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井上荒野

著者情報
著者名:井上荒野
いのうえあれの
イノウエアレノ
生年~没年:1961~

この著者の本を読んでいる会員ランキング

このランキングは1日1回更新されます。
      キャベツ炒めに捧ぐ
      カテゴリー:小説、物語
      3.8
      いいね! hisagon momomeiai
      • 書店で見かけて気になっており、読書ログのレビューが面白そうだったので、いよいよ読みました。ご飯がおいしそう過ぎて困ります。
        惣菜屋さんのおばちゃん3人それぞれ事情があって、という話ですが、とてもよかったです。ええ、とてもよかったです!

        3人の一人の元旦那・白山がかなりの曲者だと思いました。自覚のない罪な男というか、こういうの一番性質悪いですね!悪者になりたくなくて、優しさを振りまいて元妻の気持ちをキープして、今の奥さんと元妻のどちらも苦しめるタイプだ。
        幼馴染に恋するひとりのかわいらしさは好きでした。うんと年上の女性にかわいらしいも何もないのですが、ツンデレがデレたときの破壊力たるや。しかしこの幼馴染も甘えた坊ちゃんである。
        もう一人が一番まともなのかと思いきや、彼女も彼女でなかなか。まともな顔をして闇が深いのか。

        誰もがそれぞれ歴史を持っていて、振り返れば引っ張り出す過去はひとつやふたつじゃ済まないものだなぁ、というのがわかってくるのはハタチすぎてしばらく経ってからです。振り返ることが多いのは基本的にいいことだ、と思います。いい思い出であれ、悪い思い出であれ。年を取るのも悪くはなかろう。

        60なんて、まだまだこれからですけどね。
        ちなみに私は、キャベツ炒めは塩派です。
        >> 続きを読む

        2016/06/05 by ワルツ

      • コメント 4件
    • 他3人がレビュー登録、 9人が本棚登録しています
      切羽へ
      カテゴリー:小説、物語
      3.3
      いいね!
      • 恋愛小説なのに好きだとかの直接的な表現がなく、また性的描写もない異色の恋愛小説である。小説の中に出てくる景色や人物、食文化に対する描写はわかりやすく、イメージしやすい。 >> 続きを読む

        2017/04/22 by konil

    • 他1人がレビュー登録、 4人が本棚登録しています
      切羽へ
      カテゴリー:小説、物語
      4.5
      いいね!
      • 人妻が他の男に惹かれていく気持ちにハラハラした。
        「切羽」とはそれ以上先へは進めない場所のこと。
        そこに至った男女の分岐点に哀感をそそられる。緻密な心境や伏線を書き綴った純文学。
        読後の余韻が深い。

        静かな小さな島。
        小学校の養護教員のセイ。
        画家の夫との幸せな暮らし。

        そこに現れた新任の音楽非常勤講師の男・石和。
        ぶっきらぼうでありながら、奏でるピアノは美しい。
        そんな彼も、子どもたちの前では、無邪気だった。

        石和に惹かれていくセイ。
        セイの心境を汲み取ったのは、同僚の月江と夫。
        挑発的な月江と、静観する夫。
        島の言葉と標準語。
        その使い分けが、彼女の心。

        そして、一人ぐらいの老女・しずかさんとの交流と死。
        口が悪い老女ながら、セイの心のバランスを保っていたのだ。

        静かな展開ながら、官能的で、行間に詰まった伏線を感じさせ、
        するすると読めてしまう。
        著者の文章力・構成力にうなった作品。
        第139回直木賞受賞
        >> 続きを読む

        2015/05/14 by てるゆき!

      • コメント 2件
    • 他1人がレビュー登録、 6人が本棚登録しています
      静子の日常
      カテゴリー:小説、物語
      3.5
      いいね!
      • 井上荒野は初読みです
        もっと荒んだ雰囲気を想像してたら違った

        まさか著者の名前からの連想だったのか?


