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絶対に無理だと言われていたリンゴの無農薬栽培。それを血の滲むような努力で可能にした木村さんのお話。技術者気質の木村さんならではの試行錯誤がすごくて、手がかりを掴んだ時や、リンゴが生った時のシーンは読んでいて「よっしゃ!」と嬉しくなった。ひたすら自分が信じたことをやり通す力が素直に凄いと思う。ただ、ひとつ気になるのはライターさん。ノンフィクションライターさんらしいけど、読んでいて疲れる。こう書いたら感動が増すだろうなぁ、みたいな書き方。こういう人が必要のない謎の例えを乱用するんだよなぁと思っていたら案の定ちらほら。でもそんな例えを出したら余計分かりにくいですから!残念!! >> 続きを読む
2020/06/10 by 豚の確認
昨年だったか、藻谷さんのお話を聴く機会があり、面白いと思った。興味深い視点だということ。自分自身に置き換えてみても、6,7年前からようやく畑にも力を入れ始め、その結果として得るものの大きさ・広さを実感しているので、書かれていることが腑に落ちる。それは、畑のみならず、森林整備活動やいろんな地域活動なども実践しているので、いっそう、その思いが濃くなる。経済的な、物理的な点も確かに無しというわけにはいかないが、精神的な喜びとか豊かさは、一度味わうと、ますますその方向に向かう。そんなこと再認識した。 >> 続きを読む
2014/07/14 by けんとまん
「最近日本語が乱れている」とはよく耳にする言葉です。カタカナ言葉に若者言葉、業界用語に敬語の誤用、慣用句やことわざの意味の取り違えなど。けれど、何が正しい日本語なのかを語源をたどってみると…誤用とされている使い方が本来の意味だったり、言葉が時代によって二転三転していく様が見られたり。まさに言葉は生き物です。NHKには言葉に対して敏感な視聴者から様々な意見や質問やお叱りが届くそうでそんな対応の中からH15年に「気になることば」という番組が生まれ、この本にまとめられたのでした。読めば読むほどに、正しい言葉なんて決められない。という結論に傾き、言葉の「間違いの指摘」や「粗探し」をしようという御仁には肩透かしの一冊となるでしょう。「サバ」の意味が知りたくてこの本を手に取りました。そういえばごまめさんのレビューも頭の片隅に残っていたのでした。結論、予想範囲内の説明でしかも諸説あり、でした。またまたタイトルにやられちゃった感じです。(^_^;)気に入ったのは「おかげさまで」は誰のおかげで?です。日本的でいいなあ。この言葉。語源を探っていくと昔の暮らしが見えてくるというのも言葉で冒険をしているみたいで楽しいです。しかし普段なにげなく使っている言葉を一度謎に思ってみれば、随分意味不明な言葉ってたくさんあるものだなあと感心してしまいます。ただ、百花繚乱的というか、様々な言葉を片っ端から取り上げていき、例えば七夕はどうしてたなばたと読むのとか、「へそくり」の語源は“おへそ”じゃない?とか謎は解けましたし納得しましたが、感動の事実という訳でもなし、知らないと損をするような情報でもないです。知っていると、威張って見せたら嫌われそうだし。本当に知的好奇心をちょっと満たし、言葉に対して謙虚になる。そんな効果でしょうか。若者言葉を嫌わないで。放っておけばじきにすたれる言葉がほとんどです。残っていく言葉なら、数十年後には汎用語になり変わっているやもしれません。今、一番興味があるのは「イケメン」です。イイ男を表す言葉はころころ変わっているんですよね。「二枚目」も「ナイスガイ」も「ダンディ」もほぼ死語ですね。最近の流行作家さんは作品内に「イケメン」って使っている人が多いですけれど、果たしてこの言葉、何年もつのか?はたまたハンサムにとってかわる標準語になるのかしら?ちなみに、60年代には「イカス」という言葉が流行ったそうです。「イカ天」で一瞬復活したものの、死語ですね。日本語の歴史を思うとき、地域差や方言がありながらも意思疎通の言語として1億人以上の人間が読み書きする日本語。変化しつつも1000年以上前から続いている言葉。言語としてなかなか優秀なのではないでしょうか。それというのもこの自由さにあるのかもしれません。多くの国の言葉の礎となったはずのラテン語が文法が厳密過ぎて死語となったのとは対照的に。「とんでもございません。とんでもありません」が誤用だと聞きました。使わないように心がけていたのですが、今は「もう認めてもいい」とされているそうですよ。細かいことにめくじらを立てず、きれいな言葉を選び、あいまいな言葉を避け、言葉本来の意図の伝達という目的に合った心地良い言葉をつかいたい。そう思いました。 >> 続きを読む
