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小川洋子

著者情報
著者名:小川洋子
おがわようこ
オガワヨウコ
生年~没年:1962~

この著者の本を読んでいる会員ランキング

このランキングは1日1回更新されます。
      博士の愛した数式
      カテゴリー:小説、物語
      4.2
      いいね! tadahiko masa920 mahalo caramel sunflower syuna Dies_irae Moffy ryoji Booklover ooitee
      • 非情に簡潔な内容ながらも、喜怒哀楽が感じられる博士とお手伝いさんとその子供のルートのやり取り。

        80分しか記憶が持たない博士は、多くのことを数学に例える。
        それは素数であり定理である。
        更には阪神時代の江夏豊の記憶が多くのことで絡む。

        最初こそ非現実的だが、次第に数学のやり取りが楽しくなってくる。
        1から10を足すと出るのは55。
        簡単だがじゃあ1から百や千となると、すぐに計算できる法則を見つける必要がある。筆算では解けないから。

        まるで数学を習っている感覚だが、この雰囲気は独特。
        小川さんの作品は初めて読んだが、どの文も非常に柔らかい文体。
        他作品も読んでみたくなる。
        >> 続きを読む

        2019/03/16 by オーウェン

    • 他33人がレビュー登録、 153人が本棚登録しています
      猫を抱いて象と泳ぐ
      カテゴリー:小説、物語
      4.2
      いいね! 825 hinataboko
      • 【チェック・メイト!】
         とっても面白かった! 本作はチェスの名手を主人公としたチェスにまつわるお話なんですが、設定や仕掛けが大変面白い上、小川さん一流のやさしさや細やかさに溢れていて大好きな作品です。

         子供の頃からあまり友達がいなかった主人公は、ある時、学校のプールに浮かんでいた水死体を発見してしまいます。
         そのこともあって一層みんなから敬遠されるようになるのですが、その水死体はバスの運転手だったと聞き、そのバス会社の社員寮に行ってみます。
         そうしたところ、社員寮の庭には古いバスが置いてあるではないですか。
         不思議に思って中を覗いたら、大層でっぷりとした男性がそこに住んでいました。
         この男性と友達になり、チェスを教えてもらうのですね。
         そこから、彼のチェス人生が始まるという物語。

         彼には作中でも名前が与えられておらず、そのチェスの指し手が美しいことから、チェスの詩人とうたわれた名人アリョーヒンの名前で呼ばれるようになります。「リトル・アリョーヒン」と。

         彼は、チェスを覚えて間もなくしてから、考える時にはチェス・テーブルの下に潜り込むようになります。
         そこで、猫を抱きながら、相手が打つ駒の音から打った場所を知り、完全にブラインド・チェスで戦うようになります。
         その方が集中できるようです。
         これがタイトルの一部になっている「猫を抱く」ですね。
         「象と泳ぐ」にも意味がありますが、それは読んでのお楽しみ。
         
         作中、自動チェス人形が重要な役割で登場します。
         ご存知ですか?このチェス人形。実際にあったんですよ。
         ターバンを巻いたトルコ人の姿をしていて、チェス盤とつながった箱の上に上半身だけ乗っている人形。

         この人形、考えることができるんです。人間とチェスの対局ができるんです。
         当時は見せ物としてあちこちでチェスを指していたそうです。
         箱のなかには歯車などの機械がぎっしり詰まっているという人形。
         どうして、機械がチェスを指せるんだろう? 考えることができるんだろう?と、一大センセーションを巻き起こしたそうです。
         ポオもこのチェス人形を取り上げた作品を書いています。「メルツェルの将棋指し」という作品ですが、ポオはこの作品の中で見事にこのからくりを暴いてるんですね。

         本作ではリトル・アリョーヒンと彼の周りの素敵な人達が描かれています。
         途中、涙が出そうになる場面も……(最近、涙腺弱いので、これでも泣いてしまいます)。
         
