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諸富祥彦

著者情報
著者名:諸富祥彦
もろとみよしひこ
モロトミヨシヒコ
生年~没年:1963~

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このランキングは1日1回更新されます。
      人生に意味はあるか
      カテゴリー:人生観、世界観
      4.0
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      •  本書はフランクルの研究者であり、臨床心理士でもある筆者が「生きる意味」について書いた一般向け読み物です。筆者の諸富祥彦は「100 de 名著」というEテレの番組で『夜と霧』の指南役を務めていました。
         本書はユニークな作りになっています。パートⅠでは筆者の臨床体験の具体例も織り交ぜながら、現代人の生きる意味の喪失について語るとともに、大学で実際に行ったワークショップを再現しています。読者も参加できるようにと、書き込むスペースまでついています。
        ・どんなときに人生の意味について考えたことがあるか。
        ・「人生に意味はない」立場のどの言葉に、最も心が動いたか。それはなぜか。
        ・「人生に意味はある」立場のどの言葉に、最も心が動いたか。それはなぜか。
        ・人生に意味はあるか、ないか。あるいはこの問題をどう考えるか。それはなぜか。
         これらの問いについてそれぞれカードに書いてからディスカッションするわけです。筆者は実際に学生から出た意見を紹介しながら解説を加えています。
         パートⅡでは、「これが答えだ」と題して何人かの人を紹介していますが、この人物の選択がこういう本にありがちな方向性とは少しずれているのが面白いです。わざと「これが答えだ」などと小見出しに書いてしまうのもそうですが、一般読者が食い付きやすいように書いているなと思わされます。大学の先生の書いた本というのは一般読者レベルから乖離しやすいものですが、さすがに臨床体験があるためか、わかりやすく丁寧です。きっと学生にも人気があるんだろうなと想像できます。
        ・宗教の答え:五木寛之「人生の目的を見つけるのが人生の目的」トルストイの答え「庶民の福音に帰れ」ゲーテの答え「欲張って、命を燃やせ」
        ・哲学の答え:トマス・ネーゲルの答え「すべては、一瞬の出来事」渋谷裕美の答え「人は根拠なく生まれ、意義なく死んでいく」宮台真司の答え「生きることに意味もクソもない」ニーチェの答え「一切はただ永遠に、意味もなく回り続けている」
        ・スピリチュアリティの答え:飯田史彦の答え「自分で計画した問題集を解くこと」キューブラ・ロスの答え「与えられた宿題をすませたら、からだをぬぎすててもいい」『チベット死者の書」の答え「死の瞬間、光に向かって進め」玄侑宗久の答え「根源的な意味の連続体に帰ると信じる」上田紀行の答え「生きる意味の不況から脱出せよ」江原啓之の答え「人生の目的はたましいの成長」『神との対話』の答え「自分が何者であるかを思い出すため」
         以上は目次を順に書き出しただけですが、短く要約されているのでわかりやすいかと思います。この中から面白いと思うものを選んで読んでもそれなりに発見はありそうです。筆者のようないわゆる知的エリートが、江原啓之や『神との対話』などを挙げてくるところが実に面白いところで、筆者の柔軟な思考を感じさせます。最も、「お手軽スピリチュアリティ」と「ほんものスピリチュアリティ」と区別して、これらをあやしげなものと紹介しつつ、いいことを言っているという立場を取っています。これは初めて知ったことですが、スピリチュアリティという言葉はWHOにおける「健康」の定義の一次元をなすものとして使われ始めているかなり公的な言葉だそうです。筆者も指摘していますが、日本では「精神世界」「サイキック」「霊能」「霊感」「ホリスティック」(部分ではなく全体を包括的に捉える態度や考え方。心と身体の調和)「トランスパーソナル」(個人の心理を超えた領域を尊び、宗教的・霊的な次元をも含めた心の成長を目指すこと)「インテグラル」(数学用語では積分のこと。総合的・全体などの意味。たぶんトランスパーソナルと扱う分野は変わらないようだ)と玉石混交の状態ということです。よくわからないままに言葉だけ流行って一瞬で消費されていくのは日本の特徴でしょうか。その一瞬の流行に載せられて人生を狂わされてしまう人もいることを思えば、笑い事ではない気もします。そういう意味でも何が「ほんもの」で何が「にせもの」なのかを見分ける力を養うことは現代人の必須教養です。まあそれを見極めるだけで人生の時間を使い果たしてしまいそうですが。
         章を変えていよいよフランクルの登場です。フランクルの答えは、「人生の答えは与えられている」ということです。自分の人生に答えはあるのか?と問うのではなく、自分は人生から何を期待されているのか?と問うのが正しいのだと問いの方向を180度転換することをフランクルは勧めています。したがって、そこには万人に共通するような抽象的な次元での「答え」はありません。個々人がその時その場で答えを出していくことが人生の意味なのです。そのように問いの前にまっすぐ立って答えを出していった時、過去は永遠の座標軸に刻まれるとフランクルは言っています。未来はわからない。現在は過ぎゆく。しかし過去はそこにあります。いいかげんに流れた時間ではなく、問いの前に立ち、自らの責任で生きた過去は、それが苦悩に満ちたものであっても人生の意味として輝き続けるとフランクルは考えています。この考えは私たちを確かに力づける言葉であり、常に問いにさらされていることを厳しさを要求する考えだと思います。
         最後に「私の答え」として、筆者自身の立場が語られます。筆者の答えは「いのちが、私している」です。筆者はトランスパーソナル学会会長をしているだけあって、スピリィチュアルの立場を取っています。筆者自身のスピリチュアル体験も含めて語られています。中学生から7年間「生きる意味」に取りつかれた筆者は突き詰めて考えたあげくに、もういいや、死んでしまおうという一種のあきらめをした瞬間にスピリチュアル体験をしたと言います。「自我の破れ」と筆者は表現していますが、悟りのようなものでしょう。死によって分断されているのではなく、宇宙に充満しているエネルギーが「わたし」という形になって一時期存在しているに過ぎない。死によって違う世界に行くというより、元の形に戻るだけなのだということらしいです。そのなにやら名づけがたいもの、筆者は「いのち」と言っています、それが「私している」状態の期間に、与えられた使命がある。それがフランクルの言う「問い」と同じものだと思います。人生から期待されているのだということです。
         死について語らなかった孔子、すべては無常だと知ったブッダ、無為自然を説いた老子……たぶん、それぞれにスピリチュアル体験をどこかでしているのかもしれません。彼らの思想には重なるところがいくつもあります。この「いのちが、私している」の解説から、むしろ東洋の伝統的な思想を思い起こしました。こういうことに関しては、過去の発見を積み上げて知識化していくことではなく、その都度自分が体験しないとわからないことなのです。2000年前に誰かがわかったことと同じことを私たちがわかることができないということもありますし、年齢を重ねれば自然とわかるという性質のものでもないでしょう。やはりある種の修行が必要でしょう。筆者は最後に、「ほんものの人生」「ほんとうの生き方」を追及する、心理学的な「自己成長道場」「自己啓発塾」みたいな私塾を作りたいと言っていますが、よくわかります。実際、孔子もブッダも(老子は飄然と去ってしまうのですが)あるいはギリシャの哲学者たちも、弟子と師による対話を通じて学びを深めていったのですし、そういう形でしかわからないことはあるのです。学校というシステムで学ぶようになったのは人類の学びの歴史から言えばつい最近の出来事です。
         インターネット全盛のこの時代、疑問があればキーワードを打ち込めば「答え」が出てきます。大勢の智恵を集積すれば解けない謎はない?本当でしょうか。「いかに生きるべきか」「人生に意味はあるか」というような問いに関して、このような大勢の智恵は無力です。もしそこで「このように生きるべきです」などと言われても私は信じないでしょう。答えは自分の内側を見つめることでしか導き出せないからです。
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        2013/03/29 by nekotaka

