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表題の「プラナリア」はイマイチ。共感できたのは3篇目の「どこかではないここ」。結婚して母親になったらだれでも家計のために働き家族のために家事をこなし夫の親や自分の親のために時間を費やす。でもすべて背負い過ぎて一杯一杯だ。どこか歯車が切れたら崩れそう。「囚われ人のジレンマ」は始めて知ったが奥が深いことばだ。いつの時代でも通じる永遠のテーマだと思う。 >> 続きを読む
2018/05/23 by miko
長野の両親から逃れて夫と久里浜に移り住んだ女性の物語。ブラック会社に勤める夫を心配しながらも自分に自信が持てず働くことを躊躇していたところに、妹が始めるというカフェを手伝うことになる。しかしカフェの営業が順調にいっていたにもかかわらず、妹がカフェを売却することになった。その前にブラック会社を辞め、心の病を患った夫と絆を深めることになった。一方、芸人を志しながらも挫折し、夫の勤めていた会社を辞め、カフェに勤めるもクビになった青年のことにも多く触れている。結論を言うと読んだ後味はあまり爽快ではなかった。 >> 続きを読む
2017/05/26 by konil
脳梗塞入院本、7冊目。これは面白い作品だ、傑作だ。…と、思ったら、以前に読んでここへもレビューを載せていました。人生がきらきらしないように、明日に期待しないように、生きている彼らに、いつか。 自分の不行跡を恥じ、未知なる明日を受けいれる資格が果たしてあるのかを、悩む。急かされるように流されてきた場所で、途方にくれる。そうして、問題は資格があるのかないのかではなく、否が応でも向き会わねばならない明日の、その対し方であるということに気づく。生きていて、大病をして、このタイミングで、こんな本が手元に来る。午後9時が消灯の老人ばかりのリハビリ病院の病室。麻痺が残る右手でゆっくりとしたスピードで、懸命になって読んでいた。読んでいれば、とりあえず大丈夫だと思うことができていた。これは人様にオススメできる本です。 >> 続きを読む
2016/11/23 by 課長代理
この本の名言をご紹介します。***私は人の心の動きを愛している。愛しているということは、憎んでもいるということだ。 >> 続きを読む
2013/10/03 by 本の名言
「あの時、もう一つの選択をしていれば…」 そういう経験は誰にでもあると思う。 この本の主人公は、過去のある時点で二人の相手を同時に好きになり、一方と結婚した。しかし、思っていたような幸せな生活はやってこなかった。そんな時もう一方と結婚したもう一人の自分と出会う。どちらの自分も今の生活に満足していない。二人はお互い入れ替わる事を決意する。 結局どの選択をしても苦悩はつきまとう。 隣の芝生は青く見える。 しかし、自分の環境が悪いのではない。 環境を変えれない自分が悪いのだ。 自分を見つめ、悪い所を反省し、改善しなければ、どの選択をしても同じような結果が待っている。 今の生活に満たされないと後悔するなら、自分を変え今の生活を良くしていく努力が必要なのだと思う。 >> 続きを読む
2011/08/25 by Iris
「大きくなったら何になりたい?」幼稚園のころ先生の質問に私の答えは「看護婦さん」全くの嘘っぱちだった。女の子で一番多かった答えを口真似しておいたに過ぎない。なんて子供らしくないこどもだ…。私には「なりたいもの」なんてなかった。そしていつまでも「なりたいもの」が心に浮かんでこなかった。憧れる職業は、そりゃあある。でも心から真剣にそれになりたいのかと言われると、それほどでもない気がして、だから言えない。「○○になりたい」という一言が。私はわたしでありたい。それ以外の答えが今でも…。この本は、仕事を通して人生の一コマを描いたショートショート集。全15の短編と15の職業(文庫にはプラス1つのエッセイ)が描かれている。「生涯のうちで経験できる職業というものはやはり数が限られる」現代人にとっての仕事というのは不思議な営みである。自分がつかなかった職業への好奇心は誰にでもあるのではないか。