も俗物か。
        ストーリー・テラーとしては一級品だが、それだけか。。。と、思ったほど、俗っぽいお考え満載。ちょっと残念だった。
        >> 続きを読む

        2014/07/27 by 課長代理

    • 1人が本棚登録しています
      柔らかな頬
      カテゴリー:小説、物語
      2.7
      いいね!
      • 不倫するカスミと石山。
        石山の別荘に夫と共に招かれる。
        朝、散歩に出かけた娘が行方不明になる。

        桐野さんは、いつも女性をいやらしく(エロということでなく)描くと思う。
        女性の薄汚い自分本位なところを前面に出したいらしい。
        今回も、カスミはそういう女性。
        読者に共感されるよりは、嫌悪される女性。
        小説として読む分には構わないけれど、身近にいたら不快かもしれないと思う。
        でも、人間なんて結局こんなものかと思ったりもする。
        性善説よりも性悪説を支持していることがバレる。

        行方不明の娘は、どこにいるのか、誰が連れ出したのか。
        そこが肝であるとは思うけれど、何と無くどこに着地させたいのかが不明確なまま下巻へ。
        >> 続きを読む

        2015/05/16 by jhm

      • コメント 8件
    • 11人が本棚登録しています
      柔らかな頬
      カテゴリー:小説、物語
      2.3
      いいね!
      • そこに着地したか。
        上巻の終わり頃から既に、どこに向かっているのかわかりにくかったけれど。

        行方不明になった娘は誰によってどうされたか。
        これを明らかにすることが肝だろうと思っていたら、肝じゃなかった。
        行方不明になった娘の事件を基に、関わるそれぞれに自分本位なひとびとの心の動きを描くことが肝らしい。

        下巻に入り、内海とカスミの白日夢から誰もが犯人で有り得ると撹乱される。
        結局誰なのよと思いながら最終章。
        行方不明となった有香自身の目を通した語り。
        犯人は誰なのか、やっぱり気になる。

        全編絶望で繋がるひとびと。
        絶望を招いたのは自分自身であったり、自分のせいでないところで狂わされたり。
        ひとは自分の気持ちを全て伝え合うわけではないので、知らないうちに拗れたり溝ができたりしてしまう。
        全てを伝え合わないからこそ、上手くいく関係もあるけれど。
        人間は難しくてややこしい。だから面白いのだけれど。

        上巻に出てきた宗教家のひとは、下巻ではいなかったみたいに見事にスルーされていたり、犯人が明らかでなかったり、カスミのその後が不確かだったりと、引っ張り出した抽斗を出しっ放しで終わる作品。
        こういう片付けの悪い作品は評価が別れるのだろうと思う。
        ミステリーとしては問題があるかもしれない。

        あと気になったことは、憮然とするってムッとするという意味じゃないでしょ桐野さん。
        >> 続きを読む

        2015/05/18 by jhm

      • コメント 4件
    • 10人が本棚登録しています
      アンボス・ムンドス ふたつの世界
      カテゴリー:小説、物語
      2.0
      いいね!
      • 桐野夏生の本を始めて読んだ。
        もう少しさわやかな小説を書いてる人かと思ったら、だいぶ暗くてどろどろしていた。

        この人の作品を全部読んでやるとは思えなかった。残念。


        短編集である。好きな作品ってほどじゃないけど、小学校の先生同士が不倫する話はなんか印象に残ってる。
        職を追われても生きていかなきゃいけないんだなと。
        >> 続きを読む

        2012/05/24 by Aki

      • コメント 3件
    • 5人が本棚登録しています
      メタボラ
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!

      • この桐野夏生の「メタボラ」は、現代に漂流する若者と社会問題を絡めた社会派ミステリの意欲作で、読み応えがあり、じっくりと考えさせられる作品だ。

        舞台は沖縄。主人公の「僕」が森を必死に彷徨っているところから物語は幕を開ける。
        「僕」は、一切の記憶を失っており、自分が誰で、なぜここにいるのか、まったくわからない。

        そんな「僕」は、山中で宮古島出身の若者、昭光に出会い、「ギンジ」という名前を得る。
        昭光は、地元の有力者である両親から半ば勘当された身で、彼もまた帰る家も行くあてもないのだった。
        かくして、金なし寝床なしの二人組の奇妙な旅が始まるのだった。

        自分は何者かとの思いに苛まれながらも、徐々に新しい人格を形成していく「僕」。
        一方、昭光は恵まれた容貌を生かして、売れっ子ホストに駆け上がっていく。

        やがて「僕」が記憶を取り戻した時、物語は急展開を見せることに-------。

        この作品のタイトルの「メタボラ」とは、新陳代謝を意味する「メタボリズム」からの造語で、過去を代謝してリセットした主人公を指しているんですね。

        記憶喪失に絡む謎といえば、ミステリでは幾度となく使われてきた題材ですが、著者の桐野夏生の主眼はそこにはない。

        低賃金労働、在日アメリカ軍基地、家庭内暴力、ネット中毒、集団自殺など、さまざまな社会問題を織り込みながら、現代に漂流する若者の憤懣やるかたない心情を見事に描いていると思う。

