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桐野夏生

著者情報
著者名:桐野夏生
きりのなつお
キリノナツオ
生年~没年:1951~

この著者の本を読んでいる会員ランキング

このランキングは1日1回更新されます。
      東京島
      カテゴリー:小説、物語
      3.2
      いいね!
      • 2年ほど前にわざわざ取り寄せて購入、読み始めたにもかかわらず
        何かしんどくて中断、つん読していたのを再開。

        誰一人として感情移入できる人がいないまま終盤へ。
        ラストは全く想像つかなかった。

        嫌いな作家さんではないんだけども、読後感がすこぶる悪い。
        >> 続きを読む

        2019/08/26 by ちっちゅう

    • 他4人がレビュー登録、 24人が本棚登録しています
      緑の毒
      カテゴリー:小説、物語
      3.3
      いいね!
      • 開業医をしている川辺の裏の顔は連続レイプ犯。
        そんな彼の悪事が次第にひれ渡り、被害者や妻に友人という類いに復讐の対象とされていく過程が描かれる。

        視点が章ごとに変わるのだが混乱はしない。
        それはレイプ被害者でもあり、看護婦であったり、その友人だったり。

        彼ら彼女もそれなりに不満を抱えて生きる毎日。
        川辺自身も妻に浮気されて、はけ口がレイプになったと主張する。

        鬱屈した日々を吐露する人間が集まるドラマだが、桐野さんにしてはマイルドな方か。
        最後の復讐シーンなど生温いように感じるのだから。
        >> 続きを読む

        2019/10/01 by オーウェン

    • 他2人がレビュー登録、 5人が本棚登録しています
      リアルワールド
      カテゴリー:小説、物語
      3.4
      いいね!
      • 「本当の自分」を知るというのは
        どこかに探し求めに行くのではなく、
        自分の奥底に潜んだ感情を
        認めることだと思う。
         
        それが、たとえ「悪意」であっても。
         
        だけど怖いのだ。
         
        認めた瞬間、今立ってるこの世界が
        「リアルワールド」なのかが
        分からなくなりそうで。
          
        そんな奥底の「本当の自分」に
        気付き始める年頃の女子高生たち4人。

        そのうちの1人の隣家で
        「母親撲殺事件」が起きる。
         
        犯人である少年の逃亡を
        手助けすることになってしまった彼女たちは、
        それぞれの関わりかたの違いに
        それぞれの本意が見えてくる。
          
        そして、4人の「リアルワールド」がねじれていく。。
         
        名作『OUT』を思わせる巧みな心理描写は健在。
         
        キレイごとから抜け出た解放感や、
        そのあとにくる後悔や葛藤がうずまく苦しさ。
         
        それこそが全部「リアル」だった。
        >> 続きを読む

        2019/03/09 by NOSE

    • 他2人がレビュー登録、 9人が本棚登録しています
      女神記
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!

      • 古事記の創世神話では、女神イザナミと男神イザナキが、互いに求愛し目合して国土を産む。

        人間界の男女が、愛して求めて子を産むように。

        このように「夫婦」神が国土を産む日本型の神話は、世界でも稀だと言われている。

        桐野夏生の「女神記」は、古事記におけるこの夫婦神の神話に、はるか南の小さな「海蛇の島」を舞台にした人間の男女の愛憎を交錯させる。
        世界三十七カ国共同プロジェクト「新・世界の神話シリーズ」の日本代表作という意味では、現代の神話と言えるだろう。

        古事記で、国土や自然界の神々を次々に産んでいったイザナミは、火の神の出産がもとで死んでしまう。
        死を穢れとして拒否されたイザナミの愛は恨みとなり、「あなたの国の人間を、一日に千人縊り殺す」という言挙げになる。
        それに対し、イザナキは一日に千五百人の産屋を建てると返す。

        著者の桐野夏生は、世界創造の第二部、人間の起源を語ったともいうべきこの部分に注目する。
        古事記神話を変身させながら、島の物語に接合させるのだ。

        海蛇の島で二人の姉妹が生まれた。生に関わる光の巫女カミクゥと死に関わる闇の巫女ナミマ。
        運命に逆らって十六歳で死んだナミマは、地下の神殿で黄泉の女王イザナミと出会う。
        イザナミは夫イザナキによって、穢れの国に閉じ込められていたのだ。