         もう☆5つつけても良いのですが、一点だけどうしてもダメだった描写があるので一つだけ減らします。
         それは、リトル・アリョーヒンは生まれた時から唇がふさがっていたため、出産直後に手術をして唇を開けたんですが、その際に脛の皮膚を移植したため、大きくなったら唇にすね毛が生えるようになったという部分。
         この唇スネ毛の描写が結構繰り返し出てくるんですよ。
         しかも、結構もじゃっと生えているような描写なのですが、これだけは生理的にダメでした。
         そういう設定にする必用があったのかしら?
         別に唇からスネ毛が生えなくてもいいじゃないのといまだに思っています(大体、そんなことあるの?と思うし)。
         それ以外は全く素晴らしい作品でした!
        >> 続きを読む

        2019/02/25 by ef177

    • 他11人がレビュー登録、 29人が本棚登録しています
      博士の愛した数式
      カテゴリー:小説、物語
      4.3
      いいね!

      • 小川洋子の第55回讀賣文学賞小説賞受賞作「博士の愛した数式」を読み終えました。

        交通事故のせいで、記憶の蓄積が1975年でとどまり、以降80分間しか記憶が持続できなくなった数学者の博士。
        家政婦紹介組合から派遣され、博士の身の回りの世話をしている「私」。
        阪神タイガースファンの10歳の息子。

        「博士の愛した数式」は、著者・小川洋子の小説が常にそうであるように、行間から温かみがほのかに立ち昇ってくる、愛にまつわる物語だ。
        でも、それは激しい感情を伴う愛ではない。

        「私」の息子を、頭のてっぺんが平らだから「どんな数字でも嫌がらず自分の中にかくまってやる、実に寛大な記号、ルート」と名づけ慈しむ博士の、幼き者に寄せる無償の愛。

        世界の不思議と歓びと真実を、数字と数式で詩的に表す博士に向けられる「私」とルートの深い敬愛の念。

        博士の記憶が続かないから、毎日、初対面同士として出会い直す三人の間に、それでも蓄積されてゆく礼儀正しくて、しかし少しもよそよそしくない親愛の情を示すエピソードの数々が素晴らしい。

        記憶障害のために、背広のあちこちにメモを留めている博士。
        なかでも、一等大切にされている「私」とルートに関する覚え書き。
        靴のサイズなど「私」やルートにまつわる数字を、素数や友愛数といった"数の概念"で愛情たっぷりに表現し、二人に数字の神秘や美を優しく伝授する博士。

        凄い業績を残しているのに「神様の手帳をのぞき見して、ちょっとそれを書き写しただけのこと」だからと呟く博士の、驕ることのない、控え目で純粋な魂に触れ、そんな博士を全身全霊で守りたいと願う「私」とルート。

        聖家族とでも呼びたくなるような三人の深い心の交流。
        著者は、それを抑制の効いた筆致で描いていくんですね。
        そして、説明を極力避け、その上品な文体ゆえに、逆にくっきりと浮かび上がってくるんですね。

        淡白な交歓の情景の底に流れている、強い絆をもった愛情の気配が-------。

        「不自然極まりない概念を用い、無関係にしか見えない数の間に、自然な結び付きを発見した」という、オイラーの公式に込められた博士の思い。

        それが、読み終えた後、しみじみと胸を打つんですね。
        カラカラに乾いた心に、しっとりと潤いを与えてくれる、そんな作品なんですね。

        >> 続きを読む

        2018/11/11 by dreamer

      • コメント 2件
    • 他10人がレビュー登録、 44人が本棚登録しています
      薬指の標本
      カテゴリー:小説、物語
      3.8
      いいね!
      • 『薬指の標本』(小川洋子) <新潮文庫> 読了です。


