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角田光代さんの作品を読むのはこれが3冊目となる。心の揺らめき、歪み、そんなちょっとした何気ない、自分には気にも止めないような心の微動。風景の騒めきを角田さんは丁寧に紡ぎ出す。誘拐犯として罪を背負いながら薫を愛し、逃げて逃げて、1分でも長く薫と共に過ごしたいという希和子の母性。人は幸せを追い求める命だと言うことを希和子の母性から滲み出て感じる。人それぞれが求める幸せのカタチ。登場人物それぞれの幸せを求めるカタチが歪な形を帯びて絡み合う。身勝手だったり欺瞞に満ちていたり。なのにそれぞれが加害者で被害者であるのがこの小説の面白いところだ。時に傷つけ傷つけられ、儚い幸せの瞬間瞬間に悲哀の念を感じる。綴られる風景と時間。登場人物の心の反芻。衝動に人間の血液の様な温かみを感じる。 >> 続きを読む
2020/01/06 by masahiro
角田さんの小説を読むのは「愛がなんだ」に続いて2作品目です。本屋さんでたまたま気になったので買ってみました。 女性の気持ちがたっぷり散りばめられた小説でした。普段「女の子ってとっても可愛いけど、とっても面倒だな〜」と感じている部分が、そのまま小説になった感じです。 未婚と既婚、子供がいるかいないか……女性の分岐点はたくさんありますが、場合によってはこれまでの関係を続けるのが難しくなることがあります。別に結婚じゃなくても、彼氏がいるかいないかだったり。 女の子は「同じ気持ちを共有すること」で仲良くなったりすることが多いからか、余計に「私は彼氏いないからわかんないや……」「子供、子供って言われてもちょっと共感できね〜」となってしまい、これまでの関係性に亀裂が入ってしまうのかなと思いました。 また十年後に読んだら、きっと感想が変わってくる小説なんじゃないかなと思います。 彼氏が出来たり、結婚したり、子供が出来たり……順調にいく人生なんてないですが、きっとどこかに共感できるポイントが含まれているお話だと思ったので。 私は葵ちゃんとナナコちゃんが夏に家出をする場面が1番好きでした。というより、ナナコちゃんが好きなのかもしれません。 「なんでもできるよ、あたしたち」に秘められた彼女の強さと儚さが、本当に素敵だなぁと思いました。大人が書く高校生は、等身大とは違った良さがありますよね。 葵ちゃんがナナコちゃんを探すシーンでは、私も一緒になってナナコちゃんを探している気持ちになりました。もどかしくて、切なくて、泣きたくなるような切実な葵ちゃんの気持ちが痛いほど分かりました。 他の方の感想だと「思っていたのと違ったかな〜」という感想が多い印象を受けましたが、私は割と好きでした。 読みやすくて、言葉に感情が入りやすいのでまだ読んでいない方にはぜひおすすめしたいです。 それから個人的に「小夜子」という名前がとても可愛いな、と思いました。古風で、知的で、でもなんだか可愛くて。いい名前ですよね。 >> 続きを読む
2020/10/02 by ゆきの
本に関する短編集。読後は爽やかな気持ちになりました。
2020/02/08 by mirio3
素晴らしい構成力、角田光代さん凄い。料理それも「作ること」に特化した連作短編小説集で、前の話で脇役だった方が、次の話では主人公に・・・またその話で脇役の方が次の話で主人公へと数珠つなぎに。誰もが脇役と思える方も実は主人公、すべての方に物語があり、この世で生きる限り、ひとりひとりの物語がある。「食べること」、「つくること」、大切、毎日の食事の中に生きるこだわりがある。最後に各小説出ででてきた料理が写真付きで「ストーリーに登場するごはんの、おいしいレシピ」として紹介されている。でも、何でもない展開なのに、各小説の最後の場面で、ほろりとさせられます歳とって、涙もろくなりましたな・・・困ったもんです。 >> 続きを読む
2020/11/13 by ごまめ
女の「いやらしいところ」を書かせたら林真理子の右に出る者はいないと思っていたんだけど、角田光代さんがいたかー。ただ、林真理子が「女って…」とマイナスの感慨が残るのに対して、角田光代さんは同じように「女って…」と思いつつ、謎に読後感はポジティブなのがすごい。 >> 続きを読む
2020/01/11 by 室田尚子
特別ドラマか映画かは分からないが、妻夫木聡さんがお父さん役で映像化されていた。たまたまつけたテレビで最後の五分程度を見ただけだったが、すごく印象に残り、本書に行き当たった。大きな波はないし、あやふやなまま話が終わってしまうけど、どこか心が暖かくなる。そんな本。親子もそうだけど、人と人が分かり合おうとする姿は心が動かされる。ちょっと、映像も探してみよう。 >> 続きを読む
