こんにちはゲストさん(ログインはこちら) | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト →会員登録(無料)


CarverRaymond

著者情報
著者名:CarverRaymond
CarverRaymond
CarverRaymond
生年~没年:1939~1988

この著者の本を読んでいる会員ランキング

このランキングは1日1回更新されます。
      大聖堂
      カテゴリー:小説、物語
      4.5
      いいね!
      • 【純文寄りの高品質な短編集】
         高評価されている短編の多くは、あっと驚くような結末が用意されていたり、キレの良さが持ち味だったり、ユーモアやシニカルな味わいが特徴だったりしますが、レイモンド・カーヴァーの作風はそれらとは異なります。
         一見すると特に捻っているようでもなく、淡々と語られて終わるという印象を受けますが、どうしてどうして。
         とりあえず収録作を何作かご紹介しましょう。

        〇 羽根
         職場の仲の良い同僚のバドから「夫婦揃って食事に来ないか」と自宅に誘われたジャック。
         もちろん承知して、妻のフランを誘いますが、フランは乗り気ではない様子。
         「私、バドの奥さんのこと知らないのよ」と。
         「バドの奥さんのオーラだって君のことを知らないんだからお相子だよ」となだめすかします。
         ジャックとフラン夫婦は子供を作らない主義なのですが、バドとオーラには子供が生まれたばかりでした。
         まぁ、これもお付き合いということで出かけるジャックとフランです。
         バドの家はどうにもぱっとしない地区にありました。
         そして、家に着いてみると、なんと孔雀がいたのです。
         「何、これ?」
         家に案内され、食事が始まりますが、料理もイマイチ。
         例の孔雀は、家に入れろとうるさく鳴き続けますので仕方なく家に入れるバド。
         「いやあ、オーラが家に入れる癖をつけちゃって」
         社交辞令もあって、赤ちゃんが見たいとフランが言ったところ、これがお世辞にも可愛いとは言い難い赤ちゃんだったのです。
         唖然としてしまうジャックとフラン。
         でも、バドとオーラはとても幸せそうなのです。
         家に帰ったジャックとフランは、その夜、子供を作ることを決意します。
         そして、二人の間には子供が生まれ……。
         幸せって何だろうねというお話。

        〇 ささやかだけれど、役にたつこと
         アンは、週明けの月曜日に8歳の誕生日を迎える息子のスコッティのためにバースデイ・ケーキを注文しているところです。
         「スコッティは8歳になるんです」などとパン屋の店主に話しかけながらケーキを選ぶアン。
         でも、パン屋の店主はちょっと不愛想で、アンは内心「どうもこの人とは仲良くなれそうもないわ」などと思いつつ。
         ところが、月曜日、スコッティは車にひき逃げされ意識不明になってしまうのです。
         病院に運ばれたスコッティですが、医師は心配ない、すぐに意識は戻ると言いました。
         夫のハワードも職場から病院にかけつけ、取りあえずは一安心というところでしょうか。
         ハワードは一度家に戻ることにしました。
         家に戻ると電話が鳴っています。
         「ケーキを取りに来ていただかないと」と電話の主は言います。
         アンがバースデイ・ケーキを注文していたことを聞いていなかったハワードは、息子のことで気が立っていたこともあり、こんな時に何といういたずら電話だと腹を立て、悪態をついて電話を切ってしまいます。
         事情が分からないパン屋もカチンと来たことでしょう。
         その後、時間が経ってもスコッティの意識は一向に戻りません。
         医師も首を傾げるばかり。
         ずっとつきっきりのアンも憔悴していきます。
         ハワードは、「僕がそばについているから君は一度家に戻って休んできなさい」と強く勧めます。
         スコッティを見捨てるようで気が咎めるアンですが、言われるままに一度家に戻ると電話が鳴っています。
         アンが出てみると「あんた、スコッティのこと忘れちゃったのかい?」と言います。
         ケーキを注文していたことに思い至らないアンは、事故のことを聞きつけた何者かがいたずら電話をかけて来たのだと思い激怒します。
         再び病院に戻ったアンは、電話のことをハワードに話しました。
         二人は卑劣ないたずら電話だと思うのです。
         その後、スコッティは亡くなってしまいました。
         悲しみにくれる夫妻。
         二人が家に戻るとまたあの電話がかかってきました。
         いい加減にしてよ!
         でも、その時アンは気がついたのです。
         ケーキを注文していたんだって。
         そりゃパン屋はスコッティが事故で亡くなったことなんて知らないでしょう。
         でも、あんまりだ……。
         アンは、怒りに任せてハワードにわけを話し、二人でパン屋に乗り込みました。
         子供を亡くした悲しみのまま、パン屋の主人に怒りをぶつけるアン。
         「本当にお気の毒です……」知らなかったとは言えとんでもないことをしてしまったと、パン屋の主人はうなだれて謝罪します。
         そして、二人に焼き立てのパンを出したのです。
         「食べてください。こんな時にはものを食べることです」……。
         良い話だぁ~。

