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アガサ・クリスティ

著者情報
著者名:アガサ・クリスティ
あがさ・くりすてぃ
アガサ・クリスティ
生年~没年:1890~1976

この著者の本を読んでいる会員ランキング

このランキングは1日1回更新されます。
      そして誰もいなくなった
      カテゴリー:小説、物語
      4.2
      いいね! chao sunflower tadahiko tomato Minnie napori
      • ミステリー界の王道である、この作品を、今更ですが読みました。

        今年の春に、二夜連続で放送されたドラマを見たのがきっかけです。

        犯行トリックがどうとか言うより、

        ・「犯人の動機」

        ・「一人、また一人と死んでいくその状況での、人間の心理」

        に着目した小説でした。
        >> 続きを読む

        2017/06/11 by ゆずの

    • 他17人がレビュー登録、 77人が本棚登録しています
      アクロイド殺し
      カテゴリー:小説、物語
      4.6
      いいね! chao Minnie
      • 匿名

        今更ながら、読みました。
        あっという間に読破。
        お姉さんのキャラクターが光っていて素敵でした。 >> 続きを読む

        2015/10/12 by 匿名

    • 他10人がレビュー登録、 35人が本棚登録しています
      オリエント急行の殺人 クリスティー文庫)
      カテゴリー:小説、物語
      4.6
      いいね!
      • 読み終わって、思わず膝を打ってしまう。

        本棚に眠っていた超有名作を気怠い暑さの中読み始める。外国作品にありがちだが最初の50ページは結構辛い。しかしそこを過ぎると手が止まらなくなってしまう。ラスト20ページ、本当に風呂敷を畳めるのか?と不安になるが名作に心配は不要だ。作品が書かれた背景を説明してくれる解説もすばらしい。

        あまりミステリーは好みではないのだが、『そして誰もいなくなった』以来のスッキリした読後感だ。1934年にこれを書いた作者は凄すぎる。私の手元にあるのは1978年版だが、改訳版も少し時を置いて読んでみたいと思わせる。

        月うさぎさんを始め他の方も再三おっしゃられていることだが、今の時代「読むべき」ではなく「さっさと読まなければならない」本だ。ネタバレ一切なしで読めた私は幸せなのだろう。
        >> 続きを読む

        2016/08/21 by 飛車香落ち

      • コメント 4件
    • 他4人がレビュー登録、 21人が本棚登録しています
      そして誰もいなくなった
      カテゴリー:小説、物語
      4.7
      いいね! niwashi
      • 産まれて初めてのアガサ・クリスティーです。おぎゃあ。
        これだけ名作名作と言われているのに読んでいないのも如何なものかと思い、えいやあっと手に取った次第で有ります。

        ロバートジョンソンのコンプリートアルバムなんかを聴く時には「これは漢方薬である。体の為に聞くのだ、為になるのだ・・・」と自分に言い聞かせて聴くようにしています。だってやっぱり古臭いじゃないですか。我慢しないと聴けないっすよ。

        さて、そろそろ漢方薬でもと手に取ったこの本。
        「なんだ!この漢方薬めちゃ美味いやないか」
        アガサ様お見逸れしました、失礼な物言い平にご容赦ください。


        10人の賓客がインディアン島に招かれた。
        招かれた10人はホストのオーエン氏とは誰も面識が無かった。
        食卓についた彼らの耳に、彼ら10人が各々関わった殺人に対する告発が響き渡る。
        一人、また一人と殺されていく賓客達。一人殺されていく毎に消えて行くインディアン人形。そして訪れない迎えの船・・・。
        この島には間違いなく10人しかいない、この中に殺人鬼がいる!
        一体誰を信じればいいのか、この10人全員が真偽は定かではないが、殺人に関わった可能性があるのだ。
        一人一人減っていく毎に疑心暗鬼は深まっていく・・・。

        ラッキーな事に結末を全く知る事無く読むことが出来ました。でも全く犯人は予想外であったし、こっそり言うと種明かしの部分で「なんじゃそりゃ」と思った事も事実だったりする。なんというか割り切れない気持ちがどんより残る感じ。
        種に関してはこの本を2回読んで見た所、所々にやりとする箇所が。でも基本的には2回目でもヒント見つからなかったなあ^_^;
        ヒントとしては何より冒頭が・・・。あーいけない。ネタバレネタバレ。