        カミクゥとナミマは、イザナキとイザナミのアナロジーといえる。
        一方は死の支配者とされ、もう一方が性と生を司る。

        イザナミは、怨みを抱えた行き場のない魂が集う黄泉の空間を支え、「恨んで憎んで殺し尽くす」「破壊者」として君臨する。

        女神の破壊が、再生を産み出すのだ。それはまさに、姉妹で生死を支配する海蛇島の構図と重なる。
        ここに、著者・桐野夏生は、死と生の循環を司る女神を誕生させたのだと思う。

        >> 続きを読む

        2019/05/09 by dreamer

    • 他1人がレビュー登録、 5人が本棚登録しています
      天使に見捨てられた夜
      カテゴリー:小説、物語
      3.7
      いいね!
      • 主人公のミロの心情がメインになりすぎて、依頼内容の結末が取って付けた感が印象に残ってしまいました。
        話の展開には、引き込まれていたので、少し残念ではあります。
        >> 続きを読む

        2017/11/25 by rojin

    • 他1人がレビュー登録、 6人が本棚登録しています
      Out
      Out
      カテゴリー:小説、物語
      3.9
      いいね! chappaqu
      • 女性作家ならではの残酷さ、リアルさが素晴らしい!
        息つく間もなく次々と見せ場がある。

        暴力を振るう夫を殺してしまった妻が
        パート先の主人公の女性に隠蔽工作を頼むのだが、
        一緒に手伝う女性陣それぞれが家庭の悩みを抱えていて、
        その男をバラバラに切り裂くという共同作業から
        新しい自分を発見していくのが皮肉な話だ。

        この主人公の女性“雅子”の生き様が渋い!
        同じ女性ながらに惚れそうだった。
        >> 続きを読む

        2019/02/07 by NOSE

    • 他1人がレビュー登録、 22人が本棚登録しています
      柔らかな頬
      カテゴリー:小説、物語
      2.8
      いいね!
      • 主人公のカスミは旦那の仕事仲間、石山と不倫中。
        ところが、石山に招かれた別荘で5歳の娘が失踪し、
        罪悪感にさいなまれながら、カスミは1人で探し続ける。
        そして次第に、周囲の人間達が抱えてる深い感情が
        浮き彫りになってくるのだ。

        このミステリーは、“犯人が誰なのか”という事に
        重きを置いていない。そこが新鮮だった。

        “強さと脆さ”、“信念と妥協”、“後悔と希望”
        そういった人間の表裏一体である複雑な心理を、
        最後まで追求しているのも見どころがある。

        しかし、あまりに深いテーマを引っ張りすぎて、
        カスミの自問自答がクドくなってる気がする。
        重い話が好きな私ですら少し疲れてしまった…
        >> 続きを読む

        2019/02/07 by NOSE

    • 他1人がレビュー登録、 12人が本棚登録しています
      柔らかな頬
      カテゴリー:小説、物語
      2.5
      いいね!
      • 主人公のカスミは旦那の仕事仲間、石山と不倫中。
        ところが、石山に招かれた別荘で5歳の娘が失踪し、
        罪悪感にさいなまれながら、カスミは1人で探し続ける。
        そして次第に、周囲の人間達が抱えてる深い感情が
        浮き彫りになってくるのだ。

        このミステリーは、“犯人が誰なのか”という事に
        重きを置いていない。そこが新鮮だった。

        “強さと脆さ”、“信念と妥協”、“後悔と希望”
        そういった人間の表裏一体である複雑な心理を、
        最後まで追求しているのも見どころがある。

        しかし、あまりに深いテーマを引っ張りすぎて、
        カスミの自問自答がクドくなってる気がする。
        重い話が好きな私ですら少し疲れてしまった…
        >> 続きを読む

        2019/01/28 by NOSE

    • 他1人がレビュー登録、 11人が本棚登録しています
      メタボラ
      カテゴリー:小説、物語
      2.0
      いいね!
      • 日を増す毎に上がり、湿った空気がまとわりつく
        うっとおしく、諦め、疲れるが今年もそんな季節かと懐かしみを覚える
        そんな空気をまとった一冊
        小さな嘘を抱えた二人がそれぞれ生きて、死ぬ
        安っぽい虚しさよりも
        生きていく長すぎる時間に空しくなる
        >> 続きを読む

