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桐野夏生

著者情報
著者名:桐野夏生
きりのなつお
キリノナツオ
生年~没年:1951~

この著者の本を読んでいる会員ランキング

このランキングは1日1回更新されます。
      東京島
      カテゴリー:小説、物語
      3.7
      いいね!
      • ずいぶん前に映画版を見ていてつまらない印象しかなかったが、原作を見ると中々なサバイバル劇になっており、こっちの方が断然面白い。

        わずか2ページで清子が無人の島に流れ着いたことを分からせ、そこから東京島の決まり事や約束。
        そして島の人種や人口が。

        パワーバランスの変化が如実に変わる中で、ただ一人女性という立場を利用する清子。
        その清子にもバランスの変化が訪れるとき、島から脱出の時が迫る。

        結末はある種皮肉であり、別れた運命が人生を左右するという教訓のような話でした。
        >> 続きを読む

        2019/05/05 by オーウェン

    • 他3人がレビュー登録、 22人が本棚登録しています
      リアルワールド
      カテゴリー:小説、物語
      3.4
      いいね!
      • 「本当の自分」を知るというのは
        どこかに探し求めに行くのではなく、
        自分の奥底に潜んだ感情を
        認めることだと思う。
         
        それが、たとえ「悪意」であっても。
         
        だけど怖いのだ。
         
        認めた瞬間、今立ってるこの世界が
        「リアルワールド」なのかが
        分からなくなりそうで。
          
        そんな奥底の「本当の自分」に
        気付き始める年頃の女子高生たち4人。

        そのうちの1人の隣家で
        「母親撲殺事件」が起きる。
         
        犯人である少年の逃亡を
        手助けすることになってしまった彼女たちは、
        それぞれの関わりかたの違いに
        それぞれの本意が見えてくる。
          
        そして、4人の「リアルワールド」がねじれていく。。
         
        名作『OUT』を思わせる巧みな心理描写は健在。
         
        キレイごとから抜け出た解放感や、
        そのあとにくる後悔や葛藤がうずまく苦しさ。
         
        それこそが全部「リアル」だった。
        >> 続きを読む

        2019/03/09 by NOSE

    • 他2人がレビュー登録、 9人が本棚登録しています
      女神記
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!

      • 古事記の創世神話では、女神イザナミと男神イザナキが、互いに求愛し目合して国土を産む。

        人間界の男女が、愛して求めて子を産むように。

        このように「夫婦」神が国土を産む日本型の神話は、世界でも稀だと言われている。

        桐野夏生の「女神記」は、古事記におけるこの夫婦神の神話に、はるか南の小さな「海蛇の島」を舞台にした人間の男女の愛憎を交錯させる。
        世界三十七カ国共同プロジェクト「新・世界の神話シリーズ」の日本代表作という意味では、現代の神話と言えるだろう。

        古事記で、国土や自然界の神々を次々に産んでいったイザナミは、火の神の出産がもとで死んでしまう。
        死を穢れとして拒否されたイザナミの愛は恨みとなり、「あなたの国の人間を、一日に千人縊り殺す」という言挙げになる。
        それに対し、イザナキは一日に千五百人の産屋を建てると返す。

        著者の桐野夏生は、世界創造の第二部、人間の起源を語ったともいうべきこの部分に注目する。
        古事記神話を変身させながら、島の物語に接合させるのだ。

        海蛇の島で二人の姉妹が生まれた。生に関わる光の巫女カミクゥと死に関わる闇の巫女ナミマ。
        運命に逆らって十六歳で死んだナミマは、地下の神殿で黄泉の女王イザナミと出会う。
        イザナミは夫イザナキによって、穢れの国に閉じ込められていたのだ。

        カミクゥとナミマは、イザナキとイザナミのアナロジーといえる。
        一方は死の支配者とされ、もう一方が性と生を司る。

        イザナミは、怨みを抱えた行き場のない魂が集う黄泉の空間を支え、「恨んで憎んで殺し尽くす」「破壊者」として君臨する。

        女神の破壊が、再生を産み出すのだ。それはまさに、姉妹で生死を支配する海蛇島の構図と重なる。
        ここに、著者・桐野夏生は、死と生の循環を司る女神を誕生させたのだと思う。