        でもこの本は犯人がどうこう以前に、次第に追いつめられて行く心理状態を表現した妙味がこの本の面白さだと思います。プライド、恐怖、怒り、対立、諦観。
        死体発見よりも前に、また一つインディアン人形が減っている事でその事を察する彼らの心境はゾクゾクする。この描写がとても好きです。
        僕なら最初の被害者にして欲しいな。後半は厳しいです。崖から飛んでしまうかも(T_T)
        >> 続きを読む

        2015/05/30 by ありんこ

      • コメント 22件
    • 他4人がレビュー登録、 24人が本棚登録しています
      春にして君を離れ
      カテゴリー:小説、物語
      4.3
      いいね! Minnie MissTerry chao
      • 面白いとの評判はいろんなところで聞いていましたが、ついに読めました。
        めちゃくちゃ面白かったです!クリスティ最高峰との評価も納得。しかしなんというホラー。

        ミステリではないとはいいながら、ネタバレがある話なのでストーリーについて深くは触れません。ただ、傲慢なのは誰でしょうね?ラストにぞっとします。




        ちなみに主人公のジョーンはそりゃあ嫌な女ですけど、箱入娘ゆえの残酷さというか、無知であることに気が付かずに狂気振り回してニコニコしてるところありますけど、夫のロドニーだっていい勝負なわけで、「プア・リトル・ジョーン」なんてつぶやいたりして何様かと思う。誰かを哀れむという行為には優越感が伴うと書いていたのは山田詠美ですが、全くその通りですね。

        などと考える読者自身は、ちゃんと理解しているのか?もちろん私はわかっている、自分はそこまでできた人間ではないし、完ぺきではない、神様に許しを請うべき傷も持っている、と思う時点ですでに思い上がっているのではないか?という終わらないスパイラルが実に恐ろしい。半狂乱になって走り回らなくちゃいけないのは私ではないのか?



        もうひとつ、邦題の『春にして君を離れ』がぞっとするほど名訳である。原題は "Absent in the Spring"、直訳すると不在の春、とかそんな感じでしょうか。シェイクスピアのソネット(98番)から取っているとのことで、気になってソネット全文も調べてみました。
        元のソネットは "From you have I been absent in the spring" と始まっていて、岩波文庫では「春の間私は君と離れて過ごした」などと訳しているようなのですが、これを「春にして君を離れ」とは、たまらない!作品中にほかのソネット(調べたら116番だった)も出てくるのですが、この文語調の格調高い訳が実にすばらしいです。これ、中村妙子さん自身が訳しているんですよね?すばらしい。
        シェイクスピアは正直あまり興味がなかったのですが、ソネットはちょっと読んでみようかと思いました。原文と和訳が両方出ているやつを入手します。
        >> 続きを読む

        2017/04/08 by ワルツ

    • 他4人がレビュー登録、 15人が本棚登録しています
      ナイルに死す
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      • ジョン・ギラーミン監督、ピーター・ユスティノフ主演の映画「ナイル殺人事件」を観たので、久し振りにこのアガサ・クリスティーの原作「ナイルに死す」を、本棚の奥から引き出してきて読了しました。

        この作品は、クリスティーの中期の名作とよく言われていますが、私は冒頭のトリックはさすがにクリスティーらしくて見事だと思うし、フェア・プレイの精神を尊重する態度が常に厳守されている点などはさすがだと思うのですが、偽の手掛かりにいささか執着しすぎるきらいがあったりするなど、全体としても論理的な矛盾があって、純粋にミステリーとしてみた場合は、彼女の作品の中では上位に位置していません。

        この作品は、彼女が、あらためて戯曲に書き直したりしているのをみても、やはり作品の出来に不満を持っていたのかも知れません。

        ただ、あらためて読み返して思ったのは、クリスティー自身がこの作品を非常に楽しんで書いたのではないかという事です。心浮き立つ様子が、読んでいる間中、私の心に響いてきたのです。

