こんにちはゲストさん(ログインはこちら) | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト →会員登録(無料)


白石朗

著者情報
著者名:白石朗
しらいしろう
シライシロウ
生年~没年:1959~

この著者の本を読んでいる会員ランキング

このランキングは1日1回更新されます。
      ドリームキャッチャー
      カテゴリー:小説、物語
      5.0
      いいね!

      • ホラーの帝王、スティーヴン・キングの「ドリームキャッチャー」(新潮文庫1~4)は、一見、三人称多視点のハリウッド・スタイルに見えますが、いかにもキングらしいというか、キングにしか許されないタイプのエンターテインメント小説の傑作だと思う。

        ただし、映画版はまったく駄目でしたが-------。

        メイン州の山奥に宇宙船が墜落する。
        胞子状の異星生命が、人体に感染して広がるのを防ぐため、特殊部隊が周囲一帯を封鎖する。

        鹿撃ち猟にやってきた幼馴染みの中年男四人組は、山小屋で事件に巻き込まれ、その中の一人は異星人に体を乗っ取られてしまう。

        封鎖を突破した彼を追って、熾烈な追跡劇が幕を開ける---のですが、実を言うと、こうした派手なスペクタクルは、少なくとも私にはどうでもいいんですね。

        この小説の真の舞台は、登場人物たちのインナースペース。
        体を支配された男は、自分の心の中の部屋に立てこもり、段ボール箱に入れて積み上げた"記憶"だけを武器に、地球外生命体に立ち向かうんですね。

        テレパシーを操る宇宙人に取り憑かれた人間は、偶然にも超能力者でした---みたいな設定だから、並みの作家が書けばご都合主義の極みだと謗られるか、プロット段階でボツを食ってもおかしくないんですね。

        しかし、キングの魔術的なストーリーテリングは、その偶然を必然に変えてしまうのだ。
        ちらちらと小出しにされてきた四人組の少年時代の話が、小説の現在に追いついた時、事件の様相は一変するのだった-------。

        中年男の"心象風景"をこんなかたちで書けるのは、恐らくキングだけだろうと思う。

        客観的にみて、娯楽小説としてもSF小説としても破綻しているとは思いますが、そんな欠陥は些細なことだと思う。
        この異様な迫力を堪能すればいいと思う。

        そして、映像化できない部分がキモなので、うっかり映画を先に観た人も大丈夫だと思いますね。

        >> 続きを読む

        2018/05/28 by dreamer

    • 他1人がレビュー登録、 5人が本棚登録しています
      重要証人
      カテゴリー:小説、物語
      5.0
      いいね!
      • 私のご贔屓の法廷ミステリーの第一人者のジョン・グリシャムが絶賛した法廷ミステリーという事で、以前から気になっていたスティーヴ・マルティニの「重要証人」をようやく本棚の奥から引っ張り出してきて、読んでみました。

        この作品は猟奇的な連続殺人事件の謎と犯人探しと、その犯罪の立証をめぐって展開する、実によく出来た法廷ミステリーの傑作で、やはりジョン・グリシャムが絶賛するだけの事はあるなというのが、正直な感想です。

        とにかく、この小説は読み始めると、途中でやめられないのです。主人公を初めとするキャラクターの造形はいいし、プロットの展開も素晴らしいし、おまけにサスペンスも十分で、申し分ありません。

        しかし、私はこの法廷ミステリーとしての面白さももちろん良かったのですが、それ以上に惹かれたのは、実はこの主人公の"父親としての哀しみ"みたいなものに、妙にシンパシーを感じ、引きずり込まれたのです。

        どうも、この小説の主人公のポールには他人事ではない親近感を感じてしまうのです。それは、スティーヴ・マルティニの「重要証人」の主人公ポールが置かれた状況のことなのです----。

