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乃南アサ

著者情報
著者名:乃南アサ
のなみあさ
ノナミアサ
生年~没年:1960~

この著者の本を読んでいる会員ランキング

このランキングは1日1回更新されます。
      凍える牙
      カテゴリー:小説、物語
      3.3
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      • この小説を再読してみて感じた事は、プロットはまとまっているけれど、捜査の過程に驚きはなく、性格描写は丹念だが、個性的ではないという事です。

        ファミリー・レストランでの焼死事件を女性刑事が追求するという、最近、大人気の"警察小説"の一つである、乃南アサの「凍える牙」。この作品は、第115回の直木賞受賞作ですが、正直なところ、果たしてそれほどの作品なのだろうかという感じを抱きます。

        直木賞の選考会では、人物描写が評価されていたようですが、この作品に登場してくる男性刑事は、無骨でつっけんどんながらも、基本的には善意の優しい男という従来のパターンを少しも越えていないと思います。

        そして、この男性刑事が抱えている家庭問題も、刑事ものの小説ではありふれています。夫婦関係に問題があるゆえに----というもので、とにかく、その手のものは数限りなく、今まで読んできたような気がします。

        ただ、この作品を評価出来るとするならば、"犬に関する描写"だと思います。事件の重要な鍵となる犬と、ヒロインの女性刑事が心を通わす追跡場面は、胸がグッとくる思いで、犬好きの人なら、泣く人もきっといるだろうと思えるほどです。

        しかし、読後じっくりと思い返してみても、それ以外に何があるのだろうという、複雑な思いです。刑事のキャラクター以外にも、刑事ものの骨格のパターンを表面的にただ踏襲しているだけではないのかと。

        つまり、男性中心の警察組織に女性の刑事が入り、男性刑事と組んで捜査活動を行なう。そこで相棒や同僚との軋轢が起こり、女性であるがゆえの差別を味わい、障害に立ち向かいながら、時には女性であるがゆえの利点に誇らしさを覚えながら、捜査活動にいそしみ、次第に相棒と理解し合い、事件を解明、犯人逮捕にこぎつける----というパターンです。

        そんな設定の"警察小説"を日本・海外の小説を含めて、今まで、数多く読んできたような気がします。男性を白人、女性を有色人種にするなら、数十冊にものぼるかも知れません。

        そして、これらの小説の多くは、ヒロインと相棒の私生活を覗かせ、時にロマンスを形成したりするのですが、この「凍える牙」では、ロマンスさえ生まれないのです。いや、ロマンスが生まれればいいというのではなくて、二人の関係が初期段階で止まっている事が問題だと思うのです。

        二人の精神的な距離の踏破を、如何に描くかが、この作者・乃南アサの課題ではないかと思います。例えば、海外の作家だったら、会話や行動で徐々に接近して行くプロセスを描き、そこから新たな関係、つまり恋愛でも友情でもいいのですが、そういう関係に入り、捜査の展開でそれを印象づけるようなエピソードを用意して、二人の関係をより強固なものにするとか、そういう描き方をすると思うのです。

        ところが、この作者はそれをしないのです。対立する両者の溝を、二人の心理描写で埋めていくのです。相手が何を考えているかわからないと一方が思うと、すぐに相手の視点に立って心理が説明されるのです。

        二人の対立を際立たせているようで、その実、両者の距離は容易に埋められるだろうと、私のような読者に予想させるのです。つまり、いずれ了解し合える関係であることが、すぐにわかってしまうのです。

        だったら、当然のことながら、了解して、その先に何があるのか、どう発展するのかと期待するのですが、何もないのです----。女の視点と男の視点を描き、多少、心を触れ合わせるだけで終わっているのです。

        ここで、思うのは、この程度で終わっていいのだろうかということです。視点を割らなければ淡い関係もわかりますが、視点を割ってそれはないなと思います。せめてサイド・ストーリーの一つくらいは作って欲しいものです。しかも、視点を割っておきながら、捜査活動のダイナミズムがなかったのも不満が残ります。