        2017/07/11 by kotori

    • 1人が本棚登録しています
      柔らかな頬
      カテゴリー:小説、物語
      3.0
      いいね!
      • 匿名

        流れてゆく水のように常に思考は変わる一方でぐるぐると同じとこを周り淀み、濁ってくるものもある
        彼女自身が捕らえることができないナニカ
        石山から見れば野性的な衝動で
        そのナニカは彼女の意思と反して
        さらさらと流れ、淀む
        死を持って彼女とナニカは1つになるような気がする

        俗世間的なものを渇望しながらも
        世間とは折り合いが全く悪い一匹狼な内海。
        最後に渇望するのがお伽噺と笑ってきた
        愛なのかもしれない
        誰かに見守られ
        執着する愛、自己顕示欲を見て、受けて
        彼は許されるように
        この世を去った気がする
        >> 続きを読む

        2019/11/06 by 匿名

    • 3人が本棚登録しています
      アウト
      カテゴリー:小説、物語
      5.0
      いいね!
      • 止まらない。
        次の展開が気になって手が止まりません。
        こんなに本を読むことだけに集中したのは久しぶりでした。

        ―雅子、43歳、主婦。弁当工場の夜勤パート。彼女は、なぜパート仲間が殺した夫の死体をバラバラにして捨てたのか
        平凡な主婦たち4人が自由を求めて日常を離脱・脱社会化し、「OUT(アウト)」していく物語である。

        同じ弁当工場のパートをしている山本弥生が、夫を衝動的に殺したことから物語は始まります。
        その死体を香取雅子、吾妻ヨシエ、城之内邦子が雅子の家の風呂場で解体し、生ごみとして処理します。
        ―と、書いてるとゾワッとしてきますね。
        それぞれ家庭崩壊や介護、夫のギャンブル狂やカード破産と抱えるものがあります。
        4人の愚かな女たちの人物像がよく描かれていたと思います。
        このようなドロドロとした作品は他にもあると思いますが、この作品を読んでいると、今まで読んだ本とは違う凄まじさを感じるんですよね。
        人間の闇がリアルに描かれていて、飲み込まれそうになりました。

        気がついたときには、4人は抱えていたしがらみから「OUT」しています。
        ただしそれに伴う代償は大きなものでした。

        この作品のおもしろさは、死体をバラバラにしただけでは終わらなかったところです。
        警察が事件を突き止めていき、逮捕されるまでを描いていくのだと思っていました。
        展開が2転、3転し、予想外の結末へ。
        手に汗握る展開が続きます。

        後半は佐竹、十文字、宮森ら男性陣のキャラクターも良かったなと。
        特に宮森とのやりとりは良かったです。彼の存在は、唯一の清涼剤でした。
        佐竹は気持ち悪すぎて理解出来なかったけどw(多分理解するようになってはいけない)
        あと、十文字が銀行勤め時代の雅子の姿から、ビジネスに誘ったシーンが好き。
        職場の中で孤立していたけど、ちゃんと見てる人は見てるんだなぁって。

        この本おすすめしてくださった空耳よさん、課長代理さん、どうもありがとうございました(*´∀`*)
        また素敵な読書ができました!!!
        >> 続きを読む

        2015/03/23 by あすか

      • コメント 27件
    • 6人が本棚登録しています
      顔に降りかかる雨
      カテゴリー:小説、物語
      3.7
      いいね!
      • ミロという32歳の女性がいい、弱さも強さも含めて彼女のキャラクターが魅力的で面白い。
        今回行動を共にする村瀬も、ハンサムで知的、ミロがちょっと惹かれかけるのも無理がない。
        又、展開の速いストーリーも飽きないし、ミロの周りには、調査業を引退した父親の、アドバイスもある。
        優秀な探偵だった父親の友人も多い。
        夫に死なれた過去をまだ引きずってはいるが、ミロは自分が家庭で静かに人生を送るタイプではないと自覚している。
        こういう自立した生き方は女性の形としては歓迎されるだろう。

