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恩田陸

著者情報
著者名:恩田陸
おんだりく
オンダリク
生年~没年:1964~

この著者の本を読んでいる会員ランキング

このランキングは1日1回更新されます。
      夜のピクニック
      カテゴリー:小説、物語
      4.1
      いいね! niwashi siois Sachupan kumpe
      • 3年間という期限付の高校生活。今、振り返るとあっという間だったけど、当時はなぜか毎日が長かった。教室、部活、塾など時間刻みのルーティンからほんの一瞬、解放してくれるイベント、悪友や異性と過ごす時間だけが、超高速で過ぎ去っていった、懐かしい10代後半の感覚を思い出す。

        主人公たちが通う北高伝統行事、年に一度の歩行際。全校生徒が一昼夜かけて、80km完歩を目指す道のりに合わせて、物語もゴールへ一歩一歩近づいてゆく作品構成がとてもおもしろい!

        遠足、文化祭、体育祭、修学旅行、マラソン大会などなんでもよい。学業の合間の消化試合のように開かれる学校行事の中にも一つくらいは、いつもよりテンションが上がっている自分に気づく瞬間があるものだ。

        青春期に体感する非日常的な出来事の中には、教室の中では、見えない学生たちの素顔や、普段は口に出せない気持ちが渦巻いていて超リアルな冒険のよう。

        真夜中に歩きながら、友や異性と互いの存在を認識、理解し合う高校生たちの思考と感情に触れながら、結局人間って、教科書、パソコンより、リアルな時間の中で、頭と体と心をフル回転しているときが、一番学習能力も高いのかも。

        何気なく毎日過ぎていく時間も見慣れた景色も、あっという間に消え去る青春の奇跡。尊いほど輝かしい時間が、今さらながら羨ましい。
        >> 続きを読む

        2021/01/31 by まきたろう

    • 他39人がレビュー登録、 138人が本棚登録しています
      六番目の小夜子
      カテゴリー:小説、物語
      3.5
      いいね!
      • とある高校に数年前から受け継がれている
        「サヨコ」といういい伝え。
        3年に一人選ばれる「サヨコ」は誰にも気づかれずに
        一つのゲームをクリアしなくてはならない。
         
        「六番目のサヨコ」の年に
        同じ名前の美少女・津村沙世子が転校してきた事で
        ゲームが複雑になっていき、
        高校生ならではの好奇心や刹那的な勢いも手伝って
        どんどんサヨコの真実に近づいていく。
         
        ホラーだと思いながら覚悟して読み進めると
        青春ドラマに変わっていき、一息つく。
         
        その爽やかさに浸っていると
        急にサスペンス色が強くなり油断ができなくなる。
          
        そのメリハリによって却って、
        不思議な恐怖へと落とし入れられてしまう。
         
        学園祭での全員の朗読シーンは
        その場にいたかのような緊張感に押し潰されそうになった。
         
        最後まですべての秘密が回収されなかったので、
        いまだに「サヨコ」は謎が多いまま。
        伝説は続いたままである。
        >> 続きを読む

        2019/01/28 by NOSE

    • 他10人がレビュー登録、 46人が本棚登録しています
      夜のピクニック
      カテゴリー:小説、物語
      3.7
      いいね! masa920 kiki Booklover Sprinter
      • 10代は彼らのように繊細で傷つきやすかったと思い出しました。そして人と比べては根拠のないものを悟り、嫉妬や諦めをする。最近は大学いくのが普通になりつつあるし、学校は狭い社会だから仕方がないのだろう。
        今は図太くなった。いろんな世代のひとと会話をし、成長させていただいてるのかなと思いました。社会にでるといろんな人がいて大変だけど、脱落しないための、もし脱落しそうになったらどうしたらよいかのヒントを供給できる場が、学校カウンセラーの先生等が教えていってほしい。そうしたら引きこもりも減って、税金も確保できるのに。心療内科ができてもまだまだ日本は精神面への援助が遅れていると思う。
        >> 続きを読む

        2017/12/17 by nya

    • 他5人がレビュー登録、 35人が本棚登録しています
      Q&A
      Q&A
      カテゴリー:小説、物語
      3.5
      いいね!
      • こういう話が自分は好きなんだなと思った。
        この作品は想像の余地が多く残されていて、非常に面白かった。

