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栖苅村を訪れた静馬は、首を刈られ殺された犯人と間違われる。そこへ左目が義眼の少女みかげと出会い、静馬への疑いを晴らす。一人前の探偵となるため、みかげは事件解決に尽力する。随分とオーソドックスな探偵ものに見た目は写る。しかし作者は麻耶さんなので油断は禁物。この事件の解決にある先、再び18年後に同じ惨劇の幕が上がるという二段構成。なぜ同じ事件が起こるのかや、真犯人の強烈な自我による動機。そしてアリバイや、なぜ一族の人間が殺されていったかの理由付けも論理的に組み立てられている。多分麻耶さんとしては異色な方面になるのだろうが、謎解きとしてはオーソドックスな推理が非常に楽しめた。 >> 続きを読む
2019/07/09 by オーウェン
表紙は子供の絵本みたいだし、中身は漢字全てにフリガナが付いていて幼稚園児でも見れる。でも中身は救いがまるでない物語。小学4年生の芳雄の周囲では猫殺しの事件が多発していた。そこで芳雄は元から所属していた探偵団として事件を解決しようとする。芳雄はそこで転校して知り合った鈴木君の、僕は神様だという言葉を鵜呑みにする。主役が子供だからといって、安心なわけがないのは麻耶さんだから。しかし予想もしない展開だし、突然の悲劇など容赦ない残酷な中身。天誅という言葉でケリをつける神様の仕打ち。終盤恐るべき真相が暴かれるが、それを嘲笑うかのような神様の天誅。希望も何もないラストで、待つのは絶望しかないとは。 >> 続きを読む
2018/07/20 by オーウェン
麻耶雄嵩の「貴族探偵」は、2001年から散発的に発表されてきた"貴族探偵”シリーズの第一作となる短編集。事件現場に現われた、皺ひとつない正装で身を固めた場違いな男。執事や小間使いを従えた彼は「貴族探偵」と名乗り、気に入った事件に介入しては、その謎解きをするのが趣味だという。しかし、実際の調査などは、ほとんど執事たちに任せ、自分は美しい女性を見つけては、歯の浮くようなセリフで口説くばかり。ならば、最後に安楽椅子探偵よろしく推理を披露するのかと思いきや、そのような雑事は、貴族の仕事ではないと、執事たちに説明を任せてしまう。このように、実に麻耶雄嵩らしい、アクの強いキャラクターが登場する作品だが、謎解きの完成度もハイレベル。死体の切断の意外な理由が明らかになる「トリッチ・トラッチ・ポルカ」、ひとつの手掛かりをきっかけに、事件にまつわる構図が反転する「加速度輪舞曲」など、どれをとっても隙がない。最終話の「春の声」のラストで示唆される、ある企みも、冷ややかな手触りを残して印象的だ。 >> 続きを読む
2019/12/14 by dreamer
ミステリの王道でもある、閉じ込められた館で起きる、殺人事件。犯人は、知らないうちに入り込んだ、外部者か。もしくは閉じ込められた、この登場人物の中にいるのか。誰もが疑心暗鬼になっていく中で、明かされる事件の真相と、真犯人。王道でありながら、作者の麻耶雄嵩さんの、読者を騙す仕掛けが幾つかあって、私もやはり騙されていました。そして最後。事件は解決したけど、微妙にまだ終わってない様な感じで終わる、このラスト。読んだ後、後味の残る小説でした。 >> 続きを読む
2019/10/24 by ゆずの