        彼は刑事弁護士なのですが、幼馴染の地区検事が病に倒れ、しばらくの間、その代行を頼まれます。そうなると、深夜でも早朝でも休みなしに呼び出される事になります。

        しかし、それはポールにとっては仕事なのだから仕方がない事なのです。しかも志願したわけでもなく、友情からなのです。それなのに、彼の妻はヒステリックに怒り出すから、これでは彼の立場もありません。

        娘のパレエ公演を観に行く約束をしていても、重要証拠が発見されたという連絡が来たからには、駆けつけなければならないのです。それなのに、この妻は、「お父さんは来ないの?」と尋ねる娘に向かって皮肉を込めて、「お父さんはね、もっと大事なご用事があるんですって」と言うのです。

        この主人公は妻に対して何も言わないから、彼に代わって、それはないだろ。遊びに行くわけじゃないんだ。彼だって娘を愛しているんだよ。強く強く愛しているんだよ。しかし仕事なんだ。となれば、どうしても出かけて行かねばならない。なぜ、その父親の哀しみをわかってあげないの?----と言ってあげたくなる程のシンパシーを感じてしまいます。

        この主人公のポールは本当に大変なのです。判事は法律を知らないし、刑事はやる気がないし、弁護人は証人をでっち上げて偽証させるし、まともな人間は誰一人いないという状況なのです。

        そんな中で、ほんの少数の仲間と共に犯人を捜し、その立証のために彼は奮闘していくのです。そして、主人公に対して復讐を誓うワルが次々に出て来るし、犠牲者の遺族からの圧力はかかるし、情報は漏れるし、更に出世の事しか頭になく、そりために捜査の邪魔をする者までいたりして、もう大変なのです。

        それで、くたくたになって帰宅すると、ヒステリックな妻が待っているので、ほんとに彼の立場がないのです----。

        このように、主人公を取り巻く状況は全く絶望的で、これは法廷ミステリーなので最後にはうまく事件が解決していくんだろうなと思いながらも、彼の男としての哀しみに付き合っていると、読んでるこちらの方もどんどんストレスが溜まってきて嫌だなという気持ちになり、こうなると早く終わりを見届けたくて、ページをめくるスピードがどんどん速くなり、一気に読み終えたという次第です。
        >> 続きを読む

        2016/09/22 by dreamer

    • 1人が本棚登録しています
      法律事務所
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      • 私の大好きな作家のひとりであるジョン・グリシャムの、トム・クルーズ主演で映画化もされた「法律事務所」を再読、今回も法廷サスペンス小説としてあまりの面白さに一気読みをしてしまいました。

        ハーヴァート・ロースクールを優秀な成績で卒業した主人公が、税務中心の法律事務所に破格の待遇で就職するのが、この物語の発端。

        この法律事務所、規模は小さいのに、とにかく待遇が群を抜いている。BMWは無料で貸してくれるし、低金利の住宅ローンは付いているし、といたれりつくせり。こんなにうまい話があっていいのかと思うほど。

        そのかわりに仕事もきつい。家に帰る暇もないほどのハードなビジネスなのです。"仕事中毒人間"の日本人にはまさに他人事とは思えない設定で、そのためにこの若き主人公は、たちまち妻との仲がおかしくなってしまいます。

        この小説の前半はそんなふうに物語が進展していきます。その法律事務所にはどうやら裏があるらしく、途中で何度も暗示されるが、物語のちょうど半ばで事態の真相が明らかになるのですが、結局、待遇が破格であることにはやはり理由があったのです。

        そして後半は、この主人公がその真相といかに闘うのか、ということになっていくわけです。この後半の展開は、いささか"コーン・ゲーム"的になるのですが、グイグイと読まされて気がつくともう一気読み状態になっているのです。