        ※ 内容に触れます。
        ※ 嫌な方は読まないでください。


        薬指の先を無くしたときの「残像」、初めて街に出たときの情景、靴をプレゼントされたときの様子、浴場でのデート、など、素晴らしい描写がいくつもありました。
        その一方で、弟子丸氏が耳に息を吹きかけたり、三つのきのこの標本のエピソード(両親と弟を亡くした)が語られたり、火傷の少女が再び現れたり、果たしてこのシーンは必要なのか、と思うところもありました。

        また、標本室にはどうやって入るのかよく分からなかったり(受付に直接行けばいいのか、門の呼び鈴を押すのか)、長年ほっておいたピアノを調律なしで弾いたり、そもそも建物の構造がイメージできなかったり、読んでいくといろいろな違和感を覚えます。

        読んでいる間、悪くはないけど私に読めるのかなあ、という印象が常につきまとっていました。

        それが、活字を拾うシーンですべて帳消しにされました。
        その他の素晴らしい描写と相まって、この違和感の創出が作者の持ち味なんだろうと思うようになりました。
        すべてが作者の計算の上で構築された世界観なんだろうな、と。

        しかしそれでも、この世界観に私はどっぷり浸ることができませんでした。
        日常生活において他人の生活にある種の無関心を持っているように、ここで描かれる世界も、どうもしっくりこないのです。
        作風との相性なのか、私の理解が間違っているのか……。

        併録の「六角形の小部屋」はさらにその感じが顕著でした。
        違和感はある、そしてそれは作者の持ち味なんだろう、という印象までは持てるのですが、それ以上のものが響いてこないです。
        「薬指の標本」のような素晴らしい描写もなく……。

        うーん、このまま小川洋子を読み続けるか、ちょっと悩ましいところです。
        >> 続きを読む

        2018/11/17 by IKUNO

    • 他9人がレビュー登録、 31人が本棚登録しています
      人質の朗読会
      カテゴリー:小説、物語
      3.7
      いいね!

      • 地球の裏側のある村で日本人のツアーが、反政府ゲリラに襲われ、拉致される。

        3カ月後、8人の人質は全員死亡する。それから2年が過ぎて公開された盗聴テープには、人質たちの声が録音されていた。

        内容はそれぞれが語る自身の物語だ。「自分の中にしまわれている過去、未来がどうあろうと決して損なわれない過去」が語られる。

        この小川洋子の「人質の朗読会」は、もはやこの世にいない人質たちの物語という設定を通して、語った人が消えてもなお手渡されることが可能な物語の力と役割とを伝えるのだ。

        一編ごとに読み進めていく間は、語り手がすでに死んだということを、つい忘れてしまう。
        読み手である私が言葉を読んで受け取る瞬間、語り手はその存在を生き直すからだ。

        整理整頓が何より好きなアパートの大家さんと、製菓会社に勤めるビスケットの製造にたずさわる「私」との微妙な距離感を描く「やまびこビスケット」。
        アルファベットの形をした出来損ないのビスケットをもらって帰り、大家さんと食べる場面が、妙に心に残る。
        寂しさとユーモアのバランスに何度も胸を打たれる。

        次の一編「B談話室」では、公民館の受付の女性にうながされ、その部屋へ足を踏み入れた「僕」は、会員にならないまま、そこで開かれる会にふらりと参加することを繰り返す。

        危機言語を救う友の会や運針倶楽部定例会や、事故で子供を亡くした親たちの会合などだ。

        その経験によって「僕」は、やがて作家になる。つまり、作品を書くことは世界中の「B談話室」へ潜り込むことと同じなのだ。
        「その他大勢の人々にとってはさほど重要でもない事柄が、B談話室ではひととき、この上もなく大事に扱われる」。