        ”何が起こったのか”原因追及する質問者と事件の関係者の答えで進んでいく前半と、事件にかかわる人周辺での問答で、事件をどう捉えるかを描く後半。心理描写などはなく、すべて会話形式。会話の端々から想像することしかできないのに、その情景は鮮明に浮かんでくる。

        徐々に立場が明らかになっていく回答者と質問者。断片的には明らかになるけれど最後まで分からない事件の原因。同じ事件の被害者でも、事件をどう捉えるかはその人の背景に依存する。何が引っ掛かりを生むか?それはその人にしかわからないし、言葉にするのはとても困難だ。人間みんな違っていて、他人のことなんか理解できないという事実をわからせてくれる。

        個人的には原因がわからないことよりも、最初の方に質問していた人たちが怖かった。なぜ調査するのか明らかにしないのに、目撃証言があっただけの人の調査までするという熱意はどこから来ていたのか?終盤の運転手は元調査員で、彼が語るようにただの実験が想定を超えて起きてしまっただけなのだろうか。

        読了後、この作品が2000年代初頭(2004)に出ていることに驚いた。
        もっと最近の話かと思った。
        >> 続きを読む

        2018/12/21 by tnp

    • 他5人がレビュー登録、 23人が本棚登録しています
      ドミノ
      カテゴリー:小説、物語
      3.7
      いいね!
      • 素直におもしろかった!続きが気になって気になってページをめくる手が止まらないとは、まさに。
        たった数時間の間に東京駅で起こる出来事に、27人と1匹が絡み合うドタバタなコメディ。こういうのをパニックコメディというのかな。
        はじめはそれぞれの一日を送っていたのが、だんだんと絡み合ってくる。絡まり方は浅くだったり深くだったりそれぞれだが、必ずどこかでつながっている。半分を過ぎたところから終盤への盛り上がり方に対して、エンディングがあっさりな感じもするが、人生のある一瞬に関わった人たちが、その関わりに気づいたり気づかなかったりして、それぞれの生活に戻っていく感じって、意外とあっさりなんだろうな、と思ったり。
        たくさんの登場人物にも頭がこんがらずについていけたのは、キャラクター設定がしっかりしているからかな。というか、キャラが濃すぎ。
        それにしても、恩田陸の頭の中はどうなっているのだろう。本当に素晴らしい作家さんだなと思う。
        歳をとるにつれて、つらい、暗い、悲しい小説を読むのがきつくなってきて、こうゆう誰も傷つかないお話はいいな(笑)
        >> 続きを読む

        2020/07/31 by URIKO

    • 他4人がレビュー登録、 47人が本棚登録しています
      光の帝国 常野物語
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね! hinataboko Tukiwami
      • 遠く遠く果てのない地にあるお話。
        でも実は皆の側に心の中にあるかもしれない常野のお話……

        恩田陸さんの作品は今までも何冊か読んできていますが、この作品ほど1冊の中でリンクし行き来するお話は無かったなぁと読み終わってからも、あっち読んだりこっち戻って読んだりしていて、あの女の子がこの女性で、あの赤ん坊が実はこの娘で…みたいなリンクしている作品特有の楽しさがあって、とても面白くでも不思議な気持ちになった読書体験でした。

        常野という地に住まわる人達のちょっと変わったお話なんですが、常野の人達は、みなある能力を持っていてその能力は、遠くの物や人を見れたり、遠くで起きていることや人々の声を聞ける能力だったり、或いは空を飛べたり草を取ったり。腕を十時にして光線を出したりというような能力ではなく、古来からある不思議なチカラというような能力で、ある時を境に方方に散って行った常野の人達が、何かおおきな事を成すために今収束している、といった感じで今だったり昔だったりを行き来しながら、物語は進んで行きます。

        時に優しく時に烈しく。
        残酷なまでのどうしようもない物語の次は現実の中にあってでも、不可思議な光景が拡がっていたり。ファンタジーと云ってしまえばそれまでですが、解説にもあった通り、今現在に生きている人達よりよっぽど真っ当ではないですか?常野の人達は…という言葉通りで、常野の人達は、一族の為引いては世の為に使命を持って生きているな、と思いますし、もしかしたら自分達が生きているこの世の中でも、常野の人達みたいな方々が、色々裏で動いてくれているのかもな?と思わせてくれる良質なお話、作品だったなぁと読み終わって思いました。

