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日暮雅通

著者情報
著者名:日暮雅通
ひぐらしまさみち
ヒグラシマサミチ
生年~没年:1954~

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このランキングは1日1回更新されます。
      ジェイクをさがして
      カテゴリー:小説、物語
      3.5
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      • 【多才な作風満載のかなりひねった短編集】
         チャイナ・ミエヴィルと言えば、ローカス賞、ヒューゴ賞、クラーク賞(これは3回も受賞するという快挙だそうです)といったSFの賞を多数受賞していることから、SF作家というくくりに入れられている作家ということになると思いますが、その作風はかなり幅広く、本書に収められている作品も、SFというよりもホラー、あるいは幻想文学と言った方がしっくりくると感じられるものも多くみられます。

         また、長編の『都市と都市』という作品では、隣接しているのに基本的に没交渉でいる2つの都市というとんでもないアイディアが使われた作品なのですが、都市や道路にも関心が深いのか、そういうテーマで書かれた作品も収録されています。
         それでは、収録作品からいくつかご紹介。

        ○ ロンドンにおける“ある出来事”の報告
         他の都市にある道路が突然別の都市に出現するという奇妙なテーマの作品です。
         いきなり道路が出現したりすれば人々は当然気がつくはずなのですが、どういうわけか(若干不信感を覚える人はいても)はっきりとそのことに気付く人がほとんどいないというのです。
         しかも、その道路はしばらくするとまた消えてしまうと言います。
         本作は、そういう道路の出現、消滅に気付いた一部の人たちによる組織の活動が秘密めかして描かれます。

        ○ 使い魔
         これはホラーですね~。
         ある魔法使いは、自分の使い魔を召還したのですが、これがどうにも不快な奴で、どうにも手に負えなくなってしまいます。
         一時は、この使い魔をして自分の力を増大させることも考えたのですが、あまりにも醜悪であるためとても耐えられそうにもありません。
         仕方なく、魔法使いはこの使い魔を水中深く投げ込んで始末しようとします。
         しかし、使い魔はそう簡単には死にはしなかったのです。
         淀んだ水中にいる様々な物を学習し、自らの身体に取り込み、どんどん成長していくではありませんか。

        ○ 仲介業
         主人公は、買ってきたパンやチョコレートの中に、ある時にはチューブ状の物が、ある時には弾丸状の物が仕込まれていることに気付きます。
         それらの仕込まれた物には「どこどこへこれを至急置いてこい」という指示が書かれているのです。
         何のことかさっぱり分からないのですが、とにかく指示どおりにしていました。
         しかし何とも気持ちが悪いのです。
         こんな物を仕込んでいる奴は、何故自分が買おうとする物が分かるのか?
         主人公は、敢えていつもとは違う商品を買ってみたり、普段は買わないような物を買ってみたりもするのですが、入っている時にはやはり入っているのです。
         主人公は、段々疑心暗鬼になっていきます。
         自分が指示に従って届けている物は、もしかしたら世界的な陰謀や暗殺、テロなどに関わっているのではないだろうか?(そう言えばそういうニュースが起きています)
         あるいは、それは正義のために必要なことなのだろうか?
         一体どっちなんだ?

        ○ 鏡
         人間とヴァンパイアとの戦いがテーマです。
         ヴァンパイア達は、長い年月の間、人間によって黒曜石や鏡の中などに閉じこめられていたというのです。
         鏡に人間が映ったりすると、その中の世界にいるヴァンパイアも人間と同じポーズを強制的に取らなければならなくなり、非常に屈辱的だと考えていました。
         でも、遂にヴァンパイア達の積年の恨みを晴らす時がやってきたのです。
         ヴァンパイア達は、鏡の中の世界から抜け出して、人間がいる側の世界に行けることに気付いたのですね。
         かくして、ヴァンパイア達は大挙して人間世界に侵入してきました。
         その際、鏡に映った人間の姿を乗っ取ってやって来るので、傍目には人間と全く変わらない外見なのです。
         戦争は激化し、世界は荒廃していきます。
         そして、今ここに、この戦いに終止符を打つ者が現れたのです。

         ご紹介したとおり、ちょっとSFという感じではない作品がありますよね。
         その作風はヴァリエーションに富んでおり、非常に多彩なのですが、どの作品もどこか不安定というかちょっと他にはない異常さが漂っており、それが持ち味になっているとも感じられます。
         とにかく一筋縄ではいかない作品と言えるのではないでしょうか。
         ちょっと変わった幻想味のある、あるいはホラータッチの作品を読んでみたいという時にはお勧めできる作品です。
        >> 続きを読む