        怪我をした鉄工所の工員のために枝を切って杖を作る「杖」。

        突然、台所を借りに来た隣人を描く「コンソメスープ名人」。

        語られる過去や記憶は、時空を超えて共有される。そこに願いと希望を託す方法は、確かに存在する。

        なぜ人は物語るのか。この作品は、その答えをそっと示してくれる。

        >> 続きを読む

        2018/10/20 by dreamer

    • 他6人がレビュー登録、 19人が本棚登録しています
      生きるとは、自分の物語をつくること
      4.2
      いいね! oka-azu
      • 河合隼雄さんの優しさと強さに触れられる本。
        小川洋子さんとの対談が、本当に自然な雰囲気で、二人の異なる魂がふれあう瞬間が素晴らしい。
        「自分の物語をつくる」とは、自身の深い内面の感情を表現し、他者と繋がる為にあるものだと。浅い感情は理性によってコントロールでき、言葉で表現できるが、深い部分の感情は、言葉では表現することが難しく、それを物語という形で表現することで初めて理解でき、共感しあえる。

        臨床心理の専門家でもある河合隼雄さんは、数々の患者と向き合ってきて、物語をつくることの大切さを説いている。日本人の奥底に流れる原悲、情緒的、感情的な気質、海外の宗教のように強い神がいるわけではなく、何か脆いものを抱えている私たち。昔は死ぬことだったり、自然の脅威に向き合う為に、各々が自分の物語を持っていた。現代はそれが難しくなっている。再び自分の物語をつくる大切さがわかる気がする。














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        2019/03/02 by sammy

    • 他3人がレビュー登録、 8人が本棚登録しています
      猫を抱いて象と泳ぐ
      カテゴリー:小説、物語
      3.6
      いいね! asa_chann

      • 小川洋子の「猫を抱いて象と泳ぐ」は、静謐なエロティシズムに彩られた小説だ。

        祖父母に育てられた内気な少年が、心優しい不思議な大男「マスター」と知り合い、チェスを習い始めたことから物語は始まる。

        競技の美しさ、奥深さにすぐさま心を奪われ、マスターの指導と彼の飼い猫「ポーン」の助けのもと、日に日に腕を挙げる少年。

        彼の才能を見たマスターは、プレーヤーとして陽の当たる道を行くよう勧めるが、少年は結局、秘密クラブの自動チェス人形「リトル・アリョーヒン」の使い手として、誰にも姿を見せず、盤の下に潜んでチェスを指す道を選ぶ。

        彼はなぜそうしなければならなかったのか? そこで何を見たのか?
        「盤下の詩人」と呼ばれながら一切の名誉を避けたチェスプレーヤーの神秘的な生い立ちとその架空の伝記が、誰もいない空間に駒の音だけが響くような静謐なエロテイシズムで綴られていく。

        チェス用語は出てくるが、キングはお父さん、クイーンはお母さん、といったマスターのわかりやすい説明が織り込まれるので、チェスを知らない人でもすんなり理解できると思う。

        そこで、我々読者があらためて知って驚くのは、盤上で再現されているのが、非常に残酷な戦場だという事実なんですね。

        キング以外の駒は、クイーンであってもキングの犠牲になるためにあり、彼らがその役目から解放されるのは、死んで盤上を去る時だけなのだ。
        けれど少年の周りでは、現実世界もそんなチェス盤に似た、小さな牢獄の集合のような場所なのだ。

        彼が大好きな象「インディラ」は、デパートの屋上という小さな四角い空間から二度と地上に戻れなかったし、太り過ぎたマスターは住居にしていたバスの出入り口より大きくなって、とうとう降りられなくなる。