その興味を満足させ、理解し、共感をもち、翻って自分の仕事や生き方を好きになる言いたいことの軸がはっきりしているので非常にわかりやすい小説だった。つまり、となりの芝生は青いのだ。と。この作家のファンがほめる物語性の巧さや文章の上手さは、主人公が語り手の本作におけるリアリティを出すためか、この小説では全く感じることができなかったので、他の作品まで評価は保留。同世代の女性作家という点では大いに共感できそうな部分を感じるので、もう少し他の小説も読んでみたい。しかし、発表されて20年も経つと仕事の仕方が大きく変わっていて、驚かされる。ここ20年で職場環境は大変動を起こしている。特に女性の仕事は。エステの脱毛話なんてもはや化石か伝説のようだ。それでもこの小説がまだ化石ではないのは、人の心はそうそう変わらないということなんだろう。そこそこ社会をわかってきたお年頃の著者からの「先輩目線」のメッセージは甘くはないけれど辛辣でもない適度のバランス。どこか共感できる物語を読んで「さて、私もがんばるかな」なんて気分になれたなら、お得なんじゃないだろうか。「花のような人」「話を聞かせて」「もういちど夢を見よう」あたりがいいと思いました。<内容>1.花のような人――フラワーデザイナー 一時流行りましたね~。私の妹も脱サラで目指しましたよ。 でも現実はハード。花屋は肉体労働です。 そこでがんばれた彼女こそ職場の花ではなく本物の花です。2.ものすごく見栄っ張り――体育教師 お見合いってこの頃まではまだフツウにありました。私の友人も見合い結婚です。 ちょっと意表を付いた展開で、驚きました。 私が高校時代にこういう女教師がいて、大嫌いでしたから。 こんな心の広い女子高生。ないわね~。心が洗われるようです。3.今年はじめての半袖――デパート店員 ありがちな話。失った恋は失われたからこそ大きくて、そして光るものなのかもしれない。 一生懸命に今を生きるあなたは、自分が気づかないだけで充分魅力的だよ。っていうエール。4.愛でしょ、愛 ――漫画家 娘がエロ漫画描きになったとしたら…?もはや親の方に気持ちが行っちゃってる私でした。 子の心親知らず。 5.話を聞かせて――営業部員 小売店廻りの営業のちょっとした気づきが人を変える。 相手を受け止め、状況を判断し、思いやる。お仕事の基本ですね 大事な人への接し方も同じです。6.愛の奇跡――専業主婦 タイトルがオーバー。愛の残像のほうがあってそうな。 「他人に人生を預ける、というのは、何と無謀で何と気持ちがいいことだろうか。」 う~~ん。こういう発想が私にはないからなあ。 でも結局は結婚は恋愛の末路みたいなムードの話なんだけど。7.アフターファイブ――派遣・ファイリング 派遣社員のジレンマを描く。派遣社員も人気な時代でしたね。 派遣とバイトの区別がつかない正社員の口の利きようが腹立たしい。 結論として「仕事好きなら派遣はおやめ」というお話。8.天使をなめるな――看護婦 患者と付き合っては破局を繰り返す、馬鹿な自分を呪うそんな夜。 「私だって人間だから」 そうそう。早く立ち直ってね。と思ったら、意外な方法ですっきりしちゃったのね。9.女神の職業――女優 唯一お仕事ガ―ル本人ではなく、中学3年生の男の子からみた物語。 女優といっても、劇団員。 当然それで食える訳ではなく。 でも、こういうのが一番「なりたい」っていう職業なんだよなあ。 デパート店員や土木作業員に「なりたくてなる」と思う人はあまりイメージできないし。 やりたいことは苦にならない。 それがどんなにキツイ仕事でも、お金にならなくても、世間一般に認められなくても。 わかる人がわかってくれて自分が納得できればそれが成功だ。 この小説は最後の2行がいい。 「僕は生まれてから一度も、銭湯に行ったことがなかった。 僕は自分が恥ずかしかった。」10.気持ちを計る――タイムキーパー 男社会で働く女のはりつめた心の葛藤にはまたひとつ違った厳しさがあるだろう。 「働きたくて働いてるんでしょう?うまくいかないのは全部性別のせいなんですか?」 正論です。正解です。その仕事、やめたっていいんです。 辞めたくないなら一生懸命やってみよう。 