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池宮彰一郎

著者情報
著者名:池宮彰一郎
いけみやしょういちろう
イケミヤショウイチロウ
生年~没年:1923~2007

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      平家
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
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      • この池宮彰一郎版「平家」を読了して思うことは、今までの「平家物語」が描く、"諸行無常の仏教文学"から、"高度な政治小説"へと変貌を遂げたのではないかという事です。

        作者の池宮彰一郎は、それまで、"巨悪"というレッテルを貼られていた平清盛を、強固な藤原官僚体制に果敢に挑戦した"改革者"としての視点から描いているのが、非常に斬新で画期的な歴史解釈だなと思いました。

        行き詰った国家体制の改革という点では、この作品のテーマは、完全に平成の時代の今と二重写しになっており、この小説の中に出てくる「人の食を分け与えられた者は、その国民のために死すべきである」との、痛烈な"官僚批判"は、現在の日本の政治家、官僚、役人などへの行き場のない憤りを覚えている身にとって、一服の清涼剤ともなり、日頃の渇きを癒してくれます。

        しかし、この優れた歴史小説の素晴らしさは、それだけではなく、作中の人物の平清盛以下、手垢のついた描かれ方をした人物は一人も存在しないという点なのです。

        その代表ともいえる人物が、通常、武家勢力が台頭してくる中で、対立する源氏と平家を巧みに操ったとされる後白河法皇ですが、特にこの長編歴史小説の下巻において、清盛の死が目前に迫った事を知った法皇が、嗚咽する場面は、単に"最大の政敵こそが最大の理解者"である、という事以上に、一代の英傑の志の行方を嘆ずる名場面として、永く歴史小説史上に残るのではないかと思います。

        そして、潰えたかに見える清盛の志が、"希望と諦観"の中から浮かび上がって来るラストの大原御幸まで、池宮彰一郎は生命を削りながら渾身の大作を完成させたのだと思います。
        >> 続きを読む

        2016/10/08 by dreamer

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