        やー、面白かったです
        静子さんは息子家族と暮らし始めて、週に1回スポーツクラブのプールに通ってます
        話はショートショートのような連載エッセイのような短いものが話し手を変えながら続いていきます
        静子さん、嫁の薫子、息子の愛一郎、孫のるか
        大きな事件は起きないけど、まあ小説なのでふつーとは少し言えない小さな、いや本人には小さくない色々がちょいちょい出てきて飽きません

        この前ドラマ化されてた、奥田英郎の日常系に雰囲気が似てるかな

        井上荒野を初めて読むのにこれがいいかはちょっとわかりませんが、他のも読みたくなりました

        ひとつだけ、新聞配達青年、なぜ少年じゃないのに新聞配達をしてるのか気になったんだけども
        >> 続きを読む

        2018/03/15 by ki-w40

    • 他1人がレビュー登録、 2人が本棚登録しています
      夜を着る
      カテゴリー:小説、物語
      3.0
      いいね!
      • 旅にまつわる短篇集。
        「旅」といっても、空間の移動。といった趣。
        全体に暗く、退廃的で、読後の余韻たっぷりに終わっている。

        ドキッとした食事のシーンがあった。
        秋刀魚のつみれ汁を作った妻に、夫が、秋刀魚は塩焼きに限る。と言って、あまり手をつけなかったシーンだ。
        さらっと終わりそうな会話だが、妻は「つまらない。」と続ける。
        あなたってつまらない。いつも同じものしか食べないから、料理のしがいがない。あなたは味覚が豊かじゃない。と。
        …ウチと似てるなあ。
        まあ、私は「あなたって、つまらない。」と、口にしたことはないけれど。
        >> 続きを読む

        2015/11/28 by shizuka8

    • 他1人がレビュー登録、 3人が本棚登録しています
      結婚
      カテゴリー:小説、物語
      5.0
      いいね!
      • 男の作者かと思っていたが、読んでいくと、女の作者かなと思った。
        やはり荒野さんは女性でした。
        タイトルにひかれて読みましたが、すぐに入り込み、一気に読めました。
        結婚詐欺の話を女性からの目線で話が進んでいきます。詐欺と思えない恋愛の話のようなので、詐欺と気付いた時の女性の悲しみが辛くなります。
        詐欺師の主人公に興味がわき、知りたい気持ちで読み進めましたが、そこの気持ちは最後まで良くわかりませんでした。
        ハウスクリーニングの仕事をしている主婦がリアルで怖かったです。
        >> 続きを読む

        2015/09/05 by まめたん

    • 2人が本棚登録しています
      あの日、君と
      カテゴリー:小説、物語
      3.0
      いいね!
      • 「あの日、君と Girls」の少年版。自分は男性なので、どちらかと言えばこちらの方が心情的に「ああ、こんな気持ちにもなったかな」と思う部分が多かった。良かったのは色々な知恵で価値観を決めつける先生をギャフンと言わせようとした伊坂幸太郎氏「逆ソクラテス」、ミネオの正体にやられたと思った中村航氏の「さよなら、ミネオ」、野球ネタでノスタルジックな気持ちになった、柳広司氏「すーぱー・すたじあむ」、読後感は一番良かった山本幸久氏の「マニアの受難」。感想はこんなところです。 >> 続きを読む

        2016/07/14 by おにけん

    • 3人が本棚登録しています
      旅の終わり、始まりの旅
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      • 本州最北端の地に舞台を絞って書かれた、5つの旅。その旅はどれも、私が少し前からしている1人旅や友達との2人旅とも、全然違ったけれど!ものすごーく個性的な旅ばかりだったけれど!まだまだこんなにもスゴイ旅があるじゃないか!どんどん旅に出るんだー!って、背中を押してくれる本でした。 >> 続きを読む

        2016/05/09 by 麦星☆

    • 1人が本棚登録しています
      つやのよる
      カテゴリー:小説、物語
      3.0
      いいね!
      • 男ぐるいの女がひとり、死の床についている。
        その名を艶という。
        夫である松生(マツオ)は、かつて妻子を捨て艶と出奔したのだった。
        艶の危篤を、彼女が関係した男たちへ告げずにはいられない松生。
        だがその報せは、彼らの妻、娘、恋人、愛人たちに予期せぬ波紋を広げてゆく。
        平穏な人生に突然割り込んできた女の存在によって、見知った男が別の顔を見せはじめる。

        初めての作家さんです。
        調べると、お父上も小説家として有名な方とのこと。
        才能は遺伝しますね。
        アマゾンのレビューなど見ると高評価少なく、不安を持ちながら読み始めたのですが、よく書けている長編小説だと思いました。
        確かに登場人物たちの行動や発言に理解不能なところも多々ありましたが、それらすべて女性ゆえの理性を超えた情念みたいな言葉でくくれるかとも思いました。