        この作品を読み終えての率直な感想は、小説としての"表情に乏しい"ということでした。
        >> 続きを読む

        2016/12/11 by dreamer

    • 他3人がレビュー登録、 17人が本棚登録しています
      しゃぼん玉
      カテゴリー:小説、物語
      4.2
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      • なんかすごくいい話で終わってよかったと思う。この本を手にしたのは自分の住んでる町に近く、私も椎葉村に行ったこともあり、面白そうだったからだ。だから、民放が2局しかないのも、高校がないのも不思議に思わなかった。内容も素晴らしい。自暴自棄に陥っていた少年が宮崎の山奥で、老人と生活するうちに次第に自分の人生を振り返り改心していくとう話だが、主人公の「翔人」の心理描写をうまく描いてある。最後には私もちょっとホロッとしてしまいました。やっぱり、人間って素晴らしいなあと思わせる小説です。 >> 続きを読む

        2016/06/25 by sumi

    • 他2人がレビュー登録、 12人が本棚登録しています
      すれ違う背中を
      カテゴリー:小説、物語
      4.2
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      • 前作いつか陽の当たる場所での続編です。前作ではひたすら前科を知られないように身をひそめて生きて行く重さが有ったのですが、今回はそこを少しづつ抜け出して陽の当たる場所を歩き始めています。
        今回はもっと気楽に、彼女たちの小さな幸せを一緒に楽しむ事が出来ます。
        それでもやはり、小さな幸せを噛みしめながらもいつも付きまとう過去の罪の影が付いて回り、人のちょっとした動向も、自分の過去を云々しているのではないかという思い怯える。分かる気がします。
        前科は困るけれどこんなに心通う友達がいるのはうらやましいな。ここまで分かり合える友を持っている人ってどれくらいいるんでしょうね。
        >> 続きを読む

        2015/03/24 by ありんこ

      • コメント 6件
    • 他1人がレビュー登録、 7人が本棚登録しています
      暗鬼
      カテゴリー:小説、物語
      3.0
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      • 乃南アサさんの作品は、ミステリもホラーも面白いので、余り選ばずに読んできた。
        ところが、この作品は、表紙と題名からの期待がちょっと裏切られた感じだった。

        見合いで気に入って嫁にきたが8人が同居する大家族だった。98歳の下半身が麻痺した曾祖母までいる。
        が、夫を頼りにして入り込んでみると、揃って陰りのない笑顔で、まるで作り物のように笑いかけてくる。何をしても歓迎、喜んでくれる。常に皆が笑顔で褒めちぎられるなんてことなどあるのだろうか。それでも、不思議ではあるが、悪い気はしないで次第に馴染んでいく。
        ただ、ときに不審な人物が曾祖母を訪れる。生活の智恵を授けているらしい。
        しかし暫く暮らしてみると、大家族の家にしては、お互いになれなれしすぎる。障碍者の世話をしている姉と弟も関係が粘つく、性的なにおいがする。

        夜、気がつくと、横に夫がいない。探しに出てみると曾祖母の部屋で人声がする、何か会議でも開いているらしい。その後歩いている曾祖母と祖父の後姿を見たような気がする。

        寝たっきりの祖父の世話をする祖母は、普段は他人に触れさせたくないらしい。

        考えれば、鬱々としてくる。と、家業の米屋と雑貨を売って繁盛しているらしい店を突然閉めて蓼科の別荘にいくと言い出した、一台の車に全員が押し込まれて移動する。そこで奇妙な体験をする。

        帰ると蓼科で儀式が済んだらしい、本式に家族と認められたことになり、すこし内情がわかってくる。ますます変ではないか、どこかおかしい。

        そこで友人に相談する。招いた友人に家族はこれまでになく実に優しい。

        庭で野草を育てている、見るからそれは薬草で、危ない作用をするものがある、曾祖母はそれで悩める人の治療をしているらしい。

        店子の氷屋が全焼して、曾祖母のところに憂い顔で通っていた主人が焼死した。
        これにもなんらかの関係があるのだろうか。

        ますます疑念が深まる。

        友人が庭の見学にと連れてきたは男が薬草に異常な興味を示したが、姿が消えた。


        様々な出来事に気がつく、揃って愛想よく笑いかける家族の裏の顔がついに暴かれる。家族のおぞましい関係。
        不思議な結びつきが暴かれたときは、いつか快い居場所になっていた。友人も引き込まれ新しい血が加わることになる。