        >> 続きを読む

        2019/05/09 by dreamer

    • 他1人がレビュー登録、 5人が本棚登録しています
      緑の毒
      カテゴリー:小説、物語
      3.5
      いいね!
      • 桐野夏生氏の小説は、いつ以来だろう。「東京島」以来かな。

        題名のとおり、ヒドい毒入り小説だ。悪意が満ち溢れれている。
        だからこそ、またどんどん読み進んでいってしまった。
        >> 続きを読む

        2015/04/18 by STALIN

      • コメント 2件
    • 他1人がレビュー登録、 4人が本棚登録しています
      天使に見捨てられた夜
      カテゴリー:小説、物語
      3.7
      いいね!
      • 主人公のミロの心情がメインになりすぎて、依頼内容の結末が取って付けた感が印象に残ってしまいました。
        話の展開には、引き込まれていたので、少し残念ではあります。
        >> 続きを読む

        2017/11/25 by rojin

    • 他1人がレビュー登録、 6人が本棚登録しています
      Out
      Out
      カテゴリー:小説、物語
      3.9
      いいね! chappaqu
      • 女性作家ならではの残酷さ、リアルさが素晴らしい!
        息つく間もなく次々と見せ場がある。

        暴力を振るう夫を殺してしまった妻が
        パート先の主人公の女性に隠蔽工作を頼むのだが、
        一緒に手伝う女性陣それぞれが家庭の悩みを抱えていて、
        その男をバラバラに切り裂くという共同作業から
        新しい自分を発見していくのが皮肉な話だ。

        この主人公の女性“雅子”の生き様が渋い!
        同じ女性ながらに惚れそうだった。
        >> 続きを読む

        2019/02/07 by NOSE

    • 他1人がレビュー登録、 22人が本棚登録しています
      I'm sorry,mama
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      • 現代の作家の中で、女性の性の中にひそむ"怪物"を描かせて、桐野夏生の右に出る作家はいないのではないかと思っています。
        そのくらい、桐野夏生という女流作家は傑出した存在だと思う。

        児童福祉施設で育ったアイ子を主人公にした「I'm sorry,mama.」という今回読み終えた小説は、「OUT」「柔らかな頬」「グロテスク」などの桐野夏生の他の作品でお馴染みの、対象を突き放す透徹した視線をもって、女の恐ろしさ、気味の悪さ、図太さ、計算高さといった、目をそらしたい、自分の中に認めたくないと願っている負の要素を、これでもか、これでもかと暴きたてるんですね。

        この小説の冒頭の、アイ子登場のエピソードからして凄まじい。
        結婚20周年の食事に焼き肉屋に出掛ける門田夫妻、という何てことのない始まりの光景に気を許してはいけないんですね。

        この夫婦、なんと25歳も年が離れているのだ。出会いは、妻の美佐江が働いていた児童福祉施設。夫の稔は、その園生だったのだ。
        おまけにこの夫婦、何だか少し様子がおかしいのだ。稔の美佐江への甘えようが尋常ではないのだ。まさに母子プレイのようなのだ。

        このいびつなカップルが焼き肉屋で、お運びの仕事をしているかつて園生だったアイ子に再会するところから、物語は走り出す。

        盗みはおろか殺人すら辞さない壊れた女を狂言回しに、門田夫妻に負けず劣らず奇妙な人物が大勢登場する。
        障害物を蹴散らしながら疾走するアイ子に、読む者が連れて行かれる先、そこで見せられる光景とは?-------。

        読んで瞠目、終わって呆然。かなり強烈なインパクトのある小説だと思いますね。

        それから、この小説には、かつての桐野夏生の作品にはあまり見かけることのなかった特徴があるように思う。
        それは、笑いなんですね。かなり陰惨で救いのないエピソードが、てんこ盛りであるにもかかわらず、巨漢の女偉丈夫・アイ子をはじめとする登場人物のキャラクターや言動が、おかしくてたまらないんですね。

        怖い、なのに爆笑するという-----。そして、笑いながら鳥肌が立つ。
        相反する感情に引き裂かれながら、アイ子が次にしでかす悪行が知りたくて、ページを繰る手が止まらない。

