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服部真澄

著者情報
著者名:服部真澄
はっとりますみ
ハットリマスミ
生年~没年:1961~

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このランキングは1日1回更新されます。
      エクサバイト
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
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      • より小型化し、より大量の保存が可能となる記録媒体の行く末は、どうなるのだろう?

        服部真澄の「エクサバイト」は、人類の近未来を大胆に占った情報小説の傑作だ。

        2025年、SDカードでもおなじみの単位ギガバイトは過去のものとなり、エクサバイトが常識になる。一エクサバイト=十億ギガバイト。
        人々は、額や眉間に「ヴィジブル・ユニット」なる超小型カメラを装着し、死ぬまでに見聞きした全記録の保存が可能となった。

        映像プロデューサーのナカジは、ユニットを駆使した番組制作で大成功を収め、イタリアで「エクサバイト商會」なる企業の女性会長ローレン・リナ・バークに出会う。

        彼女は有名無名、国籍を問わず人々の死後にユニットを回収し、映像による世界史記録事典の編纂事業に着手していた。
        ナカジは、この史実ビジネスに賛同し、日本での窓口を引き受けたのだった。

        その頃、ナカジは五十五歳で死んだ実母クニコのユニットを相続する。
        ナカジを産むや、単独で渡米し、映像ジャーナリストして活躍したクニコは、ユニットの先駆ユーザーでもあった。

        物語は、バークとの遭遇、クニコの死が大きな核となり動いていく-------。

        防犯カメラがあふれる現代は、"監視社会"と称されるが、ユニットの正体は情報機関が生み出した"人間版監視カメラ"。
        その意味では、この本はプライバシーの未来像も問うわけだが、中でも強烈な印象を覚えるのは、映像データの上書きが可能だと示唆した点だと思う。

        記録媒体にあるデータに修正を加える上書きは、パソコンではもうお馴染みの機能で、なにより、完成した形でデータを記録媒体に残す事ができ、失敗例と再会しないで済む。

        日々の生活や人生で上書きは通用しないが、この本で描かれた未来では、人生あるいは半生の映像データを、しかるべき技術で上書きすれば、映像上では人生を都合よく美化でき、歴史上の人物になれ、孫や後世にインパクトを与えることも可能なのだ。

        記録媒体の進化とは、人間の欲望も進化させることなのかと、この本は教えてくれる。

        >> 続きを読む

        2019/05/17 by dreamer

      • コメント 2件
    • 1人が本棚登録しています
      エクサバイト
      カテゴリー:小説、物語
      3.0
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      • 今は当たり前のように携帯電話やスマートフォンなどを使って生活していますが、昔は人と約束するにも固定電話を利用し新しい場所へ行くときや探し物などをする場合は固定電話や地図帳、そして辞書などを利用しています。現在はネット環境や情報処理の細化が進みコンピュータ社会となっており、その中でこの物語は近未来を予想させる作品です。コンピュータの性能が進むにつれていつも思うことは、その分人と人との繋がりや直接の実態としての人間同士の付き合いのあり方が、希薄で浅くなることへの危惧です。コンピュータはただの道具であり、目的よりも手段が上位であってはいけないと私は思います。教員時代よく使った表現ですが「コンピュータを使う人間になっても使われる人間にはなってはいけない」と伝えてきました。現在の職場でも当てはまることなのですが、皆さんパソコンに向かって仕事をされていて、パソコンをして話をしていると怠けているという空気も流れているのが事実です。一昔前のようにほとんど会話が無くなってきたのは残念なことです。他愛のない会話から仕事の解決のヒントが生まれていたのに、寂しい限りです。コンピュータの危険性を感じさせる作品でした。 >> 続きを読む

        2014/03/23 by tetyu

      • コメント 2件
    • 3人が本棚登録しています
      龍の契り
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
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      • もう10年以上前に書かれた小説ですが、今読んでも楽しめます。

        ストーリーは複雑だし、二転三転する展開に、ハラハラさせられる。
        誰が何を狙って動いているのか…

        でも、登場人物がくっきり描かれているので、混乱しない。
        これはやはり作者の力量だなぁと思います。

        まだ当分ウチの本棚にありつづける小説です。
        >> 続きを読む

        2015/06/24 by nekoya

    • 2人が本棚登録しています
      最勝王
      カテゴリー:小説、物語
      5.0
      いいね!
      • 空海とは何者だったのか?

        デビュー作 龍の契り からお気に入りだった作者さん。
        しばらく読んでいませんでしたが
        やはり 文章がうまいです。

        久しぶりの徹夜本でした。
         
        >> 続きを読む

        2015/06/24 by nekoya

    • 1人が本棚登録しています
      ポジ・スパイラル
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!

      • 服部真澄の「ポジ・スパイラル」は、日本の土木開発に警鐘を鳴らす、環境再生の物語だ

        「持続可能な開発」や「地球温暖化」という言葉を聞かない日はない。
        環境の再生というと、森や大気が真っ先に挙げられるが、海もまた重要な意味を持っている。

        国土面積では、世界60位の日本も、領海と排他的経済水域の面積では、世界6位にランクされる。
        その事実を考えあわせると、海の持つ重要性が際立っていることがわかる。

        この物語の登場人物は、東京大学大学院准教授で、海洋環境の専門家である住之江沙紀。
        祖父が創設した、マリコン洋々建設の、業界のドンと呼ばれる男の娘だ。

        次に、タレント兼俳優の久保倉恭吾。ニュース・エンターテインメント番組の進行役を務め、そこで「ポジディブ・スパイラル」と題するシリーズものを取り上げている。

        そして、環境庁の生え抜き官僚の橋場慎二。留学先のメリーランド大学で沙紀と知り合い、彼女から借りたクルーザーから飛び込んで自殺する。
        遺書には、「日本海域再編成振興財団」を創設して欲しいと記されていた。

        最後に佐分利幹生。東京都副知事で、後に海洋政策担当大臣に就任する。

        物語を織り成す彼らは、それぞれ理論を考え、世間に知らせる、行政面で政策を実践できる専門家だ。
        そして、彼らのコラボレーションによって「海の再生」や「水辺の再生」が進められていく。

        水利と防災という名のもとに、自然の自浄作用を無視して、ダム、河口堰、旧来の護岸工事などに邁進してきた日本。

        物流に都合の良いように、沿岸の埋め立てや浚渫を進め、結果として、海藻を激減させ、漁場としての機能を低下させてきた日本。

        生態系を考えず、もっぱら目先の利益のための、開発と称した土木工事ばかりを行なってきたことから生じている悪循環、それが「ネガティブ・スパイラル」だ。

        その悪循環を断ち切って、新しい発想のもとで「ポジティブ・スパイラル」という、未来の好循環に変えていくためには、どうすればいいのか。
        この本には、その問いかけがなされている。

        >> 続きを読む

        2019/06/11 by dreamer

    • 1人が本棚登録しています

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