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【なかなか凝った理系ミステリ】 自分の読書傾向を振り返ってみると、圧倒的に日本の現代作家の作品を読んでいないことに気付かされます。 決して日本の現代作家が嫌いだというわけではなく、作家によってはそれなりに読んでいるものもあるのですが、非常に売れている、あるいは当然読んでいるであろうと思われる著名作家の作品をまるで読んでいないということが結構多く、もう少し読んでも良いのではないかと常々思っていました。 どうも、他に読みたい本があり、日本の現代作家は後回しになっているようです。 そこで、一念発起(というほど大したことではないのですが)して、ネットで日本の現代作家のお勧めを探し、それぞれの作家の代表作、お勧め作品を少し読んでみようと思ったのです。 その第一弾が本書なのでした。 真賀田四季は、天才的な女性プログラマーでしたが、14才の時に両親を刺殺したために刑事訴追されますが、多重人格障害が認められて無罪となりました。 真賀田一族の莫大な資産により、愛知県妃真加島が買い上げられ、そこに情報プログラミングの先端的研究施設が作られ、四季は以後その施設で生活するようになったのです。 とは言え、それは研究所の地下二階から一切外に出さないという生活であり、研究所の職員ともメールやモニタ越しでの会話のみをするという実質的な監禁生活でした。 その期間は何と15年にも及んでいるのです。 さて、本作の主人公役を務めるのは、N大学の建築学科助教授の犀川と、その教え子に当たる大学生の萌絵です。 萌絵は、資産家の娘であり、また、その一族には社会的な有力者が目白押しという設定になっており、萌絵は四季に関心を抱いたことから、一族の力を背景にして妃真加島の研究所を訪問してモニタ越しに四季と話をする機会を得たのでした。 かねてより四季の天才振りに驚嘆していた犀川は、萌絵が四季に会えたことをうらやんでおり、可能なら自分も会ってみたいものだと思っていました。 それなら、ということで、四季に会えるかどうかは別として、犀川ゼミの夏合宿を妃真加島で行おうということになりました(島は真賀田一族の所有ではありましたが、萌絵の一族の力を使えば、島でキャンプする程度のことは可能になるということです)。 妃真加島にやって来た犀川一行ですが、さっそく萌絵に誘われて犀川は島の研究施設を訪ねたのです。 その時、事件が起きました。 15年間も研究所で幽閉生活を送っていた四季が何者かによって殺害されたのです。 四季が生活していたエリアは、閉鎖されており、内側からは扉を開けられない構造になっていました。 ところが、その唯一の出入り口が内側から開き、両手両足を切断され、ウェディングドレスを着せられた四季の死体が自走式ロボットに載せられた状態で閉鎖エリアから出てきたのです。 それと同時に、研究所を管理していたコンピュータシステムが異常を起こし、電話やメール等、外部との連絡手段が不通になってしまったのです(着信は可能なのですが発信ができなくなります)。 取りあえず、四季の死体が出てきた他には閉鎖エリアから誰も出てこない内にそのエリアを閉鎖しました。 中にいるはずの殺人犯を閉じこめた……というわけですね。 この事件が起きた時、研究所長の新藤は、自家用ヘリコプターを操縦して四季の妹を迎えに出かけていたのですが、その新藤から間もなく研究所に到着する旨の連絡が入りました。 とにかく警察に連絡しなければなりませんから、新藤が到着したら事情を報告し、ヘリコプターの無線を使って警察に通報してもらうことにしたのです。 研究所にヘリが到着し、四季の妹が降りて来ました。 副所長は、すぐに操縦席にいる所長に事情を説明し、無線で警察に連絡して欲しい旨を頼み、四季の妹を研究所に案内したのです。 しかし、いつまで経っても所長は研究所に入って来ませんし、何の連絡も入りません。 不審に思い、もう一度屋上のヘリポートに行ってみたところ、なんと、所長はヘリの操縦席に座ったまま、首の後ろを刺されて殺されており、ヘリの無線も破壊されていました。 殺人犯は何らかの方法で閉鎖エリアから出てきたのか? 確認するために閉鎖エリアを開けて中を調べましたが誰もいませんでした。 という、なかなか緊迫した、かつ密室+外部と孤絶された無人島を使った謎が設定されたミステリになっています。 物語の展開はテンポが良く、文庫で約500ページというボリュームの割にはあっさりと読了できてしまいました。 