        生理的なタブーがじわじわと迫ってくるが、それが自然な流れに感じられるところが筆力か。
        余りなさそうな、フィクションの世界であっても現実ばなれのしたテーマに、多少距離感を感じてしまった。


        >> 続きを読む

        2015/08/13 by 空耳よ

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      風紋
      カテゴリー:小説、物語
      3.7
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      • 上下巻で厚くて(爆)
        なかなか手が出ませんでしたが、読んでみると上巻あっという間に読破。
        人が殺されたけど、ミステリーというよりは社会派小説かな。
        とにかく真裕子が怖い。
        読んでてハラハラする。
        いつどこで膨らんでる風船が割れちゃうんだろう。
        そういう思いで読んでます。
        父親サイテー(--;)
        >> 続きを読む

        2013/05/02 by igaiga

      • コメント 4件
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      風紋
      カテゴリー:小説、物語
      3.5
      いいね!
      • あんなに自分勝手だった父親と姉が変わってきて、建部の優しさに泣けた。
        下巻は裁判がメインでしたが・・・結局殺人1つであちこちで離婚する夫婦が出てくることには残念。
        ラストはとても清々しく厚いながらも読んでとても感動しました。
        >> 続きを読む

        2013/05/02 by igaiga

      • コメント 4件
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      ウツボカズラの夢
      カテゴリー:小説、物語
      2.5
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      • 再読。

        以前読んだときには余り感じなかった不快な気持ちが、今回読んでみると終始感じられて疲れた。
        以前よりも、ひとに対して厳しくなったのかもしれない。

        登場人物の殆ど全員が、好きになれない人間というのは珍しい。
        よくもここまで自分のことしか考えられないひとばかり出てくるなと、ある意味感心する。

        気になるのは、物語に直接関係はないからだと思うけれど、せっかく名前まで付けられている何人かの人物が、その後どうなったか書いていないまま終わっていること。
        わたしとしては、出したものを出しっ放しで終わっているように感じられて、だらしないし気持ち悪い。
        出したらきちんと引っ込めて欲しい。

        結局この話で、ウツボカズラは誰のことなのかという疑問が出るが、わたしは殆ど全員がウツボカズラだったと思う。
        それでも一番ウツボカズラ然としているのは、自分は何もせず、ただ家で暮らしてちゃっかり利益を得たおばあちゃんになると思うのは、解説を書かれた大矢博子さんと同じ意見かなと思う。

        口を開けて虫が落ちるのを待つなんて、わたしには無理かな。
        喉が渇くし、顎が疲れちゃう。
        >> 続きを読む

        2015/03/20 by jhm

      • コメント 6件
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      しゃぼん玉
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね! konil
      • ひったくりを繰り返し人生の意義を見失っていた主人公がとあるど田舎で人間味あふれる人たちに出会い、更生する話。 >> 続きを読む

        2017/04/25 by konil

    • 1人が本棚登録しています
      不発弾
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      • 短編集 
        ゾーとする話  涙の出るいい話  うーんと唸ってしまう話
        いろんなドラマがあって飽きない。
        心理描写の巧みさに引き込まれてしまう・・・

        朝のうちに一気に読んでしまった。   (2010.7.14)
        >> 続きを読む

        2013/01/24 by バカボン

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    • 1人が本棚登録しています
      ニサッタ、ニサッタ
      カテゴリー:小説、物語
      いいね!
      • 突然、会社が倒産したことをきっかけに、どんどん人生がうまくいかなくり住む家すらもなくなってしまった1人の青年の再生物語‼

        最初主人公がうまくいかない人生についてなげていた。彼が人生を嘆く気持ちがなんとなくわかる。うまくいかないと何でとか思う事が多々あったりする(笑)
        自分も彼みたいに、人生を嘆くのではなく、受け入れる勇気を持ち前に進む力を手にいれたいと思った。
        >> 続きを読む

        2016/03/23 by future

      • コメント 3件
    • 1人が本棚登録しています
      鍵
      カテゴリー:小説、物語
      3.0
      いいね!
      • 乃南アサさんの「鍵」です。