        物語は、松生艶という今まさに死の床に在る中年女性を中心に、彼女に関わった男性と、その男性に近しい女性を描く群像劇スタイルで進みます。
        肝は、物語の主人公である艶の描写が全編を通じて極端に少ないことです。
        読み手は“男を切らしたことがなかった”“妻子ある男性を略奪した”“島中の男は一度は艶と寝たことがある”といった切れ切れの情報から、なんとなく魔性の女性っぽい艶をイメージしながら読み進めることになります。
        ネーミングの妙、「艶」とはまた艶めかしい名前ではあります。
        艶の従兄弟の妻、艶の最初の夫の愛人、艶がつきまとっていた男の交際相手、艶の愛人だったかもしれない自殺した男の妻など、最終章を除いてすべて艶とは直接には関係を持たなかった女性たちの、艶の危篤という、静謐な水面に石を投げて波紋を広げるような、そんな報せをうけたのちをつぶさに描きます。
        女性作家ならではの粘り気のある心のうつろいの描写であったり、巧みに性描写を避けていたり、何気ないしぐさひとつに幾重もの意味を持たせたり、特有と思われる湿度の高い文章でしたが読みやすく、感情移入しやすかったです。
        奇をてらったような表現も少なかったのは好印象でした。

        女性というのはやはり理解が難しいもので、とことん愛憎への執着を見せてともすれば愚かともとられかねない行動をとったかと思えば、過ぎ去るといとも簡単に過去を振り切って現実を淡々と生活してゆくのですね。
        大人の恋愛は苦しく、犠牲も多いです。
        失う覚悟があってひたすら純愛に生きるのも勝手ですが、残された家族や、放り出された過去はただただ途方に暮れるばかりで、為す術をしりません。
        奔放に生きた女性の最後を無残に、寂しくした著者のこころみ。
        がらんどうになってしまった心を埋めてゆく日常を、懸命に積み上げてゆく彼女らの毎日。

        思ったよりも読むのに手間取ったのは、何度も同じ文章をなぞってしまっていたから。
        繰り返し確認しなければ、そのときの“彼女”に寄り添えなかった。
        それほど繊細で、解の無い問いかけを、無数に投げかけられたような気になりました。
        >> 続きを読む

        2015/03/26 by 課長代理

      • コメント 8件
    • 2人が本棚登録しています
      静子の日常
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      • あー面白かった!

        長男家族と同居している75歳の静子さん。
        おっとりとお上品な身のこなしをしながらも、好奇心旺盛で、観察力が鋭く、茶目っ気があり、筋を通す、とにかくすごい人。

        静子さんの日常はすごい。
        ハラハラ、ドキドキ、時々クスッと笑ってしまう、何だか小気味よいおばあさん。
        敵には回したくない。

        表紙絵、よく見ると、菫色の水着を着て、泳いでる静子さんがいる(笑)
        >> 続きを読む

        2018/03/24 by taiaka45

    • 5人が本棚登録しています
      それを愛とまちがえるから
      カテゴリー:小説、物語
      3.0
      いいね!
      • 気がつけば、しなくなっていた。
        心ならずも募っていく妻と夫の鬱屈。
        微笑みより苛立ちが多くなり、楽しみが義務になりかわって…。
        切実ゆえに笑いを誘う大人の辛口コメディ。

        『婦人公論』2011年4月号~2012年4月号まで連載されていたものを纏めたもの。
        掲載誌の性格上、ある一定の年齢を過ぎた女性をターゲットにした恋愛小説であろう、くらいなもので、先入観なく読み始めました。

        何の変哲もない朝。
        いつもと変わらない珈琲の香り、窓からの景色。
        袴田匡と、伽耶夫妻がセックスしなくなったのは40を過ぎてから。
        お互いを大切に思ってないわけじゃない、もちろん嫌いになったわけでもない、むしろ一緒に食事をしたり、出かけたりするのは楽しいくらい。
        でも、セックスがない。
        次の習いごとを何にしようか、今晩の食事のメニューはどうしようか、考えながら、新聞を読んでいる夫に伽耶は、ほんとうに言葉がこぼれ落ちるように問いかけます。
        「あなた、恋人がいるでしょう」

        結婚してから15年も経った。
        今のふたりの生活に不満があるわけじゃない。
        でも、たしかにセックスはなくなった。
        それが、そんなに悪いことか?
        ふたりの生活を否定するほど重要なことなのか?
        匡は、ランチタイムの定食屋で同僚と注文した料理が運ばれてくるのを待つ間に、妻に電話をかけます。
        「あのさ、君もいるだろう、恋人」

