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森川展男

著者情報
著者名:森川展男
もりかわのぶお
モリカワノブオ
生年~没年:1949~

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      ホワイト・ノイズ
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
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      •  最初に読んだ「コズモポリス」の印象がいまひとつで、2冊目を読むかどうか迷っていたのですが、読んでみてよかった!
         
         お互い何度目かの再婚で、夫の連れ子2人、妻の連れ子1人、2人の間の子ども1人の6人家族。夫は大学で「ヒトラー学」を教えながら、大学には内緒でドイツ語の個人教授を受けています(ヒトラーが専門なのにドイツ語ができないことは内緒なのです)。長男のハインリッヒはやたら生意気で、父親が何を話しかけてもまともには答えません。今、雨が降ってるかどうかを問う父親に、彼はこう答えます。

        「今なんてものがあるのかな? 『今』が来て、その言葉を言ったとたん過ぎてしまう。もしパパの言う『今』が、ぼくが言ったとたん『あの時』になったら、ぼくはどうして今雨が降っているなんて言えるの?」
        「おまえは過去も現在も未来もないって言ったよ」
        「ぼくたちの動詞にだけはあるよ。そこだけにしかないけどね」
        「雨は名詞だよ。ここに雨はあるのか。ここ、正確にこの場所に、おまえが質問に答えるのと決めて二分以内のあいだにだよ?」
        「もしパパが明らかに動いている自動車に乗っていながら、正確にこの場所について話したいのなら、ぼくはこの議論には問題ありと思うよ」

         こんな家庭の日常が綴られていく第1章に続き、第2章では、ナイオディンDという薬物を積んだタンクローリーが交通事故で爆発炎上し、物語が動き始めます。
         
         それは空媒毒物事故による黒く渦巻く雲で、七機の陸軍ヘリコプターの明るい光線で照らし出されていた。ヘリコプターは風に運ばれていくものをずっと視界にとらえて負っていた。どの車のなかも、頭が動き、運転者たちはクラクションを鳴らしてほかの車に注意を促し、窓から出した顔には、異国の驚異すべきものを見た表情が浮かんでいた。
         巨大な黒い塊は、夜のとばりを螺旋状の翼をもった生きものたちに守られ、北欧伝説の死の船のように動いていた。わたしたちはどう反応すればいいのか分からなかった。それは見るのも恐ろしく、ひどく近く、ひどく低いところにあって、クロダイトや、ベンジンや、フェノールや、ハイドロカーボンや、あるいは間違いなく毒物を包含しているものだった。

         わたしの乏しいレビュー能力ではこの小説の面白さの千分の一も万分の一も伝えられませんし、わたし自身、理解できたかどうかあやふやな部分もずいぶん残っているのですが、この作家が現代アメリカ文学を代表する1人であることは納得できました。
         つぎは「リブラ〜時の秤」を読んでみようと思っています。
        >> 続きを読む

        2013/08/17 by 弁護士K

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