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エッセイでありながら、何か長編小説を読んでいるよう。あの幸田露伴の孫、幸田文さんの娘さんの青木玉さんの本。九つの時、母親と一緒に、小石川のおじいちゃんの家へ移り住む。昭和初期の日本の家、それも偏屈なお祖父さんで文筆家の露伴の今だったら、苛めかと思える厳しい躾け、それも言葉で・・・・プロ中のプロが、小学校の小娘にきついきつい言葉を浴びせる。お部屋にお薬を持っていった、作者に、露伴は「何の為の薬か、何も聞かずに持ってきたのか」と叱り、はいも駄目、いいえはなお、三つ目の聞いて来ますの一時ののがれも許されない。黙って畳のヘリでもぼんやり見ていれば、そこに返事が書いてあるのか、と突込まれ。口を利かずに腰でも浮かせば、返事もしないで座を立つことができるのか、ならば立ってみよと、足払いがかかる。でも、その様な小石川の家の様子は、異常すぎるかもしれないが、昭和の家長、お父さんの存在はかくあるべきと思えるところもある。しかし、戦争になり、空襲や疎開がはじまった後半の部分は重苦しい。94年度芸術選奨文部大臣賞受賞作品。読み応えございます、の一言でおます。 >> 続きを読む
2014/08/27 by ごまめ
このまえの「小石川の家」に続いての祖父に幸田露伴、母に幸田文にもつ、青木玉さんの本。今、着物をお願いして仕立て上がるのを心待ちにしている私。文さんのこだわりの数々の着物を興味深く見させて頂いた。写真だけでも紹介すると、玉さんの結婚式に、母文さんが調えた赤紫の色留袖。半纏などに仕立て直した、祖父の羽織裏。きれいな色糸で刺繍して楽しんだ加賀紋。蔦の家紋を中かげ鬼蔦の紋にした羽織。袖先に小花模様をあしらった母の意匠による黒の羽織。母が好きだった黄八丈の着物。小紋の着物にすがれの菜の花の塩瀬の帯を・・。表と裏の違う柄の竺仙の浴衣。肌に馴染んだ絞の浴衣。地味な着物に映えるように後見帯に結ばれた帯。袖の振りに赤いもみを付けた縞の着物。光と影で華やかにも大人しくもなる無地の地柄の綸子(リンズ)。鈍色に染めた紬の着物。縮麺の風呂敷や絽の留袖を座布団に・・・。和風インテリアのはしり、その古風でありながら、シックな装いや時折みせる大胆なモダンな配色、四季折々に季節を感じ、相手を楽しませそして自ら独自の美意識を着物、一枚一枚に込められる。この頃、街中で着物の姿の女性をみると、興味深く目が留まる、ごまめでおます。 >> 続きを読む
2014/10/04 by ごまめ
ものの理を気にするどころか知らなくなってしま今読むと父子の会話よりも、理を教えられている用で頭があがらない大量消費から断捨離と、無駄を省こうとあくせく働く私たちとは違う無駄のない働き幸田文さんでさえ70にして気づきがあったとあるが、その審美眼に私たちは1つでも気づけているのだろうか >> 続きを読む
2020/10/06 by kotori
着る、纏う、見繕う着物を着る表現は無数にあり反物と帯と小物。形は変わらないのから素材、色から無限の表現が装うことができる難しいが楽しい後半に良い言葉があった「齢」よりP216L5あんたはざっとあたしの半分の齢なんだろうけれど、この着物着られるかしら?大抵の人はまず着られまい。なぜ着られない?並外れだからだ。並とは誰がきめた?みんながきめた。みんながきめたほどならきっといいにちがいない。違いはないだろうが、いいからそれにしなくちゃならないって"きめ"はどこにも無い筈だ。猫も杓子も一つ型に入れてそれで済むってもんではなさそうだ。黒はもともと老人より(としより)の色と決まってできたわけじゃないし、赤があかん坊だけにしか使えない色というんでもない。人も初めから並型でない出来の人もあるし、型を嫌う人も型を破りたい人もいる。そこなのさ。おまえさんは、後生大事に型のなかにしがみついている人で、あたしは型にはまらない生まれつきなのだ。自分にできないことを人がすると鼻もとだけの思案もしないうちからすぐに笑ってみたり羨んでみたりする。失礼だがおまえさん、もしかしたら私にこの着物が似合うか似合わないかさえ、はっきり知らないんじゃないか。ひとは"じみ"なものは着られてもはでなものは着にくいものだ続くのがP217L4むやみと人を見おろしたい気持ちのもとも察しがつくし、その傲慢な心の裏のさみしさもわかってるが、やたらと人を軽くすると自分のためにも主人のためにもならない~はばかりさま。装うものが着るだけでなく、心もちでもあること自分がどうありたいか、仕立てなおせた。 >> 続きを読む
2020/10/10 by kotori
【青木玉】(アオキタマ) | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト(著者,作家,作者)
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