人間幸せになるために仕事をして生きるために生きているんだから。 でも、看護婦と医者、少女漫画家と編集者が恋に落ちるって…、ステレオタイプの例としてそういうひきかたはあんまりだと思うぞ。 (ご自分こそ雑誌編集者と再婚している人らしい。だったら「作家」と書けばいいのだ。少女漫画家は独身の方や漫画家同士の結婚のほうが多いと思う)11.真面目であればあるほど――銀行員 金融ビッグバンの直前か初期の頃のお話なのでこれも今の銀行の姿とは社会的なズレがある。 銀行員の定期預金獲得ノルマなんて、今あるの こういうの友達なくすよって教訓?12.もういちど夢を見よう――水泳インストラクター 挫折した水泳選手のその後。 毛深くて無様なおじさんが水着から普段着に着替えたら? 一歩引いて自分を外から眺めてみようというお話。 誰にても得意なこと不得手なことがあるけれど、不得手を克服することが夢だという考えってステキじゃないか。13.絶対、泣かない――秘書 再就職先は暴君の秘書。その女社長は自分を苛めているとしか思えない。なぜだ? そしてとうとう思い出した。この女。ノブタだ。 子供の頃、成長した今、そしてこの先の未来。自分がどうなっているかはわからない。 それは自分がどうありたいかの問題なのだろう。14.卒業式まで――養護教諭 少女小説家としてデビューしたという著者の片鱗を覗える一篇。 私の友人にも養護教諭を続けている人がいます。 公立の学校は本当に大変らしい。 こどもと仲良くしているだけじゃ、お仕事にならないし、 一緒にタバコなんか吸った日には即クビでしょう。15.女に生まれてきたからには――エステティシャン 本当に、毛深いと醜いなんて誰が決めたんでしょうね。 20年前の脱毛エステってものすご~く高額だったのでした。 あまりのギャップに今の人が読んだら意味わかるかなあ…。 >> 続きを読む
2015/11/10 by 月うさぎ
吉川英治文学新人賞受賞、恋愛小説の最高傑作、の文字に躍らされて読みはじめる。不倫小説と思いきや、最後はどんでん返し、ストーカーの世界へ。愛するって、相手が喜べば恋愛、嫌だと感じればストーカー。自分の気持ちに素直になろうとしても、所詮相手がいること、感じること。世間慣れ、人馴れって、大事ですよね・・・・・。 >> 続きを読む
2016/06/21 by ごまめ
もう何度も再読している本です。主婦という鎖を身に纏い、塔に幽閉された主人公、汐美。子供はなく、多忙な夫はほとんど家に帰らない。退屈な毎日。ある日夫が連れてきた猫と、ゲームセンターで補導されかけたところを助けたお隣の中学生の男の子の存在が彼女の穏やかな日常を変えていく様子がドラマティックに描かれています。15歳下の少年との切ない恋。私にとってはありえないことですが、ドキドキしながら読み進めました。数年後、この二人が結ばれるかはわかりませんが、きっと生涯忘れることのできない恋になったことは間違いないでしょう。主婦の人間関係に疲れていく様子もとてもリアルで、共感できる部分もたくさんあります。きっと多くの女性はハマると思いますよ。 >> 続きを読む
2013/10/19 by marilyn
この本の名言をご紹介します。***過去に"もしも" を持ち込むな >> 続きを読む
2014/05/02 by 本の名言
淡々と進み、読むのを止められませんでした。中毒になったよう…だからと言って快楽なわけではなく、予期できない事が次々と起こるからなんだと思います。10年ごとのマリの一生を追う小説。短編ぽくもあります。 >> 続きを読む
2015/02/12 by shio
テーマはフェミニズム。でも、ここでは本の趣旨から離れた感想を。お店で注文をする時は店員の顔を見て注文しようと思った。本棚に置くときは「眠れるラプンツェル」の隣に置きたい。マンションの住人同士でもお互いの事情なんて分からないよね。 >> 続きを読む