        ミロという名前に見覚えがあったので探してみると本棚の奥から「天使に見捨てられた夜」という第二作目の本がでてきた。
        1997年の文庫としては初版本で、乱歩賞の作家を読んでみようと思ったのかもしれない、忘れてしまっていたけれど。
        >> 続きを読む

        2015/01/17 by 空耳よ

      • コメント 4件
    • 12人が本棚登録しています
      Out
      Out
      カテゴリー:小説、物語
      4.2
      いいね!
      • 女性作家ならではの残酷さ、リアルさが素晴らしい!
        息つく間もなく次々と見せ場がある。

        暴力を振るう夫を殺してしまった妻が
        パート先の主人公の女性に隠蔽工作を頼むのだが、
        一緒に手伝う女性陣それぞれが家庭の悩みを抱えていて、
        その男をバラバラに切り裂くという共同作業から
        新しい自分を発見していくのが皮肉な話だ。

        この主人公の女性“雅子”の生き様が渋い!
        同じ女性ながらに惚れそうだった。
        >> 続きを読む

        2019/01/28 by NOSE

    • 13人が本棚登録しています
      ローズガーデン
      カテゴリー:小説、物語
      3.0
      いいね!
      • こちらの表紙でなく新装版で読みました。

        短編が4つあり、基本「ミロ」シリーズで、推理、ミステリー系かな。

        最近の桐野夏生さんにはないジャンルだけども、本題の「ローズガーデン」の男女間の絶妙で繊細なテーマ感はとても目を引きました!

        で、

        自分で言うのもあれですが、感受性が強い自分にふ・・・と世の中で生きづらいな~なんて思っちゃいますが、小説はそんな心理描写が事細かく紙に文字に描かれていて、いつでもそんな一瞬一瞬の数ある感情を感じ、それは時として共感からくる安堵感や安心感。また同じ境遇やら、戒めを感じる時もあるし、自分では覗く事の出来ない自身の背中を見せつけられたりで、苦しくなる時が読書ではあります。

        でもなんやかんや日々ありますが、こうして読書を通じて落ち着き、自分を見つめる事も大事なのであまり肩ぐるしく考えずに本、読書と向き合いたいですね!^^

        あまり友達がいなかったり、いろんな自分なりの境遇でもありますが、こうして読書ログでそれなにり自分なりの本を語り少しでも皆さまと共感する時間を大切にしたいですね!
        >> 続きを読む

        2018/03/14 by ジュディス

    • 2人が本棚登録しています
      ダーク
      カテゴリー:小説、物語
      3.0
      いいね!
      • ダーク(上・下)


        村野ミロのシリーズの、長編作品はこれが三作目。

        ただ、これがシリーズを切り上げるときの一つのスタイルなのだろうか、今まで思いいれのあったキャラクターが徹底的に変貌し崩壊している。
        心身ともにタガがはずれ、生活者としての基本的な枠組みを踏み外し、読者としては見たくない個々の本性に振り回される。
        追い詰められ、殺され、復讐の塊にもなる。乾いた中にやりきれない人々の行末に、読んでいると次第に気持は救いようのないダークな所に降りていってしまう。

        何もかも壊れてしまい、読むほうもこのシリーズもこれで終わりなのだと思い、だからここまで読んだ。
        ミロの養父との血縁のない奇妙なつながりや愛憎は、想像の中でしか理解できない荒れた部分がある。
        フィクションとは全てを含めて作者に沿っていかなければ、読み手はそこで想像力の限界を感じるだろう。
        私は嫌いではない桐野さんのこういう本を読んでみて、読者ならこれもありなのだろうと思った。そしてシリーズは最後を見届けなくてはやはり心残りだった。


        韓国の愛人の過去に当たる光州事件の記述は、圧巻で読み応えがある。この部分は☆5、作者の実力で。
        >> 続きを読む

        2015/01/24 by 空耳よ

      • コメント 8件
    • 3人が本棚登録しています
      I'm sorry,mama
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      • 『グロテスク』に引き続き、どうしようもない少女の物語。少しずつ、これが正しいのだ、と知らず知らず道を踏み外していくことはきっと誰でも起こりうることで、周りへの嫌悪、不信という感情のコントロールが出来なくなるまで放っておくことはしてはいけないと改めて思う。 >> 続きを読む