2015/04/15 by 月うさぎ
実際に行われた講義をそのまま文章化してあるので、読みやすく理解しやすいです。ブレーキの効かなくなった電車で、そのまま直進すれば線路で作業している作業員5人をひき殺してしまう。違う路線にハンドルを切れば、1人の作業員を死なせることになるが、他の5人は助かる。あなたならどうする?どっちが正しい?その理由は?そんな感じでサンデル教授の哲学の講義が進んでいきます。今まで考えたこともないことを考えさせられます。 >> 続きを読む
2015/01/14 by あさむ
ノンフィクションならではの奇想天外かつ感動の物語でした。無農薬に挑み、2年後に木は枯れ、その後収入が無くなり極貧生活が続く。周りには嘲笑され、税金は滞納、食べられないから借金し、りんごの木は悪くなる一方。しかしそれでも諦めなかった。何がすごいって、こんな状態でも試行錯誤し(8年間)最後まで諦めなかった、つまり農薬に決して頼らなかったことだ。ここにまず感服しました。また、木と向き合う姿勢にしても素晴らしい。木に話しかけ謝罪や感謝を伝えているし、常に探究心を持って実験や調査を実行している。「ばかになればいい」という言葉が出てきますが、すごく深い意味がある気がします。このリンゴを割るとき、パリンという感覚らしいです。食べてみたいし、実際この農園に行ってみたいです。自分も家庭菜園をしているのでそういう意味では本当に師匠です。 >> 続きを読む
2015/06/15 by がーでぶー
テレビで見ていたので、さらに奥行きを感じた。中にもあるように、生体的な視点からの研究も多く、また、生活環境・経済環境からの視点も耳にすることも多い。その上で、思考・脳の視点からのがとても面白い。つきなみな言い方ではあるが、心のありようで、ここまで違うのかという点だ。追う者と追われる者の違い、不安、葛藤、そして自信。冷静な分析と戦術。肉体戦であり、頭脳戦。だからこそ、マラソンは面白くて、飽きることがないのだろう。 >> 続きを読む
2014/08/12 by けんとまん
あきらめないシンプルThink different人々のためにベストなものを常に作る妥協は許さない常に挑戦し続ける完璧現実歪曲フィールドメモした言葉「”ユーザーがこの製品を使うとどんなに楽しく、どんなに幸せにになれるのか”ということを聴衆に想像させるような、ワクワクさせるようなそんなプレゼンをどうしたらできるのか毎日考えていた。」「もっと自分の事を考え、直すべきなんじゃないのか」「私たちは皆、歴史の流れの中で生きている。私たちは先人から恩恵を受けている。先に生まれた人々が発明したものを使い、食べ物、洋服があるのは彼らのおかげだ。同じように、私たちも歴史の中に”何か”を残さなくてはいけない。私たちが作ったもののおかげで後年の人々が恩恵を受けるようなものを。」 >> 続きを読む
2016/03/14 by -water-
普段便利に使っているgoogle.その便利さは自身のパーソナルな情報をgoogleに委ねていることに拠るもの.そして知らない間に,「まず最初にググってみる」という具合に,自身の行動規範にまで影響を与えている.便利さと引きかえに,何か重大なことを失っているのではないか…そうした視点を与えてくれる一冊です. 検索順位の背景にある企業の攻防あるいは盛衰といったところの記述が興味深かったです. どちらかというとgoogleに対してネガティヴな視点からの記述ですが,僕自身は普段googleのサービスも企業も良いものとして捉えているので,よい気づきを与えられました. >> 続きを読む
2014/08/24 by medio