あなたには帰る家がある。図書館の棚にゆれる背表紙の波のなかで、この本のタイトルがひときわ輝いてみえた。いや、胸の内から温もりが湧いてきたのかもしれない。心のなかでタイトルを口ずさみ、帰宅するときの玄関ドアの握りに伸ばすような手で引っつかみ、プロローグとあとがきだけ目通して借りることにした。 じつをいうと、「家庭」をテーマにした作品をこのごろ読んでいる。イプセンの「人形の家」という戯曲に圧倒され、映画「クレイマー、クレイマー」をはじめて観たときのやり切れなさを思い出したのだ。書名に「家」とあったから、小池真理子さんの「墓地を見下ろす家」も読んだけれど、この本については特に感想なし。どこかでよく見かける素っ頓狂というフレーズが度々出てくるのが鼻についた。こちらはホラー本。 そして山本文緒さんの「群青の夜の羽毛布」に出会った。 ところで、ぼくにはどうしようもない難癖があって、同時代小説を読むと必ずといっていいほど恋わずらいを起こし、自分を見失ってしまうのだ。ピュアな少年心がひょっこり顔を出してしまう。「群青の夜の羽毛布」ではさとるさんにやられたし、この「あなたには帰る家がある」では綾子さんがいいですね。本の中身は前者のほうがおもしろいのに、後者をレヴューすることに決めたのはそういうことなのだろう。ただただ、転落した綾子さんの行く末が気になって仕方ない。更生してほしい。 物語の内容は、まったくの偶然で関わりを持つことになる二つの家庭(佐藤家と茄子田家)が同時に崩れる話。どちらの家庭も肺にこびりつく煤のような空気が充満していくなか、佐藤家の妻の真弓はたくましく成長するのに対し、茄子田家の綾子は堕落していく。夫のほうは両方とも転ぶ。いや、茄子田太郎ははじめからダメですね。佐藤秀明は綾子と不倫の仲になる(妻の推移はきれいなコントラストになっている)。 子供の発育と価値観形成において、これらの家庭に漂う空気ほど良くないものはないが、いつ何どき、どの家庭にも生じ得る怖さと生々しさが、骨身にまで伝わってくるところにこの小説の凄みがある。 >> 続きを読む
2015/10/02 by 素頓狂
身勝手な両親を尻目に、前向きに育った中学三年生のタマコ。だが、大好きな祖父が老人ホームに入れられそうになり、彼女は祖父との“駆け落ち"を決意する。一方、タマコを心配する若い担任教師は、二人に振り回されて。奇妙で優しい表題作のほか、ダメな男の二十年ぶりの帰郷を描く「ソリチュード」、独身の中年姉弟の絆を見つめた「ネロリ」を収録。中編三本。どれも味わい深い、とてもいい作品です。中でも、僕が気に入ったのが『ソリチュード』。東京から日帰りできるほどの故郷へ、二十年まえに家出したきり、三十八歳になるまで帰っていなかった春一(はるいち)。父親の死を人づてに聞き帰郷するのですが、実家の母親は何事もなかったように受け入れてくれます。春一の方が恐縮してしまうほどアッサリと親子関係は修復します。また、家出のきっかけの一つでもあった、当時、恋人関係にあった従妹との再会、従妹の娘との交流、家出をサポートしてくれた悪友との変わらぬ友情。なんだかふんわりと受け入れられ、家出した頃と同じように、春一は自分の生き方に疑問を持ち続けているのですが、流されるまま日々を送ります。そこへ東京で同居している、職場の経営者兼現在の愛人がやってきて…この『ソリチュード』という作品は、山本さんが鬱病から復帰後、初の作品ということで、ブランクの六年というものが作品に、どう投影されているのか、鬱病になる前の作品、表題作『アカペラ』との対比という点でも興味深く読みました。僕なりの感想なので、的を得ているか甚だ心許ないのですが、やはり影ができたように感じました。復帰後の作品『ソリチュード』『ネロリ』では、あらわれる人間たちに影や悪意があります。それまでどちらかというとあっけらかんと表現されていた、そういった負の要素が、復帰後作では重々しく、深々と表現されていて、物語全体に暗く影を落としています。物語の間中、天気はずっと曇り空のような。その分、複雑で甘えのない作品に仕上がっており、僕には好きな部類の小説になっていました。春一が家出を決意する描写は、今おかれている環境、時間を放り出してしまいたくなった春一の感情の盛り上がりが上手に表現されています。そのとたん自転車はバランスを崩し、狭い農道から車輪が逸れた。おれは派手に転んだ。畑に体が放り出された、と思ったら、そこは畑にしてはずいぶんと固いものが沢山転がっていて、何やら異臭がする。