        ふたりにはそれぞれにつき合っている相手がいました。
        匡には、かかりつけの鍼灸師で、ひとまわりも下の朱音。
        伽耶には、大学時代にの元彼で、今は売れない漫画家・誠一郎。
        お互いに、お互いの恋人の存在を告白しあう夫婦。
        それでも激昂して罵り合うでなく、淡々とした日常を過ごします。
        そして、妻の内心をびくつきながら窺っていた匡に、伽耶が決定的なひとことを。
        「今夜は帰らないから。食事はそれぞれで、よろしくね」

        正直、ここまで読んで、ウンザリしていました。
        ウイークデイの昼ドラの脚本(きちんと小説の体は為していましたが)を読まされているようで、嫌になっていました。
        読む小説に何を求めるかによってそれぞれ違うとは思うのですが、少なくとも僕は中年女性の内面をつらつらと読んでいたい方ではないので、今後、井上荒野さんとはお付き合いしないだろう…とまで、感じていたほどです。
        ところが。
        後半、何の意地か、気でも触れたか、伽耶が、不倫しているもの同士4人でキャンプに行こうと提案したあたりから、俄然、面白くなってきます。
        前半と後半とで、書き手さんが変わってしまったかのようでした。
        驚いた僕は慌ててアマゾンのレビューを読み始めました。
        本書紹介のキャッチに「大人の辛口コメディ」。
        恋愛小説だとばかり思い込んで読んでいた僕は、ストンと納得して、後半はとても面白く、終わりを惜しむように読み終えました。

        セックスレスの夫婦と、それぞれの浮気相手の一夏のアウトドア。
        尋常でない設定が、すでに面白い。
        著者が、どこに読者を導こうとしているかを把握したなら、素直な視線で、彼らの行動や心理描写を追いかけることができます。

        突然の外泊告白から立ち直れない匡は、早速、朱音を呼び出します。
        「今夜、妻が帰らないんだ。うちで豪勢にやろうよ」
        かわいい朱音も歴戦の強者です。
        自暴自棄に陥っている男を前にして、「やめといたほうがよくない?」なんて、決して口に出しません。
        男のわがままに、怒りのあまり泣きだしそうになっているだけ。
        ヤケになったふたりは、渋谷のデパ地下で酒と惣菜を大量に買い込み、一路、匡の自宅マンションへ。
        しっぽりとふたりの世界に浸かっているところへ、インタホンが。
        匡は「嵌められた」と思い、朱音は「こういう展開になるよね」と思い、伽耶は「女連れ込んでるとは思わなかった」と思います。

        女性は、修羅場に臨むと、怖ろしく冷静な対応をしだします。
        帰ろうとしていた朱音は、突然の妻の帰宅に俄然居座る覚悟を決め、妻はまるで旧来の友人つき合いのように自然と食事に割り込みます。
        匡は狭間で、途方に暮れて、漂っているだけ。
        酔いに任せて意識を飛ばすあたり、自己防衛本能が働いた表れとも思われます。

        このあたりから伽耶はたびたび後悔しだします。
        あの笑いが、あの電話が、引き返せなくなった決定的な原因だったのではないか。
        とはいえ眼前の、若い女とだらしなく酔っぱらっている亭主の姿に、強い憤りも覚えるのです(そりゃ、当然)。

        浮気相手と自分の亭主を想像する。
        そこには、かつて知っていた男がいるから、いやになる。
        そういう男をとても愛おしく思っていたから。
        そういう男は自分の前にはもうあらわれず、あの浮気相手の前だけにあらわれる理不尽。
        自分の記憶には残っている、この上ない理不尽。

        匡はふたりの女性(妻と愛人)のそれぞれの対応に面喰って、ひたすら狼狽します。
        だいたい妻が外泊宣言をしたからって、それをいいことに自宅に愛人を招き入れるなんてことをする自体、こどもなんです。
        呼び寄せてお酒を呑むだけじゃないでしょう。
        夫婦の寝室でセックスをするわけでしょう。
        それを、妻が許してくれると期待する、この男の愚かしさ。
        愚かしい匡は、酔った頭で考えます。

        もしかすると、この状況を受け入れることが勝者なのか。
        これは、何でもないことなのか。
        それが大人なのか、トレンドなのか?

