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内容紹介-------------------------------------------------人類が衰退し、マシンが君臨する未来。食糧を盗んで逃げる途中、僕は美しい女性型アンドロイドと出会う。戦いの末に捕えられた僕に、アイビスと名乗るそのアンドロイドは、ロボットや人工知能を題材にした6つの物語を、毎日読んで聞かせた。アイビスの真意は何か?なぜマシンは地球を支配するのか?彼女が語る7番目の物語に、僕の知らなかった真実は隠されていた―機械とヒトの新たな関係を描く、未来の千夜一夜物語。--------------------------------------------------------豊崎由美のあとがきに共感する。山本弘は物語で世界を変えようとしている。『アイの物語』は強いメッセージのこもった本だ。あらすじの通り、アイビスが読み聞かせるのは6つの物語。「宇宙をぼくの手の上に」「ときめきの仮想空間」「ミラーガール」「ブラックホール・ダイバー」「正義が正義である世界」「詩音が来た日」「アイの物語」こうして並ぶからこそ多少の差は出るが、すべて☆5でいい作品たちだ。書き下ろしは最後の2作品だけだが、その他は初出の時期がバラバラで、それを一冊にまとめてひとつの物語を紡ぐという構成力がすごい。一つ一つの物語を見ても、構成の上手さが光る。SFなので都合の良い設定を生み出しやすいとはいえ、それをどう使うかは力量次第。この作品では設定されたものは使いつくされる。情報に無駄がない。構成をいじって、山本弘がよりうまく伝えようとしたものは何か?それは「i」だよ「i」。人間というものは、とにかく自分のものさしではかろうとする生き物だと考えさせられる。作中にある通り、「フィクションは『しょせんフィクション』ではない」。現実の言葉だろうがフィクションの中の言葉だろうが、その言葉自体の重みは変わらない。それどころか、物語の方が現実より正しいことは往々にしてある。『アイの物語』には真実が書かれている。たくさんの人に読んで欲しい。 >> 続きを読む
2015/10/02 by しでのん
内容紹介-------------------------------------------------あなたが幸せじゃないから──マンガ家志望の僕は、公園で出会った女性にいきなり1日デートに誘われた。確かにいっこうに芽が出る気配がない毎日だけど……。彼女の名前は詩羽。他人に親切にするのが仕事、と言う彼女に連れ出された街で僕が見た光景は、まさに奇跡と言えるものだった! 詩羽とかかわる人々や街が、次々と笑顔で繋がっていく。まるで魔法のように──幸せを創造する詩羽を巡る奇跡と感動の物語。--------------------------------------------------------『アイの物語』のレビューでも書いたが、山本弘は物語で世界を変えようとしている作家だ。『詩羽のいる街』のヒロイン詩羽は、その意思が強く反映されたキャラクターだ。「世界を変える」というと大げさかもしれないが、日常の中でああすればいいのに、こうすればいいのにというということから変えていけばいい。その積み重ねが世界をよりよい方向に変えていくかもしれない。作品では登場人物たちが詩羽から前向きに生きる力をもらって、自分と世界を変えようとしている。私も身近なところから変化を起こせないかと考えさせられた。 >> 続きを読む
2015/12/06 by しでのん
