こんにちはゲストさん(ログインはこちら) | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト →会員登録(無料)


アルベール・カミュ

著者情報
著者名:アルベール・カミュ
あるべーる・かみゅ
アルベール・カミュ
生年~没年:1913~1960

この著者の本を読んでいる会員ランキング

このランキングは1日1回更新されます。
      ペスト
      カテゴリー:小説、物語
      3.6
      いいね! Minnie
      • 【それは、ネズミが死んだことから始まった】
         何度目かの読み直しです。
         194*年、オラン(アルジェリアの港町)が舞台になります。
         異変が起き始めたのは4月16日。
         作品の内容はみなさん既にご存知だと思いますので、今回のレビューは何が起きていったのかに焦点を当てて辿ってみようと思います。

        〇 大量のネズミの死骸が見つかる
         町の至る所で大量のネズミの死骸が見つかり始めます。
         中には、人前に出て来て苦しんで死ぬネズミも。
         何が起きているんだ?

        〇 患者が出て、人が死に始める
         2~3日の間に似たような症例の患者が20名程出ます。
         死者も3人出ました。
         これは……ペストじゃないのか?

        〇 市は事態を認めたがらない
         本作の主人公は医師のリウーなのですが、リウーたちは知事らにペスト発生の疑いがあるので強力な検疫体制を取ることを繰り返し進言します。
         しかし、知事たちはこれを認めたがりません。
         「君はこれがペストだと、はっきり確信をもっているんですか。」
         「これは語彙の問題じゃないんです。時間の問題です。」
         ペストであるのなら、法的な措置を取らなければならず、市民たちもパニックになりかねません。
         行政は、そういうことは認めたがらないのです。

        〇 ペストが蔓延する
         オラン市は20万人の人口を有していますが、事態が発生してから3週間目で死者は302名、5週目には321名、6週目には345名と、確実にペストは蔓延していきます。

        〇 市民がパニックに陥る
         ペストの兆候を示した一人の男は、戸外へ飛び出していき、いきなり出会った一人の女性に抱きつき、「おれはペストにかかった」とわめきながらその女性を抱きしめました。
         どの時代にもいるんだわ、こういう輩が。
         また、市内のあちこちで騒乱が起き、憲兵隊が武器を使用するようになります。
         市の門は閉鎖され、市への出入りは禁止されますが、門の周辺で衛兵と市民との衝突が生じます。

        〇 経済が破壊される
         ペスト蔓延のため仕事が続けられなくなり、失業者が増大します。
         ペスト患者の看護人や死体を埋める墓堀の人手が必要になりますが、皮肉なことにこの人手に事欠くことはありませんでした。
         これらの仕事には危険度に応じて手当てが支払われていましたが、失業者たちは生活のためにこれらの仕事を引き受けていたからです。

        〇 ワクチンが効かない
         オラン市はすぐに中央にペストのワクチンを要請するのですが、届いたワクチンの数が不足しているばかりか、どうも効かないのです。
         型が違うようだ……。
         オラン市在住の医師は、市で流行しているペストから新たなワクチンの製造を始めるのですが……。

        〇 怪しげな予言が流行する
         いったいいつまでこの状態が続くのか?
         不安に駆られた市民たちは、カトリック教会の聖者たちの予言に熱中し、ジャーナリストたちが発表する奇妙な計算をもとにした予測に飛びつき、ノストラダムスなどが引き合いに出されるようになります。

        〇 ペストの増加が鈍り始める
         万聖節(11月1日)を迎えて、ようやくペストの勢いが鈍り始めたように思われます。
         12月に入り、少しずつ終息の気配が漂い始めます。
         市内には、いなくなったと思われたネズミが見かけられるようになりました。
         しかし、1月上旬になっても完全終息には至りません。
         終息が見え始めた頃、市から脱走しようとする人たちが目立ち始めます。
         そんなことをすると厳罰に処せられるというのに。
         ようやくペストの息の根が止まりそうになったが、ここでペストにかかってしまったのでは実も蓋も無い、逃げ出そう!という気持ちからでした。

        〇 開門
         2月になり、市の門は開かれました。
         ペストは終息したと認められたのです。
         発生から8か月以上経っての、多くの犠牲者を出しての終息でした。

         現在の私たちの状況と異なる点は多々ありますが、一方で、人間という奴は、何年経っても、何度繰り返してもまったく学ばないのかと暗澹たる気持ちになる部分もありました。
         今回のレビューでは、客観的な事象に絞って時系列的に追って紹介させていただきましたが、本作中では、登場人物たちの心情も深く描き出されていきます。
         ペストにより変わっていく人たち、変わらない人たち。
         そんなところも読んでいきたいものです。

         なお、私が持っているのは書影の版ではなく、新潮文庫の昭和51年発行の第12刷(宮崎嶺雄訳)なのですが、現在の感覚からするとフォントが小さく、また訳文がちょっと古めかしく感じてしまいました。
         新訳があればそちらの方が読みやすいのではないかと思います。


        読了時間メーター
        ■■■     普通(1~2日あれば読める)
        >> 続きを読む

        2020/04/12 by ef177

    • 他6人がレビュー登録、 26人が本棚登録しています
      シーシュポスの神話
      カテゴリー:小説、物語
      3.6
      いいね! Tukiwami
      • カミュの小説を好んで読むので、その背景にある彼の思想を垣間見ることができました。
        周囲の人からはあまり理解されなかったみたいですね。
        次は『ペスト』でも呼んでみます。
        >> 続きを読む

        2016/05/21 by とーます

    • 他1人がレビュー登録、 9人が本棚登録しています
      転落
      カテゴリー:小説、物語
      3.3
      いいね!
      • カミュは46歳で交通事故死してしまうので、小説としての作品はそれほど多く残っていないのですが、この中篇「転落」と短篇集「追放と王国」は彼の晩年の作品群ということになりますかね。
        パリからアムステルダムへ落ちてきた元弁護士が自ら半生を語る「転落」は、いろいろ文壇ですったもんだがあった後らしく、彼なりのユーモアと皮肉を交えながら正義や罪と罰といった見解が展開されていて面白い(笑)

        彼の作品は、理性的であろうとしたが故に常に孤独感に悲しいまでに満たされているような気がしてならないのですが(笑)、この本に収録されている作品群はその色合いがさらに濃いなーと思います。

        個人的には、辺境の地で教師をしている男と身内を殺害した罪で捕らえられたアラビア人との束の間のふれあいを描いた「客」が好み。
        >> 続きを読む

        2015/08/02 by ao-ao

      • コメント 4件
    • 3人が本棚登録しています

【アルベール・カミュ】(アルベール・カミュ) | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト(著者,作家,作者)

会員登録(無料)

今月の課題図書
読書ログってこんなサービス
映画ログはこちら
読書ログさんの本棚

レビューのある本