題名にあるとおり、「なぜ沖縄なのか?」という疑問を率直にぶつけて取材した力作だと思います。沖縄のことをまったく知らない初心者から、基地は絶対反対という側、安全保障のためには必要だという側、双方が読んで勉強になると思います。 意外と語られてこないのが「第一章 基地集中の原点」「第二章 固定化」にある、本土から基地が減り、沖縄に基地が集中していった経緯です。知らなかったことが多かったです。特に本土の人間として知らなければならないことは、本土に基地があった時代、今の沖縄と同じ論理で地元住民が反対し、政府も同じ論理で住民を「納得」させてきたという事実です。横田基地の米軍戦闘機による騒音問題が、沖縄への移転によって「解決」されてきたことや、巨額の振興策によって地元に受け入れを納得させる政策が沖縄基地政策の雛形となっていく様子など、本土の人間は少なくとも必須知識として持った上で、沖縄について口を開くべきでしょう。横田基地を受け入れた当時の福生市長の秘書の言葉「当時の石川市長は、本来、全国民が等しく負うべき国防の責務、基地があることによる無用の困難を、なぜ基地周辺の住民だけがしわ寄せを受けなければいけないのか。誠に不公平だという思いでした。ただ、国がおやりになることについて、地方自治体が抵抗するということは、なかなか難しいという思いを強く感じていました」。この言葉の主語を沖縄に置き換えてもなんら違和感はありません。1972年の話です。福生市はどうせ抵抗しても無駄なのであればということで、破格の振興策を要求し、国もそれに従っていきます。これは辺野古が米軍を受け入れていく姿と重なります。どうせ抵抗しても無駄なら、自分たちにとってよりプラスになる方向で受け入れ、共存していく道を選ぼうというわけです。辺野古はもっとそこは徹底していて、米兵の祭りへの参加など、ハード面だけでなくソフト面でも交流を図ることでトラブルを軽減してきました。そうしたやむを得ない共存とでもいうべき姿を、単純に「基地と引き換えに多額の税金を投入されている」などと批判するのは実に無責任な発言だとわかります。そして本土でもそうした事実がありながら、沖縄だけがまるで基地を使って金を引き出すかけひきをしているかのように非難されるのもおかしなことです。 第三章では、アメリカ、米軍という当事者に「なぜ沖縄なのか?」という問いを投げかけています。沖縄の海兵隊の司令部はハワイにあって、世界戦略の一環として沖縄を位置づけていることや、アメリカが対テロ戦争に向けて世界の様々な軍隊と共同訓練をくり返しているが、沖縄は日本政府へ断りを入れなければならない分、やっかいでグアムへの機能の移転を考えていることや、沖縄でアフガニスタンに向かう海兵隊の訓練を本格的にしていることなど、日本人のあまり知らないことが語られています。日本が沖縄を考える場合に、その視野に「世界」はほとんど入っていません。この感覚はこの問題だけに止まらない、極めて日本人的なものなのかもしれません。本書の中でも本気なのか脅しなのかという疑問符をつけて上で、リチャード・ローレス元米国国防副次官の「もし日本国政府から沖縄から出て行ってくれと言われれば我々は即座に出て行く」という言葉について書いています。日米安全保障条約第五条に基づいて米軍は日本を防衛する義務がある、しかしそれがないなら、アメリカが日本に駐留する根拠はないという論理です。第一章・第二章に出てきますが、沖縄の基地軽減に反対したのは当時の日本政府です。この人の発言には一定の説得力があります。 ローレス氏は日米同盟はうまくいきすぎたと言っています。東アジアの平和と安定がそれなりに保て、長い時間過ぎたために、これからも続くだろうという幻想に囚われていると。この問題は突き詰めれば、日本が軍隊を持ち、自立した「普通の国」になるというあの問題に行き着いてしまうのです。そこを見ないようにして、問題そのものを本土から離れた沖縄に置いておくことで、見ないようにしてきたわけです。そしてそれでうまく行ってきてしまった。本書でも触れていますが、この差別的構造は原発を思わせるものがあります。あるいは水俣も。犠牲者がいることを知らないわけではない、しかしそれは見ないことで、済ませてきている。