        >> 続きを読む

        2018/05/25 by dreamer

    • 3人が本棚登録しています
      魂萌え!
      カテゴリー:小説、物語
      3.0
      いいね!
      • なぜか父の遺品の中にありました・・・父は桐野さんの本が好きだったみたい。

        わたしは子供の立場に近いので、
        夫が死んで一人になってしまった母と同居の申し出を
        するというのは、こんなに母親に嫌がられるのかなあ
        と意外に思ったりしました。
        それまでの関係もあるのでしょうが、子供にとって実家はいつまでも自分の家という感じなので・・・
        でも子供が自立し離れたら、実家は夫婦のものになるのですね。
        母親がこんなことを考えていたら、子供もショックだろうなと・・・
        逆に言えばあまり主人公に共感できなかったかも・・・。

        おおむね60代の男女の人生模様やアレコレが描かれていますが
        好々爺、老人という感じではなく、どれも生々しくてリアルです。

        身近な50代後半~60代を思い出しても、確かに不倫、嫉妬、我を張っての喧嘩など・・・あるある、という感じで・・・なんかグエエという感じでした。
        とくに、敏子の友人の栄子は・・・身近にいたら嫌ですね・・・。

        そんなふうに、あまり気分のいい爽やかな小説ではなかったのですが、
        なぜか惹きこまれ、ぐいぐい読んでしまいました。
        バッドエンドではなかったので良かったです。
        >> 続きを読む

        2018/07/01 by みやま

    • 4人が本棚登録しています
      だから荒野
      カテゴリー:小説、物語
      4.3
      いいね!
      • 傲慢な夫や息子たちに軽んじられながら、家庭をささえてきた主婦・朋美は46歳の誕生日、ついに反旗を翻す。
        衝動にかられ夫の愛車で家出、「初恋の男が長崎にいるらしい」という理由で、長崎に向かって高速道を走り始めるのだった。
        奪われた愛車と女の連絡先の入ったゴルフバックばかり心配する夫を尻目に、朋美は自由を謳歌するが…
        冒険の果てに、主婦・朋美が下した「決断」とは。


        桐野夏生さんは乱歩賞もとられていらっしゃったことを、巻末の著者紹介欄を見て思い出しました。
        『顔に降りかかる雨』。名著です。
        『柔かな頬』で直木賞、『東京島』で谷崎賞…と、今では押しも押されぬ大御所さんです。

        思えば、僕が社会人になりたてで、仕事がキツくて、大変で、もともと好きだった読書からさえも遠ざかっていた頃、その面白さをあらためて気づかせてくれたのは桐野さんの『OUT』でした。
        書店で平積みになっていた『OUT』を、何の拍子か購入し、その面白さに一気に読み終えました。
        あの衝撃は十年以上経っても忘れられません。

        『OUT』をきっかけに僕の読書習慣は元通りになり、意外にも同じく読書を趣味としていた部下とも打ち解けられ、次第に営業成績もあがるようになり、いわば、僕の恩人ならぬ恩本ともいえる作品です。
        ですから、桐野作品には、結構、思い入れやジンクスがあり、新刊がでると絶対に読むようにしています。

        本作は桐野作品の中では『魂萌え!』に近い作風です。
        面白さを求めるのであれば、最近の桐野作品に無い読みやすさなので、「あっ」と言う間に読み終える疾走感たっぷりの展開です。
        鬱屈を抱える主婦が家族に突如反旗を翻し家出を敢行するという、ロードムービー的な非常にテンポのいい物語。

        ただ、僕には少し物足りない小説でした。
        新聞連載を"大幅に加筆・修正"したとあり、さもありなんと思いました。
        大幅に加筆・修正した後でも、まだ未完成な物語という印象を強くもちました。
        主人公やその家族たちの感情描写もごくありきたりだったし(ありきたりな感情を面白く読ませている段階で凄い筆力なのかもしれませんが)、結構魅力的なプロフィールの脇を固める登場人物たちの掘り下げも浅く、特にこの部分はかなり消化不良でした。

        思い入れの強い作家さんだから、期待値も高く、厳しめになってしまうのかな…と、考えてもみましたが、やっぱり面白いだけの物語。

        内容に厚みを加えたいがために、終章を「人間の魂」と題して、山岡老人の子供時代のエピソードを加筆したのではないでしょうか。
        連載当時を知らないので、僕の憶測にすぎませんが。

        大好きな作家さんなので「読んでよかった」と、思わせてくれる作品を書いてほしい。
        次作に期待です。
        >> 続きを読む

        2014/08/27 by 課長代理

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【桐野夏生】(キリノナツオ) | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト(著者,作家,作者)

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