麻耶雄嵩の小説は残酷だ。孤立した村落や排外的な家族といった共同体を、あらかじめ緻密に構築した上で、物語の結末でそれを必ず破滅に導き、しかも、主人公のアイデンティティをも無慈悲に崩壊させてみせる。この「夏と冬の奏鳴曲」は、そのような麻耶雄嵩という作家の独自のテーマを、本格ミステリでありながら、不条理劇を思わせるような物語世界で繰り広げた問題作だ。二十年前、真宮和音という少女を神として崇拝する六人の男女が、孤島で奇妙な共同生活を始めた。しかし、一年後、和音と崇拝者の一人は、海に身を投げたという。そして今、生き残って別々の途を選んだ五人が、島で再会を果たすことになった。その取材のために島に渡った出版社勤務の青年・如月烏有と助手を自認する少女・舞奈桐璃は、現実離れした奇怪事の数々を体験する。夏に降る雪、出入り不可能なテラスに横たわる首なし死体、繰り返し島を襲う地震、切り裂かれた肖像画、幻の映画「春と秋の奏鳴曲」、謎めいた著作「黙示録」。和音は再び"神"として島に降臨したのだろうか?-------。観念に憑かれた人々の狂乱絵図を、硬質な幻想性の中で展開するこの小説では、事件自体は解明されるものの、密室トリックは破天荒すぎて奇蹟としか思えないし、如月烏有の過去を再現した映画などについては、説明されないまま終わる。作中で展開されるキュビスム理論のように、謎と解決とが歪な秩序で連結された、この小説は、本格ミステリにおける"解決"の意義そのものを問うところから生まれた、最もラディカルな"幻想ミステリ"であると思う。 >> 続きを読む
2019/01/04 by dreamer
銘探偵メルカトルと美袋の関係は、ホームズとワトソンのそれではない。友人ではあるが、メルカトルの言動にいつも美袋は混乱させられる。特に事件に巻きこまれやすい美袋は、その際にメルカトルに奇しくも助けられる日々。時には駆け引きだったり、犯人逮捕のために囮にされたり。メルカトルが美袋に小説を持ち込み、美袋が謎を解かされる件も、当然ながらメルカトルは易しくない。あるエピソードでは美袋の危機に参上したメルカトルに助けられたが、実はそれはメルカトルの企みであり、ラストに美袋の強烈な一言。これがいつか実現する日は来るのだろうか。 >> 続きを読む
2019/09/30 by オーウェン
弟の襾鈴を殺された兄の珂允は、その謎を追って隔離された村にやって来るが、そこで鴉の大群に襲われる。その後も村での対立や、五行思想。そして連続殺人。人殺しの手には奇妙な痣が浮かび上がるという図式。更に閉鎖的な村であることも特徴の一つで、これも犯人と密接に関連している出来事。そして現れる銘探偵メルカトル・鮎の超絶推理。2つの驚く推理があるのだが、1つ目は細かいが伏線は敷いてあったし、なぜ村人は~?という点にしっかりと回答している。2つ目も驚く推理。こちらも文のそこかしこに違和感はあったのだが、ラストにメルカトルに指摘されるまで気づかない丹念なもの。終盤の闇にそのまま消え去りそうな描写も印象に残るミステリ。 >> 続きを読む
2019/10/05 by オーウェン
メルカトルが他の探偵と違うのは、解決はするがそれはあくまでもメルカトルが解いたものであり、それが=真実とはならないということ。よって都合のいい解決であったとしても、それで問題ないという結論が出る。だからスッキリするなどという言葉とは無縁の探偵。この作品5つの話にある共通点があり、それがメルカトルが導く解決となる。「九州旅行」ラストの対峙が笑えるし、美袋の巻き込まれ具合も最高だ。「収束」密室で起こる殺人で犯人の予測。まさかの締めで唖然となる結末。「答えのない絵本」学校で起きた教師殺しで、犯人は20人の生徒の中の誰か。こちらも唖然とさせられる犯人解き。ある意味やりたい放題なメルカトルの探偵ぶりが見られます。 >> 続きを読む
2019/12/02 by オーウェン