山本弘の本格SF小説「神は沈黙せず」(上・下巻)を読了しました。「二〇一二年、神がついに人類の前にその存在を示した年、私の兄・和久良輔は失踪した。『サールの悪魔』という謎めいた言葉を残して」----この魅惑的な一説から始まる物語の語り手は、フリーの女性ライター、和久優歌。幼少時に理不尽な災害で、両親を失う悲劇を体験した結果、神に不信を抱き、ヨブに共感を寄せる彼女は、UFOカルトへの潜入取材をきっかけに、宗教やオカルトに科学的興味を抱くのだった。一方、兄の良輔は、遺伝的アルゴリズムを用いた人工生命進化の研究者。良輔自身、UFOを目撃し、ビデオに撮影したことで、科学者の立場から、納得できる仮説を求めてデータを集め始めるのだった。UFO、超能力、心霊写真、幽霊----と、あらゆる超常現象が、この作品の俎上にのぼります。捏造や誤認、トンデモ系の詐術や詭弁は、容赦なく断罪されますが、「すべてインチキ」と切り捨てるわけではないんですね。現代科学で説明できない現象は確かにあるんですね。では、その共通点は何なのか?-------。やがて明かされる"単純で合理的な説明"は、今やそう意外なものではありません。しかし、膨大なデータを検証して、そこに至るまでの緊密なロジックには、快刀乱麻の爽快感があるんですね。この作品は、敢えてリアルな近未来SFの骨格を採用し、一からきちんと説明するため、SF小説好き以外の読者にも読みやすい反面、「宇宙消失」や「順列都市」などのアクロバティックなインパクトには欠けるような気がします。だが、徹底して科学的なアプローチが、他のあらゆる可能性を排除し、ついに意外な解決へと到達する過程には、良質の本格ミステリの味わいと興奮があるんですね。 >> 続きを読む
2018/06/30 by dreamer
山本弘の短編集です。 表紙などからしてどうもキワモノかな、と思いつつ読み始めました。1編目の表題作からもなんだか、かの『ロリータ』のような雰囲気が漂っていて……。 読んでみると、非常に幅の広い短編集です。本格SFから実験的な意欲作、もちろんキワモノも。適度に遊びながらも、ほんの少しの毒もいれてくるあたりさすがは山本弘さんです。 ルイス・キャロルがアリスの裸体を撮影する場面から始まる表題作や、馬鹿馬鹿しいまでの日本の低IQ化を描いた「リトルガールふたたび」は、やり過ぎギリギリの描写の中に強烈な主張が含まれているブラックユーモア的作品です。遊びと真面目の絶妙な配合が著者の真骨頂だとよく理解できます。 続く「七歩跳んだ男」と「地獄はここに」は一転、オーソドックスな作品です。一旦箸休めです。 そのあとは完成度の高い本格SF「地球から来た男」を挟み、同じ設定の下に書かれた「オルダーセンの世界」と「夢幻潜航艇」で締められます。あとがきによれば、その凝った設定に慣れてもらうために最後の2編を並べたらしいです。短編の順番がよく考えられていると思います。 最後の「夢幻潜航艇」は前座的な作品が用意されているだけのことはあります。個人的にはとても衝撃的な作品でした。ある意味これ以上に小説世界にのめり込める作品はほとんどないかと思います。ある意味で……。 著者曰く小説は0から1を生み出すものではなく、1から2や3を生み出すものであるそうです。誰にでもインスピレーションの源というものはありますから。この言葉は非常に著者らしくて好きです。 >> 続きを読む
2015/03/02 by あさ・くら
山本弘版『妖星ゴラス』。「宇宙から星が飛んできて地球滅亡の危機」なんてのは、散々使い古されたシナリオです。カタストロフィ時の勇気や悲哀が描きやすい、優秀なシチュエーションですが、どうしても今更感が伴ってしまいます。その点本作は、シナリオの良さを生かしつつ、古さを感じさせない新鮮なSF作品に仕上がっています。 著者の作品では、人工知能の思考は人間と根本的に異なるためお互いを真に理解できない、という観点で一貫しています。そして、だからこそ相手をしっかりと見つめ尊重し合うべきだ、という主張です。これは人間同士でも同じだと思います。私は忘れがちなので気をつけたいところです。 SFではおなじみの抗老化措置や拡張現実、新エネルギーなどを詰め込み、それらが社会をどう変えるのかが細かく描かれていて面白いです。「滅亡まで24年」という設定も良かったです。現実にこういう状況になれば、やっぱり新興宗教とかが乱立したりするのでしょうか……。きっとこうなるだろうな〜、とか妄想するのは非常に楽しいです。 >> 続きを読む
2014/09/30 by あさ・くら
