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奥野修司

著者情報
著者名:奥野修司
おくのしゅうじ
オクノシュウジ
生年~没年:1948~

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      心にナイフをしのばせて
      カテゴリー:社会病理
      3.4
      いいね! Tukiwami
      • 大切な家族を、ある日突然誰かに殺されてしまったら。
        こういう想像を、軽くでなく真剣に我が事として考えてみるひとはいないだろうと思う。
        ひとは、殺人事件になど巻き込まれないと根拠もなく思い込んでいる。わたしを含めて。

        本書は、高校生になった少年が同級生に無残に殺された事件の被害者を丁寧に取材して書かれた一冊だ。
        こういった事件が起きると、わたしたちの関心は加害者の心情や背景にばかり行きがちだ。
        そういったものを知ることにより、自分や自分の関係者が加害者にならない術を見つけたい。わたしはそう思うことと、単純な好奇心から事件を扱うルポルタージュをよく読む。
        でも結局いつも、加害者の心情を知っても理解が出来たことなどまず無い。
        例えば誰かに絡まれて、振りほどいた手が強すぎたためか相手が転倒して頭を打って死んだ。
        こういった偶発的な殺人事件なら、どっちが被害者だかわからないということなどから加害者の気持ちも理解しやすい。
        しかし、はなから殺すつもり、それも恨みとかいったものでなく単に殺したいからという理由で殺人を犯せる人間の気持ちなど理解出来るわけがない。理解出来たときは、きっと自分も同じことをしているだろうから。

        本書で扱うのは加害者側でなく、被害者遺族だ。
        ここに本書を読んでおいたほうがいいと言える価値がある。
        殺された少年はとてもいい子で、といった被害者賛美で終わるのでなく、遺された家族の終わることのない苦しみが描かれていることが大切だ。
        事件を報道によって知った人間が、事件のことを忘れてしまっても被害者の苦しみは形を変えながらつづく。
        本書で扱うように、加害者が少年なら尚更悲惨なことだろう。
        僅か数年で加害者は何も無かった顔で社会に戻ってしまう。更生したということにされて。

        更生は、目に見えるものではないし、数値で表されるものでもない、試験もないのに何を基準に判断するのだろう。
        被害者遺族に、更生を認めますと決める権利もない。
        制度ありきの日本のやり方は、被害者遺族に皺がより過ぎている。

        本書は、司法にも一石を投じた一冊だ。
        ルポルタージュなら中立であることが前提だとは思うが、亡くなったひとは言い訳も出来ないのだから、どちらかに比重を置くなら被害者側だろうと思う。
        加害者の更生や社会復帰といった過剰な人権保護ばかりで、被害者遺族は置き去りという我が国の状況を僅かながらでも改善させるきっかけを作った。
        ひとを殺した人間には手厚く保護をするのに、殺された側の人間は勝手に乗り越えろということには憤りしかない。
        わたしは最近になって本書の存在を知ったのだが、ひとりでも多くのひとに読んでもらい、被害者遺族の気持ちを忖度することから始めてもらえたらと思う。
        >> 続きを読む

        2015/09/06 by jhm

      • コメント 8件
    • 他2人がレビュー登録、 9人が本棚登録しています
      心にナイフをしのばせて
      カテゴリー:社会病理
      いいね!
      • 題名は、被害者の遺族の台詞。遺族の話が延々続く。加害少年の背景が描かれているのかと思った。表紙絵に騙されちゃった。 >> 続きを読む

        2013/02/13 by 紫指導官

      • コメント 4件
    • 1人が本棚登録しています
      ねじれた絆 赤ちゃん取り違え事件の十七年
      4.0
      いいね!
      • なんとも数奇な運命に見舞われた二家族、筆舌に尽くし難い苦労があったことでしょう。正解が無いだけに赤の他人が意見することは憚られますが、病院の対応だけは憤りを覚えます。二度と繰り返されることが無いよう願うばかりです。 >> 続きを読む

        2017/10/04 by hiro2

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