犯人当てを楽しみたいという読者にとっては、すべての手掛かりが与えられているフェアな作品というわけにはいかないと思いますが、かなりトリッキーな謎なので、本格ミステリfanもそれなりに満足できるのではないでしょうか。 但し、そのトリックの実現可能性という点については、ちょっとそれはいくらなんでもという点はありますが。 また、作品の設定が1994年ということになっているせいもあり、作中で語られるコンピュータ関係の蘊蓄話はかなり古く感じてしまうのは仕方がないところでしょうか。 キャラクター造形に関しては、犀川も萌絵もなかなか楽しいキャラとして作られており、テンポの良さに貢献していると感じました。 総じて及第点は優に与えられる作品であり、評価が高いのは肯けました。 なるほど、森博嗣の作品はこういう感じだったのか。読了時間メーター□□□ 普通(1~2日あれば読める) >> 続きを読む
2020/05/05 by ef177
全てがFになるシリーズの2作目。推理小説としても楽しめるのはもちろん、西之園と犀川先生の会話も楽しめのが特徴的。今回はタイトルの通り密室での事件が起こる。まだ読んでいる途中ですが犯人がまだ分からずじまいで毎日続きが気になり読んでいます。 >> 続きを読む
2017/11/21 by GLAY
タイトルにある「やりがいのある仕事」を必ずしも否定しているわけではなく、それを仕事に見出すことにこだわらなくて良いといった話です。本書の肝となる主張は概ね以下に集約できそうです。①仕事は人間の価値を決めるものではない②自分が本当に必要とするものを見極める③社会がどうなっていくのか意識する④他人の目を気にしすぎない(①②にも関連する)4章のQAは蛇足にも思えました。 >> 続きを読む
2020/09/09 by ikawaArise
森博嗣さんは、元国立大の助教授で工学博士と名乗っている"理系"の作家さんだけあって、そっち方面の用語が沢山出てきます。"真性"文系の私は、読んでると私の頭に?が積み重なっていったが、ストーリーを追う分には支障がなかったので、そのまま放置して読み通しました。私は松本清張をはじめとして、社会派推理小説を読むことが多かったので、この作品のような典型的なパズラー小説はなかなか新鮮な感じがしました。といってもこの作品が書かれたのは1996年でもうかれこれ20年もたっているんですね。登場人物の真賀田四季という天才工学博士がなかなかのキャラで、謎解きよりもこのキャラの謎めいた人間離れした所が印象に残りました。森さんは本書を含むS&Mシリーズ(このシリーズだけでも10冊)ほか、Vシリーズ、スカイ・クロラシリーズなど、かなりの著作があるので、少しずつ読めたらなぁと思います。 >> 続きを読む
2017/11/09 by Reo-1971
師走ということで、私自身も仕事がたて込んでいて全然本を読む時間が無くようやくこの本を最後まで読むのに時間が掛かりました。 このシリーズにしては読みやすく(でも所々数式が出て来ます)トリックの謎解きも比較的解かりやすいです。只、この作家は何故「スクータ」「ツーシータ」「コンピュータ」など最後の伸ばす「-」線を書かないのかが不思議です。誰か解かる人いませんか? >> 続きを読む
2017/12/23 by rock-man
今回はロック好きには思わず「オッ」と言わせる内容です。萌絵と一緒の大学生でロック歌手が登場する話しですが、その歌の歌詞が事件と絡んできます。内容やトリックはもはや安定した面白さだ。今回の目の付け所は犀川先生と萌絵の関係で、萌絵が好きと告白した所です。でも犀川先生は笑ってかわしますが、まんざらでもない感じ。これから二人の恋の行方が気になります。 >> 続きを読む
2019/04/13 by rock-man
前巻「幻惑の死と使途」で、ちょっとした細工が施されていました。それは、偶数章がありませんでした。そして「夏のレプリカ」は、奇数章がありません。この2冊は、2冊揃って初めての1冊になるのです。話も、「幻惑の死と使途」と同時期に起きた事件です。事件の結末も、悲しいものでしたが、面白かったです。 >> 続きを読む
2015/03/06 by ゆずの
