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北村薫

著者情報
著者名:北村薫
きたむらかおる
キタムラカオル
生年~没年:1949~

この著者の本を読んでいる会員ランキング

このランキングは1日1回更新されます。
      月の砂漠をさばさばと
      カテゴリー:小説、物語
      3.8
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      • 母と娘のささやかで優しい日常がつまった短編集。
        とにかく可愛いんだけど、ふとした瞬間にひんやりとしたさびしさとか切なさが見え隠れするあたり(そしてそのさびしさや切なささえあたたかい何かに包まれてるあたり)、さすが北村薫というか…

        とはいえ、たぶん言われなければ(というか作者名が記載されてなかったら)北村薫が書いたとは気づかなかったです。
        この人、男の人だと知ったときも驚いたんだけど、こういう話も書くんだとまた驚かされてしまった…(笑)

        個人的には表題作の月の砂漠をさばさばとが一番好きでした。

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        2016/02/15 by kon

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      六の宮の姫君
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
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      • 芥川龍之介「六の宮の姫君」にまつわる書物探索。
        以前「太宰治の辞書」を読んで、このシリーズの魅力にハマってしまった。
        主人公はまだ大学生。
        だが、書物に関する謎解きは、主人公の年齢にかかわらず、面白い。
        芥川と菊池寛ら文豪との関係を、主人公とともに参考文献から読み進めていく面白さ。
        自宅に居ながら、手っ取り早く多くの文献をのぞき見できる気楽さ。
        たまらない!

        この1冊で、他の作品への興味も沸く。
        作品中に出てくる「近代日本文芸読本」。
        これは、凝り性の芥川が心血を注いで編集した、5冊148編からなる文芸作品アンソロジー。
        …読みたい!!
        いつも利用する図書館になかったので、県立図書館に予約。
        近いうちに手元に届く。
        私の力じゃ、難解なものも多いだろう。
        だけど、100人の読者がいれば100の物語が生まれる。
        「小説は人に、同じ解答を与えはしない。」
        この小説の受け売り文句だが、これからもこの気持ちをもって、本に向き合っていこうと思った。
        >> 続きを読む

        2016/05/30 by shizuka8

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      スキップ
      カテゴリー:小説、物語
      3.8
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      • ―まどろみから覚めたとき、17歳の<わたし>は、25年の時空を軽々飛んで42歳の<わたし>に着地した。

        高校・大学時代は恋にときめき、愛される喜びを得たり、友人との関係が上手くいかないことに真剣に悩んだり。
        社会人になってからは、慣れない仕事に失敗しながらも一つ一つスキルを身につけていきました。
        社会人1年目~2年目は、仕事、プライベート共上手くいかないことが多かったな。
        お局にもイジメられましたw
        仕事の経験値を積み、合コンで旦那と出会い結婚。
        いつの間にかアラサーで、人間関係のあしらい方を覚えたりなんかして、不満はあるも仕事に慣れた分余裕を持って会社に行く毎日となりました。

        これ、私の年表です。
        主人公の一ノ瀬真理子はこれよりもっと長い人生を"スキップ"してしまいました。
        この間の経験値が丸々ない状態です。

        目が覚めたら娘がいて、夫がいて。
        それだけでもパニックなのに、大好きな両親はすでに亡くなっていました。
        助けを求め大声を上げて泣きたい、そんなことができる存在がいないことの辛さに苦しくなりました。
        また、外見も大きく変わっています。
        眠る前まで見ていた、なんでも似合うきれいな顔や肌、体型が、目を覚ますと中年の体型に。
        目の前にいる娘は同じ17歳、素敵な服を着こなします。
        ツラい・・・ツラすぎる・・・・・・・・・
        時空を超えなくてもだんだん付いてくる脂肪はツラいというのに。

        ―誰か、教えて下さい。時は、取り返すことが出来るのですか。

        始めの衝撃こそあれど、真理子は今の状況を受け入れ、穏やかに学校生活が続いていきます。
        全体的に優しい雰囲気ありますよね。
        生徒たち一人ひとりへ真剣に向き合う真理子自身も、教師として成長していってるようでした。
        学級日誌のコメントがあたたかい。
        ただ、いくら夫が同じ職業とはいえ、教える側として無難にこなしていることに違和感を感じました(・_・;)
        中身17歳の高校生が、42歳のベテランと同じようにこなしてしまうのでは、立場ないなぁ。

        彼女を取り巻く環境が、学級崩壊や、DV夫のいる家族でなくて本当に良かったです。

        大きな展開はなく、いつか元の時間に戻れるんじゃない?と楽観視してしまうような穏やかな日々を送ります。
        いやいや、そんな上手くいくはずがない、そんな不安も抱えながら。

        エピローグは、真理子の気持ちの一つ一つが突き刺さり、苦しさで本を持つ手が震えました。
        こんな残酷なことってない。
        なのに読了後は、不思議なくらい爽快感もありました。

        おもしろい本に出会うことは多くても、この本のように記憶に残る本というのはあまりないように思います。
        いい本に出会えて嬉しい。

        この本をおすすめしてくださった課長代理さんに感謝x2です。
        私一人で読書をしていたら絶対に出会えていません!
        ありがとうございました(*^_^*)
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        2015/03/16 by あすか

