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森光子

著者情報
著者名:森光子
もりみつこ
モリミツコ
生年~没年:1905~

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      吉原花魁日記 光明に芽ぐむ日
      3.5
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      • 大正末期、家が貧しいために吉原に身売りさせられた19歳の女性の日記である。
        作者の「森光子」という名前から、女優の森光子さんと関係があるのかと思ったり、表紙のこうの史代さんの絵から、中味は漫画なのかと思ったりしたが、大女優さんとはまったく関係がない同姓同名の女性の、フィクションではない記録であるそうだ。

        周旋屋に「お客にお酒を飲ませて楽しくしていればよいのだから」などとうまいことを言われ、いわばだまされて連れてこられた遊郭。着いてみれば、娼妓として働かねばならない身だった。借金のため、がんじがらめに縛られ、辛い思いをしながら働き、最後には逃亡を遂げるまでの日記。
        この生活の中、日記を書き続けたということ、わずか数世代前にこうした身売りがさほど珍しくなかったこと、いろいろと驚くことが多い。
        強欲な楼主、客を取るためには汚い手も使う同僚、病気でもゆっくり休むこともできないやるせなさなど、遊郭での暮らしが鮮やかに描きとられている。
        吉原が無縁者たちのかくれ里であるとする小説もあったけれど、説としてはおもしろいが、リアリティの点では本書に軍配を上げたい。本書の吉原は紛れもなく「苦界」だ。

        巻末の斎藤美奈子の解説によれば、彼女は逃亡後、歌人・柳原白蓮のもとに駆け込み、その後は外務省のお役人と結婚したそうだ。柳原白蓮は大正三美人の一人であり大正天皇のいとこにあたる人物である。大富豪と結婚したが、新聞記者との不倫の愛を選び、姦通罪があった当時、大騒ぎとなった。本書は大正15年に白蓮の序文を付して出版され、光子さんがいた楼では、この本に触発されて、ストライキのようなことも起こったのだという。

        この時代の少女たちってどのくらいの教育を受けられたものなのだろう・・・? 文章を書くのって結構訓練がいることだと思うのだ。
        光子さんは少なくとも読み書きが満足なくらいには教育を受けていたわけだ。辛い暮らしの中でも描き続けたということは、物を書くことによって、精神のバランスを取っていた面も強かったのか。

        この時代の吉原にきっとこういう少女が何人もいたのだろうと思わせる、強い説得力を持つ本だ。
        >> 続きを読む

        2016/05/11 by ぽんきち

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【森光子】(モリミツコ) | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト(著者,作家,作者)

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