        世界は人を、駒を、閉じ込める。だから、彼は閉じ込められないよう、少年の姿のままで盤の下に潜り、泳ぎ続けたのだが-----。

        やがて訪れる結末は、少し悲しい。

        >> 続きを読む

        2019/03/01 by dreamer

    • 他3人がレビュー登録、 13人が本棚登録しています
      ことり
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      • 他人と少し違った暮らしをしていると、周囲の人たちは勝手に
        「あの人はきっと不幸に違いない」「変人」と余計な想像を巡らす。
        軽い思い込みは怖い、知らず知らず簡単に人を傷つける。
        主人公の「小鳥の小父さん」は、ある意味“聖人”と呼ぶに近い。
        欲も無駄もなく、規則正しい生活を送り、小鳥と兄をこよなく愛し、
        独り静かに穏やかな暮らしを続けてきた。それも素敵な一生だ。
        最後は孤独死のようなカタチで一生を終えるけど
        だからと言ってそれが不幸だとは限らない。
        数少ない理解者もいたし、彼の死が発見されるまでそばにはずっと・・・。

        読書中、静かに時が過ぎていくような感覚を覚える不思議な作品。
        幸せは人それぞれだと考えさせられる。
        >> 続きを読む

        2015/06/20 by achiko

      • コメント 3件
    • 他2人がレビュー登録、 10人が本棚登録しています
      最果てアーケード
      カテゴリー:小説、物語
      4.5
      いいね! Tukiwami
      • 【やさしくて、せつなくて】

         かつて私が住んでいた街には総延長日本一という立派なアーケード街がありました。
         中心のスクエアには、ルイ・ヴィトンなどの高級品店が並んでいたり。
         でも、本書に登場するアーケードはそんな麗々しい物ではなく、ちょっと注意しないと通り過ぎてしまうような、しょんぼりしたアーケード。

         昭和の香りが漂う街並みで、そこに入っているお店も、誰がこんな物を買うのだろうかと思うような物を売っているお店ばかり。
         義眼屋さん、ドアノブ屋さん、勲章屋さん、古着のレースだけを置いているお店、一種類のドーナツしか売っていない「輪っか屋さん」などなど。

         ちょっと歩けば終わってしまうようなアーケード街。
         紙屋さんにはたくさんのレターペーパーや封筒、古絵はがきなどが所狭しと置かれています。
         紙屋さんのご主人曰く、沢山買ってくれる人は善い人。
         いえ、それは、もうかるからじゃなくって、沢山買ってくれる人は、沢山の人に手紙を出すことができるから善い人なんだって。

         アーケードの天井部分には偽物のステンドグラスがはめられ、くぐもったような色彩の光が道に降り落ちて来ます。
         そこに古びたズック靴を差し入れれば、様々な色に染まってまるで別の世界へ入ってしまったよう。

         「私」は、そんなアーケード街の大家さんの娘。
         アーケードのお店の配達係をしているんです。
         「私」がまだ幼い頃から大きくなるまでの時間がアーケードと共に描かれます。
         ベベという犬も一緒に。

         ベベは、「私」が小さい頃には元気いっぱいの仔犬だったけれど、物語の最後の方ではもう年老いてしまって、商店街の中では一番暖かいドアノブ屋さんの店の中でうずくまっています。

         そのドアノブ屋さんの壁には、沢山のドアノブが取り付けられていて、どれも開けることができます。
         その中でも一番のライオンのドアノブの奥には何もない小さな部屋がありました。
         誰にも見られずに泣きたい時には、誰でもその小部屋にいつまでも入っていられるんです。

         お父さんからお土産にもらった外国製の石鹸を落として壊してしまったとき、迷子になってしまった小さな子供、そして、お父さんを亡くしたとき……

         本書は、そんなアーケードのお店や、そこを訪れるちょっと変わったお客さん達を短編の形で綴っていきます。
         
         とてもやさしくて、ちょっとだけ切なくなる本でした。
         素敵な本でした。
        >> 続きを読む

        2019/02/16 by ef177

    • 他2人がレビュー登録、 8人が本棚登録しています
      いつも彼らはどこかに
      カテゴリー:小説、物語
      3.5
      いいね!
      • 小川洋子さんは表現力が豊かだと改めて感じました。食べものも生きものも、文章を読んでいて実際に存在を感じられます。文が綺麗なだけでなく、丁寧さを感じます。個人的には帯同馬と竜の子幼稚園が好きです。帯同馬は、そういう存在を知らなかったので単純に面白いと思いました。早速ピカレスクコートをネット検索しました。竜の子はとても暖かい。この物語が短編集の最後で良かった、と思いました。 >> 続きを読む