        輝くばかりの美貌と有数の資産を持った若い女性が、新婚旅行の船旅の最中に殺される。作者のクリスティーは事件の前にまず、船に乗り合わせる人々を丹念に点描していきます。

        ここまでに、この小説のほぼ半分が費やされ、残りが殺人事件を核とした"グランド・ホテル形式"。

        登場人物の多彩さ、時制の一致、綾なす人間模様など、優れて舞台劇を思わせる構造で、その中に名探偵エルキュール・ポワロの見た「若さ」の"輝きと儚さ"が、ある種の抒情を持って描かれているように感じました。

        この作品でのポワロは、"大きな父性"とでも言うべき優しさをにじませ、その意味では、クリスティーの作品の中では最もチャーミングな作品になるのかも知れません。
        >> 続きを読む

        2017/02/26 by dreamer

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    • 他2人がレビュー登録、 16人が本棚登録しています
      秘密機関
      カテゴリー:小説、物語
      3.5
      いいね!
      • アガサ・クリスティはミステリーの女王としてあまりにも有名な作家ですが、今回読了した「秘密機関」は、1920年に「スタイルズ荘の怪事件」でデビューしたクリスティの第二作目の作品ですが、このデビュー直後に書いた何作かの"冒険スリラー"は、彼女の華やかでゴージャスな"本格ミステリー"のせいで、ほとんど忘れ去られているような気がします。

        この「秘密機関」は、彼女の"冒険スリラー"の代表作だと確信していますが、第一次世界大戦中にイギリス政府がドイツと結ぼうとした秘密協定の草案文書をめぐる陰謀に、主人公の若き男女トミーとタペンスが巻き込まれるという、"巻き込まれ型のスリラー"なのです。

        秘密文書の鍵を握る女性ジェーンはどこにいるのか、陰謀団の黒幕ブラウン氏とは誰なのか----という二つの謎を中心に、刻限までに秘密文書を回収しなければならないというサスペンスが、最後の最後まで私を惹きつけて離さない、これはまさしく傑作だと思います。

        監禁あり追跡ありのめまぐるしい展開も、非常に快調なテンポでスリリングに描かれていて、やはりクリスティは初期の頃からストーリー・テラーだったんだなと嬉しくなってしまいます。

        クリスティはこのトミーとタペンスという、主人公のコンビをその後も「NかMか」「親指のうずき」「運命の裏木戸」といった作品に登場させ、最後の作品ではなんと75歳前後の老人コンビになっているというのも非常に興味深く、彼女がこのトミーとタペンスのコンビにいかに愛着を持っていたのかがわかるような気がします。

        アガサ・クリスティの"冒険スリラー"の特色について考えてみると、一番怪しくない人間が犯人だという、「アクロイド殺し」に代表される"本格ミステリー"の謎を、この作品でもその"核"にしている事だと思うのです。

        そのために、この作品が"冒険スリラー"や"スパイ小説"でありながら、"謎解きミステリー"の要素が非常に濃いような気がします。

        もう一つの特色は、女性を主人公にして恋物語にしている事だと思います。つまり、ロマンス小説的な味わいもあると思うのです。

        そして、最大の特色は、物語の背景に必ず共産主義者がいて、その黒幕に国際的な犯罪組織やギャング団の首領がいるとの構造を持っている事だと思います。

        シャーロック・ホームズ物で有名なコナン・ドイル同様に、頑迷な保守主義者だったクリスティには、執筆当時の第一次世界大戦後の新しい社会の風潮が、"古き良きイギリス"を破壊していくように思えたのかも知れません。そういう混沌とした時代に対する"苛立ちと不安"が、クリスティの"冒険スリラー"には色濃く漂っているように感じます。

        とにかく、この作品は主人公のトミーとタペンスが「二人の年をあわせたところで、四十五にはならなかった」という若き日の冒険だけに、物語の全編を通して、溢れるほどの活力が漲っていたと思います。

        強烈な謎へのこだわりと巧みなプロットの展開を持つ、この作品のような"冒険スリラー"が、1930年代以降、彼女が"本格ミステリー"の世界へ移行したために、作品としてほとんどなくなっていったのは、"冒険スリラー"の大ファンとしては、残念でなりません。
        >> 続きを読む

