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加藤陽子

著者情報
著者名:加藤陽子
かとうようこ
カトウヨウコ
生年~没年:1960~

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      それでも、日本人は「戦争」を選んだ
      カテゴリー:日本史
      4.7
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      • 東大文学部で近現代史を教えている著者が、栄光学園の歴史研究部メンバーに行った集中講義を元に書いた本です。日清戦争から太平洋戦争までの4つの戦争について問いと答えという形で説明されているので、ハイレベルな内容ながらもとっつきやすいです。

        戦争は何のために遂行されるのか。これにルソーが、相手国の憲法を変えるためと答えているのが面白かったです。たとえば第二次世界大戦後には日本の憲法がアメリカに書き換えられて、国家主権者が天皇から国民になりました。世界大戦を知らないルソーの提示した原理が現代で通用するとは、目から鱗です。

        また「歴史は科学か?」という問いも出てきます。歴史は科学のように普遍的でないから違うという意見がまず出そうです。これに歴史家のE.H.カーは「科学だ」と答えて、歴史家は特殊から普遍を見るのだと反駁します。たとえばリチャード三世が王位継承のライバルを謀殺したのは事実か考えるとき、歴史家はそのような行為が当時一般的だったかを考えるそうです。王位を得ても謀殺によって正当性がゆらぐのであれば一般的でなかったはずで、それなら事実ではないとする考え方は確かに筋が通っています。
        またE.H.カーは、人々が歴史的な選択をするとき、過去の似た経験を集めて判断材料にしていると指摘します。だからこそ歴史を学ぶときには幅広い視野で、立体的に物事をとらえることが大切なのだなと実感しました。

        本書は特定の考え方への偏りや押し付けがなく、いろんな角度の史料から戦争について考察している良書だと思います。たとえば満州への武力行使を正当だと答えた東大生が88%いた事実を知れば、満州事変を「陸軍の暴走」で終わらせてしまうのは危険だなと見方が変わります。
        加藤先生の講義を通して歴史の見方や考え方について学ぶところが大きく、また再読したいと思える一冊でした。
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        2017/11/03 by カレル橋

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