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企業のあり方についてとても考えさせられる本だった。「会社は経営者や株主のものではなく、従業員やその家族、顧客や地域社会などのその企業に直接かかわるすべての人のもの」という考え方は、企業のあり方として極めて重要だ。企業は、株主に利益をもたらすための道具ではない。人々が生きていくための仕事であり、利害関係者に新たな価値をもたらすものであるべきだ。「社員とその家族を第一に考えるべき」という著者の主張もその通りだと思う。 従業員を大切にするということの意味は、企業の社会的な役割であるからということだけに留まらない。従業員や他の利害関係者を大切にする姿勢が評価されて、キャピタルゲインではなく長期保有を目的とした、真に企業を支援してくれる投資家がつく可能性もある。また、顧客のニーズ、ウォンツに対応するのは社員だから、大事にしなければならないというのも理解できる。顧客は自分たちが必要なものを知らないことも多いから、それを生み出す従業員が大切だ。「五人に対する使命と責任」の中の「顧客を幸せにする」ことと「地域社会を幸せにし、活性化させる」という点については大いに参考になった。顧客の幸せについては、杉山フルーツの事例が特に印象的だった。顧客の要望にできるだけ応えようとし、コンシェルジュのように何でもこなしていく姿勢は、まさに顧客重視の考え方によるものだろう。大企業にはできないフットワークの軽さや、地域密着型の共生ともいえる経営は中小企業ならではのものだ。企業が地域社会の幸せを目的とする以上、その中にいる社員も地域社会のために働く姿勢を求められる。私の仕事が地域にどういった影響を与えるのか、私と関わる企業が地域でどういった立場にあるのかを意識しながら働いていこうと考えさせられた。企業が誰かのためにある以上、起業を存続させることが何よりも重要である。しかし、経営者あるいは企業の内部にいると、目先のことに囚われがちになることも事実。生き残りをかけて迷走してしまうことも珍しくない。 中小企業は大企業に比べて経営資源が限られるため、幅広く機能・サービスを網羅することは難しい。大量に販売できる企業の方がコストは下がるし、品揃えの点でも大企業の方が有利だからだ。そこで、「ニッチ戦略」・「集中戦略」というような市場と顧客を絞り込む方法、あるいは「ブルーオーシャン戦略」のような敵のいない市場を創造する方法が重要となる。杉山フルーツの贈答品への集中は、高い利益率が期待できる良い策だった。確かに単価が高くなるために販売量は減るかもしれないが、杉山フルーツはコンシェルジュサービスのような手間と工夫で乗り越えた。やはり経営はやり方次第なのだと思う。中小企業の強みは、企業と顧客が互いに顔を見ることできる点にある。それによって生まれる信頼関係が、「他の起業ではなくその会社に頼みたい」ということにつながる。つまり、中小企業は周りとの人間関係が重要だ。それが良好だったからこそ、著者が「大切にしたい」と思えるような企業になったのだろう。だから、取り上げられた企業がすばらしいことは疑いないし、上記のような著者の考えにも共感できる。しかし、やや感情的になったのか、全面的に賛成とは言えない箇所もいくつかあった。たとえば、「障害者雇用達成率が低い理由が、私にはわからないのです」、「どうして大手企業でできないのでしょうか」という記述。障害者を雇用することは立派な事だし、社会として必要なことだ。しかし、雇用しないこと=悪というわけではないと思う。企業にはそれぞれに個別の社会的役割があるため、障害者を雇用する企業が必要である一方、業績を拡大して法人税をたくさん納める企業もまた必要だ。そして、後者の企業が「このお金を障害者支援に充ててください」と納付金を払っているのであれば、問題はないと思う。障害者の求人倍率は確かに低いが、就労問題を抱えるのは健常者も同じことである。次に、「私は、企業経営に関しての問題の九九・九パーセントは内、つまり会社の内部にあると考えています」と、「五つの言い訳」について。企業で問題が起きたとき、「それに対応しきれなかった」と言って、企業内部に原因を求めるのは立派な考え方だとは思う。しかし、実際問題として外部環境に翻弄されることはありうる。ロケーションがよくなくともうまくいった事例として中村ブレイスや杉山フルーツを挙げているが、それらは特殊な業態であったからだと思う。「ならば特殊な業態をとればいい」という意見があるかもしれない。しかし、果物店なら、贈答品ではない家庭用の商品を扱う店も必要であり、そういった業態ではやはり立地は重要となる。著者は「消費者だからこそ、できることがあるのです」と述べているが、逆に言えば「消費者に振り回される」ということもまたある。実際、食品偽装の問題などは、消費者が「食の安全」に対価を支払わず、ひたすら安さを追い求めた結果だという見方もある。企業の内部と外部というのはコインの表と裏のようなもので、密接に関わりあっている。したがって、経営環境のせいだけにすることが問題であるのと同様に、企業内部だけを見るのもまた問題である。3つ目。「景気は与えられるものではなく、創るものです。お客様が喉から手が出るほどほしい商品を創り、提案すればいいのです」とても理想的な考え方だが、現実とかけ離れている。言うは易し。最後に、「自動車とか、「テレビが見られるケータイ」などは、お金がなければ我慢します。(中略)弱者のための物づくり産業が日本には必要なのです」。自動車は、買い物弱者と言われるような人々にとっては生活の上での必需品だ。テレビが見られるケータイも、それが唯一の娯楽になっている人がいるかもしれない。何が誰を助けるのかは人それぞれなのだから、医療・福祉以外の産業が必要のないもののように捉えるのは問題がある。どの産業が必要なのかを考えるのではなく、それぞれの会社の事業の中で、誰のためになっているかを意識することが重要だと思う。他にも「右折禁止」の本末転倒ルールとか、年中無休の称賛とか、感情的な個所は多い。ちょっと熱すぎて、宗教的というか、冷静に見れていないと感じることも。ベストプラクティスとしてはいい本。人や企業のあり方を哲学するには、著者の考えを鵜呑みにするのではなく、自ら考えることが必要。 >> 続きを読む
2017/04/25 by しでのん
「日本でいちばん大切にしたい会社」シリーズ3冊目。当初から企業のあり方はこういうことだと、ぶれないでいるのが気持ちがいい。「人を大切にする、人のしあわせを念じた経営をすれば、景気の好不況は関係ない」確かにそうなんだと思う。業績がどうとかではなく、人がどうしてるに目を向けないといけない。 >> 続きを読む
2014/09/20 by willow
「日本でいちばん大切にしたい会社」から読みたくなった本。一貫して企業経営とは5人に対する使命と責任を果たすための活動とぶれないのが気持ちいい。さらに深掘りして「価値ある企業」とはを考えさせられた。「目に見える」数字等ばかり重要視する会社ではなく、「目に見えない企業資源」を大切にする会社。紹介されてる会社はいずれもそのことは大切にしていて、価値ある企業とはこういうことなんだなぁと思う。 >> 続きを読む
2014/11/01 by willow
「日本でいちばん大切にしたい会社」続編。会社がほんとうに大事にしなければならいこと、企業経営とはこういうことだ教えてくれる。紹介している会社全てそのことができていて、羨ましくも思う。機会があれば行ってみたいと思う。 >> 続きを読む
この本の名言をご紹介します。***「なくてはならない人」になる。それが、「力」をつけることだ。 >> 続きを読む
2013/10/02 by 本の名言
【坂本光司】(サカモトコウジ) | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト(著者,作家,作者)
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