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立石泰則

著者情報
著者名:立石泰則
たていしやすのり
タテイシヤスノリ
生年~没年:1950~

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      さよなら!僕らのソニー
      カテゴリー:電気機器
      4.0
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      • 2016年は、日本電機メーカー史的に言えば、シャープが台湾資本の鴻海に買収され、また殆ど時期を同じくして東芝が家電部門を中国・美的集団に売却した歴史的な年として記憶されるだろう。

        「(前略)これからのソニーは、どうなるんですかね。相変わらずリストラが続き、ソニーの優秀なエンジニアは外へ出て行くしかないんでしょうか。世の中を驚かせるような製品は、(ソニーからは)もう出てこないし、期待もしてはいけないのでしょうね」(p285)

        ソニーOBが筆者につぶやいた言葉だという。しかし、「ソニー」の部分を日本のその他メーカーに置き換えても違和感なく通じてしまいそうなところに、革新的な商品を開発できない日本家電メーカーの苦悩がしのばれる。

        内容の紹介に入ろう。第一章と第二章では筆者自身の体験を交えながら1960-80年代におけるソニーの「神話」と90年代以降の凋落を描いている。私のような世代にとってはソニーだけが強いブランド力を保持していた、というのは新鮮な驚きだった。

        第三章では「日本一・世界一」を目指すパイオニア精神こそがソニースピリットであり、2000年代にそれが失われつつあることを嘆いている。

        第四~七章が本題で、創業者の手を離れたソニー経営陣の歴史を追う。1982年の大賀時代から、出井時代を経てストリンガー体制でソニーがどのように変質したのかを述べている。端的に言えば、テレビをはじめとする家電製品は「端末」に過ぎず、その先のコンテンツこそが重要であり、そのために低価格路線を打ち出し、リストラを断行するという思想だ。自ら技術を捨て、テレビを中心とするエレキ事業の軽視を痛烈に批判している。

        筆者が残念がっているように、1999年の「AIBO」や、翌年に発売されたPDAの「クリエ」は確かに「ソニーらしさ」を感じさせてくれる。「クリエ」に電話機能を付けていればスマートフォンに化けたかもしれない、というのは夢のある話だ。ウォークマンのように世界を変えてしまう可能性のある商品は、今の家電業界には残念ながら見当たらない。

        しかし、筆者の言うようにテレビの本流である「高精細化・大画面化」を推し進めることが本当にエレキ事業復活につながるのだろうか?丁度4年前のロンドン・オリンピックの際もテレビの買い替え需要が期待されていたが、それほど売れなかったと記憶している。「デザイン重視」も筆者は批判しているが、今の家電はデザインと機能の両立を求められている時代ではないか、と門外漢の私なりに思う。ソニーが手本とすべきは英ダイソンのような、機能・デザイン・ブランドのバランスを取る戦略ではないだろうか。この点だけは本書で今一つ腑に落ちない。

        大賀氏・久多良木氏の失政を描いていないという批判もあるが、全体としてソニーの沿革が良くまとまっており、なおかつ読みやすい。贅沢を言うと、略年表があればもっと良かった。ソニー入門としてもうってつけで、類書や他の企業の本も読んでみたいと思わせる良質なノンフィクションだ。
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        2016/08/19 by 飛車香落ち

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