痛みを堪えて起き上がりあたりを見渡すと、そこが産業廃棄物置き場になっていることに気が付いた。どちらにしても左半身が泥まみれになった。うんざりした。うんざりしないように、投げ出さないように、踏みとどまってきた。時間が過ぎるのを待てば、やがて事態は良くなるはずだと自分に言い聞かせてきた。従妹と恋人同士だったことで、父親から理不尽と思われた暴力を受け続けた春一は、父親の四十九日の法要で従妹の美緒の娘、一花(いっか)と、その父親の姿を見て、ひとり愕然とします。父親の暴力を理解できている自分に、自分の立っている道が揺らぐのを感じたように思いました。自分の道は誤りだったのだろうか、いや、誤りであることは間違いないが、あの頃の父親の自分に対する怒りは正しかったのではなかったか。急に地面がぐらりとした。地震かと思ってあたりを見回す。そこにいる人々はみな静かに立っていて、誰も揺れを感じている様子はない。そしてくらっとしたのは自分で、地面ではないことがわかった。貧血だろうか、冷汗が吹き出し、立っているのがやっとだった。深呼吸して体勢を立て直す。一花がおれを見て、控えめに手を振ってきた。そのとき、雷に打たれたように、おのれが犯した罪に気が付いた。おれが美緒を初めて抱いたのは、彼女が中学校にあがってすぐだった。目の前にいる一花と同じ歳だった美緒に手を出したのだ。まだ全然子供じゃないか。おれだって子供だったし、双方合意の上だった。けれど一花のあの制服を脱がし、まだどこも丸みを帯びていない幼い彼女の体を征服する男がいたら、それが幾つのどんな男であってもおれは許さないだろう。そして親父は罪を犯した男の父親だったのだ。それは殴るだろう。おれだって殴る。法要も終わり、参列者たちは酒宴に移ります。ここでも春一は、己の生き様が明らかに誤っていたと強烈に自覚させられます。普通を生きている中年の男性には、青春の半ばにして好きな女や、家族を放り出して逃げてしまった春一は、到底、勝てないと感じ、悄然とします。「あの、春一さん。立ち入ったことかもしれないんですけど」彼は頓着せずにそう言った。「目がお悪いんですか?」「え?いいえ?」「サングラスみたいな眼鏡をかけてらっしゃるから、ちょっと気になって」これはオシャレなんですよ。サングラスじゃなくて度が入っているんですよ。わざとこういうのを年中かけているんですよ。そんなことが言えるわけがなかった。負けたと思った。人としてのまっとうさに負けた。そして、もし一花の父親が全部嫌味で言っているのだとしたら、おれという人間そのものが完全に否定されていた。トイレに立つふりをして、おれは立ち上がった。装丁にも魚の干物ののった皿の絵が用いられているように(これは『ソリチュード』の中ででてくる)、著者の思い入れは表題作よりもこの作品にあるように感じました。あとがきでもいちばん行数を割いて紹介していらっしゃいます。繰り返される誤った道程をわかりながらも、また進んでいく春一の、開き直るような生き方にとても共感できました。過去を後悔するのも、誰かに助けてもらうのも、流れのままに。春一という三十八歳の男の人生は面白く、とてもいい、さらりとした感情を残して読み終えることができました。 >> 続きを読む
2014/10/03 by 課長代理
山本文緒の書く女は女の嫌なところを抽出したような感じだ。 男が読むと不愉快になると思う。 家族とは何なのか。 幼い頃から親に刷り込まれてきたものは子供の考え方、生き方に強く影響する。 それが偏ったものであるなら、自分から外の世界と関わって平らにしなければならない。 そうしないと世の中を渡っていくのは難しい。 読んだ後に気分が沈んでしまう。 それにしてもこの母親は怖い…。 >> 続きを読む
年の差15歳!この作品 好きです
2014/08/02 by おれんじ
【山本文緒】(ヤマモトフミオ) | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト(著者,作家,作者)
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