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大森望

著者情報
著者名:大森望
おおもりのぞみ
オオモリノゾミ
生年~没年:1961~

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このランキングは1日1回更新されます。
      ここがウィネトカなら、きみはジュディ 時間SF傑作選
      カテゴリー:小説、物語
      3.3
      いいね!
      • タイトルがいいので買ってしまいました。表題作しかまだ読んでないのですが、なんでタイトルのジュディがヒロインじゃないの?タイトルに持ってきたら、そこに感情移入して読んでしまうじゃないですか。ストーリーはよく出来てるけど、この名前だけは納得いかない。おかげでラスト少しも感動できない。エレーンがジュディだったら良かったのに。 >> 続きを読む

        2016/05/04 by Judy

    • 他1人がレビュー登録、 3人が本棚登録しています
      航路
      カテゴリー:小説、物語
      5.0
      いいね!
      • 【死に直面した時、何を見たの?】
         主人公のジョアンナは、認知心理学者で、マーシー総合病院で臨死体験の研究をしていました。
         臨死体験って、ほら、丹波哲朗さんの『大霊界』のあれですよ(笑)。
         死にそうになった時、光が見えたり、既に亡くなっている親族に会ったり、お花畑が見えたりとかいうあれです。

         でも、ジョアンナは、一般にそう言われているのは似非科学的なものだと考えており、もっと科学的にその体験情報を収集、分析し、それがどのような反応なのかを研究しようとしていました。
         ジョアンナは、臨死体験には患者を蘇生させるサバイバル・メカニズムが秘められているのではないかと考えていたのですね。
         だって、ほら、臨死体験を語れるということは生き返ってこられたということですから。
         それを蘇生医療に応用できないかというのです。

         ところが、マーシー総合病院にも、そういう似非科学どっぷりのほとんどスピリチュアルな世界に行っちまっている奴もいるわけです。
         マンドレイクはノンフィクション作家なのですが、臨死体験をまとめた本がベストセラーになり、その印税から病院に多額の寄付をしたため、病院理事長の覚えもめでたく、取材ということで自由に病院内を歩き回り、臨死状態から蘇生した患者が出るといち早く駆けつけてインタビューをしていたのです。

         しかし、ジョアンナに言わせるとマンドレイクがやっていることは患者を汚染すること以外の何ものでもないということになります。
         だって、マンドレイクは、自分が本に書いたビジョンを、患者は絶対に見ていなければならないと決めつけ、患者を誘導、誤導しまくってその記憶を侵害しているのですから。
         当然、ジョアンナはマンドレイクを毛嫌いして避けまくっているのですが、マンドレイクは何とかしてジョアンナを自分の味方につけたくて仕方がなく、ジョアンナを追いかけまわしています。

         そんな時、病院に新しい神経内科医のライトがやって来ました。
         ライトも臨死体験を研究しているということなのですが、ジョアンナは、どうせまたマンドレイクのようなとんでもない奴だろうと決めつけ、連絡があってもなかなか会おうとしませんでした。

         しかし、ライトはむしろジョアンナと同じように、科学的に臨死体験を研究することを目指しており、当然マンドレイクなど全く認めようとはしなかったのですね。
         そのことが分かったジョアンナは、ライトと共同研究することを承諾します。
         ライトの研究手法は、特殊な薬物を使用することにより、被験者の脳に臨死状態と同じ反応を起こさせ、その際に被験者がどのような物を見たり感じたりしたかを分析し、また、脳のどの部位が反応していたかをスキャンして研究しようというものでした。

         さて、本作は、コニー・ウィリスの超長編小説なのですが、彼女の代表作である『オックスフォード大学史学部タイムトラベルシリーズ』とは別物で、タイムトラベル物ではありません。
         臨死体験をテーマにしていますが、上巻を読んだ限りではSFと言わなくても良い位の作品です。
         もちろん、いつものようにイライラ感満載ですけれど(笑)。

         本作でのイライラ感は、例えば増築を繰り返したためただでさえ迷路のように複雑な病院なのに、悪いことに内装工事まで始まってしまって、至る所に通行不能の通路ができちゃって行きたい場所になかなかたどり着けなかったり、ようやく行く方法を見つけてもその先にマンドレイクがうろうろしていてその先に進めなかったり、臨死体験の被験者達がとんでもなく饒舌で時間が無いというのに益体もないことを延々しゃべり続けて解放してもらえなかったり、メイジーという心臓疾患を抱えた少女が患者にいるのですが、彼女はジョアンナが大好きで、何かというとジョアンナのポケベルを鳴らしまくって面会を要求し、会えば会ったで延々と災害話を続けるとか(メイジーは災害おたくなのです)、とにかくあちこちでイライラさせられますよ。

         しかも、用意していた臨死体験の被験者の中にマンドレイクのスパイが混じっていたり、何でもいい加減なことを作話してしまうおじいさんがいたり、学業が忙しくて被験者を続けられないと申し出てきた学生がいたりで、これらの被験者を外さなければならなくなります。
         しかし、研究資金を出してくれている病院からは中間報告を求められており、このままでは十分な実験ができず、最悪資金を止められてしまうかもしれない危機に陥るのですね。

         こうなったら私がやるしかない!
         ジョアンナは自ら被験者となることを申し出、臨死状態を体験しました。
         その時、ジョアンナが見たものは……。

         臨死体験というなかなか興味深いテーマを選んでいますし、ジョアンナやその親友の女性看護師ヴィエルとのいかにも女性同士というエピソードが描かれたり(ライト医師はなかなかチャーミングだから早く唾をつけろとジョアンナをせっついたり、その前にライトを籠絡してやろうとくねくねしている看護師がいたり、はたまたヴィエルがデンゼル・ワシントン似の警察官に一目惚れしてしまったり……)、余りに忙しくて食事も取れずいつもお腹を空かしているジョアンナと何故かいつも白衣のポケットに大量の飲食物を持っているライト医師とか、『ディッシュ・ナイト』と称してジョアンナとヴィエルがストレス発散の映画ビデオ鑑賞会を開いていたりとか、そんな出来事が先ほどのイライラ感と共にユーモアたっぷりに展開していきます。
         主人公のジョアンナはとてもチャーミングに描かれていますよ。

         コニー・ウィリスらしい大変楽しい作品なのですが、ところでこの作品、どうして『航路』というタイトルなのでしょうか?(原題は"PASSAGE"です)。
         ジョアンナが臨死体験で見たものがアレだから?
         いや、それは何だか遠すぎるような……。
         そんなことも含めて、下巻のレビューに続くのだ。
        >> 続きを読む

        2019/08/28 by ef177

    • 他1人がレビュー登録、 2人が本棚登録しています
      犬は勘定に入れません あるいは、消えたヴィクトリア朝花瓶の謎
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
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      • 【ドタバタタイムトラベルコメディ】
         ふ~。難渋した。
         だって、この作品、最初の方は一体何の話なのかさっぱり分からないんですもの。
         読了するまでに予想外の時間がかかってしまいました。

         何だか知らないけれど、主人公のネッドらは何かの目的のためにタイムトラベルで過去に送り出されているらしい。
         で、権力を持った猛烈な女性のレディ・シュラブネルは、どうやらコヴェントリー大聖堂の復元を企んでいるらしく、そのために欠かせない「主教の鳥株」(これが何なのかも最初はさっぱり分かりません……何だか醜悪なデザインの花瓶らしいっすよ)を入手(?)すべく、ネッドらをこき使いまくり、タイムトラベル要員をこれでもかと過去に送りつけまくります。

         でも、タイムトラベルを過度に繰り返すとタイムラグ(時差ボケ)を起こしてしまい、身体に変調を来してしまうのです。
         ネッドはぼろぼろになって「今」の時代に戻ってくるのですが、そんなことを考慮するレディ・シュラブネルではありません。
         彼女に見つかったらまた過去に送りつけられるに決まってる!