        面白かった。ミステリの部分もあるが、少し砕けた家庭小説で、両親をなくして残った三兄弟の絆がメインになっている。
        西家の長女は結婚を前にして、踏ん切りがつかないでいる。
        下の長男俊太郎は25歳、大手商社を三年でやめ、今は管理人生活。耳の不自由な妹が生まれてから、母の愛情は全て妹に移ってしまったという、心の底に意志では解決できない小さな寂しさと、自己矛盾を抱えている。
        俊太郎の古くからの友人で、有作と言う新聞記者が一家の心の支えになっている。
        そして末の妹、麻里子は耳が不自由に生まれついた。母親の献身的な教育で、ゆっくりなら言葉も分かるが、発音が少し独特で、余り早く話せない。

        周りで通り魔があらわれる。若い娘を狙って持っているかばんをひったくって、裂いて捨てるというもので、家の周りに頻発しているので、俊太郎も気が気ではない。記者の有作はスクープ記事にしようと張り切っているが、姉妹の帰宅時間も気になる。

        ところが、電車のなかで追いかけられた男が、麻里子のかばんに鍵を入れていた。
        それが原因ではないかとうすうす気がついてくる。
        しかし、高校生になった麻里子は重荷になっているような自分が、兄弟に自立していることを知らせたい、それで「鍵」のことを相談できないでいる。出来れば自分で解決したいと思う。

        警察も捜査範囲を狭めていたとき、殺人事件が起きる。殺されたのは麻里子のかばんに「鍵」を入れた男だった。
        だがその後、殺人事件が続いて起きる。
        「鍵」を持って一人で聞き込みを始めた麻里子もやがて事件の筋が見えてくる。

        そして、犯人とおぼしい人に面会に行く。

        麻里子の行動の影で、俊太郎は兄としての責任に目覚めていく。
        これが家族が徐々にまとまっていく切っ掛けだった。

        麻里子が襲われ、事件を最もはっきりと見てきた勇作が現場に駆けつける。
        麻里子の命が懸った大事件が起きるが、それはまるでサブスートーリーのようで、三人兄弟+1のタッグが事件を解決する。
        怪我をした麻里子を気遣いながら、その後それぞれの生活を見直し新たな出発をする。

        柔らかい、読みやすい物語で、傑作と言わないまでも、きちんとポイントを捕らえてヒントもちりばめてある。さすが出来上がった作品で、時間があれば読み返してみてもいいくらいの、面白い一冊だった。
        >> 続きを読む

        2014/10/02 by 空耳よ

    • 2人が本棚登録しています
      不発弾
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      • 退屈な日常から逃れられるきっかけなんて、どこにでも転がってる。
        デパート勤務の的場智明は、地味な売り場での仕事に耐える日々を過ごしていた。
        そんな折、息子や娘の、“秘密”を妻までが一緒になって隠していたことに気づく。
        たまりにたまった憂さをはらすために彼がとった行動とは。
        表題作など、現代人の心境を的確に捉え見事な筆致で描く、秀逸短編集。


        短編六本。
        どれも秀作でした。

        『かくし味』
        いつも人気で座るスペースもない人気の居酒屋。
        老夫婦が営むこの居酒屋の名物は煮込み。
        一度食べたら病みつきになると評判の煮込みを目当てに主人公は居酒屋通いを始めますが、飲み友達が次々と亡くなっていくうちに、不気味さを覚えて…。

        ザワザワしながら読みました。
        乃南さんは怪異譚も非常に上手です。
        名物の煮込みの秘密に迫っていく過程が、軽妙でスリリング。
        居酒屋の老夫婦の佇まいも、その言動とは裏腹に何とも不気味ではありました。

        『福の神』
        女将が不幸な結婚から、女手ひとつで板前・使用人を五人も使うまでに育て上げた小料理「茜」。
        通うお客には上客もいれば、他の客からも疎まれる嫌な客もいて。
        仕事の憂さを静かに晴らすはずの小料理屋で繰り広げられる、昼間の仕事の延長戦。
        そんなお客のやりとりにドラマを感じていた女将が、ある日出会った僥倖とは。

        一転して市井の人情話です。
        「生理的に受け付けない異性」に対するサービス業の苦労や、無能で虚勢ばかりの男の、その「仕事の出来なさ」を上手に文章にしています。
        どこかで経験したの?と聴きたくなるくらい。
        最後に嬉しい仕掛けがありますが、それが無くても、そこまでの物語で十二分に楽しめる、これも逸品です。


