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アルベール・カミュ

著者情報
著者名:アルベール・カミュ
あるべーる・かみゅ
アルベール・カミュ
生年~没年:1913~1960

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      ペスト
      カテゴリー:小説、物語
      3.6
      いいね! Minnie
      • 「われわれはみんなペストの中にいるのだ」
        「僕はヒロイズムというものを信用しません。僕はそれが容易であることを知っていますし、それが人殺しを行うものであったことを知ったのです」

        思いきり久々の再読。大好きなカミュの大好きな一冊。
        普遍性を意図した文章は作者の真意を理解するためにはしっかり読み込む必要があって、思いのほか時間をとってしまいました。あれ?こんなに回りくどい文章だったっけ?と感じたほど。
        けれど記憶にたがうことなくこの名作は完全に私好みの小説でした。
        ラスト近くのタルーの告白以後のスピード感はそれまでの手さぐりで夕闇を歩いているような中間部に比して、快感ですらあります。
        「異邦人」でも感じましたが、いよいよ大詰めを迎えての爆発的な感動はその前のつまらない部分を耐えてこそ(失礼)という気すらしてきます。
        結びの見事な事は指摘するまでもないでしょう。
        深い感動と共感。
        ああ、再読できてよかった。

        何よりもカミュの人間や人生や社会に対する姿勢や思想が好きです。
        「人は神によらずして聖者になりうるか」
        彼こそは真のヒューマニストではないでしょうか。

        ペストは過去の出来事ではありません。人を死に至らしめる病毒はいろいろな形で現代社会を覆っています。
        新しい感染症も出現し、交通の利便化で風土病も輸出されてしまっており、パンデミックの危機は一向に減っていません。
        細菌兵器や放射能汚染などの新たな厄災も加わりました。
        当然ながらより普遍的なのは地震などの天災でしょう。
        天災は、命の危険は一時で終わるかもしれませんが、地域社会の崩壊や生活の復興の困難はペスト以上の長期に渡る不幸であることを私たち日本人は既に知っています。
        そして最大の悲劇はなんといっても戦争です。

        社会的に隔離され個人の自由が束縛され未来もなく死刑宣告を背負って生きること。
        それはペストと何ら変わることはないのです。
        そしてこういった厄災が起きていなくても社会の中に「人を殺すシステム」が存在するという事実があります。
        それを放置している人間達の無関心と妥協の罪。
        むしろ彼はその現実にたいする無知をこそ問題視し罪であると言っています。

        カミュは外的、物理的な疎外だけではなく人間社会のシステムに組み込まれた人間性の疎外を直視し、堂々と疑問を突き付けます。
        社会を糾弾して快感を得る事は誰にでもできますが、カミュは個々人が人間としてどう生きるかを真面目にストレートに問いかけ、かつ答えているのです。

        「天災を受けいれることを拒みながら、医者となろうと努める」人々が必ずいること。
        「人間のなかには軽蔑すべきものよりも賛美すべきもののほうが多くある」


        彼の誠実さと明晰な頭脳と哲学的良心的な心を私は愛します。

        名作とはかようにいつの時代も息づき決して錆びつきません。
        それは素晴らしい事であると同時に悲しいことです。
        彼らが問題にした人間社会の脆弱さがまったく改善されていないことの証拠であるからです。

        せめて個人が自分の善行を果たす決意をすることです。
        彼が否定したヒロイズムに決して溺れることなく。
        >> 続きを読む

        2017/06/30 by 月うさぎ

      • コメント 4件
    • 他5人がレビュー登録、 20人が本棚登録しています
      シーシュポスの神話
      カテゴリー:小説、物語
      3.6
      いいね!
      • カミュの小説を好んで読むので、その背景にある彼の思想を垣間見ることができました。
        周囲の人からはあまり理解されなかったみたいですね。
        次は『ペスト』でも呼んでみます。
        >> 続きを読む

        2016/05/21 by とーます

    • 他1人がレビュー登録、 7人が本棚登録しています
      転落
      カテゴリー:小説、物語
      3.5
      いいね!
      • カミュは46歳で交通事故死してしまうので、小説としての作品はそれほど多く残っていないのですが、この中篇「転落」と短篇集「追放と王国」は彼の晩年の作品群ということになりますかね。
        パリからアムステルダムへ落ちてきた元弁護士が自ら半生を語る「転落」は、いろいろ文壇ですったもんだがあった後らしく、彼なりのユーモアと皮肉を交えながら正義や罪と罰といった見解が展開されていて面白い(笑)

        彼の作品は、理性的であろうとしたが故に常に孤独感に悲しいまでに満たされているような気がしてならないのですが(笑)、この本に収録されている作品群はその色合いがさらに濃いなーと思います。

        個人的には、辺境の地で教師をしている男と身内を殺害した罪で捕らえられたアラビア人との束の間のふれあいを描いた「客」が好み。
        >> 続きを読む

        2015/08/02 by ao-ao

      • コメント 4件
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