        2016/10/25 by dreamer

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    • 他2人がレビュー登録、 6人が本棚登録しています
      検察側の証人
      カテゴリー:戯曲
      4.8
      いいね!
      • 月うさぎさんのレビューが素晴らしく是非お読みいただきたいです。私のレビューは軽いですが…戯曲につきどーよてな感じで読み始めましたが、戯曲なのに読ませてくれます。夫が殺人の罪を着せられて(またこれか…すみません私の前回レビューご参照ください)妻の証言が重要な意味を帯びてきます。転から結に向かうジェットコースター並みの展開にご期待ください。どんでん返しの典型のように評される本作品ですが、内容よりもこの展開の速さこそがそう評される所以なのかなと思います。 >> 続きを読む

        2015/09/12 by kobe1225

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    • 他2人がレビュー登録、 10人が本棚登録しています
      スタイルズ荘の怪事件
      カテゴリー:小説、物語
      3.6
      いいね!
      • 初めてアガサ・クリスティーの本を読みました。全体のストーリーの流れやトリックなど、とてもわかりやすくなるほどなぁと思いながら読んでいたのですが、読み終えるのにとても時間がかかってしまいました。
        というのも、私の英語力が不足しているため、海外の作品を読む際はいつも翻訳されているものを読むのですが、やはり日本語に訳すと多少無理な表現を使用しているため、読みにくいのです。
        何冊か読んでいくと慣れてくるのでしょうが、今回は翻訳の表現が私には合わなかったのか、なかなか苦戦してしまいました。
        >> 続きを読む

        2015/12/26 by oyu

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    • 他1人がレビュー登録、 19人が本棚登録しています
      青列車の秘密 クリスティー文庫)
      3.0
      いいね!
      • もう本当におもしろかった!
        いつも通り、犯人にあっと言わされたし、全くノーマークの人が犯人だった。
        新事実がでてきてから犯人に結び付くのではなく、今まであった記述を元に、裏付けするようにポアロは犯人を導いてくれるからすごい。
        ロマンス的な要素もあって良かった。クリスティーが書くロマンスは、誠実でロマンチックで好き。
        ポアロの機転のよさ、発想力、観察力、灰色の脳細胞最高です!
        >> 続きを読む

        2014/10/31 by えま子

      • コメント 2件
    • 他1人がレビュー登録、 8人が本棚登録しています
      三幕の殺人 クリスティー文庫)
      カテゴリー:小説、物語
      3.5
      いいね!
      • 登場人物の特徴というか性格というか、それが何度も出てくるのはそういうわけだったのか!と読んでから気づきました。
        タイトルもそれらしいし、さすがアガサですね!
        今回はポアロが主体ではなく、まさしく助演。それでもあの存在感はすごいですね(笑)
        >> 続きを読む

        2014/11/19 by えま子

      • コメント 4件
    • 他1人がレビュー登録、 8人が本棚登録しています
      ABC殺人事件
      カテゴリー:小説、物語
      3.9
      いいね! Minnie
      • ポワロの元に届いた一通の書簡は殺人予告の挑戦状だった。

        不吉な予感からジャップ警部に手紙を見せるが、イタズラだと一笑される。
        しかし予告通りアンドーヴァ(Andover)で殺人事件が起き、被害者は頭文字がAの女だった。
        事件現場に残された「ABC鉄道案内」の意味は?そして第二の予告状が届き……。

        名探偵エルキュール・ポアロが、語り手の友人アーサー・ヘイスティングズ大尉と共に
        連続殺人事件の真相に迫る「ホームズ・スタイルの古典的なミステリー」
        と、思わせておいて…そこからが既に彼女のトリックの一つなんですよね。

        「叙述ミステリー」「劇場型犯罪」「連続殺人事件」と「ミッシング・リンク」
        クリスティの本作のプロットに仕組まれた「仕掛け」は多重構造。
        ストーリーそのものに仕掛けられたトリックを堪能する野心的ミステリーです。