        表題作も面白く読みましたが、僕が気に入ったのは上記の二作。
        ほかの作家さんの長編を読んでいる合間の箸休め的なものとして、一本ずつ読もうか、と思いつつ気軽に読み始めましたら、最後までサラッと読み終えてしまいました。

        解説で香山二三郎さんも指摘なさっていますが、乃南さんが優れた書き手たりえているのは、女性小説・家族小説という作風を崩さずにいるところだと思います。
        無理をして未知の領域にやみくもに踏み出すのではなく、確かな取材と自分の経験や感覚の中から得られるものを、より深く丁寧に表現されています。
        新鮮味といった点でどうかと思われそうですが、短編でも長編でも失敗を恐れず、読後感を安心して読み始められる作家さんって、そうはいません。
        >> 続きを読む

        2014/09/23 by 課長代理

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      パラダイス・サーティー
      カテゴリー:小説、物語
      3.0
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      • 栗子は結婚願望の強いOL。菜摘は栗子と同級生でバーを経営している。栗子は菜摘のお店の常連客、古窪に出会い一目惚れ。時期に二人は付き合うようになるが、結婚を夢見ている栗子に比べ、古窪はどうも煮え切らない。

        30手前の結婚に対して焦れている女性の姿が妙にリアルです。(気持ちわかる) レズビアンの菜摘に対して、栗子がちょいちょい差別的な発言をするのが私にはあまり理解できませんでした。
        10年以上前の作品なので本文の価値観は少し古いかも。
        >> 続きを読む

        2014/03/25 by aco

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      鎖
      カテゴリー:小説、物語
      4.5
      いいね!
      • 500ページ以上の長編だがぐんぐん読める。

        星野にムカつきながら・・・

        2013/01/23 by バカボン

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      氷雨心中
      カテゴリー:小説、物語
      3.0
      いいね!
      • 酒蔵へ出稼ぎに来た青年は、昔同じ酒蔵で働いていた祖父が女性を案内中、発酵タンクに落ち、共に事故死したことを知る。
        そして彼もまた恋人を連れて酒蔵を案内することに…「氷雨心中」。
        能面、線香、染物、提灯など、静かに自分の技を磨き続ける職人たち。
        だが、孤独な世界ゆえに、周囲の人々の愛憎も肥大してゆく。
        怨念や殺意を巧みに織込み、美しくも哀しい人間模様を描く六つの物語。

        短編六本。
        どの作品も工芸、酒蔵など伝統を重んじる職人の世界を描いています。
        乃南さんにしては珍しく、出来不出来が明瞭な作品集となりました。

        佳作と思われた二編のうち、表題作『氷雨心中』。
        農家を継いだ青年・春山圭吾は農閑期の収入を得るため、恋人を故郷に残し、箱根のある酒蔵へ出稼ぎに出かけます。
        そこには同じように各地の農村から、毎年出稼ぎに来ている先輩各の老人たちがいました。
        圭吾のこの酒蔵への職を斡旋したのは、その中でも杜氏「親方」と呼ばれ、酒造りの中心となって働く同郷の老人・守川松造でした。
        そこで、圭吾は過去に祖父が同じようにこの酒蔵で働き、不幸な事故で亡くなってた事実を知り驚きます。
        しかし圭吾は、職場の人間関係にも恵まれ、はじめのうちは嫌っていた酒造りの仕事にも魅力を感じ始め、次第に一心不乱に取り組むまでになっていきます。
        故郷を離れて、圭吾が遊ぶことを覚えてしまうことを危惧した恋人・朋美が様子を窺いに酒蔵へ訪ねてきますが、そんな心配は杞憂に終わり、ふたりの間には和やかな空気が流れます。
        そこで圭吾は朋美を、職場である酒蔵へ案内するのですが…。

        世代を越えて交錯する妄執。
        酒造りという閉ざされた世界の中で織り成される愛憎。
        取り返しのつかない過去が繰り返される悲劇。
        酒造りの現場を丹念に取材され、その工程や風習、専門用語解説が丁寧に書かれており、知らない読み手でも何の抵抗感もなく読み進められると思いました。
        そして人物造形に関しては比類ない著者ですから、登場人物たちの物言い、思いなどは実に巧み。
        主人公が酒造りにのめり込んでいく描写や、ラストシーンの現在と過去が一瞬の間だけ交叉する描写など、乃南さんならではの技巧に惚れ惚れとしました。