        桐野夏生という作家に、これほど捻じれたユーモアのセンスがあったとは驚きです。
        桐野夏生の作品をどうも重くてと、敬遠していた方にもお薦めしたい、彼女の新境地を示す奇妙な味のピカレスクロマンなんですね。

        >> 続きを読む

        2018/07/02 by dreamer

    • 他1人がレビュー登録、 5人が本棚登録しています
      柔らかな頬
      カテゴリー:小説、物語
      2.8
      いいね!
      • 主人公のカスミは旦那の仕事仲間、石山と不倫中。
        ところが、石山に招かれた別荘で5歳の娘が失踪し、
        罪悪感にさいなまれながら、カスミは1人で探し続ける。
        そして次第に、周囲の人間達が抱えてる深い感情が
        浮き彫りになってくるのだ。

        このミステリーは、“犯人が誰なのか”という事に
        重きを置いていない。そこが新鮮だった。

        “強さと脆さ”、“信念と妥協”、“後悔と希望”
        そういった人間の表裏一体である複雑な心理を、
        最後まで追求しているのも見どころがある。

        しかし、あまりに深いテーマを引っ張りすぎて、
        カスミの自問自答がクドくなってる気がする。
        重い話が好きな私ですら少し疲れてしまった…
        >> 続きを読む

        2019/02/07 by NOSE

    • 他1人がレビュー登録、 12人が本棚登録しています
      柔らかな頬
      カテゴリー:小説、物語
      2.5
      いいね!
      • 主人公のカスミは旦那の仕事仲間、石山と不倫中。
        ところが、石山に招かれた別荘で5歳の娘が失踪し、
        罪悪感にさいなまれながら、カスミは1人で探し続ける。
        そして次第に、周囲の人間達が抱えてる深い感情が
        浮き彫りになってくるのだ。

        このミステリーは、“犯人が誰なのか”という事に
        重きを置いていない。そこが新鮮だった。

        “強さと脆さ”、“信念と妥協”、“後悔と希望”
        そういった人間の表裏一体である複雑な心理を、
        最後まで追求しているのも見どころがある。

        しかし、あまりに深いテーマを引っ張りすぎて、
        カスミの自問自答がクドくなってる気がする。
        重い話が好きな私ですら少し疲れてしまった…
        >> 続きを読む

        2019/01/28 by NOSE

    • 他1人がレビュー登録、 11人が本棚登録しています
      メタボラ
      カテゴリー:小説、物語
      2.0
      いいね!
      • 日を増す毎に上がり、湿った空気がまとわりつく
        うっとおしく、諦め、疲れるが今年もそんな季節かと懐かしみを覚える
        そんな空気をまとった一冊
        小さな嘘を抱えた二人がそれぞれ生きて、死ぬ
        安っぽい虚しさよりも
        生きていく長すぎる時間に空しくなる
        >> 続きを読む

        2017/07/11 by kotori

    • 1人が本棚登録しています
      柔らかな頬
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      • お気に入りの女流作家の中で、高村薫、宮部みゆきと並んで、いつも作品が発表されるたびに読んでしまう桐野夏生の第121回直木賞受賞作「柔らかな頬」を読了しました。

        北海道の支笏湖近くの別荘から、五歳の娘・有香が失踪して四年が過ぎた。
        夫をはじめ、まわりは皆、有香のいない現実を受け入れたが、カスミには、どうしても受け入れることができなかった。

        北海道の灰色の海べりの寒村を、十八歳で家出して二十年、家族という檻から脱出しようと男を愛した、それが有香を失踪させたのだから。
        有香の行方を突き止めなければ、どうしても折り合いのつけられない現実からの脱出はないのだ。

        正義感ではなく、ただ勝者になるために、北海道警一課刑事への道を一直線に走ってきたが、癌で余命半年と宣告され、本当の時間を生きようとする内海とともに、カスミは有香の行方を捜し続けるのだった-------。

        桐野夏生は、不可解な事件の真実を追求する母と元刑事というミステリ的な構成の中で、世間と折り合いがつけられず、自分が自分であろう、本当の時間を生きようとして漂流する人間を、じっと凝視しながら描いていく。