         と、その時、タイムトラベル・システムに異常が生じていることが発見されます。
         通常なら狙った時代、狙った場所にピンポイントにタイムトラベルできるはずなのに、「齟齬」が生じているのです。
         そのため、過去に送りつけられた者の中にはカボチャ畑に突っ込んでしまう者が出たり、過去から戻れなくなっている者が出たりでさあ大変!

         その原因は……どうやらヴィクトリア朝時代から猫の「プリンセス・アージュマンド」が「今」の時代に持ってこられたかららしいのです。
         だって、「今」は猫は既に絶滅していて存在し得ないものなのだから。
         ええ、タイムトラベルの掟で、過去に「今」の時代の物を持ち込んだり、逆に過去の物を「今」の時代に持ち込むと歴史が改変されてしまい、齟齬が生じてしまうのです。
         通常はそのようなことが起きないように、システムがタイムトラベルを拒絶するはずなのに、何故か猫がここにいるじゃないですか!

         この際、タイムラグで使い物にならなくなっているネッドをヴィクトリア朝時代に猫を持たせて送り返し、猫をしかるべき場所に戻した後、テムズ川でゆっくり船遊びでもさせて回復させるのが良策であろうということになり、ネッドにその旨教え込んでヴィクトリア朝時代に送り返します。
         ですが、ネッドは重度のタイムラグにかかっているため、ミッションの意味が理解できずまた十分に記憶もしていないままタイムトラベルさせられてしまうのです。

         さあ、ここからがドタバタコメディの真骨頂です。
         自分が一体何をすれば良いのかどうしても思い出せないネッドは、おそらくこの時代に連絡員がいて、その助けによりミッションが分かるのだろうと考えます。
         そんな時に偶然出会ったのが学生のテレンスです。
         テレンス曰く、一緒にボートに乗ろう!(いや、お金が無いからなんですけどね)。
         きっとテレンスが連絡員に違いないと申し出を受け入れます。
         テレンス曰く、「シリルも一緒だ」。
         どんな女性が一緒なのかと思いきや、シリルとはテレンスの愛犬のブルドッグだったのです(シリルがまた哀愁を帯びた良い味を出すのです)。

         その後、テレンスは、脳内お花畑のフリルひらひらの美貌の令嬢トシーに一目惚れしてしまい、行方不明になっているという彼女の愛猫である「プリンセス・アージュマンド」(!)を探し出す誓いを立ててしまいます。
         おいおい、その猫はネッドが持ってきたバスケットの中に入っているんだぞ!(もちろん、ネッドは全く分かっていません)。

         というわけで、タイムトラベルによって生じてしまった齟齬を正し、歴史を元に戻すための奮闘がユーモラスに描かれる作品になっています。
         ところで、「犬は勘定に入れません」というのは随分と不思議なタイトルですよね。
         これは、ジェローム・K・ジェロームの「ボートの三人男」という小説の副題なんですね。
         ボートに乗っているのは犬を除いて3人だよというわけです。
         「ボートの三人男」もテムズの川下りを描いたユーモラスな作品で、そこからタイトルを頂いたというわけですね。

         本作は、この「ボートの三人男」の他にも、特に推理小説が沢山顔を出しています。
         SF作品ではありますが、ちょっとミステリ風味やロマンス風味も加えた作品になっているわけですね。
        >> 続きを読む

        2019/05/25 by ef177

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      きょうも上天気 SF短編傑作選
      カテゴリー:小説、物語
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      • 「きょうも上天気」は映画も見たが、オチも含めて原作が数倍いい。無理やりの皆の考え方は、日頃真似してもいいのでは。今ある状況は、丁度いいのだよ、これでいいのだよ。 >> 続きを読む

        2014/01/06 by 紫指導官

      • コメント 2件
    • 2人が本棚登録しています
      不思議の扉
      カテゴリー:叢書、全集、選集
      4.0
      いいね!
      • エアハート嬢の到着がちょっと物々しいけど惹かれるので、ライオンハート読みたい。
        calling you はすごく良かった。美亜へ贈る真珠は自分が美亜だったら納得いかない。これだけわからない。どこがいいのか誰か教えてください。 >> 続きを読む

        2016/05/04 by Judy

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      不思議の扉
      カテゴリー:叢書、全集、選集
      3.0
      いいね!
      • 洋邦。新旧。コンピレーション。

        僕はなんといってもジョー・ヒルの「ポップ・アート」がよかった。

        この本は気軽に読めるので、ちょっと置いといたら中学生の娘が読んでて「三時間目のまどか」(古橋秀之著)がおもしろかったって。
        うん、たしかに。

        しかし音楽CDだったらコンピレーション盤というか、今どき的に言えば「DJ○○」の名義っぽいのねwこういう本の形態ってw

        シリーズものの4作目とか知らずに読みましたが、こんなのなら気軽にまた読みたいなと思いました。
        >> 続きを読む

        2018/07/30 by motti

    • 3人が本棚登録しています
      ドゥームズデイ・ブック
      カテゴリー:小説、物語
      5.0
      いいね!
      • 【この厄災の原因は?】
         『犬は勘定に入れません』がなかなか面白かったので、同じ作者の、それ以前に書かれた同一シリーズの作品を読んでみました(主要な登場人物であるダンワージ教授などは両作に共通して登場しています)。

         物語の一方の舞台となるのは、2054年のオックスフォード大学です。
         その史学部では、タイムマシーンを使って歴史家を過去に派遣し、研究を重ねていたのです。
         中世史科の女学生であるキヴリンは、自分も中世に行ってみたくて仕方がありません。
         教授達に「行かせて下さい!」の猛烈アピールを繰り返します。
         そして、中世史科の教授であり、学部長がクリスマス休暇中その代理となっているギルクリスト教授は、己の栄達を図るという野心のため、このチャンスを活かしてキヴリンを1320年に送り込むことを計画します。

         ダンワージ教授に言わせれば無謀も良いところです。
         十分なテストも準備も無しに送り込むなど危険極まりないと考え、何とかこの計画を阻止しようとします。
         しかし、ギルクリスト教授は聞く耳を持たず、自分が栄達することを妬んだダンワージ教授の姑息な妨害手段と捉えて余計に意固地になります(まぁ、そもそもがそういう性格の奴なんですけれどね)。
         そこで、邪魔されないうちにということで、予定をさらに繰り上げてキヴリンを中世に送り込んでしまったのです。