2018/05/19 by 豚の確認
先日テレビで映画版を見た。永作博美が秀逸だった。原作の記憶がなくて手にとったらどうやらうっかり読みそびれていたことが発覚。角田ファン失格(笑)。深夜0時から読み始め、明け方4時半まで一気に読んでしまった。噂には聞いていたが、圧巻。映画と原作を比較することはナンセンスでもあるけど、映画に感動した人は、ぜひ、恵里菜の母親や妹や恵里菜自身の内面が描かれた原作の方も読んで欲しいな思った。また、私自身は、映像や音楽や俳優の声で物語を与えられるより、活字だけの世界で縦横無尽に自分で想像するほうが、圧倒的に好きなんだろうなと実感もした。角田さんは、「紙の月」でも犯罪を扱っているが、どちらも罪を犯す人物の方に読み手が気持ちを吸い寄せられる、そのベクトルみたいなものが私は好きだ。 >> 続きを読む
2016/03/06 by umizaras
第132回直木賞受賞作。一児の主婦で就職先を探していた小夜子と偶然出身大学が同じだった女社長葵のダブルキャスト。小夜子は葵の会社に新事業として立ち上げるお掃除代行のスタッフとして入社する。小夜子は人見知りの娘を保育園に預けながら必死に仕事に打ち込む。一方、葵には高校時代友人関係に悩み、親友ナナコとの駆け落ち?をした過去があった。2人がどのような関係になっていくのかが気になって読み進むことができた。それにしても女性同士の関係は何故こうも陰湿感を感じさせるのだろうか。 >> 続きを読む
2017/11/24 by konil
一見平凡に見える家庭を 家族の様々な視点から描いた短編集。 この小説を読んだのが 30歳過ぎてからで良かったと思う。 子供の頃、自分の母は産まれた時から “母”という生き物だと思い込んでいた。 大人になっていくにつれ、 母は娘でもあり、女でもあり、人間であるという事が 理解できるようになってきたのだ。 そういう事を踏まえて、この小説の世界に入っていけたので いとも簡単に心に入り込んで来た。 この家族は「隠し事をしない」という決まりを作っている。 それが逆に不自然で異質な家族を作ってしまっていたのだ。 特に母と娘の関係性が皮肉で淋しかった。 娘の立場だから分からない、母の立場だから見えない、 そんな悲しいすれ違いが凄くリアルだった。 キレイ事が嫌いな私は基本的にこういう話が大好きだ。 角田さんの作品をもっと読みたい… まだこれ以上の作品がある、と信じて、星4つ。 >> 続きを読む
2019/01/28 by NOSE
女性がつく主婦業に鬱屈している現代らしい物語。だからこそ女性は働きに出るわけで、欲望や衝動は時に理性の歯止めが利かなくなる瞬間が描かれている。結婚して幸せいっぱいの主婦業をしていた梨花だが、次第に退屈な日々に。働き始めることを決めたのは銀行の行員。そこで顧客の勧誘を受け持ち、次第に仕事は軌道に乗っていく。冒頭から金を持ち逃げしたことを明かしており、いかにしてこのような事態になったのか。大金を見ると夢想するというが、そのまんま行動に移してしまった場合、悲劇しかないことが分かる。ただ反省やその後を見せずに留まっているのは、夢の終わりを見せないためなのかも。ひと時の夢は醒めないでくれと誰もが思うものだから。 >> 続きを読む
2019/09/22 by オーウェン
ずっと読みたかった作品の一つでした。やっと読めた! 期待していたぶん、自分の感性と合わなかったら残念だなと思っていたのですが、パズルの最後の1ピースくらいぴったり合いました。 最近読んだ恋愛小説のなかでも群を抜いて好きです。片想いをしていた頃のことを彷彿とさせてくれました。テルちゃん、とっても私に似ているところもあって、帯の「ページを捲るたびに、人ごととは思えない気持ちになる」という言葉がグサグサと突き刺さりました。 片想いって本当に切ないですね。特に大人の片想い。自分のことを客観視出来るようになっているけれど、それを知っていても無視して恋愛しているのがすごく切ないです。でも、とっても分かります。私もそういうタイプなので。実らないと分かっていても、好きという気持ちは止められない。心がきゅっと、苦しくなります。 マモちゃんの駄目男加減もすごくて、人間らしさが全面に出てました。駄目なところまで、好きになっちゃうやつだ〜って感じです。