        あらゆる現実にあらがい脱出したがるカスミ、競争好きでカッコつけることしか考えなかった内海、何不自由のない生活からとことんはずれるカスミの愛人・石山。

        この作品に登場する人間たちは、自分勝手に見えるが、それは人と人の絆といった幻想を、すっぱりと断ち切って、絶対に実現しないことを承知の上で"見果てぬ夢"を夢見る者だけが持ち得る自由なのだ。

        「OUT」で、人をがっちりと捉えている日常の壁を突き崩し、逸脱していく女を描いて論議を呼んだ桐野夏生は、それから二年後に発表した、この「柔らかな頬」で、カスミや内海が、有香の失踪のシーンを想像する"藪の中"的な想像力に、ミステリアスな興趣を横溢させながら、人が心の奥深くに秘めているだろう欲求を激しく挑発してみせた。

        現代を正面から捉えようとするミステリとは、こういう作品を言うのだと思う。

        >> 続きを読む

        2018/08/05 by dreamer

    • 3人が本棚登録しています
      アウト
      カテゴリー:小説、物語
      5.0
      いいね!
      • 止まらない。
        次の展開が気になって手が止まりません。
        こんなに本を読むことだけに集中したのは久しぶりでした。

        ―雅子、43歳、主婦。弁当工場の夜勤パート。彼女は、なぜパート仲間が殺した夫の死体をバラバラにして捨てたのか
        平凡な主婦たち4人が自由を求めて日常を離脱・脱社会化し、「OUT(アウト)」していく物語である。

        同じ弁当工場のパートをしている山本弥生が、夫を衝動的に殺したことから物語は始まります。
        その死体を香取雅子、吾妻ヨシエ、城之内邦子が雅子の家の風呂場で解体し、生ごみとして処理します。
        ―と、書いてるとゾワッとしてきますね。
        それぞれ家庭崩壊や介護、夫のギャンブル狂やカード破産と抱えるものがあります。
        4人の愚かな女たちの人物像がよく描かれていたと思います。
        このようなドロドロとした作品は他にもあると思いますが、この作品を読んでいると、今まで読んだ本とは違う凄まじさを感じるんですよね。
        人間の闇がリアルに描かれていて、飲み込まれそうになりました。

        気がついたときには、4人は抱えていたしがらみから「OUT」しています。
        ただしそれに伴う代償は大きなものでした。

        この作品のおもしろさは、死体をバラバラにしただけでは終わらなかったところです。
        警察が事件を突き止めていき、逮捕されるまでを描いていくのだと思っていました。
        展開が2転、3転し、予想外の結末へ。
        手に汗握る展開が続きます。

        後半は佐竹、十文字、宮森ら男性陣のキャラクターも良かったなと。
        特に宮森とのやりとりは良かったです。彼の存在は、唯一の清涼剤でした。
        佐竹は気持ち悪すぎて理解出来なかったけどw(多分理解するようになってはいけない)
        あと、十文字が銀行勤め時代の雅子の姿から、ビジネスに誘ったシーンが好き。
        職場の中で孤立していたけど、ちゃんと見てる人は見てるんだなぁって。

        この本おすすめしてくださった空耳よさん、課長代理さん、どうもありがとうございました(*´∀`*)
        また素敵な読書ができました!!!
        >> 続きを読む

        2015/03/23 by あすか

      • コメント 27件
    • 6人が本棚登録しています
      顔に降りかかる雨
      カテゴリー:小説、物語
      3.8
      いいね!
      • ミロという32歳の女性がいい、弱さも強さも含めて彼女のキャラクターが魅力的で面白い。
        今回行動を共にする村瀬も、ハンサムで知的、ミロがちょっと惹かれかけるのも無理がない。
        又、展開の速いストーリーも飽きないし、ミロの周りには、調査業を引退した父親の、アドバイスもある。
        優秀な探偵だった父親の友人も多い。
        夫に死なれた過去をまだ引きずってはいるが、ミロは自分が家庭で静かに人生を送るタイプではないと自覚している。
        こういう自立した生き方は女性の形としては歓迎されるだろう。

        ミロという名前に見覚えがあったので探してみると本棚の奥から「天使に見捨てられた夜」という第二作目の本がでてきた。
        1997年の文庫としては初版本で、乱歩賞の作家を読んでみようと思ったのかもしれない、忘れてしまっていたけれど。
        >> 続きを読む