         過去へのタイムトラベルと言っても、そこには様々な困難がつきまといます。
         同じイギリスへのタイムトラベルと言っても、中世の英語と現代英語はまるで異なっており、体内に内蔵したインタープリター(翻訳機)の助け無しには会話もできません。
         また、中世世界では、女性がふらふらと一人で出歩くなど考えられないことですし、周囲には盗賊、追いはぎなどがうようよしています。
         ひょんなことから疑念を招けば、すぐに魔女だと糾弾されて火あぶりにされてしまうような社会なわけですね。
         もちろん、医療だって望むべくもなく、もしかしたら現代では知られていないウィルスなどが存在していたかもしれません。

         そんな諸々の危険の中に飛び込んで行くわけですから、ダンワージ教授の心配もごもっともなんですけれどね。
         しかし、計画は実行されてしまいました。
         すると……

         タイムトラベルは無事に果たされたようなのですが、キヴリンは最悪の体調で正気付きます。
         最初は、タイムトラベルにつき物の『タイム・ラグ』(時差ボケのようなもの)ではないかとも思ったのですが、どうも様子がおかしい。
         これは本格的に何かの病気にかかったとしか思えません。
         かなり酷い状態に陥り、意識も失ってしまうのですが、幸い近隣の住民に助けられ、その屋敷に運び込まれます。

         そもそも、考え得る限りの医療的な予防措置は施された上でのタイムトラベルだったというのに、一体どんな病気に感染したというのでしょうか?

         他方で、2054年の現代でも異変が起きています。
         タイムトラベルのオペレーターが突然高熱を発して意識を失い、倒れてしまうのです。
         救急病院に運ばれて検査したところ、どうやら伝染性の病気らしい。
         でも、彼はちゃんと定期的に予防接種を受けているというのに。

         直ちに隔離措置が執られ、潜伏期間内にオペレーターと接触した者も予防隔離されます。
         しかし、そのオペレーターの数日間の行動を追ってみるとこれが悲惨で。
         ちょうどクリスマス・シーズンだったこともあり、彼も人混みの中に出ていくわ、地下鉄に乗っているわ、パーティーに参加しているわで、接触した人間は数知れずです。
         案の定、次々に発症した者が病院に担ぎ込まれるようになってきます。
         ウィルスの同定がまだできていないのですが、どうやらアメリカのサウスカロライナ起源のインフルエンザではないかと疑われます。

         しかし……。
         そうではありませんでした。
         サウスカロライナ起源のインフルエンザウィルスでは起こり得ない患者の死亡が出てしまったのです。
         これは一体何の病気なんだ?
         タイムトラベル先で発症したイヴリンの病気と何か関係があるのでしょうか?

         しかし、あのタイムトラベルは現代から中世に送り込んだだけなので、理論的に中世のウィルスが現代にやってくるなどということはあり得ないのです。
         では、現代で今広がっているこの謎のウィルスをイヴリンが持って中世に送り込まれたというのでしょうか。
         もしそうなら、中世ではとんでもない流行になっているのでは?
         しかし、それも理論的に否定せざるを得ないのですが……。
         このタイムトラベルシステムでは、タイムトラベル先に存在し得ない物を持ち込もうとすると(それがウィルスであれ放射線であれ)、パラドックス自己回避のためにシステムが閉鎖してしまって、タイムトラベルできなくなるはずなのです。

         これは一体どういうことなのでしょう?
         という謎を残して上巻は終わります。
         ダンワージ教授は異変に対処するために大わらわなんですが、それを無視するかのように「トイレットペーパーの備蓄が足りません!」などというどうでも良い些末なことばかりガンガン持ち込んでくる大学職員や、ウルトラ過保護な大学生の母親の狂信的な執着、遺跡発掘しか頭にない同僚教授などなど、読んでいてイライラさせられるようなユーモラスな描写も交えつつ、混乱は深まっていくのでした。
         引き続き下巻を読んでレビューしますね。
        >> 続きを読む

        2019/05/24 by ef177

    • 1人が本棚登録しています
      ドゥームズデイ・ブック
      カテゴリー:小説、物語
      5.0
      いいね!
      • 【みんな死んでしまう!】
         中世にタイムトラベルしたキヴリンは、数日間意識朦朧とした状態でしたが、徐々に回復してきました。
         タイムトラベル前に施した対防疫細胞強化措置が効き始めたのでしょうか?

         一番の問題は、彼女がタイムトラベルしてきた場所(そこが現代に戻る回収ポイントになるのです)が分からないことなんです。
         彼女は、意識を失っている間に助けられてこの村に連れて来られました。
         なので、どこが回収ポイントなのか分からないのです。
         設定された日にちにそのポイントに行かなければ回収してもらえない!

         彼女を助けたという人に話を聞こうとするのですが、当時の風習から女性が男性に声をかけるなど御法度!
         何とか機会を見つけて場所を聞き出そうとするのですが、なかなかちゃんと答えてもらえません。
         このままでは現代に戻ることができなくなってしまう!

         一方、現代はというと、ウィルスの蔓延により街は隔離封鎖され、物資も滞るようになっています。
         女医のメアリは寝る間もなく対処に追われています。
         こんな状態だというのに、甥っ子のコリンがやって来ることになっていました。
         母親は再婚しようとする相手とクリスマスを過ごすからということで、メアリにコリンを押しつけてきたのですね。
         とんでもない母親だと思いながらも、既に交通機関も止まっているし、街は封鎖されているのだからこちらには来られないだろうと思ってはいたのですが……「コリン!何でここにいるの!」
         「封鎖をかいくぐるのなんて簡単だよ!」

         このコリンが最後まで活躍してくれます。
         彼は彼なりの悲しみを抱えているのに元気いっぱいで賢くて、なかなか使える男の子なんですよ。

         とにかく、何とかしてキヴリンを回収しなければ。
         ところが、市民団体はこの疫病の蔓延はオックスフォード大学がタイムトラベルを行ったせいだというあり得ない主張をし始め、デモを始めたのです。
         ケツの穴の小さいギルクリスト教授は、保身のため研究室を閉鎖してしまいました。
         今すぐにでもキヴリンをタイムトラベルした時のデータを検証しなければならないというのに!
         もちろん、ダンワージ教授は猛烈に抗議するのですが、「私が権限を持っているのだ」と言い張り自分が送り込んだキヴリンなどどうなっても構わないという態度なのです。

         この後、一部ネタバレになりますので、それは困るなぁという方はこの辺りでレビューを読むのをお休みしてください。
         そうそう、タイトルの意味を書いておきましょう。
         『ドゥームズデイ』とは、『最後の審判の日』という意味ですが、キヴリンは身体に口述記録ができるレコーダーを内蔵していて、その記録のことを『ドゥームズデイ・ブック』と呼ぶことにしたのです。
         この作品は、現代とキヴリンが送り込まれた中世世界の様子が交互に描写されるのですが、その間に、インターバルの様に、キヴリンが記録した『ドゥームズデイ・ブック』からの引用が挿入されています。