        久しぶりの小説の読了と成って、少しいやかなり興奮しているのですが(笑)
        やはり、本を読むのは楽しいな!とも思わせてくれたこの作品に感謝カンゲキ雨嵐ですね👍👍👍

        外は相変わらず土砂降りの雨模様ですが、心は不思議に沸き立っていてでも、凪のような漣のような澄んだ心地で居たりします(*^^*)

        今回も良い読書が出来ました✨👏



        ……あ、ちなみにレビューが完全に作品にあてられていてちょっといやかなり恥ずかしいです(/// ^///)笑笑
        >> 続きを読む

        2021/08/14 by 澄美空

      • コメント 6件
    • 他4人がレビュー登録、 35人が本棚登録しています
      ネバーランド
      カテゴリー:小説、物語
      3.9
      いいね! niwashi
      • 体も心も大人に近づきつつもまだ親の保護下から抜けられない微妙な少年たちの触れ合いが描かれている。

        7日間という短い期間だが、他には誰もいない寮で、はじめはそこまで深く知り合っていなかった4人が、それぞれ心に抱えたいた悩みを少しずつさらけ出し語りながら、濃密な時間を過ごし、打ち解けていくところがなんだかよかった。

        皆、親(ほとんどが父親)の都合・問題に振り回され、傷ついていたり寂しかったり、トラウマを抱えていたりと、事情は違っていても、互いに理解し、尊重しながらわかり合っていく姿がちょっとうらやましかった。自分のことに対しては子供っぽく、短絡的な考えしかできなくても、人のことはものすごく客観的に、大人に対応するところが面白かった。

        自分にはそんなに濃密な時間を過ごした同性の友達はいなかったかも。それでも、もう一度あの頃に戻りたいと思わされる秀作。
        >> 続きを読む

        2020/01/19 by Sprinter

    • 他4人がレビュー登録、 37人が本棚登録しています
      木洩れ日に泳ぐ魚(さかな)
      カテゴリー:小説、物語
      3.3
      いいね! Tsukiusagi
      • 好き嫌いに分かれる類いだと思うのだが、最後の一日というサスペンスを用意しておいてそれをあっさりと交わす。
        それが恩田さんらしいのだが。

        一応カップルの秘密だったり、父親の死の謎などがあるが、それがあまりのめり込ませない謎である。

        そもそもが予測のみの展開が多くて、はっきりしない結末。
        スッキリしたい人には向かない作品。
        >> 続きを読む

        2019/04/03 by オーウェン

    • 他4人がレビュー登録、 19人が本棚登録しています
      ユージニア
      カテゴリー:小説、物語
      2.6
      いいね! taiji Tukiwami
      • 突如青澤家を襲った帝銀事件にも似た大量毒殺事件。
        合計17名が死亡、
        現場には、ユージニアという言葉が出てくる一通の手紙が残されていた。

        事件は混迷を極め、捜査は遅々として進まなかった。
        しかし突如として一人の男の自殺にて事件は収束する。
        不眠と妄想に苛まれ、精神を病んだ男が自分が犯人だと遺書を残していたのだ。不明な点、不可解な点、納得出来ない点も多々あったものの、事件は一応の決着を見た。

        事件から数十年、見落とされていた事件の真実を小説『忘れられた祝祭』を元に人々が語り出す。

        読んでいて凄く惹きつけられていくのに何故か読書スピードが上がらない、犯人を知りたい、事件の真相を知りたいのに知りたくない。
        そんな感情を湧きあがらせる作品でした。
        しかし実際は本当の意味で犯人も真相も解らなかった・・・
        >> 続きを読む

        2019/05/04 by ヒデト

    • 他3人がレビュー登録、 26人が本棚登録しています
      ドミノ
      カテゴリー:小説、物語
      3.8
      いいね!
      • ドミノin上海を読んだ後だったので、1作目を久々に読了。