        もう一遍は『泥眼』。
        能で用いる面をうつ職人浅沼は、世俗のすべてを捨てて芸の道を究めんとする老女・市邑緋絽絵から何度目かの面のうち直しを言い渡されます。
        渾身の作への不当な評価と感じた浅沼は、何がいけないのか、どこが駄目なのかを問いただしますが、「私の求めているものではない」という極めて主観的な返答ばかり。
        「泥眼」とは女の執念、情念を表現する厳しい表情の能面。
        そこに緋絽絵は「もっと思いつめた、後悔や自責、郷愁や憐憫をうちに秘めながら、その上で自分の情念に身を任せようとしている顔」「女の妄執と申しますか、たとえ知識や教養があろうとも、いえ、あればなおさら、生霊にまでならなければいられない女というものを。さらにはこの女には、それまでの人生があったのだということも」…そういうことをすべて織り込んだ一作を浅沼に求めます。
        浅沼はなかば意地になり、また自分の中で次第に膨らんでゆく一回り以上も上の老女に対する恋慕に近い感情に戸惑いながら、我を忘れて面を打ち続けます。
        浅沼自身の過去、緋絽絵のひたすらなまでの芸へのこだわりを背景に物語は進み、浅沼が、その面の、額にかかる一本の髪の毛に、女の哀しさを込めた時、緋絽絵が求めていた泥眼は完成するのでした。

        これは傑作と思いました。
        数年にわたる面造りを追ったもので、登場人物も主人公・浅沼、緋絽絵、浅沼の老母、緋絽絵の紹介者Tの四名しか登場しない、長く狭い世界での物語なのですが、その広がり様が素晴らしい。
        ただひたすら面を打ち続ける職人の世界の情念の深さというか、暗く強い雰囲気がびしびしと読み手の心を打ちます。
        さらには、並々ならぬ執念をその芸道に費やす老女の姿、そしてその舞は、浅沼に思わずネクタイを緩め、生唾を呑みこませたものでした。
        ひとりの女性の、自身の、来し方に対する妄執が、見事に描かれておりました。

        残りの四編も駄作とまでは言いませんが、乃南さんでしたら、書きなぐっても書けてしまうと思われる、ごく普通の作品。
        綿密な取材が不可欠でしたでしょうから、それなりにご苦労はあったかと思いましたが、上記二編の前には一顧だに値しない、それだけこの二編は素晴らしく感じました。
        >> 続きを読む

        2014/10/30 by 課長代理

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      未練 女刑事音道貴子 (新潮文庫)
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
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      • 警視庁第3機動捜査隊員 音道貴子の シリーズ

        このシリーズ、いいです。

        2013/01/24 by バカボン

      • コメント 4件
    • 3人が本棚登録しています
      夜離れ
      カテゴリー:小説、物語
      3.0
      いいね!
      • 甘えん坊の摩美としっかり者の朋子。
        摩美の彼氏に一目惚れしてしまった朋子が、摩美の結婚式で行なった禁断のスピーチとは…「祝辞」。
        銀座のホステスから地味なOLに戻り、着実な結婚をめざした〈私〉を襲った突然の不幸…「夜離れ」。
        結婚に憧れる女性たちが、ふと思いついた企みとは?
        ホントだったら怖いけど、どこか痛快な気分にも。
        微妙な女心を描く六つのサスペンス。

        短編六本。
        すべて女性を主人公にしたサスペンスです。
        みんなどこにでもいるような、平凡な幸せを渇望する女性ばかり。
        ふとした行き違いや、思い込みが戦慄の恐怖を呼び覚まします。

        『髪』
        同じ職場で気軽につき合える、少々野暮ったい梢子。
        芙紗子は自分の髪の毛に抜群の自信を持っていました。
        芙紗子は、梢子を引き合いにして男性関係を充実させようと画策するのですが、梢子の変身に、自分が引き立て役に回るはめに。
        暗い怒りと嫉妬が芙紗子の心中に芽生えます。
        職場の仲間と訪れたスキー場で悲劇は起こります。
        ゲレンデでの場違いなタンパク質が焼け焦げた臭いに、芙紗子は人知れず微笑むのでした。