        主人公の兄を始めとする個性的な脇役たちが、随所に配置されているのがいいし、物語がスピーディに展開するのが何よりもいいんですね。

        ただ、残念なのは、私がこの主人公にどうしても共感出来ないということです。理想とかに燃えるのではなく、ただ待遇にのみ惹かれて法律事務所に就職するという冒頭から、私はこの主人公に全く共感出来ないのです。世の中をそんなふうに甘く考えている人間には、いずれしっぺ返しが来るだろうと思っていると、案の定、物語の半ばで事の真相が判明して、彼は窮地に立たされるのです。

        しかし、この主人公、この挫折を通して人間として成長するというのなら話も別ですが、基本的な考え方や生き方にその後もあまり変化がなく、闇の力と闘う後半を通しても、一向に人間的な成長は遂げていないのです。

        ハラハラする法廷サスペンス小説としては、確かに何度読み返しても面白いのですが、やはり主人公の人間性に共感出来ないと、読後の爽快感、カタルシスもあまりなく、つらいものがありますね。


        >> 続きを読む

        2016/11/27 by dreamer

    • 2人が本棚登録しています
      20世紀の幽霊たち
      カテゴリー:小説、物語
      いいね!
      • 20世紀の幽霊たち/ポップ・アート/アブラハムの息子たち/うちよりここのほうが/黒電話/ボビー・コンロイ、死者の国より帰る が良かった。スティーヴン・キングの子、期待できる作家だと感じた。 >> 続きを読む

        2013/04/18 by 紫指導官

      • コメント 2件
    • 1人が本棚登録しています
      ローズ・マダー
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!

      • モダンホラーの帝王・スティーヴン・キングの「ローズ・マダー」(上・下巻)を読み終えました。

        この小説は、サイコ・ホラーというより、ダークなサイコ・ファンタジーといった趣の作品だと思いますね。

        有能な警官だが、家庭では暴君と化す夫に、虐待され続けてきた妻が、覚悟の家出を決行、遠隔地で新生活を始めるが、狂気の虜となった夫の執拗な追跡にあって-------。

        この小説は、簡単に言えば、ただそれだけのお話が、ひとたびキングの手にかかると、ロマンスあり、バイオレンスあり、感動秘話ありの起伏に富んだノンストップ・サスペンスへと一変する。

        しかも、そこに、神話めいた情景を描いた一幅の絵画にまつわる話を大真面目で絡めてしまうあたりがまた、いかにもキングらしいんですね。

        この小説のヒロインは、絵の中の異世界と現実の世界を往還し、あまつさえ彼の地で、夫とのラスト・バトルに臨むことになる。

        その意味で、この小説はジャック・フィニィに代表されるような、心優しきアメリカン・モダン・ファンタジーの流れを汲む作品なのかも知れません。

        >> 続きを読む

        2018/07/14 by dreamer

    • 3人が本棚登録しています
      回想のビュイック8
      カテゴリー:小説、物語
      5.0
      いいね!
      • ペンシルヴェニア州の田園地帯にある州警察D分署。
        この分署の警官がある日、酔っ払いが運転していた暴走車に轢かれ、殉職してしまう。

        その息子、ネッドは雑用を手伝うと称して、父の勤務していたD分署に入り浸るようになる。
        まるで、そうしているうちに、また父に会えるのでは、と思っているかのように。

        次第にD分署の警官達と打ち解けてくるネッド。
        こぢんまりとして家族的な雰囲気のあるD分署は、ネッドにとって、ある意味、「家族」だったのかもしれない。

        そんなネッドは警官志望でない事を知りながら、警官達は通信係の仕事の助手をやらせてみたり、半ば「同僚」扱いする。
        だが、D分署には関係者しか知らない「公然の秘密」があった。

        ガレージの中に置かれているビュイック8(エイト)

        それが「公然の秘密」
        名目上、「押収品」となっているため、警察署にあっても、おかしくはないものではある。
        が、冷静に考えると、そんなものが長年、置かれたままなのは奇妙な話。