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      坂木司リクエスト!和菓子のアンソロジー
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
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      • 基本的に、和菓子が好き。
        年に、数回ではあるが、買って帰宅し、家族で食べることもある。
        知らないお菓子もたくさんでてきているが、どれも、美味しそうでたべてみたいと思う。
        やっはり、和菓子なので、ふんわり・やんわりとしたストーリーが合うように思う。
        上手いな~という作品も結構ある。

        やはり、あんこ、それもつぶあんが好みなので、そこにフォーカスしてもらったりすると、もっと楽しめるかも・・・などと、欲張ったことも考えてしまった。
        饅頭が食べたくなった。
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        2015/07/16 by けんとまん

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      空飛ぶ馬
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
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      • 探偵役が真打の落語家円紫、主人公は女子大生の私。北村薫さんのデビュー作だそうだが、もう面白くて止まらなくなった。
        何気ない日常の謎、ありふれた中に混じって気が付く不思議な出来事が、胸がすくように論理的に、説明しながら絵解きをしてくれる。「私」をとりまく家庭も学校もいたって平和で、三人の友達も個性は違っても雰囲気が暖かい。
        ほのぼのとした江美ちゃん、落語好きの私。ズバリと飾り気のない会話をするが、心根の優しい正ちゃん。
        落語の演題がいろいろ出てきて、少し噺の中身も紹介してくれるのが嬉しい。



        短編が5つ

        織部の霊
        最近古田織部のエピソードを読んでいたので、最初に出てきた名前でビックリした。
        大学の先生がまるで覚えのない織部の夢を見ると言う。

        砂糖合戦
        円紫さんと喫茶店に入ったら、女の子の三人組が砂糖壷を何度もまわしていた

        胡桃の中の鳥
        円紫さんが蔵王で研究会を開くので誘われた、友人と三人で旅先を蔵王にした。そこの宿で可愛い女の子を見かけた。

        赤頭巾
        絵本作家の女性と知り合いになった、その家の前の公園の麒麟の前に、時々赤頭巾が立っているという。

        空飛ぶ馬
        働き者の青年が、店先に飾っていた木馬を幼稚園に寄付をした。だが、一日その木馬が消えてしまった夜があるという。


        どれも些細な謎かもしれない、私なんか?が頭の上に出るようなことがあってもまぁいいかと流してしまっている。そのくらいちょっとしたことを、円紫さんが解き明かす。ほのぼのとして筆が暖かい。「空飛ぶ馬」はなんだかほろっとしてしまった。

        勢いに乗って、シリーズの4作「夜の蝉」「秋の花」「六の宮の姫君」まで買ってそろえてしまった。

        北村さんは博識で、文章も味わい深い。引用されてい本まで読みたくなる。それもいつかと思っている。






        比喩や抽象は現実に近づく中断であると同時に、それから最も遠ざかる方法であろう。現実に苦しみに思いを致すときにそう考えないわけにいかない。

        「元気?」
        声を上げながら近づく私たちに、江美ちゃんは二人分――両手を胸の前に広げて、夜を迎える前に現れた気の早い星の輝きのように振ってみせた。

        「そういえば――」
        「何よ」
        「稲花餅、食べるぞ」「あら、忘れてた。感心するわね、凄い執着」
        「執着のないところに達成はない」
        笑ってしまう正ちゃんのせりふより


        知で情を抑えることはできるのに、その逆は出来ないのです。そこが知で動く人間の悲しさではありませんか。そういう意味で知は永遠に情を嫉妬せざるを得ないのでしょうね
        「赤頭巾」解決後の円紫師匠の言葉


        ごまめさんのレビューでこの本に出会えました。田舎の家にいた頃学校から帰ると誰もいませんでした。ラジオをつけて宿題をしながら聞いていたのが丁度落語の時間で、あれはこういう噺だったのかと気がついたものもありました。、そのうち繁盛亭に行ってみようかと思いましたが、こうして片足突っ込み抜き差しできないくらい深入りするのかな、用心しなければと思っています。
        >> 続きを読む

        2015/05/29 by 空耳よ

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      夜の蝉
      4.0
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      • 「円紫師匠と私」シリーズの第二作目「夜の蝉」「、最初に読んだのが一作目の「空飛ぶ馬」
        二番目にに読んだのが三作目の「秋の花」、次に読んだのが五作目の「朝霧」、
        そして今回が二作目の「夜の蝉」、最後は既に手元にある四作目の「六の宮の姫君」、
        こんな飛び飛びの読み方する人も稀では・・・エヘン。

        でも、主人公の「私」が、学生だったり、社会人だったり、読んでいて違和感がないのは
        仲のいい存在の春桜亭円紫さんが、案内係のごとく常に傍にいてくれるからか・・・・。

        この「円紫師匠と私」シリーズの好きなところは、ミステリーと言われながら
        死んだり殺したりが無くて、日常のちょっとした不思議な出来事に疑問を持ちながら、
        師匠と一緒に謎解きにあたるところ・・・そこには伏線として落語の演目がでてくる。

