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中野善夫

著者情報
著者名:中野善夫
なかのよしお
ナカノヨシオ
生年~没年:1963~

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このランキングは1日1回更新されます。
      世界の涯の物語
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
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      • 【ダンセイニ卿のお伽噺のようなファンタジー】
         本書は、ロード・ダンセイニが著した4冊の幻想短編集のうちの後半の2冊(『驚異の書』:The Book of Wonder、『驚異の物語』:Tales of Wonder )を新たに訳出し、作品の並び順もオリジナルと同じにした短編集です。
         本書に収録されている物語は、いずれも幻想味溢れる作品で、寓話やお伽噺のようなテイストも兼ね備えているように感じられます。
         それでは収録作からいくつかご紹介。

        ○ 宝石屋サンゴブリンド、並びに彼を見舞った凶運にまつわる悲惨な物語
         宝石商のサンゴブリンドは盗賊という裏の顔も持っていました。
         ある時、サンゴブリンドのところに一人の豪商がやって来て、自分の娘の命と引き替えに蜘蛛神像フロ・フロの膝の上に乗っている人間の頭よりも大きいダイアモンドを盗んで来て欲しいと頼んできました。
         この依頼を引き受けたサンゴブリンドは、さっそくフロ・フロが祀られている神殿に向かうのですが、このダイアモンド、過去に何度盗まれてもフロ・フロの所に戻ってくると言うのです。
         しかも、フロ・フロってただの神像ではなく動くじゃないですか!

        ○ 三人の文士に降りかかった有り得べき物語
         流浪の民にはもう新しい歌が無くなってしまいました。
         しかし、この世には素晴らしい歌が詰まった黄金の箱があると言われています。
         流浪の民は、盗賊の王と2人の盗賊に黄金の箱を盗んで来て欲しいと頼んだのです。
         三人は首尾良く黄金の箱を盗み出し、それをこじ開けて中にしまわれていた頌歌、バラッド、詩篇などを読んだのです。
         それはどれも素晴らしいものでした。
         しかし、その時、上方の部屋の灯りが点いたのです。
         もはや三人には一縷の望みもなくなったのです。
         一人は愚かにも逃亡を企て、もう一人は身を隠そうとしました。
         しかし、灯りが灯された理由と、灯りを灯した者を知る盗賊の王はこの世の縁を飛び越えたのです。
         盗賊の王は、今も奈落の底に向かって落ち続けているのです。

        ○ 女王の涙をもとめて
         森の女王のもとには沢山の王子、吟遊詩人に身を隠した王が詰めかけていました。
         みんな森の女王に求婚していたのです。
         しかし、女王はどのようなプロポーズも受け入れませんでしたので、求婚者達は大変不満に思っていました。
         求婚者には試練が与えられるべきで、何の試練も与えずに求婚をはねつけることはできないと。
         そこで、女王は私に涙を流させた者の求婚を受け入れると約束しました。
         王子達は悲劇を物語り、吟遊詩人達は悲歌を歌いました。
         その場にいた者はことごとく涙を流したのですが、一人女王だけは涙を流さなかったのです。
         そこで、女王の崇拝者の一人だったアクロニオンは計略を巡らせました。
         妖精国には『歓喜の獣』が住んでおり、その涙を大杯に集めた者がその効力の続く間歌を歌えば、どんな相手にも涙を流させることができると言われていたのです。
         アクロニオンはさっそく妖精国に出かけて行ったのですが……。

        ○ 驚異の窓
         老人が街頭で物売りをしていました。
         興味に駆られて売っている品物を見ると、それは小さな窓枠でした。
         代価は持ち金全部だと言います。
         スラッデン氏は窓枠を買うことにしました。
         老人はスラッデン氏の家までついてきて、一人にして欲しいと言うと、それまで窓などなかった壁に窓枠を取り付けたのでした。
         スラッデン氏がその窓枠を眺めて見ると、そこには異国の風景が見え、城壁には白地に金の龍が描かれた旗が翻っているではありませんか。
         あの紋章は何の紋章なのだろう?

        ○ 不幸交換協会
         パリの小さな通りに『万国不幸交換協会』という看板を出している小さな店がありました。
         その店には邪悪そうな老人がおり、客が抱えているどんな不幸でも、他の客の不幸の中で耐えられそうな不幸と交換できると言うのです。
         例えば、子宝に恵まれなかった女性は、12人もの子持ちの女性と互いの不幸を交換し合ったことがあるとか。
         どんな不幸にも必ずそれに見合った他人の不幸を探してやると言います。
         ただ、一度この店で取引をした者は二度とこの店にはやって来ないのだと言うのです。
         それが何故なのかはこの老人にも分からないそうです。
         興味を持った客は、どうでも良いようなつまらない不幸を交換してもらうことにより、この店のやっていることを経験したくなりました。
         客は、近々ロンドンへ船で帰らなければならなかったのですが、船酔いするのではないかと心配していました。
         ほとんど気の持ちようみたいな不幸なのですが、この程度のちっぽけな不幸を差し出すのなら代わりに受け取る不幸も大したことはないだろうし、大事にはならないだろうと考えたのですが……。

         収録されている作品のほとんどは短いお話です。
         また、本書にはオリジナル短編集に掲載されていたシドニー・H・シームの挿絵もすべて収録されており、その挿絵もなかなか味わい深くて良い感じなのですよ。
        >> 続きを読む

