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堀内静子

著者情報
著者名:堀内静子
ほりうちしずこ
ホリウチシズコ
生年~没年:1941~

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このランキングは1日1回更新されます。
      ABC殺人事件
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね! Minnie
      • ポワロの元に届いた一通の書簡は殺人予告の挑戦状だった。

        不吉な予感からジャップ警部に手紙を見せるが、イタズラだと一笑される。
        しかし予告通りアンドーヴァ(Andover)で殺人事件が起き、被害者は頭文字がAの女だった。
        事件現場に残された「ABC鉄道案内」の意味は?そして第二の予告状が届き……。

        名探偵エルキュール・ポアロが、語り手の友人アーサー・ヘイスティングズ大尉と共に
        連続殺人事件の真相に迫る「ホームズ・スタイルの古典的なミステリー」
        と、思わせておいて…そこからが既に彼女のトリックの一つなんですよね。

        「叙述ミステリー」「劇場型犯罪」「連続殺人事件」と「ミッシング・リンク」
        クリスティの本作のプロットに仕組まれた「仕掛け」は多重構造。
        ストーリーそのものに仕掛けられたトリックを堪能する野心的ミステリーです。

        私も大好きな作品でもちろん彼女の代表作の一つです。

        映画でいうカットバック手法を取り入れた実験的な小説スタイルに挑戦しています。
        おそらく当時としては、推理小説の王道の手法(パズルかゲームのような作品)からは全く外れた
        「斬新な」文学としてのミステリーだったはず。
        マイルストーン的な名作ですが、彼女の多くの作品同様有名すぎるのが難点。
        この作品も、同様の趣向に「新アイディア」を加えたものが量産されているため
        後世の我々がこの斬新さを100%受け止めることはもはや不可能です。

        しかしこの作品は今でも多くのファンを魅了するものであると信じます。

        ドラマとして楽しんだ時にこれほど情に富んだミステリー作品はないと思うからです。
        ポアロは奸計に富む非道な殺人には冷徹ですが、時に罪を憎んで人を憎まず的な解決を図ることもあります。
        そして、何よりも犯罪に巻き込まれた人への暖かい救済があります。
        この小説のラストのなんと小気味良いことでしょうか!

        ミステリーでありながら謎ときトリックだけで成り立つ小説ではなく
        クリスティの作品に流れる人間愛への信頼、より不変的な人間を描きたいという要求を感じます。

        ポアロの語る言葉のひとつひとつが、解決への伏線であり、
        相棒ヘイスティングズとのユーモラスな会話を通してポアロという愛すべき名探偵を存分に楽しめる、
        ファンには何度読んでも楽しい一篇です。


        【翻訳について】
        ハヤカワの新訳は2003年の堀内静子訳ですが、新しい感性で訳されたとも思えませんし、
        文学的ニュアンスよりも直訳を心がけている印象で、田村訳よりも優れているとも感じませんでした。

        わくわくした感動とかドラマチックな展開もちょっと伝わってこないというか
        なんとなく、紋切り型で表面的な感じがするんです。
        旧訳の田村さんはなんでもない文章を訳すのがとてもうまかったなあ。

        「われわれの見通しの、何とあまかったことか。」田村訳
        「未来に何が待っているのか、その時のわたしたちは知らなかったのだ。」堀内訳

        「おめでとう。あなたの予感が的中したわけですね。」田村訳
        「おめでとう」彼は言った。「あなたの勘があたった」 堀内訳

        「ABC」は多くの翻訳が出ている作品なので、古本屋や図書館をあたるなど、気に入った翻訳を探してみてください。
        完訳のジュブナイル(少年少女向けの文学シリーズ)をあえて選んでみるのも手かもしれません。

        創元推理文庫:堀田善衛訳。ハヤカワ文庫旧版:田村隆一訳。新潮文庫:中村能三訳
        東京 偕成社:深町真理子訳


        【おまけ】
        クリスティはポアロ・シリーズを何作か読んだあとの方がより楽しめる仕掛けというか、
        読者サービスも忘れません。

        「ABC殺人事件」が「オリエント急行」「雲をつかむ死」「三幕の殺人」の後に起こっているという
        時系列的な会話が出てきます。
        そして、さらに次回作の予告まで!
        「ひらいたトランプ」の構想をポアロ自身が語るという、予想外の行為に出ています。
        クリスティって本当に大胆で面白い作家だと思います。
        だから時系列に読み直したくなる私のような読者が今でも後を絶たないわけですし、
        クリスティの作品がほぼ前作翻訳されさらに文庫でも手に入るという
        他の作家にはありえない売れ方をするひとつの要因になっているのではないでしょうか。
        >> 続きを読む

        2014/05/12 by 月うさぎ

      • コメント 4件
    • 他1人がレビュー登録、 25人が本棚登録しています
      脱出者
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      • 「脱出者」テロリストの元彼に攫われた息子、助けることができるのか?!

        レビューの続きはこちらへ↓

        http://youyou-bookmovie.blog.so-net.ne.jp/2015-10-16
        >> 続きを読む

        2015/11/12 by youmisa

    • 1人が本棚登録しています
      24人のビリ-・ミリガン
      カテゴリー:小説、物語
      3.5
      いいね!
      • 連続して女性を陵辱し、強盗を働いたビリー・ミリガン
        しかし、彼は弁護士に「自分はミリガンではない」と主張する
        彼は内に24人が同居する解離性同一性障害だった-ーー
        当時世界の注目を浴びた事件を、物語り形式に仕立てたドキュメンタリー
        彼が事件を起こし、不起訴となるまでを語った上巻。

        解離性同一性障害がどういったものであるのか、周りから見たらどう見えるのか知りたかったらこの本を読みなさい
        と恩師が話していたのがずっと心に引っかかっていて
        ようやく手にとって読むことができました。

        話の焦点は
        ビリーが不起訴になることよりも
        ビリーの内部で何が起こっていたのか。

        逃避の為の思考、行動って私にもあって
        でもそれが意思を離れることは無くて
        離れた時、こうなるのか…と恐々としながら読んでいます。

        それにしても
        何人ものビリーは、趣味も趣向も得意分野も異なります。(常人じゃない怪力を発揮する人格、絵画が得意な人格、医学に精通している人格、機械に精通している人格など)…
        それぞれが表に出ている時には、それぞれの得意分野を我武者羅に昇華していくわけです。
        それをひとつの肉体で行っていると思うと…
        元々は努力家で勤勉な人なんだろうなと思いながら読みました。
        中には、過去の危機的状況を乗り越える為に身につけた技術もあったりして。
        生きていくのに必死だったのだろうな。

        彼は彼のしたことを償うべきだと思います。
        しかし、彼が早く不安が無く生活できる日が来ますようにとも思います。

        下巻は彼の人格が分裂するに至るまで
        そして事件を起こす経緯と、その後の話が描かれるようです。
        >> 続きを読む

        2015/11/28 by ∵どた∵

    • 4人が本棚登録しています

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