         なんだ、キヴリンの記録が回収されているということは、キヴリンは無事に現代に戻ってきたんだ……そう思うのは早計です。
         上巻のレビューでも書きましたが、ダンワージ教授の同僚の考古学教授がいましたよね。
         はい、モントーヤ教授です。
         彼女、発掘作業に夢中なのですが、何を発掘しているのかというと、キヴリンが送り込まれた時代の発掘なのですよ。
         そして、その遺物がまさに発見されたところなんですね。

         キヴリンは出発前に言いました。
         「私のレコーダー、メモリーは骨の形にしてもらったの。そして私がもし死んだら教会の墓地に埋めてもらうから、そこを掘ってくれたら私のメモリーを回収できるわ」って。
         ……だからこそ、モントーヤ教授(彼女もウィルスに感染したのですが比較的早期に回復しました)は必死になって発掘作業を続けているのです。
         もしかしてキヴリンの埋葬死体が見つかったとしたら……そこから回収された『ドゥームズデイ・ブック』の記録が挿入されているのだとしたら……キヴリンは……


         さて、ここから一部ネタバレになりますが、準備はよろしいでしょうか?
         キヴリンが送り込まれた時代は、想定された時代よりも遙かに後の時代だったのです!
         何故そんなことになってしまったのかはここでは書きませんが、送り込まれた時代は、まさにその地方でペストが大流行していたど真ん中だったのです!

         はい。
         当然のことながら、歴史通り、キヴリンが助けられた村(村人は全部で40人程度の小さな村です)でもペストが流行始めます。
         もちろん、当時の人々には適切な医学知識など皆無です。
         かろうじて『青患い』としてそんな病気が流行始めたらしいという話を聞きかじっている程度。
         
         キヴリンは、必死で村人達の救済に当たります。
         と、言ってもできることは何もありません。
         隔離して、火を焚いて、効果があるのかどうかは分かりませんがペストによりできた腫れ物を切開して膿を出し……。
         でも、人々は次々に倒れていきます。まだ幼い子供もいるというのに。
         彼女は、タイムトラベル前に施した医療的防御措置により、ペストには耐性があるはず……それを信じて。

         キヴリンが誤った時代に送り込まれたことを知ったダンワージ教授は、ギルクリスト教授の胸ぐらにつかみかかります。
         ギルクリスト教授は研究所を閉鎖する際に、ダンワージ教授によって再開させられないように電源をシャットダウンしてしまっていたのですね。
         そのため、キブリンを送り込んだ時代と地点を記録したフィックス・データが消失してしまったのです。
         「お前の無知のせいで!」激怒するダンワージ教授がふいに崩れ落ちました。
         ダンワージ教授もウィルスに感染してしまったのです。

         現代も惨憺たる状況になっています。
         コリンの母親のメアリ女医も、程なくして亡くなってしまいました(涙)。
         このままみんな死んでしまうのか?
         コリンは、意識の戻らないダンワージ教授に語りかけます。
         「大おばさん(メアリ女医です)から言われたんだ、教授を助けろって。キヴリンを助けに行くんでしょ!」

         大変読み応えのある作品でした。
         『犬は勘定に入れません』は、もっとユーモラスに描き上げていますが、こちらは(ちょっとイラっとする)ユーモアもあるものの、正統派という感じでしょうか。
         関心をお持ちになった方は、本作を先にお読みになることをお勧めします。
         どちらも長い作品ですが、良い作品ですよ。
         細かいことを言えば、作者自身が設定したタイムトラベルのルールをちょっと踏み外しちゃっている所もあるんですが、まぁ、それは細かい所で目くじらを立てるようなことではありません。
         作品全体の出来はとても良いと思いました。
        >> 続きを読む

        2019/05/24 by ef177

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    • 2人が本棚登録しています
      トータル・リコール
      カテゴリー:小説、物語
      5.0
      いいね!
      • 半世紀前に書かれた小説なのに、今読んで夢中になる短編ばかり。未来に希望を持っているわけじゃないけど、これからどうなるのか?
        とりあえず放射能は何とかしないとね。
        >> 続きを読む

        2018/02/19 by まさあき

    • 3人が本棚登録しています
      航路
      カテゴリー:小説、物語
      5.0
      いいね!
      • 【涙なしでは読めませんってば!】
         臨死体験を研究しているジョアンナとライトは、臨死状態の反応には、患者を蘇生させるためのサバイバル・メカニズムが隠されているのではないか、それは蘇生医療に役立つのではないかという見立てのもと、研究を進めているのですね。
         ジョアンナは、臨死体験をインタビューした記録の中からそのキーとなる共通項を探り出そうとしますし、ライトは脳のスキャンデータからどのような反応が見られるのかを探ろうとしています。

         しかし、二人の研究はなかなか進展せず、自分自身、臨死状態になって体験を続けているジョアンナも、もう少しでキーが見つかるというもどかしい思いにかられながらも、なかなかそれを見つけ出すことが出来ずにいます。

         この辺でもう書いてしまっても良いですよね。
         ジョアンナが、自分自身を臨死状態にした時に見たものというのは、タイタニックだったのです。
         あの沈没したタイタニック号です。
         暗い船の通路を進んでいくと突然まぶしいばかりの光に包まれ、徐々に目が慣れていくと、そこにはタイタニック号の旅客や船員の姿が見えたのです。

         最初、ライトは何を馬鹿なことをと一蹴します。
         それではまるで神や天使が見えて、「こっちの世界に来てはいけない」と言われたので蘇生したなどという、マンドレイクお得意の似非科学ストーリーと同じじゃないか!と。
         しかし、ジョアンナは間違いなくタイタニックだと言い張ります。
         でも、確かにジョアンナが臨死体験でタイタニック号の惨劇を見たなどということがバレたら、マンドレイクは狂喜乱舞するでしょうね~。
         余りにも分かりやすい、安っぽいイメージだし、マスコミ受けしそうですもん。

         二人は、研究を進めていく過程で、ジョアンナがタイタニックを見るというのは、ジョアンナ自身の長期記憶が蘇っているのではないかと考えるようになります。
         だから、それはジョアンナに固有のことであって、人によって見る景色が違うはずだと。
         ところが、ジョアンナは驚愕の事実に気付いてしまうのです。
         これまでに集めた臨死体験のインタビュー記録を丹念に精査してみると、表現の仕方は違うものの、いずれにも船を思わせるものや、水、階段(タイタニック号には大きな階段が設置されていました)など、結局タイタニックと解釈できるイメージがあると。
         つまり、みんな実はタイタニック号を見ているのだと。

         そんな馬鹿な!
         ジョアンナは必死になって、タイタニックではあり得ない物事をインタビューの中から見つけ出そうとします。
         そして、自分がタイタニックを見てしまうのは、高校時代の英語教師が授業でさかんにタイタニックの話をしたことが長期記憶として残っているからに違いないと考えるのですね。
         だから、自分が見ているイメージが、その英語教師の話してくれたことと合致すればやはりそれは自分固有の記憶に過ぎないと分かると考えたのです。

         ジョアンナは、出身高校に行って英語教師を探しますが、すでに退職しているということで容易にその所在が分かりません。
         そして、遂に英語教師を見つけたのですが……既に彼はアルツハイマー病にかかっており、満足な会話ができない状態になっていました。
         だから、退職したのか……。