麻耶さんのデビュー作にしてメルカトル鮎の初登場であり、最後の事件でもある。古城の蒼鴉城に住む今鏡家の一族。そこに届けられた脅迫状の解決のため探偵の木更津悠也が向かうが、付いた早々に殺人が起こり、その後も連続する事件。終わりが見えない中、銘探偵メルカトル鮎が現れる。この作品だけはメルカトルの性格付けが違っている気がするが、これは麻耶さんも模索していたからだろうし、このキャラが主役で作品を作るとは考えてなかったのだろう。事件は首切断や密室など盛りだくさんだが、そのどれもに落とし前をつける。しかも強引に。これがある意味バカミスなのだが、そこを納得させる強力な推理。特に密室の完成と、殺された人間の見立てには驚く。ラストのエピローグまでも二転三転する壮絶な結末。麻耶さんの解説で、誰が頂点になるのかという部分は思わず頷いてしまった。 >> 続きを読む
2019/08/30 by オーウェン
事件あるところにどこからか現れ、執事たちに推理をさせ去っていく貴族探偵。その貴族探偵の行くところにいる女探偵との対決で送る第2弾。基本的には女探偵が推理していき、最後には貴族探偵がそれを覆すという連続。だから推理合戦の駆け引きというものを捨てている。むしろ貴族探偵が優雅さを教えているかのよう。5話あるが、ラストの話でのオチはいかにもな貴族探偵を見せつけられる。既に3弾も予定されており、貴族探偵対怪盗マダム。若手からベテランが相手となるわけね。 >> 続きを読む
2020/01/01 by オーウェン
作者4人による四季のアンソロジー。秋編は麻耶雄嵩。刑事天城の車に乗り込んできたのはミステリ作家の闇雲A子。その理由は、まほろ市に出没する真幌キラーを追うため。真幌キラーの殺人の後には死体の耳が焼かれ、傍にはぬいぐるみや角材などが置かれている意味とは。そして真幌キラーと同時に現れる怪盗ビーチャムとは。短編なのに非常に切れ味鋭い簡潔さ。伏線が少々あざとい点はあるが、麻耶さんらしくラストにガツンとした衝撃もある。このシリーズ3作目だけど一番印象に残る中身でした。 >> 続きを読む
2018/05/28 by オーウェン
芸術家の白樫宗尚とその一族。閉じられた家系の中で、義理の娘晃佳が殺され首が切断されていた。犯人は屋敷の中にいた人物なのは間違いないが、どの人物も完璧なアリバイが存在している。名探偵木更津悠也が登場するシリーズ。この一族の閉じられた関係が、一人の捨て子によって暴かれる。麻耶さんらしくかなり捻ったアリバイトリックが込められている。分単位で人の動きを見せるタイムテーブルまで作って推理を。でもこれがあまりにも複雑で、もはや眺めることしかできないほど。またほぼすべての人物が救われないラストを迎えるのも特徴。事件にしても解決したのかどうか、かなり苦みが残る顛末でもある。 >> 続きを読む
2018/06/27 by オーウェン
小学四年生の黒沢芳雄は、クラスメイトの可愛がっていた猫が犠牲になったことをきっかけに、以前から同じ町内の友だち同士で結成していた「浜田探偵団」のメンバーと犯人捜しを開始する。そんな時、芳雄は半月前に転校してきた鈴木太郎からとんでもない打ち明け話をされる。自分は全知全能の神様で、猫殺しの犯人も当然知っているというのだ。芳雄は当初、その言葉を半信半疑で受け止めていたが、実際に鈴木君の言葉がきっかけとなり、探偵団の捜査は順調に進展していく。しかし、犯人の逮捕も近いと思われたその時、探偵団の隠れ家で人間の死体が発見されるという事件が起きる。芳雄は、鈴木君に犯人を教えてもらおうとするのだが-------。麻耶雄嵩が児童向けの作品を描くというだけで、これはひとつの事件なんですね。そういうこともあり、麻耶雄嵩のいつもの毒が薄まっている----かと思いきや、名探偵への歪んだ見方や皮肉な結末を見れば、そんな配慮はほとんどしていないのではないかと思われる。 >> 続きを読む
2018/07/20 by dreamer