        2015/02/13 by pechaca

    • 他2人がレビュー登録、 5人が本棚登録しています
      ミーナの行進
      カテゴリー:小説、物語
      4.2
      いいね! hinataboko

      • 今回読了したのは、小川洋子の谷崎潤一郎賞受賞作の「ミーナ」の行進。

        この小説は、古き良き時代の少女小説の伝統に忠実な、あり得ないほどの心に残るファンタジーで、そういうものとしてはよく出来た小説だと思いますが、正直、少し長すぎるかなという印象を持ちましたね。

        言ってみれば、完全に児童文学ファンタジーで、作者の小川洋子は、文章がこなれていて、構成の仕方やエピソードの入れ方も実に巧い人だから、それでなんとなく読まされてしまうんですね。

        山陽新幹線の開通、川端康成の自殺、ミュンヘンオリンピック、アラブ・ゲリラの過激派による、オリンピック選手村のイスラエル宿舎立て籠もり事件といった世相を織り込みながら、しかし、読み心地は、まるでお伽噺のような家族小説。

        時折、暗い影がささないわけではないのですが、この小説の全体を覆っているのは、確かな幸福感なんですね。

        しかし、小川洋子の小説の最大の美点のひとつである"昏い予感"や、"きれいな悪意"がまるで存在しないんですね。
        そこが、少し不満が残るところで、その悪意も何もない、どこにも引っ掛からないという点が、この小説の弱点のような気がするんですね。

        そして、細部の設定が物語に奉仕するために、不自然さをまとっている点も気になるところですが、「博士の愛した数式」で小川洋子の小説と出会った人には、ぴったりの作品かも知れませんね。

        >> 続きを読む

        2018/07/07 by dreamer

    • 他2人がレビュー登録、 7人が本棚登録しています
      世にも美しい数学入門
      カテゴリー:数学
      4.0
      いいね!
      • *第一部 美しくなければ数学ではない
        *第二部 神様が隠している美しい秩序

        本書の第一部は資生堂のトークショー「ワードフライデイ」を元にした構成。
        第二部は小川さんが改めて藤原先生に伺ったお話をまとめたもの。

        数学が大の苦手で、一度も好きになったことがありません(^^;)
        ではなぜ手に取ったかというと、数学アレルギーの私でも興味の惹かれることがたくさん書いてあったからです。
        藤原先生と小川洋子さんのやりとりもおもしろく読ませてもらいました。

        ―三角形の内角の和は平べったい三角形を書いても、顕微鏡で見るような小さいのを書いても、校庭に馬鹿でかいのを書いても、どうやってもぴったり180度になる。

        ただ「こういうものだから!」と覚えるよりは、少し見方を変えるだけで興味がいろんな方向へ変化していく。数学に対してそんな印象を持ったのは初めてです。
        天才数学者のお話もそれぞれ良いのです。

        ―天才数学者の生まれる条件は
        1.何かにひざまずく心を持っている
        2.美の存在
        3.精神性を尊ぶ

        美しい定理をたくさん生み出したラマヌジャンのことが書かれていました。
        彼の育ったインド タミルナドゥ川の最南部には美しい寺院がたくさんある。
        ヒンズー教の深い地域でひざまずく心がある。
        そして彼の家はカーストの一番上の位で、精神性を尊ぶ。

        ・・・なんて。
        すごく興味をひかれませんか?
        頭の中に自然と入ってくる感覚を、数学で持てたことにびっくりしています。
        それぞれの定理を理解したかと言えばほぼ出来ていない・・・のですが、この美しさは自分の人生において、大きな発見です。
        >> 続きを読む