        28人の登場人物たちが東京駅及び、その周辺で様々に絡み合う。
        時にコメディであり、時にサスペンスある展開。

        多くが出るが混乱しないところは見事な書き分けだし、基本コミカルなので楽しく見られる。

        バイク便や子役などが実に破天荒だし、警察OBやテロリストたちも個性豊か。
        袋の中身が二転三転しての顛末も。

        ラストの別のドミノが倒れる結末は結局描かれなかったわけだが、そういうのを想像するのも楽しい終わり方。
        >> 続きを読む

        2020/06/15 by オーウェン

    • 他3人がレビュー登録、 7人が本棚登録しています
      月の裏側
      カテゴリー:小説、物語
      3.1
      いいね!
      • この話は荒筋を読んだ時や、本編読み終わった後も、映画の「ボディ・スナッチャー」に相当似ている。

        突然いなくなった3人の老女が、暫くして戻ってくる。
        でもその間の記憶はなく、どこか言動や様子がおかしい。
        まるで宇宙人にでも連れ去られたかのように。

        これを解決するため4人の男女が調査するが、次第に4人とも不思議な現象に飲み込まれていく。

        どう考えても恐怖でしかないのだが、どこか浮遊感のような感じが終始付きまとう。

        恩田さんらしい結末を委ねる方式も悪くない。
        >> 続きを読む

        2018/08/28 by オーウェン

    • 他3人がレビュー登録、 17人が本棚登録しています
      ネクロポリス
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね! -key- sky niwashi

      • 日英両国の文化の影響を受け、英国風のパブがある一方で、提灯行列や百物語が開催される奇妙な島国、V.ファー。

        そこにある聖地アナザー・ヒルには、毎年「ヒガン」と呼ばれる時期に、死者たちが生者と見分けがつかない姿で帰還し、生者と交流するという。

        文化人類学を専攻する日本の大学院生ジュンイチロウは、「ヒガン」の見学のためにアナザー・ヒルを訪れたが、そこで彼が目の当たりにしたのは、鳥居からぶら下がる惨死体だった。

        この恩田陸の「ネクロポリス」(上・下巻)は、山口雅也の「生ける屍の死」同様、死人が甦る特殊な設定を取り入れた"異世界ミステリ"だ。

        この種の設定の場合、何でもありに陥らないよう謎解きゲームとしての厳格なルールがあらかじめ用意されているものだが、この作品の場合は「帰還した死者は嘘をつかない」とか「精霊は必ず人間の嘘を見破る」といった前提条件が示され、それらを犯人がどうやって、かいくぐっているかという謎が読者に提示されるのだ。

        日英混淆の風習の描写や、登場人物たちの愛すべき奇人変人ぶりも愉しく、相当なヴォリュームながら読んでいて飽きないんですね。

        本格ミステリ路線の作品としては、恩田陸の最高傑作ではないかと思いますね。

        >> 続きを読む

        2018/10/26 by dreamer

    • 他2人がレビュー登録、 19人が本棚登録しています
      夢違
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      • 夢の映像を記録した「夢札」、それを解析する「夢判断」という職業。
        その職業に就いている主人公の浩章は、視界にありえない女性の姿を見つけます。
        十年以上前に死んだはずの、古藤結衣子。
        日本で初めて予知夢を見ていると認められた彼女と、各地の小学校で起こる謎の集団白昼夢。
        事件に関連性はあるのか。

        評価が難しい作品でした。
        ラストの清々しさを感じるほどのぶった切りは、皆さんどう思われたのでしょうか。普段なら「謎を明らかにし、きれいに作品を終えてほしい」派に属する私ですが、この作品に至っては…読了後も考えさせられています。
        夢判断ができるようになった影響で、夢と現実の境界線は世界的になくなりつつあるのか。古藤結衣子とのラブストーリーだったからあの場面で終わったのか。すべては浩章の夢札酔いなのか。
        どこまでが夢で、どこまでが現実か。恩田さんの筆力のすさまじさを感じました。読んでいるこっちが夢札酔いしそうでした。
        また古藤結衣子への感情は、浩章に奥さんがいて、家庭があってという設定もあり、複雑さが増していましたね。

        しかし、自分の夢まで解析されるって、怖いと思いませんか。誰も入ってこない自分だけのものが、他人から見れてしまうようになるなんて。寝ているときまでストレスを感じそうです…。

        dreamerさんのレビューのおかげで出会えた本です。
        ありがとうございましたm(__)m
        >> 続きを読む

        2020/11/01 by あすか

      • コメント 2件
    • 他2人がレビュー登録、 11人が本棚登録しています
      きのうの世界
      カテゴリー:小説、物語
      3.0
      いいね!
      • 水路が多く、中心部には謎の塔が2本屹立する、町のはずれに、「水無月橋」という橋があった。