        今回は「山崎屋」、「鰍沢」、「つるつる」ですが、でもすべて上方では馴染みの少ない
        江戸落語ばかりで、師匠の言葉で説明されるまでまったく検討もつかず、
        ちょいと遠い存在になった「夜の蝉」でおました。


        追伸、表紙の絵の主人公、結構好きなタイプでおます。
        >> 続きを読む

        2015/08/31 by ごまめ

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      秋の花
      カテゴリー:小説、物語
      3.3
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      • シリーズ三作目で初めての長編、最大の謎を残して死ぬ人がでる。ミステリらしいミステリになっている。

        「私」は大学の三年になった。御馴染み正ちゃんが中性的な魅力で賑わしてくれる。

        「フロベールの鸚鵡」という本が出ましてね、その中に「紋切り型辞典」のパロディが入っています」
        「おやおや」
        「その紋切り型を引用するのは俗物の証明みたいなものだけど、ルイ・ブリエというフロベールの友達は胸のない子にこういったそうよ。《心のすぐそばまで近寄ることができていいじゃないか》」
        「そいつ、人がいいか、もの凄く嫌な奴かどっちかだね」(引用)

        《えぐれ》と私に言っておいて正ちゃんはあっさりと片付ける。


        近所に仲のよい二人組がいた。私は小さいときから知っていて、今では後輩に成長した。落語の「お神酒徳利」のようにいつも一緒でニコニコして入学の挨拶に来てくれた。津田真理子と和泉利恵。
        百舌の声がするようになった頃、利恵の蹌踉とした、魂が抜けたような姿を見る。
        夏休み前、恒例の大イベントだった文化祭の行事が中止になった、生徒会が主催する行事にこの二人も参加していたのだ。私も生徒会でその慌しさを経験していた。
        だが、津田麻里子が屋上から転落して死亡。文化祭は取りやめになった。
        そのショックからか利恵は不登校になり自分の中に閉じこもってしまった。

        利恵は幼い頃、秋海棠が咲く麻里子の家の垣根のところまで三輪車できて呼びかけて友達になった。揃って高校生になったとき、二人の軌跡は断ち切れてしまった、利恵の喪失感は絶望に届くほど深い。


        ポストに他殺を匂わせる教科書のコピーが投げ込まれた。麻里子の棺に入れたはずの教科書だった。

        私は円紫師匠の智恵を借りて謎を解いて利恵を救いたいと思う。

        犯人は誰か、どうして真理子は落ちたのか。


        私は思う

        ――「アヌイ名作集」のアンティゴーヌも「ひばり」の乙女ジャンヌも大人になる前にその生を終える。それでは生きながらえた時、少女の純粋はどうなるのか。しょせん、純粋は現実のあやうい影に過ぎないのか

        私の誕生以前に生まれた人の生は、見えようのない部分があるだけに無限に過去に広がっているように思える、しかし津田さんにはそれがない私は生の有限を突然目の前に提示され、それに戸惑ったのだ――

        卒論のテーマは私に決められた運命のように《芥川》と口に出す頃になった。作家論は誰を論じても自分を語ることだと言う意識がある。
        円紫さんに悩みと疑問をぶつけてみる。

        ――「ずっとこちらですか」ふと円紫さんがいった。
        人は生まれるところを選ぶことは出来ない。どのような人間として生まれるかも選べない。気が付いたときには否応なしに存在する《自分》というものを育てるのはあるときからは自分自身であろう。それは大きな不安な仕事である。だからこそこの世に仮に一時でも、自分を背景ぐるみ全肯定してくれる人がいるかもしれない、という想像は、泉を見るような安らぎを与えてくれる。それは円紫さんから若い私への贈り物だろう。
        ここは、未来を絶たれた、私よりもさらに若い子の町でもある。――

        珍しいことに扉に秋海棠の写真がある。文中の二人の少女が出逢った垣根の根元に咲いていた花である。淡いピンクの瑞々しい花で、薄紅色の細い茎が枝分かれして小さな花が下がり気味に咲く。
        昨年9月に三千院に満開の秋海棠を見に行った、私もなくなった友を偲ぶ花なので秋の初めになると落ち着かない。
        木陰や水辺を好み、ぎゅっと握り締めると 掌の中で水になって流れ出てしまいそうな花だが、文中では人を思って泣く涙が落ちてそこから生えた花だと書いている。
        北村さんは花の名前にも詳しい。

        この物語は、二人の少女に関わった私の後日談だが、二人の子供を持った母親の話でもある。悲嘆にくれながらも残った少女をいたわる、秋海棠は娘を亡くした母親の心を象徴する花でもある。
        >> 続きを読む

        2015/06/05 by 空耳よ

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      朝霧
      カテゴリー:小説、物語
      4.3
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      • この本は、ページ数が少ない割りにデータ数が多くてなかなかレビューか書けなかった。引用して残しておきたい部分も多い、買ってきたので本棚に保存して、折にふれ取り出して読み返せばいいと思うが、書き残す作業で少しは残る記憶が鮮明であって欲しいと思う欲もある。

