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中川聖

著者情報
著者名:中川聖
なかがわしょう
ナカガワショウ
生年~没年:1961~

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      1922
      カテゴリー:小説、物語
      5.0
      いいね!
      • 「1922」と「公正な取引」の2編から成る。

        前者は息子と共に妻を殺した男が辿る運命が描かれる。
        ホラーのキングらしい味付けもあるが、「罪」の意識に追い詰められていく男の話。

        そして、後者は「笑ゥせぇるすまん」に出てきそうな感じのブラックなエピソード。

        「1922」の原題は「Full Dark, No Stars」(星もない真っ暗闇)
        その名の通り全く救いがない。
        気分が落ち込んでいる時には読まない方がいいかもしれない。

        主人公が自分の罪の告白記を書いている、という体裁で物語は進む。
        そのため、ところどころに思わせぶりな表現が出てきて、焦らされることになる。

        偶然にも自分が最近読んだキングの作品は
        「全ての成り行きを知っている主人公が第三者に真相を語る」
        という形式で、その「手口」には慣れていたので、多少、余裕があった。

        ところで、主人公の息子が辿る運命は、映画「俺たちに明日はない」ほとんどそのまま。
        パロディだったのだろうか。
        唯一、ニヤリとできるところだった。

        「公正な取引」は「1922」より、はるかに短い作品。

        悪魔(らしき者)と取引をして、自分の「不幸」を他人に移し変える話。
        ただし、移し変える相手は・・・。

        悪魔(らしき者)が要求するのは「魂」ではなく「お金」
        しかも要求した金額は安くはないが、高くもない。「妥当」と思える金額。

        主人公も悪魔(らしき者)も後から「契約内容」を違えようとしない。
        また、「契約内容」は額面通りで、注意しなければならないような「落とし穴」はない。
        正に「公正な取引」

        だが、どこか落ち着かない感じを受ける。
        それは「不幸」を移し変えられた相手がいるから。

        主人公と悪魔(らしき者)が「受け取った物」と「払った物」は等価だが、「不幸」を移し変えられた相手は、どうだったのだろうか。

        その「不幸」に見合うだけの「幸運」を享受していたような描写はない。
        むしろ、主人公の歪んだ「妬み」の犠牲になったような印象を受ける。

        一言で言ってしまうと
        「他人の不幸は蜜の味」
        といった感じの内容。
        だから、落ち着かなかったのだろう。

        どちらにせよ、この2編は共にかなり「毒」が多い。
        >> 続きを読む

        2013/04/14 by Tucker

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