        なわけねーだろ、と、この思考回路にツッコミを入れたくなるあたりで爆笑必至です。
        もはや、正常な判断能力を欠いています。

        伽耶は、酔った勢いも手伝って、自分の彼氏に電話をかけ始めます。
        想像するに、匡と朱音に向けた対抗意識から。
        突然の電話に出てしまった誠一郎は、浮気相手の亭主と電話で会話するハメになります。
        不思議な会話のあとに、誠一郎が伽耶の必要性について考えます。
        40を過ぎて、独身で、売れてない漫画家なんて、その段階で終わっています。
        そんな男が、巡らす思考がある意味で真理です。

        自分にとって女は必要だけど、プロですべてをまかなう程、経済的でもないし、そもそも新しい女を得るために一から始める気力と体力がもうない。
        “面倒”と“嫌い”は別ものだ。
        “必要”と“愛”が別ものであるように。

        全編通じて“必要”と“愛”については、幾度も問いかけられます。
        一過性のものは愛ではないのか。
        永遠なのが愛で、そうでなければ愛でないのか。

        欲情だったり、恋だったりは、やっぱり愛ではないでしょう。
        愛とは思いやりのような気がします。
        思いやりの定義とは、損も得もなくひたすらにその人のためだけを考えて、そして行動すること。
        そう考えると、必要というのとでは、まるで違うものだと分ります。
        必要の主語はあくまで自分。
        相手から必要とされるかどうかは、相手が決めることで、自分がそうと決めることではないでしょう。

        新しい女を獲得する勇気を、さがない中年男が持てないように、女も新しい恋に踏み切る自信も体力もありません。
        これは、伽耶の友人のひとこと。

        全然、自信ないの。キスまでしか。
        脱いだら、もう新規は無理。

        そんなものでしょうか。

        結局、4人で連れだって、夏の房総にキャンプにでかけます。
        テントはペア。
        部屋割りですったもんだあり、食事の最中の意味深な沈黙ありで、なかなか波乱万丈な一夜になりますが、纏め方はさすがベテラン。
        どちらにも偏りなく、ラストもまるっきりハッピーエンドという定型でもなく。

        中年期を生きる、同じような環境の男女には、読んでいて非常に苦しく感じる、辛辣な、でもとても正直な内面を吐露した作品です。
        こんな作品は、まるで駄目、という人もいるでしょう。
        いささか露悪趣味的なところは、やっぱり女性向な小説なのかな、と思いました。

        一連の騒動が沈静化したあと、いつものように会社から帰り、今夜のメニューを尋ね、新調したらしいエプロンの趣味を褒め、伽耶となんということもない会話の後、寝室で着替えながら匡は思います。

        前から、こうだったろうか。
        以前から、ここまで疲れていただろうか。
        たぶん、そうだったんだろう。
        たぶん、そのことに気付くか気付かないかの問題だったのだ。

        そういうことでしょう。
        でも、男はやっぱりどこかで「妻」に「母」を求めると思うんです。
        その包容力のなかに、気疲れとか、セックスとか、相手を女性として見る視点って、どんどん失くなっていくと思うんです。
        女性のほんとうはわかりませんが、いつまでもセックスがある夫婦って、なんか気持ち悪い。
        ふたり仲良く枯れていくってのが、日本人の文化には合っているような気がします。

        朱音はバーのカウンターで静かに涙を流し続け、匡は朱音の番号を携帯から消すことを躊躇います。
        これは、清水の舞台から飛び降りるような決断です。
        男は、こういうところでウジウジします。
        今でも好きな女性の番号を、消してもいいですか?と最終確認してくる液晶画面の非情さ。
        「えいっ」と、わざと掛け声をだしつつ「YES」を押したことを思い出しました。
        >> 続きを読む

        2015/08/31 by 課長代理

      • コメント 17件
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      ナナイロノコイ
      カテゴリー:小説、物語
      1.0
      いいね!
      • (~ヘ~;)ウーンって感じの本。

        裏表紙には7人の作家ドラマテックに贅沢に描いた
        大好評恋愛小説アンソロジーって書いてあるけど…

        ドラマテック?
        贅沢に?
        >> 続きを読む

        2012/07/07 by あんコ

      • コメント 8件
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【井上荒野】(イノウエアレノ) | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト(著者,作家,作者)

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