        2020/02/13 by ef177

    • 他1人がレビュー登録、 3人が本棚登録しています
      都市と都市
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
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      • 【意表を突く舞台設定!】
         本書の舞台は2つの都市国家です。
         ほとんど同じ場所に存在する「ベジェル」と「ウル・コーマ」という都市国家なのですが、両者は厳密に区分されています。
         一方の都市から他方の都市の景観や人々は当然見えるのですが、お互いに「見なかった」ことにします。
         凝視したり声を掛けたりなどもってのほか。
         そんなことをすると「ブリーチ」(境界侵犯?)とされ、この違反と同名の「ブリーチ」という強大な組織が風の様に現れ、ブリーチ違反をした者を連れ去ってしまいます。
         不自然極まりない状態なのですが、それでも二つの都市国家は折り合いをつけて存続し続けているのです。

         こんな舞台設定なのですが、ベジェル側である女性の死体が発見されます。
         ベジェル側の警察が捜査に乗り出すのですが、どうやらこの女性はウル・コーマ側で殺され、その死体がベジェルに持ち込まれたことが分かります。
         仮にベジェルの人間が、ウル・コーマ側に入り込んで殺人を犯し、その死体をベジェル側に持ち込んだらもちろん「ブリーチ」ですし、その逆に、ウル・コーマで殺人を犯した者がその死体をベジェル側に持ち込んでも「ブリーチ」です。

         このような場合、両国の代表から構成される監視委員会の決定を経て、事件の解決は組織としてのブリーチに委ねられるのが通常です。
         この件も当然そうなると思われていたところ、何と、監視委員会はブリーチに解決を委ねることを拒否します(拒否権はもっているんですね)。
         仕方なく、捜査が先行していたベジェル側の捜査官がウル・コーマに派遣されることになるのですが……。

         基本的な筋書きは犯罪捜査物になっているのですが、何よりもこの奇妙奇天烈な舞台設定が強烈です。
         しかも、事件の捜査が進むに連れて、ベジェルにもウル・コーマにも属さない第三の秘密都市オルツィニーが存在するという話が浮かび上がってくるではないですか。
         それは都市伝説だとも言われているのですが、果たして?

         ベジェルとウル・コーマは、ほとんど同じ場所に存在すると書きました。
         厳密に区分されているにもかかわらず、その境界は入り組んでおり、とある場所は「クロスハッチ」(概念の説明無くいきなりそういう言葉が使われるので分かりにくいのですが、おそらく両都市国家で共有されている場所という意味ではないかと)されている場所もあれば、両都市国家共、自己の領地であると主張できない「紛争地区」も存在します。
         この度肝を抜く舞台設定だけでもものすごい作品だと思いました。
        >> 続きを読む

        2019/08/15 by ef177

      • コメント 2件
    • 他1人がレビュー登録、 7人が本棚登録しています
      クラーケン
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      • ミエヴィルの『都市と都市』がドラマ化すると聞いて、未読のミエヴィル作品に手を出しました。
        舞台はロンドン、SFっていうかファンタジー?魔術師がわんさか出てきます。ミエヴィルはSF作家のイメージが強かったので、ちょっと意外でした。
        しかし魔術といえばロンドンですよね。9と3/4番線ホームだってある街ですもんね。カルトだとか明らかにヤバい悪役とか、ライトノベル感が悪くないです。ちょくちょく出てくるテレビドラマは、注釈がなければ全然しらないものばかりですが。

        とりあえず下巻も読まないと結論は出せませんが、楽しみにしています。
        >> 続きを読む

        2015/09/21 by ワルツ

    • 3人が本棚登録しています
      クラーケン
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      • 下巻読み終わりました。
        登場人物は多いしごちゃごちゃしているしでどうなるかと思いましたが、面白かったです。ミエヴィルは盛り上げるのがうまいイメージです。

        イギリスのテレビドラマとかスタートレックとかのネタが随所にちりばめられているようなので、そういうの知っていたらもっと面白いんでしょうね。西尾維新とかがジョジョネタちりばめるのと同じノリなんでしょうか。文中に注釈をつけてくれているので、ネタ元はわかるのですが、訳した人すごいなぁと思います。スラングも多いのに…

        ちなみにカバー裏に著者近影が記載されているのですが、コワモテな感じなので、デインがこんなイメージです。映画化とか、してくれたら、絶対に観に行くけれど、してほしくないような気もします。
        ごちゃっとした感じが魅力のひとつでした。ライトノベル的な設定やら疾走感やら、ミエヴィルってこんなのも書くのか、という意外な面を知った気分です。他のも読んでみなくては。
        >> 続きを読む

        2015/10/03 by ワルツ

    • 2人が本棚登録しています
      最初の刑事 ウィッチャー警部とロード・ヒル・ハウス殺人事件
      カテゴリー:社会病理
      5.0
      いいね!