        ネッドもやがて、その存在に気付き、父の親友でもあった分署長サンディに尋ねる。
        いつかその質問がくることを予期していたサンディはビュイック8に関する奇怪な話を語り始めた。

        「あのビュイック8はビュイック8に似ているから、そう呼んでいるだけで、ビュイック8ではない。それを言うなら、”あれ”は車ですらない。」


        すべての経緯を知っている人物が過去を語り、過去と現在のエピソードが並行して進む形式は、著者の「グリーン・マイル」を連想させる。(と思ったら解説にも書いてあった)
        「グリーン・マイル」では過去と現在の話の中にオーバーラップする人物が登場する。
        本作品でも、現在の話に登場するネッドと、過去の話の中に登場するネッドの父親がオーバーラップする。

        最初はサンディだけが話をしていたが、そのうち他の警官も集まり、入れ替わり立ち代り、ネッドに「ビュイック8」の話を聞かせる。
        ビュイック8の話を聞かせる事は、仲間として受け入れるための「儀式」の意味もあるのかもしれない。

        「グリーン・マイル」もそうだったが、ある程度まで話をしてから、一転して、関係なさそうな話を始めて、ストレートに話を進めず、読者を焦らす「イジワルさ」は健在。

        印象的なのは、ビュイック8に関する奇怪な話よりも、一生かかっても理解できないような「謎」を目の前にしても、日常的に接していると「慣れて」しまう事。
        人間の柔軟性の高さ、と言えばその通りだが、「おそろしい」面でもある。

        「喉元過ぎれば、暑さ忘れる」
        というのは、全世界共通で使える諺なのだろうか。
        >> 続きを読む

        2012/10/27 by Tucker

      • コメント 9件
    • 3人が本棚登録しています
      セル
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      • 「セル 上」キングホラー。携帯電話を使っていた人々が突然狂いだした!

        レビューの続きはこちらへ↓

        http://youyou-bookmovie.blog.so-net.ne.jp/2015-11-01
        >> 続きを読む

        2015/12/01 by youmisa

      • コメント 2件
    • 2人が本棚登録しています
      セル
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      • 「セル 下」S・キングのホラー。狂人たちの群れの中、主人公は家族を探す…果たして

        レビューの続きはこちらへ↓

        http://youyou-bookmovie.blog.so-net.ne.jp/2015-11-03
        >> 続きを読む

        2015/12/03 by youmisa

    • 2人が本棚登録しています
      自白
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!

      • リーガル・サスペンスの旗手というか、もはや巨匠とも言える存在のジョン・グリシャムの「自白」(上・下巻)を読了。

        この「自白」は、強姦殺人犯の黒人青年が死刑になる四日前に、真犯人を名乗る男が現われるという話なのですが、ここでうまいのは、真犯人が罪を告白する相手が牧師だということだ。

        牧師は守秘義務があるうえに、法律の知識などない。
        どう対処すればいいかわからないんですね。

        その間にも死刑の期日は、どんどん迫ってくる。
        単純なタイムリミット・サスペンスでありながら、その組み立て方が実に巧みなのだ。

        しかもこの作品、中心に据えられたテーマが骨太で、強烈な衝撃力があるんですね。

        このあたりは、読みながら、黒澤明監督の「生きる」や「七人の侍」にも参加した、脚本家の橋本忍の諸作に通じるところがあるような気がしましたね。
        全体の構成などは、橋本忍の脚本のある作品を思わせるんですね。

        ただ、テーマとしては重いものの、エンタメ度は抜群で、さすがジョン・グリシャム、手練れのエンターテイナーだと思いますね。

        ラストが少し甘いものの、これは我々読者のカタルシスを最優先した、ジョン・グリシャムのサービス精神からくるものだろう。

        >> 続きを読む

        2019/02/19 by dreamer

    • 1人が本棚登録しています
      アンダー・ザ・ドーム
      カテゴリー:小説、物語
      5.0
      いいね!
      • 感想は下巻に書いてますよ。