        私も大好きな作品でもちろん彼女の代表作の一つです。

        映画でいうカットバック手法を取り入れた実験的な小説スタイルに挑戦しています。
        おそらく当時としては、推理小説の王道の手法(パズルかゲームのような作品)からは全く外れた
        「斬新な」文学としてのミステリーだったはず。
        マイルストーン的な名作ですが、彼女の多くの作品同様有名すぎるのが難点。
        この作品も、同様の趣向に「新アイディア」を加えたものが量産されているため
        後世の我々がこの斬新さを100%受け止めることはもはや不可能です。

        しかしこの作品は今でも多くのファンを魅了するものであると信じます。

        ドラマとして楽しんだ時にこれほど情に富んだミステリー作品はないと思うからです。
        ポアロは奸計に富む非道な殺人には冷徹ですが、時に罪を憎んで人を憎まず的な解決を図ることもあります。
        そして、何よりも犯罪に巻き込まれた人への暖かい救済があります。
        この小説のラストのなんと小気味良いことでしょうか!

        ミステリーでありながら謎ときトリックだけで成り立つ小説ではなく
        クリスティの作品に流れる人間愛への信頼、より不変的な人間を描きたいという要求を感じます。

        ポアロの語る言葉のひとつひとつが、解決への伏線であり、
        相棒ヘイスティングズとのユーモラスな会話を通してポアロという愛すべき名探偵を存分に楽しめる、
        ファンには何度読んでも楽しい一篇です。


        【翻訳について】
        ハヤカワの新訳は2003年の堀内静子訳ですが、新しい感性で訳されたとも思えませんし、
        文学的ニュアンスよりも直訳を心がけている印象で、田村訳よりも優れているとも感じませんでした。

        わくわくした感動とかドラマチックな展開もちょっと伝わってこないというか
        なんとなく、紋切り型で表面的な感じがするんです。
        旧訳の田村さんはなんでもない文章を訳すのがとてもうまかったなあ。

        「われわれの見通しの、何とあまかったことか。」田村訳
        「未来に何が待っているのか、その時のわたしたちは知らなかったのだ。」堀内訳

        「おめでとう。あなたの予感が的中したわけですね。」田村訳
        「おめでとう」彼は言った。「あなたの勘があたった」 堀内訳

        「ABC」は多くの翻訳が出ている作品なので、古本屋や図書館をあたるなど、気に入った翻訳を探してみてください。
        完訳のジュブナイル(少年少女向けの文学シリーズ)をあえて選んでみるのも手かもしれません。

        創元推理文庫:堀田善衛訳。ハヤカワ文庫旧版:田村隆一訳。新潮文庫:中村能三訳
        東京 偕成社:深町真理子訳


        【おまけ】
        クリスティはポアロ・シリーズを何作か読んだあとの方がより楽しめる仕掛けというか、
        読者サービスも忘れません。

        「ABC殺人事件」が「オリエント急行」「雲をつかむ死」「三幕の殺人」の後に起こっているという
        時系列的な会話が出てきます。
        そして、さらに次回作の予告まで!
        「ひらいたトランプ」の構想をポアロ自身が語るという、予想外の行為に出ています。
        クリスティって本当に大胆で面白い作家だと思います。
        だから時系列に読み直したくなる私のような読者が今でも後を絶たないわけですし、
        クリスティの作品がほぼ前作翻訳されさらに文庫でも手に入るという
        他の作家にはありえない売れ方をするひとつの要因になっているのではないでしょうか。
        >> 続きを読む

        2014/05/12 by 月うさぎ

      • コメント 4件
    • 他1人がレビュー登録、 24人が本棚登録しています
      ポアロ登場 クリスティー文庫)
      カテゴリー:小説、物語
      3.0
      いいね!
      • ポアロの初期短篇を集めたクリスティ初の短編集。
        ヘイスティングズ、ジャップ警部も登場。
        簡単に内容のご紹介をしておきます。しつこいレビューでごめんなさい。

        【“西洋の星”盗難事件】
        The Adventure of "The Western Star” (The Sketch誌1923年4月11日号)
        〈西洋の星〉〈東洋の星〉と呼ばれる大粒のみごとな双子のダイヤモンドの盗難予告の手紙が送りつけられた。
        このダイヤは、もともと中国の寺院の神像の眼にはめ込まれていたという逸話があるという。
        ポアロはダイヤモンドを守ると受け合うが…。