        これで「円紫師匠と私シリーズ」が終わる。たまたま読んだ本だったのに随分影響を受けた。読書の幅がすこし広がった気もする。
        子どもの頃から本好きできたが、なぜこんなに読むべき本を読み残していたのか、ここで気がついた。
        読書に向かう姿勢を見直すことが出来たということが、このシリーズを読んで一番感謝するところだ。
        博覧強記で知られる北村さんの文章が、温かく地味豊かだということが、読み続けるもとになっていてとても後味がいい。
        最近「太宰治の辞書」が出たが、図書館に予約した、随分先になるようだ。


        山眠る

        《私》は卒論を提出して、卒業後の研修プログラムも出来、就職先の人たちと付き合う時間が増えた。学生生活で限られていた行動半径も広がっている。
        たまたま小中で同級生だった本屋の子と出合った。今は本屋を継いでいると言う。そこで母が通っている「俳句の会」の先生の噂を聞いた。
        彼は「先生がいい年をしてエロ本をごっぞり買いこんで行った」という。
        顧客情報をそんなに安易に漏らしていいのだろうか《私》は気分がよくなかった。
        うちでは母は先生が俳句の指導をやめるのだと残念がっていた。母から最後に先生が披露した句をきいた。
         生涯に 十万の駄句 山眠る

        《私》は先生があちこちでエロ本を買っているわけを知る。偶然出会ったのでそれとなく話すシーンがいい。先生の最後の句の意味もいい。
        この章は、眼から鱗の俳句の話がメインになっている。

        「走り来るもの」

        《私》は卒業して勤め始めた。
        この章は二者択一の妙というものがテーマだ。「女か虎か」女王が愛した若者の前に檻が二つある、王族との禁じられた恋というので裁判にかけられている。檻にはそれぞれ「美女と虎」が入っている。王女はそれ知っていた、若者は教えてくれると期待している、サテどちらを開けたのか。そこから男と女の愛の話になり、源氏物語の「すこし」という言葉にうつっていく。
        円紫さんの落語も効果的にでる。
        短いが読むのが実に楽しい。

        さてあの美人のお姉さんが、しどろもどろで電話をかけてきた男性と結婚してはや女の子がうまれた。めでたい。

        「朝霧」

        三角関係の人たちの、コンサートのキップをめぐって起きる謎を解く。
        円紫さんから「仲蔵」の話を聞く。

        鎌倉に行ったついでに教師になった正ちゃんの家に泊まり江美ちゃんの赤ちゃんを見に行くことになる。

        二人で数字ばかりの和歌の謎、漢字ばかりの和歌の謎を読み解く。解が面白い。


        メモ

        《蚊柱のいしづゑとなる捨て子かな》池西言水
        「この言葉に芥川が敏感でない筈はありません。少なくとも実の親からはなされた子という題材に対して、敏感でない筈はないとおもうのです」
        わたしはそれを知った時、芥川が言水の句を読んだ時の心の揺れを、一瞬、共有したような気がした。
        これからも私は本を読んで行くだろう。そして本は、私の心を様々な形で揺らしていくだろう。

        無数の人が私の前を歩き、様々なことを教えてくれる。私は先を行く人を、敬し、愛したい。だが、人に知識を与える《時》は、同時に人を蝕むものでもあるのだろう
        <山眠るより>

        「たまたま 山本健吉の「新撰百人一首」というのを見ました。加藤楸邨は何が選ばれているのかと思ったら《日本語をはなれし蝶のハヒフヘホ》でした」
        「僕にはわからない。仲間に俳人がいますのでね《これはいいものですか》と聞いたら、じっと見て――《いい》」
        「《いい》といえるものがそれだけある。見えることは世界が豊かだということでしょう。羨ましいと思いますよ」
        <円紫さんのことばより>

        夢の世界は個人のものである。当人が言わない限り、誰にも覗けない。絶対の謎である。そこが見たくなったときに起こる奇妙なもどかしさ。
        《知りたい》という噺より


        いい本を読んだ。北村さんの本は後三冊買ってある。ついつい億劫になるが、読み終わったものは忘れないうちに書いておかないといけない。
        >> 続きを読む

        2015/08/06 by 空耳よ

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      9の扉
      カテゴリー:小説、物語
      5.0
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      • 『くしゅん』北村薫
        『まよい猫』法月綸太郎
        『キラキラコウモリ』殊能将之
        『ブラックジョーク』鳥飼否宇
        『バッド・テイスト』麻耶雄嵩
        『依存のお茶会』竹本健治
        『帳尻』貫井徳郎
        『母ちゃん、おれだよ、おれおれ』歌野晶午
        『さくら日和』辻村深月

        お題だけのリレー小説かと思ったら、ところどころワードがリンクしてたり、がっつりストーリーに絡んでくるのもあったり。また、完全に単独の話もあったり。
        おもしろかったです。
        辻村さんのお話から最初の話につながっていくんですね。

        "ブラックジョーク"でそれまでのオールスターが登場、"バッド・テイスト"は最後まで気が付かなかったです。
        "帳尻"よりもひどいことになっている"母ちゃん、おれだよ、おれおれ"。
        辻村さんの"さくら日和"は、桜かと思いきやサクラのことで。小学生のときに、こんな思いをしたことがあったなぁ。悪いことしたわけじゃないのに、居心地の悪い恥ずかしさというか。久々に思い出しました。。。