        2017/09/08 by アーチャー

    • 2人が本棚登録しています
      アンダー・ザ・ドーム
      カテゴリー:小説、物語
      5.0
      いいね!
      • 一時期キングの作品は不調のように言われたことがあります。

        きっと「ローズマダー」「骨の袋」くらいの頃を指摘していると思われますけど、個人的にはそんな時期の作品も面白く読んでいました。

        そんな時期を乗り越えて「悪霊の島」「リーシーの物語」を発表し、やっとキングは往年の筆力を取り戻したと評されましたけど、私は本書「アンダー・ザ・ドーム」を数年前読み終えた時"この変態的な圧倒感こそがキングだ!"と確信しましたね。

        ドラマ化もされた本書は善悪だけじゃなく、メガトン級の得体の知れない謎と恐怖が入り乱れたまま迎える結末と真実は人によって"!?"となるでしょう・・・って、一応誉め言葉ですよ。

        でも、キングの作品の良いところは、ちゃんと自己責任において問題と対峙する人間をしっかり描いてあるところで、これが私が数十年間キングを読み続ける大きな魅力なんです。

        下巻242ページで書かれた"ぼくたちは遅かれ早かれ、どこかで賭けに出るしかないのさ"という言葉、胸にグッと染み込みました。

        本書は既に文庫化されていますが、出来ればハードカバー版で、この超ド級のエンタテイメントを味わってほしいです。
        >> 続きを読む

        2017/09/08 by アーチャー

    • 2人が本棚登録しています
      11/22/63
      カテゴリー:小説、物語
      5.0
      いいね!
      • おもしろかった~、けど、自分もいっしょに1963年に行ってきたようで、疲れもしました。それと読後、YOUTUBEでリンディーポップを見るくせがつきました。 >> 続きを読む

        2016/05/13 by まるち

      • コメント 1件
    • 11人が本棚登録しています
      11/22/63
      カテゴリー:小説、物語
      4.3
      いいね!
      • 上巻も合わせてこちらにレビュー致します。
        自分は最初に映画「ミスト」(原作は本著者スティーブン・キングの小説)を観て、スティーブン・キングの小説に興味を持ち、購入致しました。
        スティーブン・キングの長編小説を読むのはこちらが初めてだったのですが 良い意味で期待を裏切られました。
        >> 続きを読む

        2016/05/10 by White_Fang

    • 10人が本棚登録しています
      図書館警察
      カテゴリー:小説、物語
      5.0
      いいね!
      •  表面的なホラーストーリーと共にその底流でストーリーと共に展開される人間の奥底の心の闇を繊細に描いた物語。
         単純に図書館の図書貸出を取り締る、権力に対抵抗する良識ある市民という構図を想像するとすればそれは明らかに違う。社会性を問う物語ではなく、人間の心の闇の深さを「図書館警察」というこの闇が作り出すフィクション―本人にとってはリアリティであるが―と当人の心の葛藤を描いたもので多かれ少なかれ読み手自身誰もが思いあたる心の弱さである。
         講演スピーチのため本を図書館で借りたサム。そのサムの自宅に不要物を回収するデイヴ。2人の心の葛藤を解放するものは「勇気」と「希望」。この心の闇に差し込む光こそが彼らを解放する。鬱蒼とした表面上のスト―リ―とは裏腹に心の動きの構造や対立軸は分りやすい。
         ただ気になるのは、その正体は妖怪を彷彿させるア―デリアは、人間の心の闇が作り出したフィクションではなく、間違いなく人の心の奥底にある腹黒い何かなのである。それは人間の本質的な「性悪」。そうだとすると、人の心の弱さが作り出すフィクションという単純なものではなく、不可避的な人間の性悪をどうつきあっていくのか。そんなことを読み手に問う物語である。表面的な妖怪退治の物語と読み取るのであれば、それは浅い読み方なのではないか。
         余談だが、もう一人重要な脇役のナオミ。彼女だけがその心に持つ闇の背景が明らかにされないのは気になるところ。同じくホラーストーリーとしての「サンド・ドッグ」も収録。図書館警察をこのように解釈すると、サンド・ドッグのストーリーの底流にある心の動き、心そのものは何なのか。考えながら読み進めると面白いかもしれない。
        >> 続きを読む