         英語教師をかいがいしく世話している姪のキットのエピソードも泣けます(キットは後半で重要や役割を担うことになりますよ)。
         キットははかなげな美人さんで、叔父の世話で手一杯で煮詰まっているのが余りに可哀想なため、ジョアンナは『ディッシュ・ナイト』に招待するのですが、ヴィエルから、「あんな美人を呼んできてライトに引き合わせて、あんた馬鹿?」とあきれられます(笑)。

         手がかりがぶつぶつと切れていく中で、何とかキーを発見しようと打ち込むジョアンナとライトです。
         特に、ジョアンナは、マーシー総合病院に心臓病のために入院しているこまっしゃくれたメイジーという少女を助けるためにも何とか蘇生のメカニズムを発見したいという思いに囚われていました。

         メイジーは、何度も心停止状態に陥りながらも、その度に蘇生してきた女の子なのですが、そう長く保つはずもありません。
         既に顔は腫れ上がり、スズメのようにやせ細ってしまっています。
         それでも、メイジーはジョアンナが大好きで、ジョアンナが面会に来てくれると少しでも長くそばにいてもらおうと、様々な計略を凝らすような女の子だったのですね(すっごく賢くて、メイジーも重要な登場人物なのですよ)。
         メイジーだけは、絶対に助けなければ……。

         そして、弟二部のラストで驚愕の展開に!
         これはここでは絶対に書けませんので、是非ご自身でお読み下さい。
         私も、「嘘!」と絶句してしまいましたよ。

         ラストは、もう泣きましたね。
         何も言えません。
         この作品は、SFと言えばSFです。
         ジョアンナが臨死状態になり、タイタニックの中を彷徨うところの描写は、コニー・ウィリスのタイムマシン物で言えば過去にタイムトラベルしている描写と好一対と言えるでしょう。
         しかし、SFの枠を大きく踏み越えた、SFとだけでは捉えきれない作品になっています。
         ええ、SFが苦手という方にも、普通の小説として十分楽しむことができます。
         大絶賛、オススメできる素晴らしい作品です。
         あぁ、またコニー・ウィリスが好きになってしまいましたよ。

         そうそう、タイトルの意味の話を上巻のレビューで触れましたね。
         はっきりと書かれているわけではありませんが、原題の"PASSAGE"は、もしかしたらダブル・ミーニングになっているのかなと感じました。
         臨死状態になった時に多くの人が最初に見る、暗い通路、廊下のようなイメージ。
         これが一つの"PASSAGE"でしょう。
         もう一つの意味は、あの世とこの世をつなぐ通路というような意味かなぁと感じました。
         これを『航路』と訳したのが良いのかどうか分かりませんが、『航路』としたのは、ジョアンナが見たタイタニックというイメージもかけてのことなのかもしれませんが。
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        2019/08/29 by ef177

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      混沌(カオス)ホテル ザ・ベスト・オブ・コニー・ウィリス
      カテゴリー:小説、物語
      5.0
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      • 【ほぇ~ とっても楽しい!】
         女性SF作家のコニー・ウィリスの、ユーモア満点の楽しい短編集です。
         うひゃひゃと読めますよぉ。
         以下、いつものとおり、いくつかの収録作品をご紹介。

        ○ 混沌ホテル
         シュレディンガーの猫は、量子物理学的にはくそ狭い箱の中に閉じこめられているわけです(にゃー)。
         で、面倒くさいのでその辺りは量子物理学の本でも読んでもらえればとてもよろしいのですが、生きているか死んでいるか中途半端なままなんですっ!
         ここはハリウッドのどーしようもないホテル。
         このホテルで量子物理学学会が開かれるわけですが、フロントにいる『女優/モデル』とか言っているアルバイトの女の子がまたどうしようもなくって、一体いつ私の部屋に行き着けるの?
         ワーク・ショップも色々開かれているはずなのに、「ご予約がありません」/自称女優だかモデルだかのアルバイトが言い切ります!
         ハイゼンベルクの不確定性原理そのままなこの学会はどうなってしまうのか?

        ○ 女王様でも
         女性にとって、むっちゃうっとおしい(そうなのですか?)月経が無くなっている未来世界が舞台です。
         この世界では、ある処置をすることによって、女性は毎月のあのうっとおしい生理がなくなっています。それが一般的になっている世界。
         ところが、あるティーン・エイジャーが、何だろう? 新興宗教団体?みたいな、『サイクリスト』とかいうのにかぶれてしまったというお話。
         その団体では、生理は女性の自然のことであり、それを消すような措置は男性が優位に立ちたいがためのことにすぎないとか、何だかよく分からないほにゃららなことを主張して、女性達に対して、「生理を取り戻せ!」みたいな運動をしているわけです。
         今、また、うちの娘がサイクリストに入っちゃったんだけれど、女性側から見たら生理ってどういうことなの?
         みたいなお話。

        ○ まれびとこぞりて
         宇宙人、エイリアン、何とでも呼ぶがよろしい。
         そういうのが地球にやって来るってどういうイメージ?
         地球を侵略しに来た?
         友好を結ぶためにはるばるやってきた?
         探索のために、このとんでもなく辺鄙な地球まで来た?
         地球人の危機を救いにやって来た?
         で。実際に来ちゃったんです、宇宙人。
         でも、この宇宙人は、何をするわけでもなく、宇宙船からやっこらさと降り立ったままじっと立ち続けているだけなんですっ。
         地球側は、色々な接触を試みます。
         何だか分からない政治家がウェルカム・メッセージをかましてみたり、科学者が様々な方法でコミュニケーションを図ろうとしますが、なんだかその宇宙人の表情はとても不愉快な感じに見える~。
         でも、何をするわけでもなく、立ち続けているだけなんですってば!
         こいつら、一体?

         すっごく楽しい+けっこうイライラする(コニー・ウィリスの作品って、かなりそういう傾向ありますよね)ネタが満載の短編集です。
         例の、『オックスフォード大学史学部タイムトラベルシリーズ』を楽しめたた方ならお勧めっすの一冊です。
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        2019/08/08 by ef177

    • 1人が本棚登録しています
      ブラックアウト
      カテゴリー:小説、物語
      5.0
      いいね!
      • 【どうして助けに来てくれないの?……歴史を変えてしまった?】
         コニー・ウィリスの『オックスフォード大学史学部タイムトラベルシリーズ』第3作です。
         今回は第二次世界大戦まっただ中のロンドンへのタイムトラベルですよ~。

         このシリーズ、巻を追うに連れてどんどん設定が複雑化していきますね~。
         今回は、現代の年号は2060年。
         行き先は3つに分かれます。
         三人の史学生が、割と近い年代にそれぞれの研究テーマを持ってタイムトラベルするのです。
         ① 1939年のウォーリックシャーへ、戦時学童疎開の調査をテーマにメロピー(トラベル先での名前はアイリーン)がタイムトラベル。
         ② 1940年のソルトラム・オン・シーへ、ダンケルクの救出作戦調査をテーマにマイクル(トラベル先での名前はマイク)がタイムトラベル。
         ③ 1940年のロンドンへ、ポリーがロンドン大空襲時の一般市民の対応調査をテーマにポリー(トラベル先での名前もポリー)がタイムトラベル。