P150の「マイナスであることそのものを、かっこよくないことを、自分勝手で子供じみていて、かっこよくありたいと切望しそのようにふるまって、神経こまやかなふりをして、でも鈍感で無神経さ丸出しである、そういう全部を好きだと思ってしまったら、嫌いになるということなんて、たぶん永遠にない」という言葉、本当に切ないです。 テルちゃんがマモちゃんに出会ったときの印象を「それに、指がきれいだった。重いものを持ったことのない、ピアノを弾くような指に見えた。」(P36)と言ってるんですが、細いとか、長いとかじゃなくて「ピアノを弾くような指」っていう表現とっても繊細で素敵だなぁと思いました。 掃除も、料理も、洗濯も、料金の支払いも、自分ではない誰かへのホワイトデーのチョコを買ってくることも、全部尽くすテルちゃん。尽くす恋愛って、こういうことだよね! という感じで、すごく人間らしくて好きでした。一生懸命、だけど、どこかいつも不安定。いつも顔色を伺いながら、どうしてマモちゃんが不機嫌なのか考えちゃう。頭のなかはマモちゃんで埋め尽くされてる。仕事も、マモちゃんからの電話があれば定時前に抜け出していく。本当に全力片想いですよね。笑 私も尽くしてしまうタイプだし、テルちゃんみたいに「好きな人以外はどうでもいい、に分類されてしまう」タイプなのですっごく分かります。 この小説は他の恋愛小説と違って、結局「愛とはなにか」ということは見つからずに終わります。逆にそれがすごく素敵だと思いました。これを読んで、さらに自分を客観視して「愛とはなにか」を探すヒントにするのがいいのかもしれません。難しいです。愛ってなんなんでしょう……。 それから、ナカハラくん。この小説で一番幸せになれそうな人だと思いました。というか、幸せになってほしい。心の底からそう願っています。 >> 続きを読む
2020/06/16 by ゆきの
短編集なのだが、どれもこれもひたすら恐ろしかった。次第に、タイトルの意味が分かってくると、さらに恐ろしくなる。ほとんど私にはオカルト的な恐怖。作者の想像世界の凄まじさよ。1日一編にしておかないと、心身に影響が出そうでした。合掌。 >> 続きを読む
2015/06/21 by umizaras
おもしろかったです!話は短編で、あららーって感じる話だけど、みんな似たような経験を日常の中でしてるのかもしれないなーって思いました。人生ベストテン!スーパーハッピーなことより、こういう寂しいような、虚しいことがベストテンをしめるのかな〜なんて思ったり >> 続きを読む
2016/10/12 by asa_chann
ふられる人が主人公の失恋短編集。 前のストーリーでふった人は、次のストーリーではふられる主人公となり、それぞれ恋が終わっていく頃にはなんらかの到達点にたどり着いている。 失恋の話だというのに常に終わり方が清々しい。 各主人公の年齢が20代〜30代後半なので、必然的に恋愛と仕事が絡み合うのも物語に入り込んでしまう要素かもしれない。 「成功」とは何なのかを追い求めているのが隠れテーマとしてあるようだった。 一番最初の「くまちゃん」の主人公だった女性が、最後の方の「光の子」で再登場した時には「成功」について答えが出ていたことに安心する。ふられたからこそ、それを乗り越えたからこそ、霧が晴れたように見つけられたんだろうな、と。 角田さんの小説はしばらく恍惚から抜けられない、中毒性をはらんでいる面白さがある。 >> 続きを読む
角田光代の第22回伊藤整文学賞受賞作「ツリーハウス」を読了。この作品は、時代の流れを俯瞰するという意味で、著者・角田光代の新境地を示す長篇小説になっていると思う。満州へ渡り、終戦後に帰国し、東京・西新宿に翡翠飯店を開くヤエと泰造、そして、その子供たちと孫たち。それぞれの世代と社会の出来事を追いつつ、形を変えていく家族を描いている。この家には、根がないという空気を、例えば、孫の良嗣は感じている。それは、大陸から引き揚げてきた祖父母たちが築いた場所だからか。親戚との付き合いが薄いからか。知ろうともしなかった家族の来歴。良嗣と叔父の太二郎は、祖母のヤエを伴い、大連や長春を旅する。命からがら逃げた記憶が、ヤエの戦後には染みついている。ヤエには、逃げたことに対する後ろめたさがあるのだ。翡翠飯店の歴史は、それを受け入れ、肯定しようとする歴史でもあるのだ。うまく逃げられず、死ぬことを選ぶ者もいて、膨らんだり縮んだりを繰り返す一家なのだ。庭に放置されるバンや木の上に作られる秘密基地が、はみ出す家族の時間を受け止め、やがて消えていく。