この摩耶雄嵩さんと埴谷雄高という「死霊」を書いた作者がどうもこんがらがって、本屋さんで、あの埴谷さんはこんなふざけた(ゴメン )話も書いていたのか、まさかまさか、と思っていた。何しろ探偵もの。だけど詩人ポーだってホラー小説を書いた。装丁もクラシックだし、帯の「5年ぶりの最新刊」というのも、5年ぶりに復刊されたのかとこれも瞬時に思ってしまった。その上「人形芝居を思わせる抽象性の魅力」ときたので納得の上で勘違いをした。要は埴谷雄高という作家を良く知らない、名前を読んではいたが記憶に残っていない、難解な幻想的な作家と思い込んでいたということだった。その上、ハニヤと読まずにウエタニと読んでから、あっ、あのハニヤ、埴谷さんだと気が付いた(笑)(前置きが長いです^^;)読み始めて一頁目でやっと人違いだと気が付いた。思い込みとは恐ろしい。とは言うものの、とても面白かった。5つに分かれた短編で、それぞれが発端は本格ミステリ風に始まる。事件が起きた状況はさまざまだが、そこに偶然だったり招待されていたり、呼び寄せられたりして、犯人を割り出すことになる。彼は自己申告の「貴族探偵」というわけで、名刺には金の箔で一行「貴族探偵」と書いてある。20代の痩身の美青年で、いつもメイドや運転手、ボディガードまで引き連れている。美人と見ると歯の浮くような美辞麗句でいい気にさせてデートに誘う、トンでもないお坊ちゃんに見えるが、使用人の作法のしつけや陰日向のない仕え方を見ても只者ではないらしい。そんなプロフィールを織り交ぜて事件は解決するのだが、働くのは、使用人で、彼らが事件の糸をほぐして推理し、犯人をあげて謎解きをする。そしてその間、ソファに座って美女を口説いていた探偵は、解決後は優雅に去っていくということになっている。こういうのは珍しい、車椅子探偵でも頭は使う。「ボーン・コレクター」でも一本の指と頭は使っていた。しかし、このあたり、ありえない設定の探偵は面白かった。 >> 続きを読む
2015/01/13 by 空耳よ
2010年度のミステリ作品で評価が上位の麻耶作品。舞台と設定はまるで昭和初期のようで横溝作品のような佇まいですが、登場する美少女の名探偵はまるでキャラものの作品に登場するヒロインのようなツンデレちゃん。その名探偵による事件の解決編かつ、全ての伏線を含んだ第一部。その18年後となる伏線回収の第二部の構成ですが、流石の麻耶作品とも言えるスレスレかつブッ飛んだ展開に思わず笑ってしまいます。こんなん...アリなのww??でもミステリファンからの評価や支持もしっかりあるので充分アリなんでしょうね。ミステリでありながら麻耶さん自身がその壁をどこまで正しい方法で壊せるのかを真摯に追求した結果のような作品に思えます。かつ、読み物として面白いクオリティを保った渾身の一撃。 >> 続きを読む
2013/06/04 by za_zo_ya
タイトル通り木更津悠也が解決する4つの事件の短編集。この木更津悠也は頑ななまでに名探偵にこだわり、相棒の香月はワトソン的立場を執拗に守る。この香月が事件を誘導する場面もあるというのが、他の探偵ものとは一線を画す。4つに共通するのは白幽霊。幻想なのか実体なのか。意外な犯人だったり、何故そういった行為が行われたのかが、名探偵によって明かされる。この本以降木更津の活躍は描かれてないが、やはり特殊な設定なのか、使いどころに麻耶さんは悩んでいるのかも。 >> 続きを読む
2018/07/05 by オーウェン
クローズド・サークルものです。設定に無理があるが、あっと驚く仕掛けがあり、評価すべき点がある >> 続きを読む
2017/07/22 by Otsdarva
【麻耶雄嵩】(マヤユタカ) | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト(著者,作家,作者)
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