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有名観光地、どーでもいい場所。作者の独自のチョイスで編集者と旅する、旅エッセイ。自虐的文章に、思わずくくくと笑ってしまう。ガイドブックを活用して旅するのは便利だ。でも、多用はいけない。『ココは必ず訪れて!食べる価値あり!』「…ほんとうに、そうなの??」って、自分のアンテナを信じて旅するほうが、きっと楽しい。この作者のように。 >> 続きを読む
2015/08/07 by shizuka8
当初、自費出版だったものが好評を博して、文庫本として新たに出版されたといういわくつきの本、それが宮田珠己の「旅の理不尽 アジア悶絶編」だ。とにかく、この本はちょっと変わったというか、相当変わった旅行記だ。普通、旅行記というのは誰が書いても、現地の体験報告であることが多いものだ。それはそれでよいのだが、やたらと目につくのが、"感動体験型"の旅行記だ。どこそこで見た風景に感動し、聞いた話に感銘を受け、子供の笑顔に純粋さを見、そして日本人が失ったものを発見したつもり(?)になって喜ぶのが、旅行者の常であると思う。単なる旅行者が、旅先の宿で感動話をする分にはかまいませんが、この調子で本まで書かれるとなると、やりきれなくなってきます。もちろん、"感動体験型"の旅行記がすべてつまらないというわけではないのですが、よほど文章が達者でエスプリが効いていなければ読み通せないものです。少し旅したくらいで感動されても困るんですね。著者の宮田珠己は、そういった古典的な図式、つまり貧しい国には心豊かな人々がいるといった類のもの言いを、木端微塵に粉砕してしまうのだ。考えてみると、旅行記というものは、旅する本人も登場する現地の人々も、最終的にカッコよく書いてあるものだ。旅する者はたとえ失敗しても、それを糧にしてより良い旅を目指すものだし、旅人に絡む人物は、初めは胡散臭くても実はいい人だったというのが旅行記の方程式になっていて、読み手はそれで救われるということになるのだと思う。だが、この「旅の理不尽」では、何ひとつ救われることはない。だから"理不尽"なのだ。その代わり、惨めな旅人やどうしようもない現地の人々のふるまいが、大いに笑わせてくれるのだ。そして、感動的な体験といったものも、まるで出てこない。くだらない、どうでもいいような話ばかりである。それどころか、現地の様子さえ、ろくにわからないという前代未聞の旅行記なのに、読んでいて実に楽しくて面白いんですね。それはなぜなのかと考えてみると、多くの凡庸な旅行記が持つ、"お約束の感動"をパロディにしてしまう特異な文体を、この旅行記が持っているからだろうと思う。 >> 続きを読む
2018/03/31 by dreamer
受容史が個人的に好きだがこの100年単位の勘違いや進歩、後退ですすむ日本が想像以上に荒唐無稽でどこの国の話なのかてんでさっぱりで痛快 >> 続きを読む
2021/03/02 by kotori
この本は、主に学術書、人文書を紹介していて小説などはありません。肩の力は抜けているけれど、見抜く所は見抜いていて、思わず、はた、と膝をうつ。雑誌『本の雑誌』に掲載されていたブックエッセイにそれぞれタイトルがついています。*『インドの不思議』の魅惑的嘘八百*西洋人が見た間違ってる日本が素敵だ!*自殺のような旅行のような補陀落渡海の謎*妄想、性癖ごちゃまぜの素敵にアホなアフリカ報告*四国遍路でバンジージャンプを*嘘っぱち大行進の中世ヨーロッパが楽しい!*日本全国そこらじゅうタヒチ*地獄の受付嬢“奪衣婆”を追え・・・などなど。 宮田さんはノンフィクションライターで、特に旅、紀行文の本を出されているので、そちらの興味がとても強い。特にこだわっているのは「外国人から見た不思議な国、ニッポン」または、「東洋に日本という国があるらしい文献」のめちゃくちゃさです。「虚実入り乱れた、というかほぼ嘘八百と言ってもいい中世の地理書や奇譚が大好きな私」 まだまだ中世ヨーロッパは世界の中心意識が強く、アジア、アフリカなんて空想でまたは噂話で平気で作り上げ、それがまたベストセラーになってしまったりするのをもう、うれしそうに語る、語る、語る。 学術書というのは文章が硬くて、ハズレが多く、また、ノンフィクションでも対象にのめり込みすぎるのは疲れる。人間ってのは飽きたり、覚めたり、疲れたりするもんでしょ、と割り切っています。 文章も軽快ながらも、安直な流行言葉は使わず、確実でありながら、笑ってしまう。小説やエッセイを主に読む自分は、こういう学術的、人文学的な本はあまり手にとらなかったのですが、宮田さんは、地図も大好きで絵や地図のある本のおもしろさも十分語っていて、どの本もすぐに読みたくなる、ふるいつきたくなるような語り口が、とてもいい。鈴木理生の『お世継ぎのつくりかた』に、ふるふると感動し、「鈴木理生には、もう一冊ちくま学芸文庫になってる著作があって『江戸の町は骨だらけ』というのらしい。まだ読んでいないが、読まないうちから、強力おすすめである。」 などと無責任ながら、責任きちんと負いますよ、面白いですよ。この本。というもう著者は大まじめな「珍妙なる国ニッポン」「珍妙なる叙述」にふるふると肩をふるわせてなんて素敵、とにやにや笑いながら読んでいる顔が目に見えるような文章。そしてちらりと見せる、権威主義的な物の見方への反骨精神。まったくもって、おすすめ上手! >> 続きを読む
2018/05/28 by 夕暮れ
【宮田珠己】(ミヤタタマキ) | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト(著者,作家,作者)
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