        2015/01/17 by 空耳よ

      • コメント 4件
    • 13人が本棚登録しています
      Out
      Out
      カテゴリー:小説、物語
      4.2
      いいね!
      • 女性作家ならではの残酷さ、リアルさが素晴らしい!
        息つく間もなく次々と見せ場がある。

        暴力を振るう夫を殺してしまった妻が
        パート先の主人公の女性に隠蔽工作を頼むのだが、
        一緒に手伝う女性陣それぞれが家庭の悩みを抱えていて、
        その男をバラバラに切り裂くという共同作業から
        新しい自分を発見していくのが皮肉な話だ。

        この主人公の女性“雅子”の生き様が渋い!
        同じ女性ながらに惚れそうだった。
        >> 続きを読む

        2019/01/28 by NOSE

    • 13人が本棚登録しています
      ローズガーデン
      カテゴリー:小説、物語
      3.0
      いいね!
      • こちらの表紙でなく新装版で読みました。

        短編が4つあり、基本「ミロ」シリーズで、推理、ミステリー系かな。

        最近の桐野夏生さんにはないジャンルだけども、本題の「ローズガーデン」の男女間の絶妙で繊細なテーマ感はとても目を引きました!

        で、

        自分で言うのもあれですが、感受性が強い自分にふ・・・と世の中で生きづらいな~なんて思っちゃいますが、小説はそんな心理描写が事細かく紙に文字に描かれていて、いつでもそんな一瞬一瞬の数ある感情を感じ、それは時として共感からくる安堵感や安心感。また同じ境遇やら、戒めを感じる時もあるし、自分では覗く事の出来ない自身の背中を見せつけられたりで、苦しくなる時が読書ではあります。

        でもなんやかんや日々ありますが、こうして読書を通じて落ち着き、自分を見つめる事も大事なのであまり肩ぐるしく考えずに本、読書と向き合いたいですね!^^

        あまり友達がいなかったり、いろんな自分なりの境遇でもありますが、こうして読書ログでそれなにり自分なりの本を語り少しでも皆さまと共感する時間を大切にしたいですね!
        >> 続きを読む

        2018/03/14 by ジュディス

    • 2人が本棚登録しています
      ダーク
      カテゴリー:小説、物語
      3.0
      いいね!
      • ダーク(上・下)


        村野ミロのシリーズの、長編作品はこれが三作目。

        ただ、これがシリーズを切り上げるときの一つのスタイルなのだろうか、今まで思いいれのあったキャラクターが徹底的に変貌し崩壊している。
        心身ともにタガがはずれ、生活者としての基本的な枠組みを踏み外し、読者としては見たくない個々の本性に振り回される。
        追い詰められ、殺され、復讐の塊にもなる。乾いた中にやりきれない人々の行末に、読んでいると次第に気持は救いようのないダークな所に降りていってしまう。

        何もかも壊れてしまい、読むほうもこのシリーズもこれで終わりなのだと思い、だからここまで読んだ。
        ミロの養父との血縁のない奇妙なつながりや愛憎は、想像の中でしか理解できない荒れた部分がある。
        フィクションとは全てを含めて作者に沿っていかなければ、読み手はそこで想像力の限界を感じるだろう。
        私は嫌いではない桐野さんのこういう本を読んでみて、読者ならこれもありなのだろうと思った。そしてシリーズは最後を見届けなくてはやはり心残りだった。


        韓国の愛人の過去に当たる光州事件の記述は、圧巻で読み応えがある。この部分は☆5、作者の実力で。
        >> 続きを読む

        2015/01/24 by 空耳よ

      • コメント 8件
    • 3人が本棚登録しています
      ナニカアル
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!