        どれもおもしろく、かなり濃い1冊です。
        >> 続きを読む

        2014/11/27 by あすか

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    • 3人が本棚登録しています
      紙魚家崩壊 九つの謎
      カテゴリー:小説、物語
      3.3
      いいね!
      • 最後のおとぎ話ちゃんと面白かった。
        遊び心満載!
        ファンタジーだけど所々リアルで、しかも引用が時代も国もバラバラだったり。著者の博識さとセンスの良さが光るなと思う。
        >> 続きを読む

        2017/02/13 by W_W

    • 3人が本棚登録しています
      タ-ン
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      • 読了日は適当。だけど当時のことははっきり覚えてる。中学一年生のとき、何故か買ってもらったこの本を、カバーもせずに学校でちょっとづつ読んでた。文体がけっこう独特で、読めるかな、と思ってた。で、ある男子が、その本良いよね、好きだよ。と話しかけてきた。そう、と適当に応えて、結末はどうなるのと聞いた。彼は、教えない、でも素敵だと思う、また本の話をしてもいい?と言った。それから家で読了し、赤面し、初恋と相成りました。
        今では彼と音信不通だけど、この本を読むたび甘酸っぱいあの空気を思い出す。
        >> 続きを読む

        2016/05/19 by kido

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    • 8人が本棚登録しています
      ひとがた流し
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      • これが「月の砂漠をさばさばと」の続編だと知らなかった。NHKでドラマになっていたのも知らなかった。
        読むに連れてあのほのぼのとした母と娘の暮らしを思い出した。あ~いい本だったな。
        この本は作者と題名が気になったので手に取った。流れると言う言葉に少し拘って、というより生きていくことは言葉にすればそういうことだと日ごろから思っているし。「ひとがた流し」いい題名だと思った。


        今度はお母さんの牧子さんと二人の親友の話になる。

        メインは、独身のままアラフォーを迎えている千波。二人からは「トムさん」と呼ばれている。
        駆け出しの報道時代を経て念願のメインキャスターの席を得た。そこで悪性の腫瘍が見つかる(胸の悪い病気と書いてある)


        もう一人美々は子連れで離婚、今は写真家と結婚している。結婚したときはまだ物心ついていなかった子供は実の父親だと思っている。この親子関係が実に温かく、高校生になった娘が父の写真を理解して同じ目で写真を写し始めている。このあたり、優しさとともに、実子でない親子にある現実が少し重荷であって、どう解決しようかというあたり、心温まる結末がジンとくる。

        サバの味噌煮を作りながら歌っていたお母さんの牧子さんと、大学受験前のさきちゃん、時間は流れ、それぞれ三組の家庭の話も、あたたかいふれあいの中で時が過ぎている。

        千波は局で知り合った後輩のイチョーヤさん(君)と最後の時間をすごすことになる、このあたりは出来すぎかもしれないが、事実は小説よりも危なり。そういうこともありかもしれず。大きな試練を越える千波に最後の贈り物は哀しくて美しい。


        そんな、目の前の厳しさも包み込むようないい本だった。
        >> 続きを読む

        2015/12/07 by 空耳よ

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      タ-ン
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      • 毎日特定の時刻になると、くるりんと元に戻ってしまう。

        不思議な時の世界に一人迷い込んでしまった主人公。

        でも、赤い糸で結ばれた(この表現古い?)人と繋がっていた。 

        ゆっくりとお話が進んでいく。

        ミステリーだけど、純粋なLOVEストーリー。


        「ただいま・・・」

        私はだれと繋がっているのかしら・・・   

        えっ?切れてるって??( ̄Д ̄;;
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        2013/01/25 by バカボン

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      月の砂漠をさばさばと
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
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      • 母と子むの会話でお話が進む。

        さきちゃんはのいかけにお母さんがのんびり答えるけれど、内容は決して絵空事ではない。
        突然、どきりとさせられる。

         タイトルからてっきり一人ぐらしの女の人の少しさみしい話だと思っていたが、全然違った。

         二人ぐらしの女の人たちのちょっと寂しい、おかしみのある話だった。
        >> 続きを読む

        2014/09/19 by B612

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      リセット
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
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      • ほとんど一気読み

        輪廻、生まれ変わり・・・ あるのかな・・

        なかなか感動的なお話だった。



        読み終わってちょっと昼寝をした。

        店をしていた頃(だから25年以上前)の実家に帰った夢を見た。
        店の中の商品棚の並び方や、一つ一つの商品まで鮮明で
        (今はリフォームして居間になっている所)
        母も若くて、懐かしかった。

        これはちょっと違うけど・・・時を超えてきました。
        >> 続きを読む

        2013/01/25 by バカボン

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      謎物語 あるいは物語の謎
      4.0
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      • 裏表紙の紹介からj

        物語や謎を感じる力は、神が人間にだけ与えてくれた大切な宝物。名探偵も、しゃべるウサギも、実は同じものかもしれない、―― 博覧強記で知られる著者が、ミステリ、落語、手品など、読書とその周辺のことどもについて語り起こしたはじめてのエッセイ。宮部みゆき氏の応援メッセージ、謡口早苗氏のメゾチントも収録した待望の文庫化。