SFの大きな醍醐味といえば、何といっても科学的な知見をもとに、あきれかえるほどにデカイ嘘をついてみせることだと思う。今回読了した山本弘の「地球移動作戦」は、そんなSFの面白さの原点に立ち返り、地球の620倍の重力を持つ不可視の天体が地球に大接近して、人類が絶滅しそうだから、地球自体を動かしてしまおうという、大風呂敷一枚にテーマを絞った、豪快な長篇SFだと思う。この作品のアイディアの原点になっているのは、当然のことながら、往年の東宝特撮映画のカルト的傑作「妖星ゴラス」なんですね。1962年のこの映画では、南極にロケットを建設するという壮大だが、実現困難な方法を使っていたが、現代のハードSF作家は、それとはまったく別のアイディアを提案して、見事、地球を動かしてみせるんですね。また、人工知能や拡張現実が普及した未来社会の描写が、物語のもうひとつの軸となっていて、「アイの物語」とはまた異なった形のAIと人間との関係性が描かれているのも嬉しいですね。主人公の風祭魅波とルーくんをはじめ、作者の山本弘の他の作品の登場人物を思わせるキャラが多数登場したり、過去のSF作品への言及があったりと、SFファン向けの小ネタもたっぷりあって、実に楽しいんですね。超巨大な風呂敷を見事に広げてみせた作者の剛腕には、拍手を送りたいですね。とにかく、全篇にあふれる前向きな明るさが、この作品の最大の魅力だと言えると思いますね。 >> 続きを読む
2018/05/08 by dreamer
巨大怪獣はいかに存在するのか? この問いかけに対して、斬新な理論を提示した本格怪獣SF小説が、今回読了した山本弘の「MM9」。昔から怪獣がごく当たり前の存在で、台風や地震と同じく自然災害の一種として扱われている世界が、この物語の舞台だ。MMとは、モンスター・マグニチュードの略で、地震のように怪獣の規模を表わす単位だ。そんな世界の日本で「怪獣災害」に立ち向かうのは、気象庁の一セクションである気象庁特異生物対策部、通称「気特対」であった。彼らの前に現われるのは、海の怪獣、巨大妖女、飛行怪獣。そしてついに、未曾有のMM9の規模を持つ大怪獣が人類を襲うのだった-------。特撮やアニメの中に科学的な間違いを見つけた場合、矛盾点をあげつらったり、バカバカしいと否定したりするのではなく、どうしたら、その設定が成立するのか筋の通った理屈をひねり出すのが、SFファンの楽しみ方だと思うんですね。だが、そんなSFファンにとっても、なかなか手強い相手が怪獣で、巨大怪獣という存在自体どう考えても物理的に無理があるだけに、怪獣を題材にしたSF小説は、これまで数えるほどしかなかったと思う。それほどの難題である怪獣小説に挑み、見事にクリアしてみせたのが、この作品なんですね。特撮への熱いオマージュを捧げながらも「多重人間原理」なる架空理論を導入して、その手があったかと、思わず膝を打ちたくなるほど鮮やかな解決を見せてくれている。文句なしの本格怪獣SF小説の傑作だと思う。 >> 続きを読む
2018/08/09 by dreamer
人間少女型怪獣の活躍!!ってゆう発想が凄すぎ!!面白すぎる!!怪しい奴等(妖怪?)も目が放せない。続きを早く読みたい! >> 続きを読む
2013/07/01 by ata-chu
積読の山から1冊読みました。内容がどんなものか気にしないで著者名買いしてそのままにしていました…なるほど!題名はそういう意味が!歴史改変時間SFロボットもでるよ!です。主人公は山本弘さん。そう著者本人です。他にも実在の人物が登場し、実際に起こったことなどに絡めて進んでいきます。大好きな小川一水さんが登場しておおぉぉとなりましたw主人公の山本さん、貰ったら早く読んで早く出したらよかったのに…もどかしかったよーでもそれが山本さんなんでしょうね。。。 >> 続きを読む
2016/02/24 by 降りる人
【山本弘】(ヤマモトヒロシ) | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト(著者,作家,作者)
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