        2016/09/12 by あすか

      • コメント 18件
    • 他2人がレビュー登録、 4人が本棚登録しています
      物語の役割
      4.0
      いいね!
      • 物語は特別なものではなく、誰もが日々作り出しているもの。作家の仕事は、それらの物語を自らの感性でキャッチし、「言葉」によって形作ることである。つまり、「言葉は常に遅れてやってくる」。
        第二部の、小川洋子さんが一つの小説を生み出すまでの過程は興味深い。小説を書いてみたくなる。柳田邦男氏の息子さんのエピソードが印象的だった。人間は、物語を必要とする生き物なのだ。
        >> 続きを読む

        2014/07/25 by seimiya

    • 他2人がレビュー登録、 4人が本棚登録しています
      アンネ・フランクの記憶
      カテゴリー:日記、書簡、紀行
      3.5
      いいね!

      • 「アンネの日記」はノンフィクションの中では一番好きな作品です。

        で、この本は小川洋子先生によるアンネの日記にまつわる紀行。

        これを読むところによると、どうやらアンネの日記は小川洋子さんにとって執筆のきっかけとなった作品だったらしい。なるほどあの小説は確かにそれぐらいの力を持っていると思う。

        小川洋子さんは生前のアンネを知る人物と会い、彼女の生まれた土地や育った場所、隠れ家を訪れ、そして強制収容所を見学されています。

        もう直接アンネを知る人物は既に他界されていると思われるので、同じ日本人が今は亡きアンネの証言者に会いに行って、話を聞いてその時の「心の動き」みたいなことを書いているのは、とても貴重だと思います。

        アンネの日記が好きな読者にとっては、同じように旅をしているような気分に浸ることができて、とても良い本です。

        また自分がいつかオランダの隠れ家跡を訪れるとき何を感じるのだろう、とそんなことが楽しみになった作品でした。

        >> 続きを読む

        2018/05/09 by lafie

    • 他1人がレビュー登録、 2人が本棚登録しています
      まぶた
      カテゴリー:小説、物語
      3.2
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      • 15歳のわたしは、高級レストランの裏手で出会った中年男と、不釣合いな逢瀬を重ねている。
        男の部屋でいつも感じる奇妙な視線の持ち主は?「まぶた」。
        母のお気に入りの弟は背泳ぎの強化選手だったが、ある日突然左腕が耳に沿って伸ばした格好で固まってしまった「バックストローク」、など、現実と悪夢の間を揺れ動く不思議なリアリティで、読者の心をつかんで離さない8編を収録。

        初めての作家さんです。
        『博士の愛した数式』が有名なので、その長編を読む前に…と思い、短編集から試してみることにしました。

        短編8本。

        正直なところ、まったく面白くありませんでした。
        というか、僕が小川さんについていけていないんだと思いました。
        この世界観は理解できない。
        村上春樹さんと同じ感じで、寓話然とした不思議な物語が続きます。

        『詩人の卵巣』
        眠りにおちたらまぶたの裏に森が現われて、眠っている実感はある(枕におちた自分の匂いや、外を走る車の音は聞こえる)のに、森の中の一本道をあるくと、昼間出会った乞食の少年と博物館の老婆が待っていて、残り少ない死者の銀髪で機を織っている…。

        『バックストローク』
        母親の異常な愛情に包まれて育った弟は背泳ぎの選手。
        ある日、突然左腕が背泳ぎのバックストロークをかいたように高く掲げたまま動かなくなり、右腕だけで生活するようになります。
        何年かしたのち、姉が背泳ぎを見せて欲しいと弟に頼むと、背泳ぎを披露しているうちに動かなかった左腕がポロリと落ちる…。

        きっと、お好きな人にはたまらない世界観なのだと思います。
        でも僕には無理です。
        理解を越えています。
        村上春樹さんに続いて、もう読まないリストに入った作家さんになってしまいました。
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        2015/03/30 by 課長代理