        そこで見つかった死体は、1年前に東京から失踪した男のものだった。
        彼はこの町で、しばらく測量のようなことをやっていたようなのだが-------。

        この恩田陸の「きのうの世界」(上・下巻)は、作者の恩田陸の特徴がぎっしりと詰まった良作だと思う。
        即ち、事件と舞台が謎に満ちているのだ。

        視点がクルクル変わり、事件を取り巻く、魅力的な群像劇が形成される。
        謎の魅力を引き立てることに注力された、プロットとストーリー、そして風呂敷を綺麗に畳むことになど、ほとんど興味がないのではないかと思われる不思議なラスト。

        そして、よく練られた文章で、柔らかく綴られていくのだ。まさに恩田陸、いかにも恩田陸なのだ。
        しかし、この作品は、それだけには止まらない。大トリックが炸裂するのだ。しかも無駄に。これは、とにかく凄いことだ。

        ただ、欲を言えば、もうちょっと理詰めで、作品に埋め込んでくれた方が良かったかなと思うが、幻想小説的な光景を現出していて、悪くない。

        それに、恩田陸の一種、ファジーな作品世界には、よく合っていると思いますね。

        >> 続きを読む

        2021/01/27 by dreamer

    • 他2人がレビュー登録、 9人が本棚登録しています
      ライオンハート
      カテゴリー:小説、物語
      3.3
      いいね!
      • 1978年のロンドン。ロンドン大学の名誉教授であるエドワード・ネイサンが失踪してから、既に2週間がたっていた。

        部屋の中に踏み込んだ同僚と警官が見つけたのは、「from E.to E.with love」という飾り縫いがされた白いハンカチと、「LIONHEART」と一言書かれた便箋だった。

        エドワード・ネイサンが、初めてその少女に会ったのは1932年、エドワードは20歳の失意の若者、エリザベスは10歳の少女だった頃のこと。

        それ以来、時空を越えて、巡り逢い続けるエドワードとエリザベス。
        巡り逢った彼らは強く惹かれ合い、すぐに別れが訪れるにも関わらず、その一瞬の喜びのために生きていくのだった-------。

        予備知識が何もなかったので、いきなりカタカナ名が登場したのには戸惑いましたが、しかし、これは物語の上での必然だったのですね。

        物語の中では、時代も場所もかなり飛ぶので、雰囲気を掴むのに少し時間がかかってしまいましたが、一度物語の中に入ってしまうと夢中で一気に読み終えました。

        本当に素敵な物語です。大人のためのファンタジーですね。
        読み終わった途端に、再読したくなってしまいました。

        物語は「エアハート嬢の到着」「春」「イヴァンチッツェの思い出」「天球のハーモニー」「記憶」という5つの独立した物語に分かれ、それぞれの物語の中で、それぞれの時代のエドワードとエリザベスが巡り逢い、そして別れを繰り返します。

        どれも情景が美しく、映像を見ているような気分になります。
        そして、それらの単独の物語が、1つの大きな物語に収束されていきます。
        余韻の残るラストも何とも言えません。

        ライオンハートという題名を見た時に、真っ先に頭に浮かんだのが、ケイト・ブッシュの「ライオンハート」だったのですが、本当にそこから題名がとられていたんですね。

        彼女の特徴のある透明感のある高い声と、個性的な曲想が、この物語によく似合います。
        刹那的で、しかし、非常に純度の高い恋。
        究極のロマンティックですね。

        >> 続きを読む

        2021/11/11 by dreamer

    • 他2人がレビュー登録、 19人が本棚登録しています
      木曜組曲
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!