最大多数の最大幸福の原理に基づき、地方と少数者は切り捨てられる。政府を批判するのはたやすいけれども、その政府を選んでいる自分たちに批判を向けるのは容易ではありません。 第4章では「最低でも県外」の鳩山発言によって噴出した沖縄の怒りについて様々な立場の人々にインタビューした内容を報告しています。民主党政権が第一章第二章で本書が書いているような、日本と米軍の関係、本土が沖縄にしてきた政治的な中身をまったくわかっていなかったということが明らかにされています。少数者を切り捨てても多数の幸福を目指すために調整を行うのが政治だとしたら、民主党は政治団体ではありません。違う道を示し得たのであれば、まだしも引っかき回した上に自民党が行ってきた路線に戻る民主党は、悪を悪として理解しながら、より少ない悪を選ぼうとする自民党よりはたちが悪いと言えます。「結果はともかく頑張った。結果は裏切りだけど、気持ちは裏切っていない」という感じでしょうか。こんなどもっぽい精神は今や学生の間にさえ通用しないでしょう。誰も責任をとらない国、日本。沖縄から見えてくるのは末期的な日本人の姿です。 >> 続きを読む
2012/07/09 by nekotaka
コミュニティーを主体的に動かすためにはリーダーが必要。でもこのリーダーはぐいぐい引っ張るのではなく、ファシリテーションして皆が主体的に動くように持っていく。団体の代表するとした時の課題。そして直に山崎さんに会った。堀さんのファシリテーションの本を読んだ方がええ。あの人は本は読んでない。試行錯誤の中で身に付けてった。都会には大学の凄い先輩だと思ってたクラスの学生がゴロゴロ。そいつらに負けちゃ駄目。もっと動かなくちゃ!これからの二年でもっともっと主体的にガンガンやってく。そんな決意もできました。頑張ろう! >> 続きを読む
2014/04/28 by Tomy
NHKの番組内容を編集された本。そのばんぐその番組自体はちゃんとみたことないけれど楽しめた。取り上げられている言葉が、とても身近で、私自身「あれ?」と思ったことがあるものがおおくとりあげられてあ多く取り上げられていて、とても興味深く読めた。間違い日本語系の本のように「この言い方は本当は間違い!!」と切って捨てるのではなく、古典からの引用で言葉の過去の使われ方を示したり、アンケート結果から最近の傾向を提示しているにとどまる姿勢も好ましく読めた。 >> 続きを読む
2014/11/11 by hana-0_0-
NHKで放送されている番組、「プロフェッショナル 仕事の流儀」その中で紹介された、プロフェッショナル達の人生を変えた、もしくは支えた言葉たちをまとめた一冊。正道をいく言葉もあれば、意外な言葉も紹介されていました。言葉というのは、受け止める側の気持ち次第で、全然違う景色を見せるんだなぁと思いました。書店で、偶然見つけた一冊。他にもこの番組から出されている本があったので、自分のモチベーションを上げたい!…と思った時に読んでみようと思いました。 >> 続きを読む
2015/01/25 by オータム
NHKで放映されている番組「プロフェッショナルー仕事の流儀」で紹介された、プロフェッショナル達の運命を変えた言葉を紹介した一冊。最近モチベーションが上がらない自分に対して、喝を入れるため購読しました。数々の言葉が紹介されており、一番心に残ったのは本田圭佑選手を紹介した章。とても刺激を受け、自分も頑張ろうと思えました! >> 続きを読む
2015/02/28 by オータム
難しい本だったので、読むのに時間がかかった。後々、また読んでみたい。
2016/03/20 by kanetaku
もしかするとこの番組を見ていたのかもしれない。奥田牧師の活動について、テレビで観た記憶がある。靴を見るとわかるという奥田さんの言葉が印象に残る。助けてと言えない。それは、個人というよりも、そう言わざるを得ない状況を作っている(作ってきた)この国の姿の現れだと思う。書かれた当時と、今では、経済状況は違うように一見見えているが、その陰で進行している部分は、変わっていないのではないかと思っている。誰もが、ここにいきつく可能性があるのが、今。最低限のセーフテイネットが、確実に、取り払われているのではないか。 >> 続きを読む
