読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト
こんにちはゲストさん(ログインはこちら) | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト →会員登録(無料)
1クリック登録
元フランス外人部隊所属の著者が語る非常災害時に取るべき行動。元フランス外人部隊所属の著者が様々な局面で「生き残る」ために取るべき行動について語っている。著者の小説は好んで選択しているものの、本書のようなアプローチのものは初めて接した。時にはマニュアルを否定することになっても著者が良かれと考える生き残るために最善の方法が満載されている。細かな部分を突いていけば反社会的な記述も多いが、巷の「防災マニュアル」的な毒にも薬にもならないようなパンフレットとは異なり極めて実践的で有る。各局面ごとに想定される状況や取るべき行動が連なって本書を成している形だが、さすがは柘植氏。エンターテイメントとしても読むに耐える作品に仕上がっている。具体例として取り上げられていた、幾つかの生命を賭けた選択を上げておく。・サーフィンを楽しんでいたら大地震発生。陸と沖どちらに逃げる?・真冬のボート遊びで転覆。陸に向かって泳ぐ?ボートに掴まって助けを待つ?・核兵器が使用され放射能が蔓延。何色の服を着て外に出る?有事の際に読んでいたことを感謝する作品だと思う。 >> 続きを読む
2011/02/08 by ice
世界一名前の通った特殊部隊。その知られざる実態を経験者が語る。この作品は日本人では柘植氏にしか書けない。従って貴重で有る。柘植氏と言うと毎回触れることになってしまうが、元フランス外人部隊、またアメリカではグリーンベレーに所属したという本物で有る。その著者が語るグリーンベレー。ライターが取材したものをまとめたルポなどとは全く異なる真実の姿が有る。ただし関係者には書けないが、ライターなら暴くことが出来る真実が有ることも付け加えておく。まずその具体性の有る記述に驚く。機密ではないのか?と読み手が心配してしまうような用兵に関する決まり事なども予想以上に開示されている。作戦行動から外れた期間の過ごし方や、部下を喪った上長の遺族への対応など、特殊部隊としてのグリーンベレー以外の面も多く見ることが出来る。以前在籍していた会社では債権回収担当部署が有り、そこに配属された人が知らず知らず人相が悪くなると自分で嘆いていた。犯罪として追求されないとは言え、著者を含めた登場する隊員は、人間の生命を何度も奪うという経験を積んでいる。人相はどうでも良いのだが、精神的なダメージについては察するに余りある。ランボーは意外にリアルらしい。なるほど本物が言うと説得力が有る。 >> 続きを読む
2012/05/09 by ice
プライドを踏みにじられた男の報復と壮大なる逃亡劇。柘植氏作品っぽすぎてゲンナリ。フランス外人部隊からアメリカのグリーンベレーと強烈な軍人歴を持つ柘植氏。当然のように軍人生活や戦闘シーンの描写は他の追従を許さない。しかし本作品に至っては、何が何でも自分の得意フィールドに持ち込むように見えてしまい、正直ゲンナリしたのは否めない。彼の作品、作風を愛しているということは、その描写が嫌いで有るはずは無いのだが、あまりに度が過ぎると、アンフェアなようにも感じてしまう。オーソドックスな推理小説のように始まる本作品は、彼の得意フィールドに持ち込むには無理が有るものだったのだろう。ほとんど身元調査も無く、入隊できるという点や、入隊後は警察からの介入も受け付けないというフランス外人部隊の気質と権力に驚くとともに、身元調査があいまいな組織に、国防の一端を担わせるというフランスという国家に対し、理解し難い感情を持った。予備知識を持たずに読めば、素直に楽しめるのかもしれない。 >> 続きを読む
2012/07/01 by ice
体制崩壊時、罪が無い体制側の子供達は本当に可哀想だと思う。事実か否かはともかく、そもそもこんな話が有ることを知らなかった。「ロシア革命のさなか、虐殺された皇帝家族の一人が生存していた!?」クーデターによる体制崩壊。体制側にいた人間は、抑圧された民衆の怒りをぶつけられる形で抹殺されるのがセオリーかと思う。当然、旧体制側の人間が担ぎ出すことを恐れ、子供達も抹殺のターゲットにされてしまう。子供に罪は無いということは皆分かっていても、手を下さずにはおれない運命。生まれて来る際に背負っている業というようなものなのかもしれない。世が世ならプリンセスとして、蝶よ花よで暮らせていたはずの人間が、生命を保っていること自体が不思議というようなギリギリの低空飛行の人生を歩む。そんな中で彼女を主人公とした映画が出来、皇女としての彼女の人生にせめてもの彩を添えてくれたことで少し救われたように思う。例え真実でなかったとしても、様々なことを考えさせられる作品で有った。 >> 続きを読む
2013/02/22 by ice