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      シュガータイム
      カテゴリー:小説、物語
      2.5
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      • >sunflowerさん
        コメントありがとうございます。
        評価を低くつけたのは私がこの手のもやもや恋愛話が苦手だからです。
        だからこそ、食べ物の描写に目がいってしまったのかも(笑
        雰囲気は好きなのですが、ウジウジするなー!と叫びたくなるところもありました。
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        2012/05/09 by sky

      • コメント 2件
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      寡黙な死骸みだらな弔い
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
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      • 愛する者、憎しむ者、血という抗えない絆で繋がる者、存在が美しい生き物、奇形の心臓を持つ者。
        死という非日常を弔う13編の連作ともいえる短編集。
        理性的で静かでありながら、グロテスクで不条理で奇妙な物語が、少しずつリンクしながら紡がれ、また戻っていく。見事としか言いようがない。

        読み終わっても、余韻に浸り、言葉がなかなか出てこなかった。
        小川さんの初期の作品だからなのか、今までの数少ない読んだ作品より、微かに湿り気がある様な気がする。
        知的で静謐なことは勿論だが、グロテスクでゾッとしながら美しいモノを見ている、そんな感じだ。
        冒頭の「洋菓子屋の午後」は、先に読んだ「慟哭」と重なり、特に印象深かった。「心臓の仮縫い」などは本当に小川さん?と思う悍ましさ。
        どの短編も最高!
        >> 続きを読む

        2017/11/01 by ももっち

    • 他1人がレビュー登録、 10人が本棚登録しています
      余白の愛
      カテゴリー:小説、物語
      3.7
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      • 「博士の愛した数式」を読んで以来、現代文学の優れた作家のひとりとして、常に気になる存在の小川洋子の初期の長篇小説「余白の愛」を再読しました。

        突発性難聴を患った私は、古いホテルで行なわれた医療関係の座談会に出席し、速記者Yに出会う。人の声に寄り添って動く彼の特殊な指に魅せられる私。

        病気の再発、離婚----孤独と不安の中、再びYが現われる。静謐な佇まいで"指が記憶した"出来事を語るY。

        彼と過ごす時間に不思議な心地よさを感じるようになった私だったが、再び耳の異常が-----。しかし、その異常は、決して不快なものではなかった。そこで私がYに対して行なった奇妙な依頼とは------。

        事象や人の思いをありのまま記憶するYの指と、人には聞こえない音が聞こえる私の耳を仲立ちに、幻想的な絵画のような記憶たちが立ち現われ、行間から静かな音楽が聴こえてくるような美しい作品だと思う。

        主人公とYの関係は、通常の恋愛関係とは別種の透明なエロスを湛えていて、私の感性を限りなく刺激する。そして、そのエロスの背後には、過ぎ去っていってしまった時間と記憶への哀惜の念が色濃く漂っていると思う。

        読み終えてみて、深く静かな余韻にしばし忘我の境地にさせてくれる、優れた官能性を備えた作品だと思う。


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        2018/03/16 by dreamer

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      妊娠カレンダ-
      カテゴリー:小説、物語
      3.2
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      • 妊娠した姉を見守る妹の淡々とした叙述の中に、きわめて周到な悪意を仕込んでみせている。 >> 続きを読む

        2015/10/15 by aaa

    • 他1人がレビュー登録、 12人が本棚登録しています
      沈黙博物館
      カテゴリー:小説、物語
      3.3
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      • 博物館を作ることも面白いが
        私は沈黙の伝道師が好きだ

        快活な少年が、ある日突然、沈黙の伝道師になる

        博物館技師の主人公は、もうこの村から抜け出せない

        私も抜け出せない
        >> 続きを読む

        2016/07/24 by ゆのき

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【小川洋子】(オガワヨウコ) | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト(著者,作家,作者)

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