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夏の間に読みたいと思っていた本。一人暮らしの老人の死を観察する為に、その老人の家に集まっていた少年三人組。結局観察はバレてしまうのですが、そこから老人と少年達との不思議な交流が始まります。裏表紙のあらすじから、あ、このじいさん死ぬな。と、思っていましたが、予想通りの展開でした。泣けはしなかったです。「この世界には隠れているもの、見えないものがいっぱいあるんだろう」「死んでもいいと思える何かをいつかぼくはできるのだろうか」「もの」「何か」等、抽象的な表現がやや多くありましたが、言わんとしている事はなんとなくわかりました。話は、おじいさんと少年達との交流が始まった所から面白くなります。死んだらどうなるのかわからない、逃れられない恐怖、そして、幾ばくかの好奇心から、少年三人はある一人暮らしのおじいさんの死を観察します。しばらく、本人に気づかれないよう観察をするのですが、主人公の少年木山がおじいさんの顔をなかなか覚える事が出来ず、「家に帰って思い出そうとしても、輪郭のぼやけた人形みたいで、はっきりと思い出す事が出来ない」と書かれている所から、あの世に片足を突っ込んでいる、おじいさんの死が近づいているのを予感させました。観察に気づいたおじいさんは、少年達との出会いによって、健康的な生活に変化していきます。きちんと洗濯をしたり、ゴミを出したり、料理を作ったり……いきいきとしてきます。そして、この三人の少年は、それぞれ家庭内にわだかまりを持っているのですが、おじいさんとの出会いを通して、それも変化していきます。主人公の木山は父母間が不仲で母親はアルコールに逃げている、デブの山下は母親から父親の魚屋を継ぐ事に対して良く思っていない、眼鏡の河辺は母親と二人暮らしで父親に別の女性が出来て離婚、腹違いの子供もいる状況です。しかし、おじいさんから家事や考え方を学んだ三人は、それによって家庭内の風向きを変えるのです。木山の母親は、元々お酒を飲まずに自分の子供と向き合って接してきたのですが、今ではアルコールに逃げてしまって子供を見ずにどこかぼんやりしています。しかし、おじいさんから教わった梨を剥く様子を母親に見せ、その梨を食べさせた時、母親の目が覚めるのです。子供の成長に気づいた驚きと後悔と共に。この作品のテーマは「死」ですが、それとは逆の「生」もまた、描かれています。生きていく中で、自分にとっての人生の目標を見つけたり、死んだ人の考えが心の中に残り続けて、それが今後の人生において様々な場面で影響していったりする事もこの作品で表現されています。主人公達がサッカー合宿でのバスの移動中、なぜか窓に老人の姿が映ります。バスの窓に映っていた見知らぬ老人、ですがどこか見覚えのある姿は、観察していたおじいさんだったのではないでしょうか。もしかしたら、おじいさんはその時に亡くなっていて、会いに来ていたのかもしれません。主人公が昔飼っていた犬のチロが死んだ時は亡骸が段ボールの中に入れられて、ちゃんと見る事が出来ず、色々な事を見過ごしてしまった不安に襲われていましたが、おじいさんが死に、火葬場で骨になった時は決して目をそらさず見届けていました。最初は死んだ人やあの世がなんとなく怖いものだと思っていた三人でしたが、これを機に怖さはなくなり、成長します。成長していく者と死にゆく者、切ないお話でした。 >> 続きを読む
2018/08/30 by May
友人にすすめられて読んで見ました。とても薄い本で読みやすいです。(内容の欄を見るとそうは思えないですが・・・)どこか風や陽の自然を感じる場所でゆっくりと大切によみたい本です。 >> 続きを読む
2015/03/16 by kenyuu
多分、初湯本香樹実作品。読書ログのレビューを読んで、図書館でリクエスト。酒井駒子さんの表紙が素敵。お隣とギクシャクしてる家族の中で、受験に失敗した小6のお姉ちゃんのトモミと、図鑑好きの弟テツの話。角田光代さんの解説にもあるけど、おばさんの言葉がスゴイ「おばさん、どうしようもないことってあるね」「うん」「だけど、テツ、がんばってよかったんだよね」 おばさんは大きく息を吸いこんだ。それからいつものガラガラ声をいっそう太くして、「どうしようもないかもしれないことのために戦うのが、勇気ってもんでしょ」読んでいて、子供の頃の「自分ではどうしようもなかった感」を思い出して泣けた。 >> 続きを読む
2015/05/30 by kucoma
深津絵里がこの作品で、2015年第89回キネマ旬報ベスト・テン、主演女優賞を獲ったというニュースを聞いて、手に取った。3年間行方知れずとなった夫が、ふらりと帰ってきた。もう自分は死んでいるという。その夫が3年かけて旅した路を、一緒に辿っていく物語だ。死んだ夫とともに旅をする。という時点で、現実と空想が入り混じっているようにも思えるのに、主人公の妻は畳みかけるように、眠りと覚醒のはざ間でも現実と空想の世界を行ったり来たりする。たまに、私は混乱した。「美しい小説」と言えば聞こえはいいが、この小説の中にある陰湿な雰囲気はぬぐいきれない。 >> 続きを読む
2016/03/16 by shizuka8
『西日の町』(湯本香樹実) <文春文庫> 読了です。※※ 内容に触れるので嫌な方は読まないでください。※読み始めて「これはすごい!」と思いました。最初なのでまだ判明していませんが、自分の親と思われる「てこじい」の前で夜に爪を切る母。同じように主人公が爪を切ろうとすると、「親の死に目にあえなくなる」と咎める母。眠るときも横にならず、ずっと壁にもたれているてこじい。そんなてこじいに掃除機をぶつけたり足を踏んだりして嫌がらせをする母。寂れた町で小さく静かに始まる貧しい一家の物語が展開されていきます。『夏の庭』で「もういいや」と思っていた作家ですが、もう冒頭から魅了されました。逆に味付けが濃すぎて、私に耐えられるかと心配になったくらいです。しかし、半分読み進めたぐらいから様子がおかしくなってきます。だんだんてこじいの物語が中心になってきて、「いい話」っぽい匂いがしてきます。そしてそれが気のせいではなく、どんどん現実化してきます。物のようだったてこじいが活力を持ち出し、なんだか不気味だった母がてこじいの娘として、主人公の母として、叔父の姉として活動してきます。そしてもう、どこにでもありそうな、普通の物語になっていってしまいます。うーん、これじゃあ、あの前半の雰囲気が台無しでは……。結局こういう作品にしてしまう作家なのかなあ。ということで、やっぱり私には湯本香樹実は合わないようでした。 >> 続きを読む
2018/10/24 by IKUNO
時折会話部分の言葉に気になる部分もあり、何度も読み返しては前に進むの繰り返しでし生きている間に、しっかり話せていればいちばんいいですね~不思議な時間でした。 >> 続きを読む
2015/07/07 by mikanmama
本当にすばらしい絵本だった。 人の死を受け入れるということがどのようなことか。 凡百の山のようなことばより、この一冊の絵本の方がずっと胸に迫る。 ぜひ多くの人に読んで欲しい、傑作と思う。 >> 続きを読む
2012/12/21 by atsushi
【湯本香樹実】(ユモトカズミ) | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト(著者,作家,作者)
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