        ヘイスティングズ相手にポアロがシャーロック・ホームズごっこをするという、パロディに近い作品。
        ダイヤの盗難ネタで、登場人物が映画スターと貴族の2組の有名人夫婦。
        犯人像に謎の「辮髪の中国人」まで登場し、短いながらクリスティの大好きなネタが盛りだくさんです。
        「スタイルズ荘事件」のメアリが話題として登場。

        【マースドン荘の悲劇】
        The Tragedy at Marsdon Manor (The Sketch誌1923年4月18日号)
        多額の保険金を掛けた直後に死んだ男の調査を請け負ったポアロ。
        医者は脳内出血と診断したが、保険会社は若く美しい妻に金を残すための自殺を疑っていたのだ。
        亡くなった男のそばにはカラス打ち用ライフルが残されていた。

        【安アパート事件】
        The Adventure of the Cheap Flat (The Sketch誌1923年5月9日号)
        ロンドンの一等地の贅沢なアパートが、相場380ポンドが80ポンドで貸し出されていた。

        ヘイスティングズがホームズ気取りでセリフの真似をしていますが、
        作品も「赤毛連盟」を下敷きにしていることは明白です。

        うまい話にゃ裏がある。もしかして幽霊が出るの?
        安い家賃で借主を探す本当の理由は何か?
        「日本人スパイ」も絡む国際的な陰謀の匂いがします。

        【狩人荘の怪事件】
        The Mystery of Hunter's Lodge (The Sketch誌1923年5月16日号)
        インフルエンザで休養中のポアロに変わって孤軍奮闘するヘイスティングズ。
        狩場の一軒家での殺害事件の犯人を追うが。

        完璧に「安楽椅子探偵」のスタイルのお話し。
        ヘイスティングズとの電報のやりとりだけで犯人を当ててしまいます。
        犯人は証拠不十分となるも…。
        現代の捜査なら100%立証できますけれど。

        【百万ドル債券盗難事件】
        A Million Dollar Bond Robbery (The Sketch誌1923年5月2日号)
        百万ドルもの自由公債が輸送中の船で盗難に合い売られてしまった。
        密室空間の船内では公債は発見できず。

        ポアロが、がっかりするほど単純な事件という通り。簡単すぎ。

        【エジプト墳墓の謎】
        The Adventure of the Egyptian Tomb (The Sketch誌1923年9月26日号)
        古代エジプトのメンハーラ王の墳墓の発掘に関わる人が立て続けに死亡する事件は王の呪いだと世間を騒がせた。
        護身を依頼されたポアロは真相解明に乗り出す。
        王の呪いは本物なのだろうか?

        エジプトで砂やラクダに悩まされるポアロに笑いつつ、
        オカルト的な味わいも楽しめる異色作。
        これは短編ではもったいなく、長編にすべき内容だと思うのですが。
        「迷信」は信じていないが「迷信の力」は信じているというポアロの言葉は名言だと思います。

        【グランド・メトロポリタンの宝石盗難事件】
        The Jewel Robbery at the Grand Metropolitan (The Sketch誌1923年3月14日号)
        見栄張りの富豪が集まるブライトンの有名ホテルで、非常に高価な真珠の首飾りが盗まれた。
        その場に居合わせたポアロは真珠の奪回に乗り出す。
        一見密室に見えたホテルの客間での盗みのトリックとは?

        【首相誘拐事件】
        The Kidnapped Prime Minister (The Sketch誌1923年4月25日号)
        名実ともに英国のリーダーである首相が重要な国際会議出席のため、フランスへ渡った直後に姿を消した。
        国際的陰謀の解決を依頼されたポアロは時間までに首相を無事に発見しなければならない。

        【ミスタ・ダヴンハイムの失踪】
        The Disappearance of Mr. Davenheim (The Sketch誌1923年3月28日号)
        銀行家、ダヴンハイム氏がある日忽然と姿を消した。
        家の金庫は荒らされ、池には彼の衣服が投げ入れられ、指輪が質入れされていた。
        彼の生死は?生きているとしたら、どこに?