Vシリーズ第一作。前から気になっていましたが、やっと読む事が出来ました。この作家は相変わらず、読みずらい名前を登場人物につけますね~(笑)。でも文中にあれやこれや色々と伏線が仕掛けられていますね。この密度の濃さは流石ですね。 この謎解きには、必ず騙されます。まさか、この人が犯人かよと、なります。このミステリーにはゾロ目が絡んできます。最後の方では、麻雀の話しが出て来ますが、犯人の人が良く上がる役がニコニコ(チートイツ)。この役は二個ずつ同じ牌を揃えて上がる簡単なよく初心者が使う上がり役です。この件からもゾロ目が絡んできます。昔よく麻雀をやった者にしたら、ニヤリとします。麻雀まで絡むのかよと、感心します。言ったらキリが無いので止めますが、予想を上回る位面白いです。 >> 続きを読む
2017/11/25 by rock-man
著者の作品は講談社文庫版を出版順に全部読んでここまで。 タイトルから、S&Mシリーズの後日譚をイメージしていたんだけど、前日譚なのね。 四季の子供時代を舞台に、S&MとVシリーズのキャラクターが絡んでくる構成。 謎は提示して、解けるヒントを散りばめるだけ。 本格のテーマを社会派の手法で料理したキャラクター小説。 食玩のお菓子の如くの謎で引っ張りつつ、キャラクターの配置で楽しませる、Vシリーズからミステリ要素を減らしたような構成な印象。 勝手に本格ミステリを期待してたので、ちょっと肩透かし。 >> 続きを読む
2019/10/31 by 猿山リム
S&Mシリーズの前日譚でありVシリーズとも絡む間賀田四季を主人公とする物語の2巻目。 「すべてがFになる」の直系的前日譚であり、前作までを読んだ読者は先の展開が分かった状態で読むことになるわけで歴史小説を読む感覚。 外伝として事件の背景を垣間見られるのは面白い構図ではあったが、推理小説(ミステリ)を期待すると、とうとう微塵も要素が無くなってしまった。 謎は提示もされず、解かれもしない。 ミステリファンとしては食玩のお菓子程度にでもミステリ要素を絡めて欲しかった。 ライバルが登場しないからかな。 >> 続きを読む
2020/01/22 by 猿山リム
森助教授VS理系大学生 臨機応答・変問自在。森博嗣先生の著書。学生たちのあらゆる質問に対する森博嗣先生の回答をまとめた一冊。学生たちの質問は大真面目な技術的なものから何だかふざけたようなものまで様々だけれど、森博嗣先生、森博嗣博士はどれに対しても謙虚な姿勢で真面目に簡潔に回答していて内容も印象的。森博嗣先生、森博嗣博士のような先生が世の中にもっと増えると、学校に行って授業に出席するのが楽しみで仕方がないと思う学生も増えそうです。 >> 続きを読む
2019/06/16 by 香菜子
有名な著者でありながら、読むのは初めてでした。訳ありの大きなお屋敷に住む、綺麗な女性から兄を探してほしいとの依頼から、話がスタートします。お屋敷の謎が気になって、一気に読んでしまいましたが、すっきりしないというのが、正直な感想です。お屋敷の謎がよくわからなかったし、エピローグもイマイチ理解できませんでした。 調べると、他のシリーズとリンクしていたことがわかりました。シリーズの一作目からと思いましたが、読む順番、もう少しリサーチすれば良かったです。 >> 続きを読む
2020/07/04 by youda
今回は、電車で起きた連続切り裂き事件の犯人を探す依頼を受け、調査する内容です。被害者は4人おり、調べる中で同じメンタルクリニックに通院している患者だったことがわかります。 依頼を受けた3人は、被害者や医師に話を手がかりに、事件を探ってゆきます。直感的な小川と分かっているこてから筋道を立てて考る真鍋のやり取りが面白かったです。 切り裂き魔が犯行に及ぶ心理、この作品にも記されていましたが、もっと知りたくなりました。 >> 続きを読む
2020/07/25 by youda
「四季」というタイトルで、真賀田四季を語る話を紡ぐにあたって、普通のミステリではつり合いが取れないというのもわからないでもない。 なら、いっそう最初からフルスロットルでSFでもよかった気がしなくもない。 S&Mシリーズ、Vシリーズを完全に把握したシリーズファンに向けてのみ構成された印象。 言わんとする内容は何となく理解できなくもない気はするけれど…。 正直、彼女の天才ぶりが発揮されるミステリを期待していたので、ギャップの方が大きかった。 もっと楽しさが分かり易かったら嬉しかったというのが本心。 >> 続きを読む
2020/07/10 by 猿山リム