      • コメント 5件
    • 1人が本棚登録しています
      <生きる意味>を求めて
      5.0
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      • アマゾンで頼みました。明日、届きます♡楽しみです。

        2013/09/25 by ともぞう

    • 1人が本棚登録しています
      ロジャーズが語る自己実現の道
      4.0
      いいね!
      • この本も名著です。ロジャーズはやっぱり天才ですね。
         トラウマに襲われると人は防衛的になる。カウンセリングはそうした人を開放し、降りかかってきた人生の課題に取り組む力を与える。
         防衛的になってしまうと自らに課された課題に気付くことが出来ない。ロジャーズが危惧するのはその点だ。人は自分の存在にかかわる問題に触れる時、意味のある学びを行い、夢中になって課題に取り組むことが出来る。防衛的になり開かれていないなら、ただ人生を悲観してしまい、学ぶことも行動することも出来ないのだ。
         ロジャーズは、自らの感情をそのままに体験すること。体験することを許される経験をすること。そのように開かれることで、人は自分自身に肯定的な好意を感じ、自らの生きたい方向へと生き始めると言う。
         自分自身である人は幸いだ。怒りや悲しみさえ、その本質に触れるのなら自らにも他者にとっても心地よいものに映る。その人自身であること。それさえ出来るのならば、人はトラウマに打ち負かされることはなく、自らの課題を生きることが出来るのだろう。

        http://naniwa1001.blog108.fc2.com/blog-entry-289.html
        こちらで詳しく要約しております。もしよろしければ訪問していただけましたら幸いです。
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        2016/01/23 by hayato