        『夜離れ』
        何となく平凡な人生を歩むものだと確信していた比佐子。
        就職氷河期、大学を卒業した彼女は、初めて思い描いた理想と現実が乖離します。
        就職浪人。
        為すべきこともなく、水商売の世界へ身を投じた比佐子は、思わぬ肌に合う世界に自ら慄きます。
        最後のチャンスと夜の世界に別れを告げ、OL転身を成功させるのですが、無味乾燥な毎日と、目指した<平凡な幸福>の前に疲弊し、遂にはいまや寄る辺とした水商売の世界を、再度歩き出すのでした。

        女性というのは不可解です。
        何人もで集まっていないと落ち着かない、そのくせ腹の中では舌を出し合っている。
        男に厳しい現実を要求するのですが、ディズニーランドの着ぐるみには声をそろえて「かわいい!」と言い虚構の世界を無理強いします。
        不可解な女性の心の動きを、見事に切り取った短編集です。
        乃南さんらしくしっかりまとまっていて、安定感抜群です。
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        2014/11/20 by 課長代理

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      5年目の魔女
      カテゴリー:小説、物語
      3.0
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      • 女性は怖い、というのが良く書かれてるなと思いました。
        女性同士のせめぎ合いや、自分に不都合な事は書き換える、都合の良いことばかり自分の中で変換する女性が書かれていて、偏見だがこういう女性は多いと思う。
        1番この作品の中で女の「怖さ」というものは、「女の勘」
        会った瞬間あいつはヤバイ、裏がある、嘘をついている、など、女性特有の女の感あらためて怖いと思った。
        >> 続きを読む

        2016/10/19 by _____knj

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      いつか陽のあたる場所で
      カテゴリー:小説、物語
      3.5
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      • 自分が人をどれだけ許容できるのか試される本です。
        罪を赦し人を許すこと、それがどういうことなのか、普段考えもしないで日々を送っていますが、
        あなたのそばに、彼女たちがいたら、あなたはどう感じ、どう付き合いますか?

        東京の下町として大人気の谷根千(谷中・根津・千駄木)を舞台に
        ひっそりと、寂しげに、でもちょっと滑稽に、彼女たちは生きていきます。
        だって人は生きていかなくてはならないものだから。

        私は結構受け入れOKだと思います。
        その人その人、みんな違うと思う。
        一律に過去で人を括ってしまうことはできないし、したくない。
        主人公に対して批判的な意見があるのが、正直信じられなかったくらいです。

        (ネタバレなしで感想を書くのが難しい作品だな~)

        この作者は人の書いたことのない分野で小説を書きたいと考えているのかもしれない。
        ちょっと面白い人だと思う。
        >> 続きを読む

        2012/02/21 by 月うさぎ

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      禁猟区
      カテゴリー:小説、物語
      3.0
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      • 短編集なので読みやすかった。

        警察官の規律違反や犯罪を、隠密裏に調べていく、監察官という部署の人たちの話。
        だが警官が犯罪の罠にはまっていく経緯が、少し物悲しく、厳しい規律の中で働く人たちの、哀歓もうかがえる。

        「禁猟区」
        違法な風俗営業の実態を調べていくうちに、ホストはまった婦人警官。

        「免疫力」
        子供の病気が助かった民間薬を、同じ立場の人に知らせ、少しでも役立てばと思った警官。
        声をかけたのがヤクザだった。信じたヤクザはやはりヤクザな人間だった。

        「秋霖」
        時効直前まで追い詰めた犯人。刑事の執念が自分の仕掛けた罠に落ちる。

        「見つめないで」
        管理官の女性に片思いをした、無骨な警官が思いついた作戦は。


        あまり周囲から好意をもたれない監察官も、必要な部署である。
        しかし、間違えばスパイと呼ばれかねない隠密行動や、内部告発に近い警官狩り。

        調べた裏に、犯罪とはいえ、隠れた警察官の物語があった。

        面白い視点で書かれた小説で、読みやすい上に感情移入も容易。
        ありがちだろうと言うストーリーも読ませる腕は確かだ。

        あまり目新しい話ではなく、警察小説もいろいろと出すぎた感がある。

        乃南アサさんは音道シリ-ズが面白い。
        >> 続きを読む

        2015/07/30 by 空耳よ

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【乃南アサ】(ノナミアサ) | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト(著者,作家,作者)

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