2015/11/11 by けんとまん
第2部はテレビでやっていたのを見ていたので、それを思い出した。それにしてもiPS細胞の意味というのは、想像を絶するものがあることを認識した。そこから始まる、とても幅広い応用分野がある中で、山中先生の重点を置いて研究をされている目的を知って、また、ご自身のこれまでの経験を踏まえた研究所のあり方など、本当に、先生の人柄が滲み出るだけでなく凄いと思う。あくまで、人のためになってこその研究であるといい信念に溢れているのを感じる。世界が凌ぎを削る研究の中、今後どのような展開が待っているのか、興味は尽きない。 >> 続きを読む
2014/10/07 by けんとまん
息子君が夏休みに学校の図書館で借りてきたので、オヤジが読みましたー。遠藤、闘莉王、中村憲剛。3人とも這い上がってますね。周りより劣っている時に、諦めてしまうか、自分を信じて努力ができるか。長い人生、振り返った時に挑戦してきたと胸を張って言えたらいい。息子よ、焦らず楽しく頑張りやー。オヤジもまだまだやでー(笑) >> 続きを読む
2017/07/29 by fraiseyui
「海は好き?」「あ、はい!」そんな他愛無いやりとりが、全ての始まりだった。本書はNHKスペシャル深海プロジェクト取材班がダイオウイカを追い続けた2002年から2012年の10年間のドキュメント。言った方も言われた方も、その後10年、苦闘する事になるとは夢にも思わなかっただろう。ダイオウイカは深海に住む巨大イカで、触腕も含めると6.5mにも達する。天敵はマッコウクジラ。マッコウクジラの体にダイオウイカの吸盤の跡が残っている事が観察される事がある。そのため、海中では、マッコウクジラvsダイオウイカの死闘が繰り広げられている、と思われるが、その瞬間を見た者はいない。ところで、北欧伝承の中に海の巨大生物、クラーケンが登場する。海を舞台とした冒険モノで、登場するケースも多いが、その姿となると、描かれ方は様々。ただ、最も多いのはイカ・タコのような頭足類の姿で描かれている事が多い。ダイオウイカこそ、海の怪物クラーケンの正体、とする説もある。実際の取材ではダイオウイカに振り回されっぱなしだが、「奇跡」は3度起こる。まず、取材を始めて2年後、2004年に海中のダイオウイカの静止画撮影に成功する。が、ビギナーズラック、とでも言うべきもので、謂わばダイオウイカからの「挨拶」次に、2006年、2度目の奇跡。今度はダイオウイカそのものが釣れてしまったのだ。(ちなみにダイオウイカは食べると不味いらしい)結局、船上に揚げる時に死んでしまうが、海面近くで必死に抵抗するダイオウイカの動画の撮影に成功する。しかし、その後、長い試行錯誤&苦闘の日々が続く。結果が出ず、プロジェクト存続の危機さえ訪れる。その間、じつに6年。自分なら成果が出ない期間が6ヶ月でも耐えられるか分からない。そして、2012年、最後で最大の奇跡が起きる。海中のダイオウイカとの「接近遭遇」だ。この時の調査は、国際協力体制が敷かれ、潜水艇も使った、かなり大掛かりなものとなっている。そして、NHKスペシャル「世界初撮影! 深海の超巨大イカ」 のクライマックスでもある。海中でダイオウイカの撮影に成功した時、潜水艇に乗っていたのは窪寺博士。NHK取材班より前からダイオウイカの研究をしていた専門家。その専門家の前にダイオウイカが姿を現したのには、運命的なものを感じる。長年、研究していた博士へのダイオウイカからの「褒美」だったのかもしれない。ただ、その時の博士の気持ちは「見つけた!」なのか「見つけてしまった!」なのだろうか?海中で撮影されたダイオウイカの目は、まるで「人間風情が、よく頑張ったな。」と言っているかのよう。欲目かもしれないが、その目には知性すら感じる。それに威厳に満ちている。まさに「大王」3度目の奇跡の場面では、新書にしては珍しくカラー写真が何枚もある。また、本書の先頭と末尾にも、この時の「奇跡」の写真が多数、掲載されている。この事だけでも、著者達の力の入り方が分かる。また、本屋の科学雑誌のコーナーではダイオウイカをはじめとした深海生物を取り扱った様々なムックが並んでいるし、国立科学博物館では特別展「深海 -挑戦の歩みと驚異の生きものたち-」が開催されている。関係あるか分からないが、2013年6月には、深海生物のダイオウグソクムシ(別名、海の掃除屋)の実物大ぬいぐるみが発売当日に3時間で売り切れた、という。深海ブームらしいが、ダイオウイカがこれを知ったら、「たかだか23分ほど撮影させてやっただけで、人間界では”ブーム”とやらが起きるのか・・・」と呆れかえるだろうか? >> 続きを読む