         それぞれ滞在場所も、滞在期間も異なるのでお互いが干渉し合わず、バラバラの調査になる予定で出かけたのです。
         ただ……、メロピーは大分前に出発してしまっているのですが、マイクルとポリーの出発時には相当な混乱があり、二人とも予定されていた出発日時を大幅に入れ替えさせられ、十分な準備が整わないまま出発してしまいました(次の回を待つこともできたのですが、そうすると大分先に出発を延期しなければならないため、早く出かけたい二人は準備不十分のまま行ってしまったのですね)。

         さて、ここで作者が設定しているタイムトラベルについて、少しだけ解説しておきましょう。
         タイムトラベルをする方法には2種類あります。リアルタイムとフラッシュタイム。
         リアルタイムは、文字通り、トラベル先で1か月過ごしたなら帰還した現代も1か月の時間が経過している(出発から1か月後の現代に戻る)という方法です。
         フラッシュタイムは、トラベル先でどれだけ滞在しようと、出発直後の現代に戻るという方法です。

         実は、この作品には、シリーズ第2作で大活躍したコリン(17歳の高校生になっています)が再登場するのですが、コリンは大学生のポリーにぞっこん惚れ込んでいます。
         猛烈にアタックするのですが、「歳が違うわ」と相手にされません。
         でも、コリンには考えがありました。ポリーがリアルタイムのタイムトラベル(つまり余計な加齢をしない)を何度かしている間に、自分がフラッシュタイムのタイムトラベルを何度かすれば(つまりトラベル先で長く過ごして加齢して今の時点に戻れば)年の差なんて無くなるというわけです(なるほど!)。

         だから、コリンはまだオックスフォード大学史学部に入学してもいないのに、前作で知り合ったダンワージ教授に執拗に頼み込んで、例外措置としてまたタイムトラベルさせてくれと食い下がっているのでした(あんまりしつこいので出禁にされちゃうんだけどね)。
         なんともコリンらしくてほほえましい!

         さて、タイムトラベルした三人がどうなっているかというと……
         あるお屋敷のメイドとして働き、そのお屋敷に疎開してくる子供達の面倒を見ているメロピーは、超悪ガキのホドビン姉弟に散々な目に遭わされています。
         「首締めたろうか!」と思うのもごもっともと感じられるほどのとんでもない極道姉弟です。
         その内、この悪ガキの弟がはしかにかかってしまい、疎開児童でごった返しているお屋敷は封鎖隔離されてしまいました。
         「え゛~! 帰還する時期になっているのに回収ポイントへ行けない!」

         こういう緊急事態のために、予定通りの帰還が妨げられている場合、現代から回収チームが派遣されて救出する手だてになっているのですが……いつまで経っても来ない!
         しかも、帰還予定時期を過ぎているとは言え存在しているはずの回収ポイントが作動しないのです!
         どうなってるの!
         月日は無駄に流れていきます。

         「そうだ!ポリーがロンドン大空襲の調査のために今頃ロンドンに来ているはずだわ。ポリーの回収ポイントを使わせてもらおう!」
         ということで、メロピーは、お屋敷が軍に接収されて疎開児童を親元に戻さなければならない事態になったこともあり、悪ガキ姉弟を親元に帰す時に付き添うということでポリーがいるはずのロンドンへ向かいます(あの悪ガキ姉弟と一緒に列車に乗るという超悪夢……)。

         マイクルは、予定していたトラベルポイントから大分離れた場所に出てしまいます。
         何とかダンケルクに行かなければ!
         地元のおじいちゃん(超軍事マニア!)のボロ船に乗せてもらいダンケルク救出作戦に自ら加わるハメに。
         そこで大活躍するのですが、足を負傷してしまい意識を失ったまま遠く離れた軍の病院に収容されてしまいます。
         そして、マイクルの回収ポイントの上には砲台が設置されてしまい使えなくなってしまいました。

         しかも、こちらもいつまで待っても回収チームがやってきません。
         もしかしたら、これは自分がダンケルクで本来死ななければならなかった兵士を助けてしまったから歴史を変えてしまったせいなのか?
         「この時代に誰か他に時航生は来ていなかったっけ?……ポリーがロンドンにいる!」

         ポリーは、予定通りロンドンに到着し、デパートの売り子になんとか潜り込みます。
         ところが、大空襲はすさまじく、ポリーの回収ポイントもどうやら機能しなくなっているようです。
         「何で動かないのよ~!」
         爆撃の中を逃げまどいながら、自分が非難する一般市民となり生き延びようとします。
         でも、こちらにも一向に回収チームはやって来ません。
         「そうだ! メロピーが児童疎開のために来ているはず! メロピーの回収ポイントを使わせてもらおう」と、仕事を抜け出してウォーリックシャーに向かうポリーでした(おいおい、すれ違っちゃうぞ~)。

         このシリーズに共通するのですが、とにかく読者はイライラさせられるのです。
         悪ガキ姉弟のやることなす事にイライラし、「だからそっちじゃなくて~!」と、登場人物の行動にイライラし、一体どうなってるんだ?とプロットにイライラし。
         イライラしながら自然とページをめくってしまうのです。
         この本、ハヤカワの『新SFシリーズ』(あの縦長のサイズの本です)なのですが、通常の2冊分はあろうかという厚さです(上下2段組で750ページ超)。
         でも、ページ数の割には思ったより早く読了できてしまったのも、このイライラ感のせいかもしれませんね~。

         で、読了してどうだったかというと……解決してないじゃん……え? あれ?
         続編『オール・クリア』に続くだってぇ~!!
         早速図書館にリクエストを出しました(『オール・クリア』は上下2巻組だよぉ……先は長い)。

         あ。ちなみに、『ブラックアウト』とは灯火管制の意味で、『オール・クリア』とは空襲警報が解除された意味なんですよ~。
         さて、また読まなきゃ!

         おっと、もうひとつ。
         この『オックスフォード大学史学部タイムトラベルシリーズ』を読んでみようかなと思うあなたのために(いや、面白いですから是非読んでください)、読むべき正しい順番を書いておきましょう。
         ① ドゥームズデイ・ブック(上下です)
         ② 犬は勘定に入れません
         ③ ブラックアウト
         ④ オール・クリア(上下のようです)
         是非この順番でお読みください。途中から読むと何のことだかよく分からず、やたら難しく感じたり(私の場合がそうでした)、共通して出てくる登場人物がワケワカになっちゃいますから。
        >> 続きを読む

        2019/05/31 by ef177

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      オール・クリア
      カテゴリー:小説、物語
      5.0
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      • 【あぁ、またまたすれ違い!】
         『ブラックアウト』の続編です。
         『ブラックアウト』については、既にレビュー済みですが、そちらをご覧頂くとお分かりのとおり、結構複雑なプロットになっています。
         ということで、まずは簡単なおさらいから。