実在した英独それぞれの将軍が同一人物だった可能性を追求。親近感に欠けるためインパクトにも欠ける印象を持った。解説でも触れられているが、日本で言えば源義経がモンゴルに渡りジンギスカンになったというような英雄不死伝説に近い内容である。源義経→ジンギスカン説では、成吉思汗(ジンギスカン)の秘密 /高木彬光 にて、相当数の説を裏付ける状況証拠や物的証拠が上げられている。ロマンに欠けるが、実際には説が真実で有った可能性は低い上、経過年月も比較にならないほど古いにも関わらず、これだけ都合の良い証拠を集めることが出来たわけである。このことから考えても本書で取り上げる二人の将軍が同一人物で有ったとする根拠や史料は、よほど決定的なもので無い限り信頼に足るものでは無いと考える。これらの理由から、同一人物か否かの信憑性は問題とせず純粋なエンタテイメントとして、いかに入り込める内容かを期待して本書を手に取った。イギリス人でさえも名前を知らないという程の知名度の人物で有る上、軍人としての人物像は見えても、一個人としての人物像が書き込まれていないため親近感を持つのは、なかなか難しかったのは否めない。著者が強い思い入れを持った作品ということだが、他の柘植氏作品に比べると落ちる。 >> 続きを読む
2011/01/30 by ice
学生時代から特別の思い入れを持って臨んで来たJFK。フランス外人部隊で活躍した著者がその暗殺の背景を分析する。暗殺者の土壇場での極度の緊張と冷静な作業に改めて乾いた怖さを感じた。本物の軍隊に所属したという稀有な過去を持つ著者。いわば現場を語ることができるという点で、他の日本人作者に比較すると大きなアドバンテージを持っている。あの時代、時代やパワーの象徴だったことは疑いも無いジョン・フィッツジェラルド・ケネディ。あまりにも悲しいその最後の一幕を、柘植氏が分析していく。その中で「私ならここから狙う」とか「遠ざかるより近づく標的を狙う」とか「陽光が深く差し込む場所からは狙わない」とか、暗殺者の立場での分析が有り、狙撃のプロが冷静に仕事を進めている姿を連想してしまった。同じ題材の有名作品として、落合信彦氏の「2039年の真実」が有るが、フランス外人部隊出身という著者の前歴から、銃や実行場所など狙撃部分だけに限定して言えば、本作品の方にリアリティを感じた。やはり軍産複合体とマフィアなのか?2039年まで約30年。 >> 続きを読む
2012/05/20 by ice
古今東西の戦場と、それを指揮した指揮官を仔細に解説。平和ボケした日本人を一喝するような現実感を伴った戦略戦術考。それぞれのケースで、当時の国際関係や戦場の地理的特徴など、様々な知識を動員して指揮官の決断を仔細に解説する。著者が驚くほど博識で、一瞬、軍事が専門なのに広範な知識を有しているのは凄いと考えたが、軍事こそ多くの情報を活用し、最短で正解に辿り着く必要が有るのだと気づいた。戦争反対から武力反対。この流れで軍事全般に対して否定的な人もいると思うが、実際に起こった戦争をケーススタディとして、戦争回避の方法を探るためにも、やはり軍事研究には大きな意味が有ると再認識した。また、現代日本人の一人として平和ボケしていることを認めざるを得ない。旧日本帝国軍を含む多くの戦場の描写は、その場に自分がいたらという考えに繋がり、同時に現在全くその可能性を感じていないことに気が付いた。憲法で軍隊を持たないことを宣言し、当然徴兵制も無い先進国で暮らしていては、危機意識など持ちようが無いことも事実では有るが、間違っても再び戦争への道を進まないよう、これ以上の平和ボケには気をつける必要が有ると感じた。とくに戦術に関しては非常に平易で良質な文献だと思う。 >> 続きを読む
2011/09/25 by ice
新撰組副長 土方歳三にスポットを当てた歴史のif。カバーの少女漫画のような土方の絵の印象が強いのが残念。これまで柘植氏作品には幾つか触れる機会が有り、近代兵器を扱う戦場の最前線を描かせたら、相当な臨場感を発揮する印象を強く持っていたが、本作品は、幕末の新撰組副長 土方歳三を題材にした空想歴史小説である。倒幕派に押されてはいるが、残存勢力を結集すれば一発逆転の勝機は十分に有る状況下で漢学者より、孫子の手解きを受けた土方が取った軍略。歴史から自由に脱線してストーリーが展開する本編を終えた後、史実をなぞる配慮がなされていることに非常に好感を持った。沖田総司が発病した後で有るため致し方無いが、新撰組という世界観を選択するのであれば、本音としては、彼の活躍するシーンもサービスとして描いて欲しかった。土方と孫子。鬼謀の名に恥じない取り合わせではある。 >> 続きを読む
2011/04/05 by ice
【柘植久慶】(ツゲヒサヨシ) | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト(著者,作家,作者)
ページの先頭に戻る
会員登録(無料)
レビューのある本