とてもシンプルで人生の教訓となりそうな事が書かれている、にも関わらず、若干押しつけがましい文体が全体の印象をガッツリ盛り下げてしまうのがかなり残念。「私が正しい」と言う書き方ではない、もっと別の表現方法があったのかも。あくまで森氏の主観・・・と言う執筆者の姿勢をむしろ通してくれた方が、説得力が倍増したのではないかとも思う。説教がましさがかえって書籍全体の印象を悪化させてしまった、サンプルのような本。逆に自分がエッセイを書く時の、良き反面教師となってくれそうだけど(笑)。 >> 続きを読む
2015/10/09 by mikicafee
再読。森博嗣は某国立大学助教授だったが、メフィスト賞でデビューし、SMシリーズで人気を博した。建築関係の研究者としても極めて有能だったらしく、大学時代は漫画サークルで活躍するなど、レオナルドダヴィンチのように多才な人である。本作は森の代表作の一つで、タイトルからもクリスティへの深い造詣が伺われる作品である。森博嗣は多数の小説を発行しているが、本作とSM物が本格ミステリとして出来栄えが図抜けている。森に関しては、小説中でも独自の理系的発想が話題になったが、実は日記やエッセイにおいてその発想は濃厚となっており、とりわけウェブ上でも公開されていた初期の日記ではアイスピックのように尖った森の思想に触れることができる。 >> 続きを読む
2019/05/10 by tygkun
芸術と研究が似たもの、という考え方にはとても共感できた。「考える」ということについてより考えさせられる内容。 >> 続きを読む
2015/08/24 by shiki
「すべてがFになる」の続編がなかったのでこちらに移行してみた。独特な文体になれないといけないな。このシリーズは。 >> 続きを読む
2014/10/07 by MUSICA
自分で何かに気付くヒントになることがいっぱい書かれている。・そんなに不満を言うなら、どうしてまたそれを手にするのか。・非常識な行動ではなく、常識を覆す理屈に価値がある。・ほとんどの人がその通りだと言う言葉には商品価値がない。・欠点というのは、はっきりわかっていればカバーできる。読んでいて面白いと思いませんか?この人、きっと頭良いんだろうなぁ。 >> 続きを読む
2013/10/29 by mahalo
世紀の怪作「すべてがFになる」で、ミステリ好きを狂喜させた森博嗣の3作目の作品が、今回読了した「笑わない数学者」です。森博嗣との出会いは、京極夏彦以来のインパクトを私に与えてくれました。森博嗣の作品の魅力は、いわば"理数系の本格謎解きミステリ"とも呼ぶべきもので、その緻密な構成、論理的な展開は驚嘆に値します。理数系人間の"人間性喪失"は、ヴァン・ダインの「僧正殺人事件」以来、謎解きミステリの欠かせない要素となってきたと思いますね。そして、森博嗣ミステリの根底にあるものは、人間存在の不確定に対する、飽くなき探求心であると思う。探偵役は女に縁のない助教授の犀川。このブラウン神父型の探偵を補佐するのが、これまたウルトラ世間知らずの女子大生の萌絵。このバッドチューニングなコンビのロマンスが、このシリーズにいい隠し味を出していると思う。第一作は、全館コンピュータ制御の絶海の孤島の中の奇怪な研究所の地下室での三重密室殺人を扱って、度肝を抜く展開へと私を翻弄しました。二作目は、比較的オーソドックスな密室殺人ものでまとめられていました。そして、この三作目で前面に出るのは、"消失トリック"なのです。三ツ星館という、平面図を描けば串ダンゴのように見える館がある。この地下には伝説的な天才数学者が隠遁生活を送っている。そして、ここであるものが消失する。神のトリックと言えば、我々ミステリ好きならニヤリとする、あのトリックだ。そして、謎の解明は、この作品でも本当のドラマの終わりではない。解決編の次に置かれた最終章が、真のメッセージを発してくる。森博嗣ミステリは全てそうなのですが、今回は特に最終ページにテーマが凝縮されていると思う。地面に円を描く。またがないでこの外に出る方法は? この問いは形式論理で問われるものではなく、実は物語が抱えた真のテーマなのです。こんな離れ業を成し得たのは、過去においてはエラリー・クイン唯一人だと思う。あらためて、我々の時代のミステリは、怪物的な進化を遂げてきているように思う。 >> 続きを読む
2018/01/25 by dreamer
【森博嗣】(モリヒロシ) | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト(著者,作家,作者)
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