2013/08/24 by Tucker
介護の現場は慢性的な人手不足。 これはもう十年以上前から言われ続けてきたことなので、今さらなにを、と思う人もいるかもしれない。 夜勤を含む厳しい職場環境。やりがいもあるけれど、何より給料が少ない。それで辞めて行く人は多い。 介護保険制度が始まってからもう何年も経つけれども、この制度が介護を受けるお年寄りや、介護の現場で働く人たちにどれほど役に立っているだろうか。 必死な思いで黒字を出しても、介護報酬の見直しで報酬を下げられてしまったら経営側もやる気が出ない。何より、この先給料が上がるという見通しが全く立たない現場では、余計に続けられなくなる。結婚して子どもができれば、たくさんのお金が必要になる。手取り15~6万円ではやっていけないのは当たり前である。 暗い気持ちで本書を読んでいた時、NHKのクローズアップ現代で「“無届け介護ハウス”急増の背景に何が」という特集をやっていたので、ちょっと見てみた。 最近、全国で無届けの老人介護施設が増えているという。 料金は格安。しかし、無届けなので設備は国の基準を満たしていない。インフルエンザやノロウイルスなどの集団感染で死者も出ているという。それでも無届けの介護施設は増えている。行政は、それを取り締まるどころか、行き場のないお年寄りに無届けの介護ハウスを紹介しているという。 原因の一つに、格安で入所できる特別養護老人ホームの数が少ないこと、一方、有料の老人ホームは月に20万円以上の料金がかかるため、入りたくても入れない。このため、行き場を失ったお年寄りは、無届けの施設に入らざるをえなくなったというわけだ。 もちろん、理由はそれだけではない。無届けの施設は、その多くが特養並みに料金が安い。20万も30万も払う必要がない。 それで経営がやっていけるのだろうか。もちろんそこにはカラクリがある。 介護保険には訪問介護による介護報酬もあるのだが、無届け介護施設は、入所者の介護を「訪問介護」として取り扱っているのだ。本来、訪問介護は自宅でするものだが、施設の一か所に集めて世話をすれば、それだけ効率的でやりやすい。この介護報酬のおかげで、無届け介護施設は高い利益を上げることができるのだ。 介護施設の数を抑え、在宅介護を増やすことで介護保険の額を抑えようとした厚生労働省や自治体の思惑は、完全に裏目に出てしまった。北海道のA市などは、毎年増え続ける無届け介護施設と介護報酬に苦しんでいるという。 それもこれも、場当たり的な介護制度の変更でごまかそうとした国の不誠実が生んだ悲劇である。負担が必要ならば、キチンとそれを説明して、しっかりとした介護制度を確立するしかないのではないか。目を逸らしていても、高齢化の流れは確実に我が国を覆っているのだ。 >> 続きを読む
2015/01/20 by ぽんぽん
やはり凄い方だ。そのエネルギーの源。それにもまして、人一倍勉強が必要だと考え、実践されていることだ。そして、何よりも音楽に対する敬意、オケのメンバーへの敬意など、小沢さんの人間味がにじみ出ている。そして、指揮者の役割とは。それが、とても興味深い。指揮者にとどまらない真実があると思う。そして、楽団員だけでなく、若者達の変化にたいする思いも素直に述べられている。世界のマエストロでありながら、一人の人間としての側面が、とてもよく感じ取れる。 >> 続きを読む
2014/08/14 by けんとまん
【日本放送協会】(ニホンホウソウキョウカイ) | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト(著者,作家,作者)
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