        2018/04/02 by SHOSHO

    • 3人が本棚登録しています
      夜がはじまるとき
      カテゴリー:小説、物語
      3.0
      いいね!
      • “ニューヨークタイムズを特別割引価格で”という無機質な言葉とのコントラストが痛烈な悲しさを際立たせる…そんなラストシーンがお気に入り。 >> 続きを読む

        2016/03/15 by one

    • 3人が本棚登録しています
      戦慄のシャドウファイア
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!

      • このモダン・ホラーの鬼才ディーン・R・クーンツの「戦慄のシュドウファイア」(上・下巻)は、読み始めたらとまらない、そんなスリリングな小説だ。

        冒頭は、夏の陽射しにきらめく通りで、夫婦が口論しているシーン。離婚調停を進めている弁護士のオフィスを出てきたばかりだ。妻のレイチェルが慰謝料もいらないと言ったことにプライド傷つけられた夫のエリックが怒っている。

        すると、勝手にしろと怒ったエリックが、車にはねられ即死してしまう。レイチェルには恋人のベンがいるので、ロマンス小説なら、始まったばかりで問題解決になるが、もちろん、この小説が、ここで終わるわけがない。

        エリックの死体が死体公示所から姿を消してしまうのだ。こうして、物語はここから、あれよあれよという間にどんどん動いていく。なんとエリックは死から蘇るのだ。

        レイチェルに恨みの残っているエリックは、当然、彼女を追い始める。さらに、エリックの蘇生の秘密を守るために、防衛保安情報局の副長官アンスン・シャープが部下を引き連れて、レイチェルとベンを追い始める。かくて、壮大な闘争と追跡のドラマが始まって行く。文字通りのノンストップ・アクションだ。

        レイチェルとベンのロマンス、ベトナム時代をめぐるベンとシャープの確執、さらにシャープとその部下ピークの対立。まあよくもこれだけつめ込んだものだとあきれるくらいに盛りだくさんの内容だ。

        それから、石のように手強い農夫を登場させてシャープを浮き彫りにしたり、不幸な生い立ちを登場人物に語らせて、エリックの性格形成を側面から描いたり、すべて説明づける明瞭さが気になるといえば気になるけれど、これは、まあ著者の読者へのサービス精神のあらわれだろうと思う。

        そして何より、怪物と化していくエリックの"血の叫び"が、不気味なトーンとして全篇の底を流れているのが、実にいいと思う。


        >> 続きを読む

        2018/02/10 by dreamer

    • 1人が本棚登録しています
      デクスター 幼き者への挽歌
      カテゴリー:小説、物語
      いいね!
      • ボケもツッコミも巧い。
        飼い始めた犬には嫌われて吠え続けられたり、亀にも嫌われて甲羅に足と頭をしまわれて死なれてしまう。
        殺人犯、と言おうとして、「芸術家」と表現してしまう。
        相手が文句を言う為に電話をかけてきたと勝手に思い込んで、どんな文句か勝手に考えを進めてしまう。
        デクスター、非常に魅力的な連続殺人鬼。
        シリーズ化されてるようなので、他の作品も読んでみたい。
        >> 続きを読む

        2015/09/11 by 紫指導官

      • コメント 4件
    • 1人が本棚登録しています

【白石朗】(シライシロウ) | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト(著者,作家,作者)

会員登録(無料)

今月の課題図書
読書ログってこんなサービス
映画ログはこちら
読書ログさんの本棚

レビューのある本

八月十五日に吹く風