      • のどかで美しい英国の田園地帯にたたずむカントリーハウス。

        富裕層の富と権力の象徴であったこの田舎の大邸宅は、ジェイン・オースティンの「高慢と偏見」をはじめ、いくつもの古典文学の舞台として愛用され、多くの読者を魅了してきたと思う。

        と同時に、シャーロック・ホームズやエルキュール・ポアロといった名探偵が、鮮やかな推理を披露する場として、世界中のミステリ・ファンに親しまれてきましたね。

        幸福な外見の裏に、数多くの秘密を抱えた"善良"な一族、怪しげな使用人、一族に反感を抱く地元民、無能かつ尊大な田舎の警察官、そして奇矯な振る舞いとは裏腹に、鋭い推理で意外な真相を見抜く名探偵。

        誰もが一度は触れたことがあるに違いない定番とも言えるこのスタイルは、いつ頃、どうして誕生したのか?
        そんな素朴な疑問に答えてくれるのが、このケイト・サマースケイルの「最初の刑事」だ。

        1860年初夏、イングランド南西部の閑静な村に立つ「ロード・ヒル・ハウス」で、3歳になる当主の息子が惨殺された。
        スコットランド・ヤードから派遣された刑事課のプリンス、ウィッチャー警部は、現場の状況から内部の者による犯行だと確信する。

        だが、プライバシーと家庭生活を礼賛する「常識」の壁の向こうで、"欺瞞と隠蔽"が複雑に絡み合う中、捜査は暗礁に乗り上げる。

        当時、普及し始めたメディアである新聞が、事件を書き立て、ビクトリア朝時代の大英帝国に、他人の罪や受難を覗き、詮索し、つつき回したいという"探偵熱"が巻き起こる。

        ウィルキー・コリンズやコナン・ドイルといった大衆文学作家に多大な影響を与え、"英国探偵小説"の定番が誕生する礎となったこの事件を、著者のケイト・サマースケイルは、当時の一次資料を基に、伝統的なミステリの手法を駆使して鮮やか、かつスリリングに再構築していると思う。

        事実のみが与え得る意外な真相に、思わずため息が出るノンフィクションであると同時に、謎解きミステリとしても堪能できる傑作だ。

        >> 続きを読む

        2018/12/29 by dreamer

    • 1人が本棚登録しています
      シャーロック・ホームズの冒険
      カテゴリー:小説、物語
      4.5
      いいね!
      •  普段は読書家を気取っている私だが、有名だが読んだことのない本というのは余りにも多い。『シャーロックホームズ』シリーズもまたその中のひとつだ。ミステリーには疎いが、名前くらいは聞いたことはあった。今までまともに読んだミステリーと言えばアガサクリスティの『そして誰もいなくなった』と日本三大奇書くらいだった。
         結論から述べると、非常に面白かった。ただし、これはもっと若いうち、10代前半に読んだ方がより楽しめただろう。書かれた目的からも察せられるように、これはエンタメ小説である。決して批評性を求められるものではない。この小説は批評性を求めるものではないことを前提に読まなければいけない。だからと言って、この本を読むことが無駄だとはいわない。これほどにまで有名な本を読むことは、ある種の教養のようになっているからだ。あくまで持論だが、現代における教養とは、大正時代の旧制高校から求められていた岩波知識人的なものだけではない。それらから派生したサブカルチャーもまた含まれる。SF、ホラー、ミステリー、ライトノベルetc…、これらの代表作くらいは読まなければ現代の知識人ではない。アニメや映画を含んだって良い。これは乱暴な意見だとは思うが、少しづつ広まりつつある話だ。話はそれたが、シャーロックホームズのような、現代の作品に多大な影響を与えている作品を読むことは、現代の諸作品(シャーロックホームズもまたドラマ化されている!)をより楽しむために有益である。私も今後は、様々なジャンルを読まず嫌いせず読もうと思う。
        >> 続きを読む

        2017/07/05 by shinshi

    • 4人が本棚登録しています
      緋色の研究
      カテゴリー:小説、物語
      3.0
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      • 登場人物が魅力的。訳が自然だったせいか、内容のせいか、これが130年以上も前に書かれた小説だということを忘れて読んだ。
        >> 続きを読む