      • 四年前のある死をめぐって推理を戦わせる五人。舞台となるうぐいす館は、"耽美派女流作家の巨匠"重松時子が暮らしていた家だったが、彼女は死に、自殺として片付けられたのだった。

        彼女と縁のあった五人の女たちは年に一度、亡き女流作家を偲ぶため、うぐいす館へと集まってくるのだった。

        あれは果たして本当に自殺だったのか? 各人の記憶を頼りに四年前の真相を推理するという趣向は、アガサ・クリスティの「五匹の子豚」を、みんなが探偵役になって、それぞれの推理を披露するという趣向は、アントニイ・バークリーの「毒入りチョコレート事件」を思わせますね。

        これぞ本格ミステリといった趣向なのですが、読んでいて印象に残るのは、女たちが賑々しくスーパーへ買い出しに行ったり、深夜まで酒を飲み明かしたりといった、恩田陸らしい生活描写だ。

        結末は、芥川龍之介の「藪の中」を思わせないでもありません。"真相"は人の数だけあり、一つの出来事は常に複数の"真相"の総体であるという考え方ですが、明快なミステリを読みたいというミステリ好きの期待を裏切らない作品だと思う。


        >> 続きを読む

        2018/03/29 by dreamer

    • 他2人がレビュー登録、 4人が本棚登録しています
      不連続の世界
      カテゴリー:小説、物語
      3.4
      いいね!
      • 「月の裏側」に出ていた塚崎多聞が日本各地を巡り、そこで起きる謎に向き合っていくトラベルミステリ。

        福岡の柳川も魅力的だったが、こちらは奈良や尾道、鳥取砂丘などが主な舞台。

        ミステリというが、それ以上に描写されているのは風景を繊細に切り取る恩田さんの筆致だ。
        そういう見方をするのかという独特の文体が面白い。

        ラストに来る「夜明けのガスパール」は他の4つとは違い、多聞自身に焦点が当たるミステリ。
        良き友人に囲まれている多聞が羨ましく感じる。
        >> 続きを読む

        2018/12/17 by オーウェン

    • 他2人がレビュー登録、 11人が本棚登録しています
      Puzzle 推理小説
      カテゴリー:小説、物語
      3.5
      いいね!

      • かつては石炭で栄えたが、今は無人島と化している廃墟の町。

        そこで三つの死体が発見される。それぞれの死因は、餓死、墜落死、感電死。
        さらに、死体からは奇妙なコピーが何枚かみつかった。

        「さまよえるオランダ人」の伝説を説明したもの、映画「2001年宇宙の旅」製作発表の古い記事、元号制定に関する新聞記事、はたまた料理ブックの文章や、地図の作り方など。

        他殺か事故かも不明の死体たちと、奇妙な手掛かりたち。
        いったい、ここで何があったのか?

        この難問に挑むのは、同じ恩田陸の「象と耳鳴り」にも登場した関根多佳雄の長男で、検事の関根春。
        父親譲りの好奇心と想像力で、廃墟に転がるパズルならぬパズルを組み立てていく。

        パズルだから断片があるのではなく、断片が転がっているから全体像を組み立ててみずにいられない-----。

        実はこれは、「象と耳鳴り」や「木曜組曲」にも共通して流れている考え方ですが、そもそも恩田陸の最初の長篇小説「六番目の小夜子」に出てくる「サヨコ」のゲームにしてからが、同じ原理で成り立つゲームであったとも考えられますね。

        >> 続きを読む

        2018/06/18 by dreamer

    • 他2人がレビュー登録、 9人が本棚登録しています
      チョコレートコスモス
      カテゴリー:小説、物語
      4.5
      いいね!
      • 「ガラスの仮面」の北島マヤを思い出す。

        演劇を始めたばかりの佐々木飛鳥は、自分の天才的な才能を全く自覚していない。

        自意識や野心というものが全くない。
        ただ舞台の奥にあるものを見てみたいだけ。

        特になんの才能ももっていない私だが、飛鳥の演技(演出)にワクワクどきどき。

        演劇界の裏?中?の様子も興味深かった。 

        あっという間に読めた。 

        面白かった。
        >> 続きを読む

        2013/01/15 by バカボン

      • コメント 3件
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      ネクロポリス
      カテゴリー:小説、物語
      3.5
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      • アナザーヒルに迷いこんでしまう感覚におそわれるが、お客さんをこわいとは思わせない。亡くなった私の母は私に何かを伝えにくるだろうか?と妄想しながら読みすすめていた。死者になった身近な人を思い出させてくれる物語。映画化するなら主役はフクシソウタさんかな。 >> 続きを読む

        2017/11/13 by nya

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【恩田陸】(オンダリク) | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト(著者,作家,作者)

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