         2060年にはタイムトラベルは実用化されており、オックスフォード大学史学部でも、歴史研究のため、史学部の学生を過去に送り出していました。
         今回問題となるのは、第二次世界大戦中のイギリスにタイムトラベルした学生3人です。
         彼らは、それぞれ異なるテーマを持っていたため、お互いに無関係に、時期も場所も異なる地点へタイムトラベルしたのですが、どうしたわけか、帰還予定日になっても回収ポイントが開かないのです。
         3人がイギリスにいるということはお互いに知っていましたので、これは他の学生の回収ポイントを使わせてもらうしかないと考え、それぞれが、別の学生のいる街に向かいます。
         ところが、他の学生の回収ポイントも使えないという事が判明し、結局、3人はロンドンで出会ったというのが前作『ブラックアウト』の簡単な粗筋です。

         さて、この様に何らかの原因から回収ポイントが機能しなくなった時のために、それを察知した2060年からは回収チームが派遣され、学生達を回収する手はずになっていました。
         ところが……いつまで待っても回収チームはやってこないのです。
         3人は、回収ポイントが使えないため、本来ならやらなければならない定時報告もしておらず、当然2060年側は異常を察知しているはずです。

         3人は何とかして自分たちの居場所や連絡先を知らせようと考え、2060年の誰かが古い新聞を見て気づくことを期待して新聞に3行広告を出してみたり、あるいは、もしかしたら既に回収チームはやってきているのだけれどなかなか見つけられずにいるかもしれないと考え、これまで3人がいた場所に色々な手がかりを残したりしているのですが、今のところ全く効果なしです。

         さて、ここで非常に困った問題がありました。
         3人のうちの一人、ポリーは、以前、この時代のロンドンにやって来たことがあったのです。
         と、言っても全く同じ時代に行くことはできないので、ポリーが以前やって来たのは1941年5月の戦勝記念日前後でした。
         タイムトラベルの掟として、同じ人間が同じ時間に同時に存在することは不可能であり、もしその様なことをした場合には、その人間は消滅すると考えられていました。
         今は、1940年12月ですから、ポリーに残された時間はあと5か月余り。
         それがポリーのデッドラインなのです。

         5か月もあれば、さすがに何とか帰還できるのではないかとも思えますが、さにあらず。
         実は、どうやらタイムトラベル・システムに異常が発生しているようなのです。
         2060年の側から、ある時代にタイムトラベルした場合、本来は狙った時点にピン・ポイントに行けるはずなのですが、どうしたわけか数ヶ月の誤差が生じているようなのです。
         しかも、日本のとあるタイムトラベル学者によれば、タイムトラベルを繰り返しているとその誤差は増大し、その内に年単位の誤差が生ずるであろうと言うのです。
         もしその学説通りに年単位の誤差が生ずるとしたら、3人を救出するために回収チームを派遣していたとしても、そのチームはポリーのデッドラインより後に到着してしまっているかもしれず、そうだとしたら……。

         大体、これはタイムトラベルの世界です。
         ですから、送り出す側としては、タイムトラベル先で異常が発生していることをいつ知ったとしても、救出可能な時点を選んで回収チームを送り出せるはずです(誤差さえ生じていなければ、ですが)。
         ですから、大きな誤差が生じていないのだとしたら、当然もっと早く回収チームが現れているはずじゃありませんか。
         誤差があったとしても、それを考慮して再度送り出せば何とかデッドライン前に来ることも可能に思われます。
         ところが、全くやってこないということは……。

         いや、3人がいる時代は、ロンドン大空襲のど真ん中で、全てが大混乱し、交通機関もかろうじて動いているような状態ですから、既に回収チームはやってきているけれど、なかなか3人にたどり着けないでいるだけなのかもしれません。
         あるいは、最悪、回収チームは爆撃にやられてしまったのかも……。

         さらに、3人には不安がありました。
         それは、タイムトラベル先で、人命を助けてしまったりしたことがあるのです。
         その人は、本来その時に亡くなっていなければならない人だったとしたら、歴史を変えてしまったかもしれません。
         その影響で誤差が生じているのかもしれないのです。

         そんな不安を抱えながらも、3人は考えられる手段をあれこれ試してみます。
         この時代に、他に来ている学生はいなかったか? いるのならその学生の回収ポイントを使うことはできないか?
         そんなことを考えて右往左往するのですが、タッチの差で追いつけなかったり、あるいは全くの勘違いだったりで、非常に気を揉ませます。

         そして、そして、『ブラックアウト』に登場した、超悪ガキのホドビン姉弟もまたまた登場しちゃいます。
         ホドビン姉弟は、「あいつらは絶対ろくな死に方をしない」とか「この2人をドイツに送り込んでヒトラーの気を狂わせられたらいいのに」と周囲の人達に罵られるようなとんでもない悪ガキなのです。
         大体、この姉弟が出てくるとまともに運びそうな事でも完全にこじれまくってしまいます。
         とは言え、既に大混乱に陥っているロンドンですから、そんな中で何かをしようとする場合には(それが姉弟にとって興味のあることであれば)役に立つ(場合もある)とは言えるかもしれませんが(苦笑)。

         ということで、続編に入ってもなお帰還の目処が立たない3人。
         迫り来るポリーのデッドライン。
         そして、詳しくは書けませんが、2060年側も異常を察知していて、ダンワージー教授自ら救出に乗り込んだのですが……。

         待て! 第2巻!
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        2019/06/09 by ef177

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      Nova 書き下ろし日本SFコレクション
      カテゴリー:小説、物語
      2.0
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      • さまざまな作家さんが書かれた、いろいろなタイプのSF短編を集めた短編集。

        SFに疎い私は、ほとんど著者を知らなかったんですが、虐殺器官の伊藤計劃先生の遺作が入っているということで、手に取ってみました。

        SFってっこんなに多種多様なんだ!?とSF初心者の私は非常に驚かされました。

        イメージ通りの小難しいものもあれば、SFらしさを根底に、非常にライトに書かれた恋愛ものなども混ざっています。
        文庫本なのに見開きブチ抜きで文字が縦横無尽に波形に書きつづられた時はどうしようかと思いました。

        期待していた伊藤計劃先生の遺作は未完でしたが、近未来を舞台にした設定は非常に面白く、続きが読めないのを心底残念に思います。

        普段あまり読まないジャンルだけに、こうしてさまざまな文体の作品を集めてもらえ、目を通したことで、私の中のSFへの敷居はぐっと下がった気がします。

        この短編集の続編もたくさん出ているようなので、年に1本くらいのペースでのんびりSFを味わっていきたいと思います。
        >> 続きを読む

        2014/05/22 by オオスカシ

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      最後のウィネベーゴ
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
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      • 【いらいらいら……にやにや】
         コニー・ウィリスのSF短編集です。
         彼女の作品の特色の一つとして、タイム・トラベル物をよく書いているということと、かなりイライラさせられる物語展開という点が挙げられるのではないかと思います。
         後者についてはちょっと説明が必要かもしれません。
         コニー・ウィリスの書く『いらいら』というのは、例えば登場人物が目的の人や場所となかなか出会えずもどかしい思いをする設定や、登場人物の中にとてもイライラさせるキャラが出てきて、その者が引き起こすトラブルに本当にイライラさせられるという設定のことです。

         読んでいる時には、この『いらいら』感がうっとおしく感じたりもするのですが、それがまた彼女一流のユーモアにもなっていて、最終的にはそれが楽しくなったりもしてしまいます。
         本書に収められている作品の中にも、彼女のそんな特色がよく現れている作品が収録されています。
         それでは、いつものとおり収録作品をご紹介。