        ミステリについて語り解説を紐解く、興味深く面白く、ミステリの世界について改めて考えさせられた。
        共感、同意、新知識が頭の中をマッサージする、これが嬉しくて本を読むのかと思うような一冊だった。

        引用は文字の色が爽やかな青色で、読みどころ、作品のポイントがうまくまとめられ、超短編は全文引いてあるところもある。

        謡口早苗さんのメゾチント(版画)これも幻想的な図柄が青い色で押されて、一区切りを飾っている。表紙もそうだが初めて見てすっかり好きになった、美しい。(初めてのものに出会うととても嬉しい)

        引用したいところばかりだが、最近関心があるので、第7回、芥川の《昔》から

        いかなる現実の事件があろうとも、現代日本は、古今東西を通じて最も人の命の高い国であろう。そこに生きる書き手にとって、人を殺す、というのは難しいことである。
         ところで芥川龍之介は、自分が歴史物を多く書くことについて『澄江堂雑記』のなかで、こう語っている。

        テーマを芸術的に最も力強く表現するためには、ある異常な事件が必要になるとする。その場合、その異常な事件なるものは、異常なだけそれだけ、今日この日本に起こったものとしては書きこなしにくい。もし、しいて書けば、多くの場合不自然の感を読者に起こさせて、その結果せっかくのテーマまでも犬死にをさせうことになってしまう。



        わたしは芥川の作品の原点の一部に触れた気がする、続いて「現代世界文学全集」第一巻からルナールの「村の犯罪」を挙げている。さすが面白くて、納得して楽しんだ。

        これだけでもこの本を一読する価値がある。

        上げればきりがないが、最も心に残った作品があったので孫引きだが書き写して、忘れないようにしたい。




        中川正文氏の「口説の徒」 福武文庫「現代童話Ⅱ」で読んだ、まずお子さんの友君の詩。


        五足の上靴

        さんかん日に
        おかあちゃんがきて
        帰るとき
        ぼくのげたばこをあけたとたん
        「ひゃー、上くつ、いっぱいあるやん。すててしまい」
        と、いうたやろ。

        ぼくは、それいわれるのん ひやひやしてたんやで。
        なんでか、いうたら、
        二年からの、上くつ、げたばこに、ためててん。

        ぼくの思いでが、いっぱいある上くつやし、もったいない。
        奈良先生にも、いわれたんやけど
        すてへんかった上くつやねん。

        いちばんぼろぼろのは
        三ヵ所ほど、でかいあながあいてるけど
        およめにいった
        千賀先生とも、遊んだくつや。
        運動場も走ったし
        雪の上もふんだし
        勉強もしたし
        ぼくのシンボルや。

        今のくつも、もうあかんようになったけど、
        運動会の日まで、はいてやったし
        また
        ためとくねん。
        そやし、
        「すててしまい」と、いわんといてや。

        この詩が、三年生の教科書の採用された。ところが、友君はひどく浮かぬ顔をしている。聞いてみると《「アホらしくて、ものもいえんわ。おとないうたら、ゼンゼンわかっとらん」》教科書を見た中川氏は《唖然となった》こうなっていたという。

        古い運動靴

        おかあさん、
        じゅぎょうさんかん日に
        ぼくのげたばこをあけたとたんに、
        「まあ、古い運動靴がとってあるのね。すててしまいなさい。」
        と、いったでしょう。

        ぼくは、
        それをいわれるのを、ひやひやしてたんだよ、
        なぜかというと、ぼくの思い出がいっぱいあるくつなんだもの。
        二年のときのくつなんだよ。

        三ヵ所ほど、大きなあながあいているけど、
        よその学校へかわられた中野先生とも遊んだくつなんだ。
        暑い運動場もかけまわったし、
        雪の上もふんだし、野球のときもかつやくしたし、
        ぼくのたからものなんだ。

        今のくつも、もうだいぶんふるくなったけど、
        きょねんの運動会で、二とうをとったくつだし
        また、ためておくんだ。
        だから、
        「すててしまいなさい。」
        なんて、
        かんたんにいわれては、こまるんだよ


        《よくもこれだけ見事に言葉を殺せるものだ》と感嘆するしかない。

        端的に言えば――格調が違いすぎる。《およめにいった千賀先生》それがなんと《よその学校へかわられた》!


        というエピソードなども交えながら、ミステリの核になるトリックを、前例のない形で作り出す難しさなども語っている。

        すこし前に何冊か読んだ、コリン・デクスターの解説があったのもうれしかった 読んでいてわーいわーいと喜びたかった。


        最後に140ほどの書名索引がある、漏らさず読むには時間が足りないあぁ。

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        2015/08/13 by 空耳よ

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      鷺と雪
      カテゴリー:小説、物語
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      • 良家の令嬢が見る昭和初期、それは不安定な時代を映し出している。
        「不在の父」「獅子と地下鉄」「鷺と雪」の短編3部収録。

        謎な事件をお抱え運転手ベッキーさんこと、別宮みつ子さんが解決。
        彼女の冷静な思慮と行動に感服する。

        時は昭和11年。
        自動車、天然色映画、国産カメラなどの文化や技術の革新。
        そんな華やかさの反面、
        華族の男の失踪、受験勉強さなかの男子の補導、許婚との運命。

