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藤井素介

著者情報
著者名:藤井素介
ふじいもとすけ
フジイモトスケ
生年~没年:1934~

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      海鳴りやまず 八丈流人群像
      カテゴリー:小説、物語
      5.0
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      • 読み終わるのが惜しいという本が、たまにあります。それは、波瀾万丈の物語よりも、静かな物語に感じることが多いような気がします。

        もちろん、波瀾万丈の物語が嫌いなわけではありません。だが、起伏の多い物語の場合には、結末を知りたいという気持ちが先走り、余韻に浸っていることが出来ないのです。

        当然のことながら、それも本を読むことの悦びのひとつではあるのですが、そればかりでは何か疲れてしまって、たまには静かな話を読みたくなってくるのです。

        そして、たまたま、それがその時の私の情感にフィットすると、読み終えるのがとても惜しくなってしまうのかも知れません。

        藤井素介の「海鳴りやまず」は、そんな本なのです。第四回時代小説大賞の受賞作です。

        この物語の舞台は八丈島。かの流人の島として有名な島です。主人公は、流罪の父に付き添ってきた少年。その少年の成長の日々を、島の生活の中に描いた長編小説です。

        流人となって島にやってくる、様々な人間たちのドラマがあるのです。札付きのワルもいれば、微罪で流されてくる者もいる。島の人間との衝突もある。恋があり、裏切りがあり、憎しみがあり、和解があるのです。

        そして、そのドラマを背景に少年が育っていくのです。少年の恋と希望と苦悩と成長が、隔離された島の生活の中で、実にくっきりと鮮やかに描かれていきます。

        つまり、この本は青春小説なのです。"八丈流人群像"という副題が付いている通り、恐らく著者の意図は、八丈島に流された流人の全体像を描くことにあるのだと思う。

        少年はそのために選ばれたキャラクターに過ぎないだろう。そして、その著者の意図は、充分に果たされていると思われるが、少年を主人公に選んだことで、結果的には青春小説の傑作にもなったのだと思う。

        この小説を読みながら、私は少年の日々を共に生きることができるのです。まったくうまい。この小説は、例えるなら、時代小説の名手である藤沢周平の「蝉しぐれ」を読み終えた時の清涼感と似たものを感じる、と言えばいいかも知れません。


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        2018/01/30 by dreamer

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