        2020/02/03 by ef177

    • 2人が本棚登録しています
      夢見る人の物語
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
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      • 【黄昏の帳の向こう側の世界】
         『世界の涯の物語』に続く、ダンセイニの短編集です。
         本書には、The Sword of Welleranと、A Dreamer's Talesの二つの短編集が完全収録されており、オリジナルに掲載されていたシドニー・H・シームの挿絵も全点掲載されています。
         ダンセイニが描く自然や、驚異に満ちた都市の描写は大変美しく、叙情的で、その部分を読むだけでも楽しめるのではないでしょうか。
         それでは、収録作品からいくつかご紹介しましょう。

        ○ バブルクンドの崩壊
         砂漠を越えた先の、二つの川が交わるところに大変美しいバブルクンドという街があるそうです。
         その街には七つの驚異があると言われており、是非とも一目見るべき街だと噂されていました。
         『わたし』は、是非とも驚異のバブルクンドを見に行くべきだと考え、キャラバンを組んで出発したのです。
         途中で、土地の人からバブルクンドの壮麗さについて話を聞かせてもらい、ますます興味が募っていくのでした。
         ところが、あともう少しでバブルクンドに到着するという所まで来た時、ぼろぼろの服をまとい、ひたすら歩き続けている一人の旅人に出会ったのです。
         旅人は、バブルクンドを見に行くのなら早く行くべきだ、自分より先に行きなさいとしきりに促すのです。
         それは何故?

        ○ 追い剥ぎ
         街頭のトムは、絞首刑にされ、首吊りの木に鎖で吊されていました。
         強く吹きすさぶ風がトムの身体を振り回しています。
         トムの魂は安らぐことができずにいたのです。
         そんな時、強盗や殺人ばかりを繰り返している3人の男が、角燈、梯子、剣を持ってやって来ました。
         彼らはトムの友達でした。
         彼らが何をしようとしているかと言うと……。

        ○ 海を臨むポルターニーズ
         トルディーズ、モンダス、アリズィムという3つの内陸の国がありました。
         これらの国々の西側の国境には巨大な山があり、この山は『海を臨むポルターニーズ』と呼ばれていました。
         内陸の国の人々は海を見たことがありませんでした。
         何人もの若者が海を見るためにポルターニーズに登って行ったのですが、誰一人帰ってくる者はいませんでした。
         アリズィムの王には娘がおり、大変美しい娘だと思われていました。
         もしかしたら王女は海よりも美しいのかも知れない。
         内陸国の3人の王達は、ポルターニーズに登って海の様子を見て帰ってきてそれを語ることができた若者に王女を娶らせることに決めたのです。
         ある日、アセルヴォクという若者が王女を見そめ、「王女は海よりも美しい」と断言したのです。
         そこで王達は、お前がポルターニーズに登って海を見て帰ってきたならば王女を娶らせようと告げると、アセルヴォクはこれを承知してポルターニーズに登って行ったのですが……。

        ○ 潮が満ちては引く場所で
         なにか忌まわしいことをしでかしてしまった『わたし』は、土にも海にも葬ってもらえなくなりました。
         友人達は『わたし』を殺し、その死体をテムズ川の泥の中に投げ捨てたのです。
         魂は骨の間に留まっており、安んじることはできませんでした。
         何年もそんな状態が続いていたところ、州議会が『わたし』を見つけ、清められた土地に埋葬してくれたのです。
         ところが、すぐに友人達がやって来て、『わたし』を墓から掘り返すと再びテムズの泥の中に投げ捨てたのです。
         その後、何度か『わたし』は見つけられ、墓に葬ってもらえたのですが、その度に友人達がやって来てテムズの泥の中に戻してしまうのです。
         そうしているうちに、友人達の最後の一人が亡くなり、『わたし』ももう一度墓に葬ってもらえたのです。
         もうテムズの泥の中に戻す者はいないと思っていたのに、すぐにマントをまとい、細長い蝋燭を持った男達がやってきて墓を暴き、『わたし』を再びテムズの泥の中に投げ捨てたのです。

         ダンセイニは、都市を忌避しケルトの夢を追い続けた作家として有名ですが、本書に収録された多くの作品から、ダンセイニのそういう想いが読みとれるように感じられました。
        >> 続きを読む

        2020/02/28 by ef177

    • 2人が本棚登録しています
      最後の夢の物語
      カテゴリー:小説、物語
      3.0
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      •  幻想文学の礎を築いたロード・ダンセイニの作品は、数多くの作家たちに影響を与えた。そんな方の短編集成の最終巻である四巻。
         一から三巻を読み終わってから、四巻は読むのをなんかずっと忘れてた。

         今回は現代を舞台にした話が多かった気がする。
        「不死鳥を食べた男」は不死鳥と勘違いした鳥を食べ、医者から止められている酒を飲んだ男が、不可思議なものを見るようになってしまった。どう考えても酒のせいじゃないか! と思うが、実際にレプラホーンやら妖精がいたら面白そうだと思わせてくれる。ただしかし、この妖精ってのが、不死鳥を食べた男を生贄にしようとしたなかなかの残忍性を持っていた。さすが妖精! 羽の生えた可愛らしい姿より、こういうイメージのほうがしっくりくる。
        >> 続きを読む

        2014/06/20 by hasai

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