        文明化する夢広がる裏で、華族という華やかでありながら、
        しがらみや良家の維持。
        そして、軍国化する世相。

        カラフルのようなグレーのような、時代を思い描く。

        「善く敗(やぶ)るる者は亡びず」

        ベッキーさんが、漢書の一節を引く。
        太平洋戦争へと泥沼化する雰囲気を暗示するように。

        勝つことだけが、最善ではない。
        相手を立てることも、大切だ。

        自分の主義主張ばかり唱えて、調和を軽んじる
        平成のわがままな人達への警鐘にも感じる。

        読後、じんわりじんわりと、この言葉が胸に残る。
        直木賞受賞になった決め手かもしれない。

        「人間の善き知恵を信じます」

        それは、これからも、我々人間が信じてやまないことだ。
        >> 続きを読む

        2014/09/02 by てるゆき!

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      街の灯
      カテゴリー:小説、物語
      3.7
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      • 昭和7年が舞台。まだ、戦前からの爵位が残り、上流階級という別世界が公然と世間の中に位置していた頃。主人公の花村英子もそういった家庭のお嬢様で、士族に属し社長を勤める父の元で伸び伸びと育っている。
        そこに進歩的な父の計らいで女性運転手が採用された。英子の通学の送り迎えや外出の供をする、ほかにお芳さんという付き添いもいる。という生活で、この女性運転手の苗字が別宮(べっく)という。
        丁度集まりで「虚栄の市」という言葉が出て、気になって、自宅にあった原本を読んでいたときで、その主人公レベッカ・シャープに因んで、彼女を「ベッキーさん」と呼ぶことにした。それがそもそもの始まり。
        ベッキーさんは武芸にも秀で、文学的な素養も深い、そこが読者には謎なのだが、どういう背景を持った人物なのか好奇心をそそられる。
        シリーズは三部作なので、これは面白そうだと期待した。

        事件は身近に起きることもあるが、英子が日常の会話の中や事件について、ふと疑問を持ってベッキーさんに話すことから始まることが多い。

        中篇三編が収められている。


        虚栄の市

        花村英子は麹町のうちを出て、皇族、華族、貴族の子弟の通う学校に通っている。女子ばかりのおっとりとした気風で、言葉遣いも独特なものが多い。その中で英子は軍人の家系で士族、財閥系の会社を経営している家柄で、帝大に通う兄がいる。まぁ庶民には無縁の育ちで裕福な生活の中にいる。ときにはそういった上流階級だけの季節の集いに、招かれたり招いたりという付き合いをしている。

        指折りの資産家である有川伯爵家の「雛の宴」に招かれた。令嬢が英語の達者な英子に興味を持ち近づいてきて親しくなり、誘われたのだ。

        華族の集まりには園遊会という名前で折に触れての集まりがある。
        「雛の宴」帰り際、有川家の友人八重子姫から「花さん《ヴァニティ・フェア》って何のことかしら」と訊かれた。

        ここからサッカレーの「虚栄の市」の話になる。

        ここまでで、英子の暮らす上流階級のしきたりや学校生活がうまく紹介されている。
        大正からの生き残りのような階級の話なのだろうか、よくある、生活に困らない別世界に住むお嬢様が、庶民の生活を珍しく監察するような物語、そんな暮らしが舞台だと距離がありすぎて面白くないのでは、というのは杞憂だった。
        気風のいい美人のベッキーさん、物怖じしない英子さんは、「ベッキーさんと私シリーズ」三冊を十分楽しませてくれた。


        銀座八丁
        進歩的な父親が就けてくれた運転手のベッキーさんの運転で銀座に出かける。当時の服部時計店にいき、そのころの風景を描き出す。
        また華族の桐原邸に招かれる、そこには軍参謀本部付けの大尉である兄がいた。健康的な人物でベッキーさんを認め世情について話したりする。
        戦前ではあるが、こういう軍の階級制度には、いつしか不穏な未来を暗示させる部分もある。
        ここでのミステリ部分は軽い、学校で流行っている暗号を解くと言うもの。兄にも友人の謎賭けがあって、それが銀座と関わりがあり、ベッキーさんと街の裏道を通り、貧しい庶民の生活を感じる。そういった世界も知っているベッキーさんの話から、英子の世界が広がっていく。


        街の灯

        表題になった三編目は読み応えがある。
        夏になると軽井沢に行き恒例の避暑生活に入る。学校の友人たちも同じようなもので、道でであったりする。
        招かれた映画会で人が死ぬ。今回の謎解きのテーマ。
        だが、それだけではない、年頃のお嬢様が、将来を選ぶ時、しきたりや生活の安定、家同士のつりあいなど、拘らなければやすやすと手に入れることが出来ることに少しの不満と、大きな安心を感じていることもまたありがち。
        検事で作家の叔父がちょっと顔を出しているところも面白い。

        「街の灯」はチャップリンの映画から採っているが、そこの部分がとてもいい。話を引き締めている。

        英子はどう育つのだろうか。ベッキーさんの目から広い世界が見え始めてくる。


        作者の安定した穏やかな筆致を楽しみながら、「即興詩人」を引き「ブッポウソウ」について知る。様々な雑学(博学)が彩る中を読み進めることが出来る味わい深い一冊になっている。