        2015/03/28 by yuca

      • コメント 1件
    • 4人が本棚登録しています
      リアルワールド
      カテゴリー:小説、物語
      5.0
      いいね!
      • 高校生じゃなくなって10年程たった
        その頃は、だっせぇ高校生だなぁと自分のいけてなさを
        せっかくの高校生なのにと憂いていた記憶がある
        今思い返せば、中学生とも大学生とは格段に違う煌きがあった
        自我が生れた瞬間に近い
        4人ともう1人、それぞれがリアルワールドに直面し
        それぞれのファクターを通して世界を見ている
        ファクターを通せば、目の前にある世界は虚像であったり
        リアルワールドに直面して自分が虚の世界に思う
        その瞬間的な感覚は痛ましくて、瑞々しい
        誰もがリアルワールドを通り、今生きるのは
        リアルワールドか虚の世界か
        >> 続きを読む

        2019/07/31 by kotori

    • 3人が本棚登録しています
      ナニカアル
      カテゴリー:小説、物語
      3.0
      いいね!
      • 放浪記で有名な林芙美子が、従軍作家として南方取材に旅立った際の手記が見つかったとして、林芙美子の遺族と出版社との手紙のやり取りも交えながら語られていくのだが、林芙美子が南方で新聞社の愛人と関係を持って身ごもり、生まれた子供を貰い子として夫と育てる的なストーリーで、実話なのかなと思いながら読んでいたのだが、解説によると創作とのことで、小説家ってすごいなと思いました。

        >> 続きを読む

        2019/12/21 by 和田久生

    • 3人が本棚登録しています
      ナニカアル
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!

      • 今回読了したのは、第62回讀賣文学賞小説賞受賞作の桐野夏生の「ナニカアル」。

        小説「放浪記」や「浮雲」などで知られ、今なお多くの人に読み継がれている作家・林芙美子は、昭和17年に陸軍報道部の嘱託としてジャワやボルネオへ渡った。

        現地で見聞したことを新聞などに書いて、戦時下の「日本国民」を励ますことが任務だった。
        後に、「戦争協力」とみなされることにもなった当時の活動、戦後の仕事、47歳で訪れた突然の死。

        この作品は、林芙美子の生と仕事について、限られた資料をもとに想像をあちらこちらへ走らせるようにして描かれた小説だ。

        この迫真性はどこから来るのか。読み進める間、気をそらされる瞬間が少しもない。
        途中、これは著者・桐野夏生による想像なのだ、ということすら忘れて読み耽りました。

        「臨場感」---一言で表わすならば、この言葉を使いたいほどだ。
        この作品を通して、小説という方法の深さがあらためて身近なものになったような気がしてなりません。

        小説の世界では、実在の作家について、ここまで想像をめぐらせて書いてしまうことが可能なのだと知ることは、驚きでもあり喜びでもあるんですね。

        時代に飲み込まれていくように見える林芙美子。だが、著者は、この主人公にこう呟かせる。
        「私は子供の時分から、そうして漂泊して生きてきたではないか」と。

        七つ年下の新聞記者との恋愛、スパイ行為への嫌疑、防諜をめぐる尋問と抵抗。
        林芙美子が戦争中の窮乏生活の中で「貰い子」をして育てたことについても、著者は想像力を働かせる。

        「放浪記」などからうかがえる林芙美子の雰囲気や語調が、少しも損なわれずに描かれている点にも、心を奪われる。

        林芙美子本人が、この作品を読んだら、実際には全くこんなふうではなかったのに、と言うかもしれない。
        それでも、この作品はひとつの世界をくっきりと創り上げていると思う。
        小説を読む喜びがここにありますね。

        >> 続きを読む

        2018/10/08 by dreamer

    • 3人が本棚登録しています
      白蛇教異端審問
      3.0
      いいね!
      • 世間のリフジンと闘い続けるケンカ・キリノの一線を越えたエッセイ集。

        なんだ、桐野も俗物か。
        ストーリー・テラーとしては一級品だが、それだけか。。。と、思ったほど、俗っぽいお考え満載。ちょっと残念だった。
        >> 続きを読む

        2014/07/27 by 課長代理

    • 1人が本棚登録しています

【桐野夏生】(キリノナツオ) | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト(著者,作家,作者)

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