「簡易宿泊所のようだ」という例えで表わされる翡翠飯店は、小さな飲食店であると同時に、確かに"時代を映す鏡"としても描かれていると思う。学生運動や宗教の問題など、世間の動きがときに大きな波として押し寄せる。ばらばらのように見えて、それでも家族だという距離感を描く時、著者の筆は冴えわたる。「今は平和で平坦で、それこそ先が見通せると錯覚しそうなほど平和で不気味に退屈で、でもそんな時代にのみこまれるな」と祖母は言おうとしたのだと、良嗣は思う。闘うことも逃げることもせずに、時代にのみこまれるな、と。家族だからといって、互いに全てを知っているわけではない。だが、そこには枝のように静かに伸びるものがある。過去から途切れることなく繋がる時間がある。時代が与えるものを受け入れ、今日を生きるとは、どういうことか。この作品は、時代の中にある家族を、じっくりと捉えた年代記になっていると思う。 >> 続きを読む
2018/12/12 by dreamer
角田光代と穂村弘の往復書簡。男と女の認識の違い。そこから生じる勘違い。ふたりのやりとりが面白すぎて、読み終わるのが惜しかった。なんとなく、男女間のもやもや感じていたことが、文章でスパッと書かれていて、ほんとスッキリ!私はもう恋愛しなくていい立場なんだけど、恋愛中にこの本に出合っていたら、冷静にふんふんと男を見ることが出来たかも。…なーんてことないか。 >> 続きを読む
2015/11/02 by shizuka8
息もつかせぬ、という言葉が思い浮かんだ。ひどく熱を帯びた読書体験となりました。この角田光代の「曽根崎心中」は、著者初の時代小説だ。タイトルからもわかるように、この作品は近松門左衛門の原作を下敷きとしている。いつも著者の新作を読む時には、それが角田光代の小説であるということを、随所で確認するように味わっていくのだけれど、今回はそうではなかったですね。作者が誰であるとか、原作が江戸時代のものであるとか、そうした背景はどこかに置き去りにしたまま、ただ目の前にある物語に魅了され、取り憑かれたようにページを繰っていきました。だからといって、角田光代の小説としての意味が薄れているわけではないのが、やはり凄いところだ。流れるような文章も、繰り返されるフレーズのもたらす独特なリズムも、間違いなく彼女にしか書けないもので、読後に残る充足感は、紛れもなく、彼女の小説に触れた時の感覚だ。ストーリーだけを取り出してみれば、シンプル過ぎるとも思えるほどの恋愛小説なんですね。遊女であるお初と、醤油問屋の手代である徳兵衛が恋に落ちる。結婚を誓い合っていたのだが、友人に裏切られたことで借金を抱え、行く先のなくなった徳兵衛に対し、ともに死ぬことを決意するお初。二人は曽根崎の森で心中することとなる。それでも、このシンプルな物語には、紛れもない生々しさと温度が存在している。実際の事件を下敷きにしているからといった単純な理由とは別だ。鳥の鳴き声も、女たちのたわいない会話も、まるで実際に自分がそこにいて聞いているかのように錯覚させられる。女たちの、くすくすという笑い声が頭の中で響きわたる。とにかく、この小説は何もかも圧倒的だ。生も死も悲しみも嬉しさも、あらゆるものが渦巻いて、静かに遠ざかる。恐ろしく美しい小説だ。その恐ろしさも美しさも、恋そのものなのだ。 >> 続きを読む
2018/11/21 by dreamer
何者かになろうとする何者でもない若者の話。こういう面、わたしも持っているな。と思い恥ずかしくなる。妊娠中の不安定な気分と、それを差し置いても無神経な義姉と夫。でも他人と一緒になるってそういうことだよなぁ。 >> 続きを読む
2016/09/12 by lilli
エッセイだが、面白かった。原田宗典の女性版といった所か。(原田さんの作品のファンで、違うわ!という人がいたらごめんなさい)。でも、しょうもない事を、よくもここまで膨らませて話を面白くできるものだ。庶民的というか、赤裸々というか、ちょっと人には隠しておきたいハズカシ~って事も面白おかしく書いてあり、夜中に大爆笑。 >> 続きを読む
2017/05/02 by チルカル
恋の始まりってやっぱりいいなぁって感じるお話でした。恋がしたくなります!
2017/05/30 by asa_chann
【角田光代】(カクタミツヨ) | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト(著者,作家,作者)
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