    • 1人が本棚登録しています
      「孤独」のちから
      4.0
      いいね! Moffy
      • 「なるほど」と思ったのが、「孤独=可哀想」と結びつけるのは、多くの人による思い込みであること。
        実際人の幸せはそれぞれなのだから、こうすれば幸せ、ああすれば不幸せといちいち「親切」にアドバイスしてしまうと、かえって混乱を招き、酷い場合は相手を自己嫌悪や「いい人」に走らせるようにさせてしまう。
        だからといって、全ての人に自分の意見を発することを禁じることはできないし、必要な時はもちろん人の話に耳を傾けなければならない。でも、どの部分を残しどの部分を流すかは、自分で決めることができる。
        自分が必要なことが分かる、自分の価値感が分かる……孤独力がある人は、自分と対話をしている人は、謙虚で且つ自分の芯を持てる。
        だから、自分に合った正確な判断ができるのではないか。
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        2018/02/18 by Moffy

    • 1人が本棚登録しています
      「とりあえず、5年」の生き方
      カテゴリー:人生訓、教訓
      3.0
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      • 5年の計画ではなく、5年で死ぬ(生まれ変わる)と思って、
        その中で悔いのないように生きるという考え方は、とても大事だと思う。

        「魂の生活と一致する仕事」をしたいと思った。
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        2015/01/24 by 11010

      • コメント 1件
    • 1人が本棚登録しています
      フランクル心理学入門 どんな時も人生には意味がある
      4.0
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      • 本書は諸富祥彦氏による、フランクル心理学の入門書です。本書の面白さは筆者がフランクルに大変強い思い入れを思っていながらも、フランクル個人とフランクルの学問を峻別してとらえており、フランクルの晩年フランクル心理学が世間に求められだしてからのフランクルのあり方に痛烈な批判を加えていることです。フランクルの心理学は本質を見誤って伝えられている、にもかかわらずフランクルは自分の学問が多くの人に認められたことに満足している、それは学者として「堕落」であると言います。ここまで筆者が言い切るのは、それだけフランクル心理学を高く評価しているからです。

         本書は5部構成となっていて、第1部はフランクルの生涯、第2部はフランクル心理学の中身を考察しながら、さまざまなケースにおけるフランクル心理学の摘要を考えていきます。第3部では、第2部のような個別具体的な説明から、もっと原理的な説明に入っていきます。一番核心の部分です。第4部ではカウンセリング・臨床の実際を紹介していきます。特にフランクル心理学の特徴である「ロゴ・セラピー」について、技法も含めた原理を説明していきます。第5部では筆者によるフランクルの主要著作の紹介です。これは一般読者から初級研究者までを視野に入れていると思います。そして最後に現在のフランクル心理学の到達点、筆者の修正フランクル心理学の説明を加えてあります。

         本書を読んでいて、なるほどと思ったことがたくさんありました。『夜と霧』があまりにも有名なためフランクルが優れたカウンセラーであることがあまり話題にされないということ。しかもその基本原理「ロゴ・セラピー」は強制収容所の体験によって生まれたものではなく、収容所に行く前にほぼ完成していたということです。「お話」としては、強制収容所で劇的な体験をし、その体験から導き出された技法である方が面白いと思うのですが、フランクル自身は強制収容所の前と後とで学問に関しては変わっていないということです。かなり多くの人が誤解をしていると筆者は指摘しています。辞典や、翻訳者の序文などにも間違いがあり、筆者は一つ一つ挙げて批判しています。あまりにも有名になりすぎると他の部分にひずみが生まれてしまうのだなと思わされました。
        >> 続きを読む

        2013/04/27 by nekotaka

      • コメント 2件
    • 2人が本棚登録しています
      男の子の育て方 「結婚力」「学力」「仕事力」。0~12歳児の親が最低限しておくべきこと。
      カテゴリー:社会教育
      3.0
      いいね!
      • 私にはいまひとつ合いませんでした。
        ひとことでいうと『知識的』で、他に似たような本を読んだことがあったら目新しさはないと思います。
        著者や文章の雰囲気もあまり好きではなくて、今回は途中で読むのをやめてしまいました。

        読みにくいわけではないし(確か子どもがもう少し小さかった頃に最後まで読んだことがあります)
        評価も良い本なので、「合わない人間もいる」というあくまで個人の感想です。

        ※追記…というか。
        著者は「女の子を育てるお父さん」だそうです。
        >> 続きを読む

        2016/02/15 by kon

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