        〇 大聖堂
         今日は妻の親友だと言う盲目の男性が家に遊びに来ることになっていました。
         しかも、遠くから汽車に5時間も揺られて。
         盲人だって? どうやって相手をすればいいんだ?
         夫は内心困惑し、ムッともしていました。
         そりゃ、妻の友人なんだというのは分かるけど、でも、盲人なんだぜ。
         やって来た盲人は、夫が思っていたよりももたつくこともないようです。
         酒を勧めると良い飲みっぷりです。
         妻と盲人は楽しそうに話し続け、夫は時々相槌を打つ程度。
         本当に参ったぜ、こりゃ。
         健啖家なのでしょうか、食事も残さず食べてくれました。
         酔いが回ってしまった妻はソファーで眠ってしまいます。
         おいおい、二人だけにしないでくれよ。
         テレビをつけ、見るともなしに大聖堂のドキュメンタリーを流します。
         夫はぽつぽつと話しかけます。
         その時、ふと思うのです。
         大聖堂なんて、こいつは分かるんだろうか?
         そこで尋ねてみたのです。
         テレビで大聖堂のことを話していますが、あなたは大聖堂がどういうものか分かるんですか?と。
         分かりません。
         今、テレビで説明されていたようなことは分かりました。でも、それがどういうものなのかは分からないのです。
         そうだ、あなた、大聖堂がどういうものか説明してくれませんか。
         えっと……たどたどしく説明を始める夫。
         えーい、駄目だ。僕にもうまく説明できませんよ。
         そうだ。じゃあ二人で大聖堂の絵を描いてみましょうよと盲人は言います。
         絵を描くだって?
         言われるままに紙とボールペンを用意して、大聖堂の絵を描き始める夫。
         こうなっていて……。
         目を閉じたまま描いてください。
         その絵の跡を指でなぞる盲人の男。
         ああ、私にもわかりますよ。
         目を覚ました妻は、二人とも何やってるのよ?と尋ねます。
         大聖堂を描いているのさ。
         こ、これは、すごいや。
         夫は、この時はじめて、盲人の男と心が通じ合ったのでした。

         ご紹介の通り、奇を衒ったオチなどはありません。
         純文寄りとリードに書きましたが、『寄り』ではなく、純文ですね。
         ちょっとオチまで書いてしまいましたが、これらの短編は再読に十分耐えるというか、再読して味わうべき作品だと感じました。
         大変質の高い短編集です。
         こういうお話がお好きな方はお気に召すと思いますよ。


        読了時間メーター
        □□□     普通(1~2日あれば読める)
        >> 続きを読む

        2021/03/03 by ef177

    • 他1人がレビュー登録、 6人が本棚登録しています
      頼むから静かにしてくれ
      カテゴリー:小説、物語
      4.7
      いいね!
      • 頼むから静かにしてくれ〈1〉。レイモンド カーヴァーの著書。村上春樹先生の翻訳。日常生活の延長線上でストーリーが展開されるけれど、決してつまらない平凡な内容にはならないのがレイモンド カーヴァー先生の文才のなせる業なのでしょうか。どことなく村上春樹先生との共通点を感じてしまいます。 >> 続きを読む

        2019/02/10 by 香菜子

    • 5人が本棚登録しています
      〓
      カテゴリー:小説、物語
      いいね!
      • 7つの短編小説と、訳者の村上春樹による回想を含めた長めの解題から構成される。

        「引っ越し」
        引っ越しを繰り返す厄介者の母は、僕とパートナーの住む町から去ろうとしている。
        面倒な母親だが不思議な存在感があり、心に残る。

        「誰かは知らないが、このベッドに寝ていた人が」
        深夜の間違い電話と、夜明けまで続く妻との会話。妻は植物人間になった場合にどうすべきかを夫に問う。

        「親密さ」
        小説家の男は別れた妻の町を訪れ、4年ぶりに再会する。妻は夫の裏切りを非難し、責め立てる。

        「メヌード」
        いまの妻と関係を持ったことから前妻と別れた男は、向かいに住む家庭ある女性と関係を持つようになる。
        それぞれのパートナーに浮気が発覚し、男は決断を迫られる。
        メヌードは友人アルフレードが作ったメキシコの内臓料理。

        「象」
        だらしない母、別れた妻、ヤクザな男と結婚し二子をもつ娘、大学生の息子にそれぞれ仕送りをする男。さらには失業した弟からも金を無心されるようになる。
        男は子どもの頃に肩車をしてくれた父を象のように感じていたことをふいに思い出す。
        暗い状況にもかかわらずユーモラスで勢いのある表題作。

        「ブラックバード・パイ」
        愛する妻は牧場主に連れ去られる馬たちと保安官補とともに、不可解な手紙を残して男の元を去ろうとしている。死をイメージさせるシュールレアリスティックな作風。
        タイトルの料理は現実には存在しない。

        「使い走り」
        チェーホフの臨終までと、最後を過ごしたホテルでの出来事を描く。
        作者はこの小説を書いている時点で医者によって癌を宣告されていた。

        <解題>
        冒頭で出版の経緯や作者の作品群のなかでの位置づけが紹介されたあと、訳者が作者の墓参りと妻のテスに再会したときの回想がつづく。訪れたカーヴァーの部屋ではマーク・ストランドによる「物事を崩さぬために」という詩に偶然出会う。各章の解題は後半に記される。
        >> 続きを読む

        2020/07/22 by ikawaArise

    • 2人が本棚登録しています

【CarverRaymond】(CarverRaymond) | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト(著者,作家,作者)

会員登録(無料)

今月の課題図書
読書ログってこんなサービス
映画ログはこちら
読書ログさんの本棚

レビューのある本

氷点