        ○ 女王様でも
         この作品は、既にレビューさせていただいた『混沌ホテル』という短編集にも収録されており、そちらの方でご紹介済みですので今回は省略させていただきます。
         何でも、SF史上初の『月経』短編ということらしいですよ。

        ○ タイムアウト
         はい、特色の一つであるタイム・トラベル物です。
         ですが、この作品のタイム・トラベルはちょっと変わっています。
         その基礎理論は、時間というものは『現在子』と呼ばれる仮想的な粒子に分割可能で、これが入れ替わったりすることによりタイム・トラベルも可能になるという、作中の博士の理論をもとにしています。
         で、その実験をしようとするのですが、そのためには被験者に相当のストレス負荷をかけることが必要になるということで、その負荷をどのようにかけるかというところに作品のミソがあります。
         そんな実験が行われている場所は、とある学校の狭苦しい音楽室で、作品に登場する様々な女性は夫婦生活に飽きが来ており、「ねぇねぇ○○の奥さんったら駆け落ちしたんだって!」みたいな噂が蔓延していたりもします。
         あるいは、子供達の間に水疱瘡が大流行してイライラみたいな展開にもなってきます。
         なかなかユーモラスな味付けですよ。

        ○ スパイス・ポグロム
         異星人が大挙して地球にやって来たというお話。
         日本の(未来の)銀座がモデルになっているスペース・コロニーが舞台なのですが、ここに異星人がやって来るや、その見物人等々によりコロニーが超人口過密状態に陥るという設定です。
         主人公の女性が住むアパートの部屋がNASAにより接収され、そこに異星人の一人が同居することになるのですが、その異星人は何だか知らないのですが、買い物ばかりしている爆買い異星人なのです!
         それも巨大なピアノとかグロス単位で大量の品物などをどんどん買いまくるため、アパートはもう満杯状態。
         また、そのアパートの大家がやり手で、階段から廊下から分割して賃貸しまくるので建物には人があふれているという極限状態になっています。
         主人公のフィアンセは政府機関の人間なのですが、異星人との交渉を上手く運ぶために、家にやって来た異星人には何でも好きなことをさせろと無責任なことを言います。
         もうイライラマックス状態になるのですね。
         大変楽しい、恋愛コメディタッチの作品です。

        ○ 最後のウィネベーゴ
         ウィネベーゴというのは、巨大なキャンピング・カーの車種です。
         この時代、キャンピング・カーの乗り入れ規制をする州が続出し、キャンピング・カーは絶滅寸前です。
         というのは、現在のアメリカにもリタイアした夫婦などが家を捨ててキャンピング・カーに乗り込み、勝手気ままにあちこちの土地に行って放浪生活を送るというライフ・スタイルが結構多くなっていて、そんな彼らは巨大キャンピング・カーでのろのろ走るため交通は渋滞するは、あちこちの土地に勝手に入り込むわで大迷惑だったりもするのですね。
         で、この物語ではそういうのは禁止ということになっている未来世界なのです。
         もう一つ、この世界では犬が絶滅しています。
         そのため動物愛護も徹底しており、車で動物をひき殺してしまったら厳罰に処せられますし、そういう動物を見かけたなら通報しなければならず、通報を怠っても罰せられるという世界なのです。
         主人公のフォト・ジャーナリストは、『最後のウィネベーゴ』というふれこみで、自分たちのキャンピング・カーを見せ物にしている老夫婦を取材するために車を走らせていたところ、道路上で轢かれたジャッカルの死体を発見するのですね。
         通報しないと面倒なことになるため、匿名で通報だけは済ませました。
         ところが、たちまち主人公が通報したことが当局にばれてしまい、お前が轢いたのではないか?という疑惑をかけられることになります。
         ちょっと嫌~な未来社会と、犬が絶滅しているという悲しい現実が描かれ、哀愁漂う作品になっています。

        ○ からさわぎ
         世の中には様々な団体があり、時にはそれらの団体はクレーマーになったりもします。
         本作は、そんなところを痛烈に皮肉った作品です。
         学校でシェークスピアを教えることになったのですが、シェークスピアの各作品には既に様々な団体からクレームがつけられており、満足に取り上げることができなくなっています。
         例えば、『お気に召すまま』については、オーランドが木の幹にロザリンドの名前を刻みつけるという場面があるため、そこに対して『環境に対する破壊的態度』だとしてクレームがつけられていたり、あるいは『ハムレット』の「尼寺へ行け!」という台詞に対しては、『尼僧ネットワーク』なる団体から抗議が寄せられていたりするという具合です。
         また、生徒の側にも授業に対する拒否権が与えられており、シェークスピアの授業をやるよというアナウンスに対して山のような拒絶意見が寄せられたりもしました。
         しかし、例えば『孔雀』(ピーコック)という言葉に対して、どんな「コック」を思い浮かべたのか知りませんが拒絶意見がついていたり、もう滅茶苦茶です。
         もうやってらんないよ~、という一作。

         コニー・ウィリスは、様々な賞を大量に受賞しているだけあって大変上手い作家さんだと思います。
         彼女の作品は、これまでに何作も読んできましたが、ハマると本当にハマります。
         お勧めの作家さんですよ。
        >> 続きを読む

        2019/09/20 by ef177

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      てのひらの宇宙 星雲賞短編SF傑作選
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      •  星雲賞日本短編部門の歴史をたどれる11編。
         まさしく手のひらに宇宙を手にした感じ。

         星雲賞と聞いてパッと頭をよぎるのは、J.P.ホーガン『星を継ぐもの』と伊藤計劃『ハーモニー』です。この2冊は私的殿堂入りリストに入っておりますので、やっぱり星雲賞受賞作は間違いないです
         本作は日本短編部門のアンソロジーです。「どうせなら全部収録して欲しい……!」というのが読者の欲ですが、ページ数の問題とかがあるようでして……。でも、こうしてまとめて出してくれるだけでも編者の方には感謝です。

         では少し感想を。

         荒巻義雄「白壁の文字は夕日に映える」
         古い作品ですが収録作の中で一番好きです。
         タイトルからして牧歌的な作品なのかな、とお気楽に構えていたら、どっこい不穏な雰囲気満点の精神医学モノでした。
         知能だとか、精神だとかの領域にはまだまだ未知の世界がたくさんあって、そこにはどこか得体のしれなさを感じてしまう。一転、それが小説に取り込まれるとホラーテイストな良い雰囲気となります。
         読後には夕日に映える白壁の情景が印象に刻まれます。

         草上仁「ダイエットの方程式」
         短編はこうでなくっちゃ、というシンプルで面白い作品です。どことなく星新一っぽいのは、良い短編だからでしょうか。
         元ネタは未読ですが、SFしかりミステリーしかり、過去のアイデアに挑戦する試みは、とても好きです。

         最近SF短編ばかり読んでいます。まぁ、面白いし読みやすいしなんですが。
        >> 続きを読む

        2014/11/04 by あさ・くら

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【大森望】(オオモリノゾミ) | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト(著者,作家,作者)

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