        余談だが、私が初めて持ったペンタックスの「アサヒペン」らしい描写がある、普通なら一齣分のフィルムに二枚写せる。時代が違ってもこうしてあのカメラは生まれたのかと嬉しかった。

        参考にされた巻末の沢山の文献を見ると、当時の風景を忠実に織り込みながら出来上がった小説が読めることが嬉しい。
        >> 続きを読む

        2016/01/22 by 空耳よ

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      鷺と雪
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
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      • 一人の上流階級の少女の成長物語完結編。
        「街の灯」からずっと見守り続けたいただけに、ラストに連なる”事件”を想像すると、胸がつまる。
        表紙が物語全体のイメージとピッタリ。
        可憐で儚く、美しい物語です。
        >> 続きを読む

        2013/06/06 by アコチム

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      とっておき名短篇
      カテゴリー:小説、物語
      5.0
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      • 最近、体調もほどほどに回復、そうなると時間どおりのんびりはもったいない。朝のウォーキングは別として、一日気分的には駆け足で過ごす。朝がきたと思えばすぐ夕方が来る。秋の昼間は慌しく、息継ぎのようなゆったりとした黄昏がきて日が沈む。
        ほっとして、よくやったと自分を誉めつつ夜の部に入る。エンジンも程よく冷えたところには、明日も何とかなるだろうと焦りを沈め、本を開いたり、溜まった録画を消化したりする。
        やり残しや、心残りを読点で締めていないけれど、あれやこれやはひとまず明日回し。何もかもいちにちで済まそうとするほどの若さとは、とっくの昔にお別れして、明日は明日、なんとかなるさ、というのは「風とともに去りぬ」の受け売りかな。
        名作の一文は、軽い文章でも味わいがあるものだ。


        そこで「とっておき名短編」

        短編を避けていた時期が長かったが、長編のつもりで買った短編集が面白かった。それから短編のよさや手軽さに気がついたのだから遅い。


        これはまず題名どおり面白かったし、長編で馴染みの作家の、珍しい作品を紹介され世界が広がった。もちろん編者のおふたりに勧められた12編は、一気に読んでしまえるくらい面白かった。


        特に、初めて知り、目を見張るほど驚いたのは、特に世界でマルチに活躍していると言う「飯田茂美」さんの「一文物語集」

        読点で収まる一文の中に。ホラー、SF その他、様々な要素の含まれた、大きな背景を想像させる一文物語の面白さはバツグンだった。

        108編の中から少し引用してみる。


        夜警の警備員をしながら、彼はいくつもの古典悲劇を暗誦したが、この何十年かのあいだ、口から出す言葉といえば、「こんばんは」「お疲れ様でした」など、いくつかの挨拶だけだった。

        15
        深海魚に会おうとした揚羽蝶が、海面にへばりついている。

        21
        教室中の机が青く透明になってゆき、授業中だというのに床から一斉に浮かび上がって、窓から次々と抜け出していった。

        31
        きっぱりと断られたのにも挫けず、なんとか弟子にしてもらおうと数年間その老人のあとを尾っけ回して山奥へ踏み入り、ふたたび平伏して入門を願ったところ、青年のほうではじめから人違いをしていたことが判明した。

        62
        師匠のいえから預かってきた巨石の重みで、1歩1歩沼地へ足がはまっていって身動きが取れなくなり、せめて自分よりも送れて沈むように石を頭上に掲げ持っている。

        63
        盗賊の首領が、ある晩洞窟の奥で宝石をちゃらつかせながら、突然、幼いころ自分が盗賊になろうと思い至った理由を想い出し、がばっと立ち上がるや単身馬を駆って、郷里へ砂糖菓子を買いにいった。

        71
        わたしが愛しているのはあなたの囲いこんでいるものじゃなくって、あなたっていう薄っぺらな膜なの、と水溜りに浮かんでいるあぶくが隣りのあぶくに耳打ちした。

        84
        街を見おろす塔の頂上に据えつけられた彫像は、数百年間人間の群れを眺め続けているうちに、だんだん虚ろな目つきになっていった。

        88
        奴隷として売られていく夫の足にすがりついて妻が泣きじゃくっているうちに夫は連れされれてしまい、片足だけが残った。

        98
        二本並んだ切り株が、かって見はるかした遠景や、集まってきた様々な鳥たちの思い出を、愉しげに語り合っている。

        101
        一本の腕が地面から突きだしており、周囲の土をどんなに深く掘っても、なかなか腕につながる胴体が現れない。

        まだまだ挙げきれないが「e本の本」から「一文物語集」として出版されているそうだ。


        ほかに「ほたるいかに触る」 蜂飼耳
        「運命の恋人」 川上弘美
        「絢爛の椅子」 深沢七郎
        「異形」 北杜夫

        さすがにお二人の選ばれたものはどれも甲乙つけがたい、ただ単に好みに偏するが、上の4編が意表を突かれてというか新しい発見があって読んでよかった。



        >> 続きを読む

        2015/12/19 by 空耳よ

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【北村薫】(キタムラカオル) | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト(著者,作家,作者)

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