        2018/02/27 by REM

      • コメント 1件
    • 3人が本棚登録しています
      僧正殺人事件
      カテゴリー:小説、物語
      5.0
      いいね!
      •  はい、いかがでしたか。
         何かにあわせて殺人が起きる怖さ、見立て殺人の怖さ、これはあのクリスティーの小説『そして誰もいなくなった』でもありましたね。けど、『そして、誰も、いなくなった』は、この、作品より、じつは10年近くあと、10年遅れて発行されました。だからこの小説が、見立て殺人の嚆矢とされることが多いんですね。それから、この小説、動機らしい動機がないんですね。どうしてマザー・グースに見立てられたか、この辺りの事情も分からないんですね。マザー・グースも怖いけど、こういうところは、もっと怖いね。そしてマザー・グースの一節が出てくるたびに、だんだんだんだんだんだんだん、見立て殺人の不気味さが漂ってきて、漂ってきて、漂ってきて、怖い。ラストのシーンもすごかったね、いろいろなドラマや小説にオマージュされたね。そういうところも、この小説の、凄いところだね。
         はい、もう時間がきました。
         それでは次週を、ご期待ください、さよなら、さよなら、さよなら。
        >> 続きを読む

        2015/01/21 by 素頓狂

      • コメント 2件
    • 2人が本棚登録しています
      ベンスン殺人事件
      カテゴリー:小説、物語
      3.0
      いいね!
      • 【ファイロ・ヴァンス登場!】
         数々ある推理小説の中で、私が(いや、私だけではないはずです)10本の指に入ると考える名探偵の一人、ファイロ・ヴァンスが初めて登場したのが本作です。

         事件は非常にシンプルなものでした。
         ベンスンというウォール街の株式仲買人が、深夜、自宅で射殺されたのです。
         ベンスンの家には住み込みの家政婦がいましたが、彼女の話では、事件があった夜、ベンスンは外出したが、その帰宅前に自分は部屋に下がって寝ていたため、帰宅した時刻は分からない。
         深夜零時30分頃、暴発音のような音が聞こえたので目を覚ましたが、外の通りを走る車のバック・ファイアだろうと思い、そのまま再び寝入ってしまった。
         朝起きて1階の居間に行ったところ、その部屋のソファーにベンスンが座っており、頭を拳銃で撃たれて亡くなっていたというものでした。

         お馴染みの地方検事マーカム、警察の殺人課のヒース刑事部長が捜査に乗り出したのですが、ファイロ・ヴァンスは彼らが容疑をかける者を悉く無実であると証明してしまいます。
         それでは一体真犯人は誰だというのでしょうか?

         ファイロ・ヴァンスの捜査手法は極めて心理学的なものでした。
         作中では、アリバイや物的証拠など取るに足らないのだと豪語します。
         犯罪態様から知ることができる犯人像と合致する者こそが真犯人なのであるとし、みごと真犯人を推理するというスタイルを取っています。
         ちなみに、このような手法は、次作の「カナリヤ殺人事件」までは維持されるようですが、さすがに少々無理もあることから、その次の名作「グリーン家殺人事件」以後は変更されているということですが。

         このような捜査手法を中心に据えている作品のため、事件自体は何らのトリックも用いられていない、非常にシンプルなものになっています。
         他の推理小説のように、不可能犯罪の解明とか、あっと驚くトリックという点に重点があるわけではなく、いかにして真犯人を絞り込んでいくのかというその過程、推論の妙が本作の要になっているのですね。

         本作で生み出されたファイロ・ヴァンスという名探偵は、鼻につくほどにペダンティックであり、見方によっては相当に皮肉家であり嫌味な奴かもしれません。
         マーカムやヒースの方がどれほど人間的魅力があることでしょう。
         それでも、透徹な頭脳による明解な(いや、これは作者により明解であるように思わせられていると言う方が正しいでしょう)推理は大変に魅力があることもまた事実です。
         私は、結構ファイロ・ヴァンスって好きなんですよ。
        >> 続きを読む

        2019/10/18 by ef177

    • 1人が本棚登録しています
      未解決事件 (コールド・ケース) 死者の声を甦らせる者たち
      4.0
      いいね!
      • 未解決事件の死者の声を蘇らせる者たちの話。
        ヴィドック・ソサエティという未解決事件捜査のための専門家が集まった会員制組織が創設され、事件捜査に活躍していく話は、ノンフィクションとは思えない程信じられないような内容で、600頁もある分厚い本に引き込まれた。
        と同時に世の中には凄惨な犯罪が数多くあり、解決に至っていないものも少なくないことに怖さを感じた。
        >> 続きを読む

        2013/07/27 by freaks004

      • コメント 7件
    • 2人が本棚登録しています

【日暮雅通】(ヒグラシマサミチ) | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト(著者,作家,作者)

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