      • 今回読了したのは、第62回讀賣文学賞小説賞受賞作の桐野夏生の「ナニカアル」。

        小説「放浪記」や「浮雲」などで知られ、今なお多くの人に読み継がれている作家・林芙美子は、昭和17年に陸軍報道部の嘱託としてジャワやボルネオへ渡った。

        現地で見聞したことを新聞などに書いて、戦時下の「日本国民」を励ますことが任務だった。
        後に、「戦争協力」とみなされることにもなった当時の活動、戦後の仕事、47歳で訪れた突然の死。

        この作品は、林芙美子の生と仕事について、限られた資料をもとに想像をあちらこちらへ走らせるようにして描かれた小説だ。

        この迫真性はどこから来るのか。読み進める間、気をそらされる瞬間が少しもない。
        途中、これは著者・桐野夏生による想像なのだ、ということすら忘れて読み耽りました。

        「臨場感」---一言で表わすならば、この言葉を使いたいほどだ。
        この作品を通して、小説という方法の深さがあらためて身近なものになったような気がしてなりません。

        小説の世界では、実在の作家について、ここまで想像をめぐらせて書いてしまうことが可能なのだと知ることは、驚きでもあり喜びでもあるんですね。

        時代に飲み込まれていくように見える林芙美子。だが、著者は、この主人公にこう呟かせる。
        「私は子供の時分から、そうして漂泊して生きてきたではないか」と。

        七つ年下の新聞記者との恋愛、スパイ行為への嫌疑、防諜をめぐる尋問と抵抗。
        林芙美子が戦争中の窮乏生活の中で「貰い子」をして育てたことについても、著者は想像力を働かせる。

        「放浪記」などからうかがえる林芙美子の雰囲気や語調が、少しも損なわれずに描かれている点にも、心を奪われる。

        林芙美子本人が、この作品を読んだら、実際には全くこんなふうではなかったのに、と言うかもしれない。
        それでも、この作品はひとつの世界をくっきりと創り上げていると思う。
        小説を読む喜びがここにありますね。

        >> 続きを読む

        2018/10/08 by dreamer

    • 3人が本棚登録しています
      白蛇教異端審問
      3.0
      いいね!
      • 世間のリフジンと闘い続けるケンカ・キリノの一線を越えたエッセイ集。

        なんだ、桐野も俗物か。
        ストーリー・テラーとしては一級品だが、それだけか。。。と、思ったほど、俗っぽいお考え満載。ちょっと残念だった。
        >> 続きを読む

        2014/07/27 by 課長代理

    • 1人が本棚登録しています
      アンボス・ムンドス ふたつの世界
      カテゴリー:小説、物語
      2.0
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      • 桐野夏生の本を始めて読んだ。
        もう少しさわやかな小説を書いてる人かと思ったら、だいぶ暗くてどろどろしていた。

        この人の作品を全部読んでやるとは思えなかった。残念。


        短編集である。好きな作品ってほどじゃないけど、小学校の先生同士が不倫する話はなんか印象に残ってる。
        職を追われても生きていかなきゃいけないんだなと。
        >> 続きを読む

        2012/05/24 by Aki

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      メタボラ
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!

      • この桐野夏生の「メタボラ」は、現代に漂流する若者と社会問題を絡めた社会派ミステリの意欲作で、読み応えがあり、じっくりと考えさせられる作品だ。

        舞台は沖縄。主人公の「僕」が森を必死に彷徨っているところから物語は幕を開ける。
        「僕」は、一切の記憶を失っており、自分が誰で、なぜここにいるのか、まったくわからない。

        そんな「僕」は、山中で宮古島出身の若者、昭光に出会い、「ギンジ」という名前を得る。
        昭光は、地元の有力者である両親から半ば勘当された身で、彼もまた帰る家も行くあてもないのだった。
        かくして、金なし寝床なしの二人組の奇妙な旅が始まるのだった。

        自分は何者かとの思いに苛まれながらも、徐々に新しい人格を形成していく「僕」。
        一方、昭光は恵まれた容貌を生かして、売れっ子ホストに駆け上がっていく。

        やがて「僕」が記憶を取り戻した時、物語は急展開を見せることに-------。

        この作品のタイトルの「メタボラ」とは、新陳代謝を意味する「メタボリズム」からの造語で、過去を代謝してリセットした主人公を指しているんですね。

        記憶喪失に絡む謎といえば、ミステリでは幾度となく使われてきた題材ですが、著者の桐野夏生の主眼はそこにはない。

        低賃金労働、在日アメリカ軍基地、家庭内暴力、ネット中毒、集団自殺など、さまざまな社会問題を織り込みながら、現代に漂流する若者の憤懣やるかたない心情を見事に描いていると思う。

        >> 続きを読む

        2018/05/25 by dreamer

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【桐野夏生】(キリノナツオ) | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト(著者,作家,作者)

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