        「木の葉を隠すなら森の中」ってのは、ブラウン神父でした。

        【イタリア貴族殺害事件】
        The Adventure of the Italian Nobleman (The Sketch誌1923年10月24日号)
        高級アパートの一室で起こった殺人事件。
        死の間際に医者に助けを求める電話がかかり、ポアロと医者が駆けつけると…

        意外な犯人と密室殺人のミックス。
        これも種明かしが忙しい感じで、中編くらいのボリュームが欲しい。
        ポアロの殺人事件ものには短編は向かないといわれるのは、
        彼女のプロットではトリックと人物描写が複雑なため、
        慌ただしい解決になってしまうからでしょう。

        【謎の遺言書】
        The Case of the Missing Will (The Sketch誌1923年10月31日号)
        財産家の男がなくなり、隠されたもう一通の遺言状の存在を匂わせる不思議な遺言を姪に残した。

        短編として楽しい。こういう殺人モノ以外の活躍が読めるのは短篇ならでは。
        ラストの台詞も気が利いている

        【ヴェールをかけた女】
        The Veiled Lady (The Sketch誌1923年10月3日号)
        やんごとなき身分の美女が悩み事を依頼に訪れる。
        昔書いた恋文をネタに高額の金銭を要求されているという。

        面白い。ふざけすぎ、とも言える。
        ポアロが暇すぎて、自分が犯罪者なら一流の犯罪者になって荒稼ぎできるのに、自分は道徳心がありすぎる。なんて考えていたちょうどそのタイミングだったので、
        違法な家宅侵入を嬉々としてやったりします。
        真相を知ったら誰でも唖然とするでしょう。

        【消えた廃坑】
        The Lost Mine (The Sketch誌1923年11月21日号)
        中国人実業家が殺され、ある重要な書類が奪われた。

        アヘン窟に潜入したりってところが、ちょっと珍しい。

        【チョコレートの箱】
        The Chocolate Box (The Sketch誌1923年5月23日号)
        荒天の夜に暖炉にあたりつつの昔話はベルギー警察の刑事課にいたころのポアロの大失敗の物語。

        心臓麻痺で急死した大物政治家の死因を不審に思う家族の一人からの依頼で
        休暇中のポアロが単独で調査を開始する。
        何もなさそうに思えたが、故人が好きだったチョコレートの箱が目に留まり、事件性を確信。
        調べを進めると不審な人や出来事が浮かび上がる。

        この話はその後のシリーズの中に何度となく、ポアロの口から「チョコレートの箱の件」として話題にのぼるので、
        この短編集の中で最重要かつ有名なお話しです。

        彼にとって、この失敗は「戒め」であり「思い出」なのです。
        ポアロが敬虔なカトリックというのは、意外な事実でした。(本当~?)

        雑誌連載時の日付を添えておきました。
        本の順番は連載順にはなっていませんので、
        連載順に読むのも一興かと思います。
        >> 続きを読む

        2012/10/04 by 月うさぎ

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      茶色の服の男
      カテゴリー:小説、物語
      3.5
      いいね!
      • スリルがある冒険サスペンスで、ドキドキするロマンスがあって好きな作品の一つ。
        アガサが書くロマンスはやっぱり女性目線で、憧れる恋愛だからすごく好き。
        やっぱり犯人は最後の最後までわからなかった。
        >> 続きを読む

        2014/10/31 by えま子

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      五匹の子豚 クリスティー文庫)
      カテゴリー:小説、物語
      4.5
      いいね!
      • ずいぶん昔に読んだけど、「アガサ・クリスティ完全攻略」をちらっと立ち読みして読みたくなって購入、再読。
        全然話を覚えていなかったので、初めて読むのと変わらなかった。(いつもは犯人を覚えてない)
        容疑者と思われる5人、一人一人に話を聞いて回って真相をせまっていくポアロがいい。
        クリスティはやっぱり面白い。
        他の本も何冊か読み返したいと思います。
        >> 続きを読む

        2015/01/19 by りんりん

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      牧師館の殺人
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      •  先週の土曜日、夕方の三時くらいから、BSプレミアムでミス・マープルのドラマを観ました。タイトルは「青いゼラニウム」。短篇集『火曜クラブ』の一篇を忠実に再現しつつも引き延ばしたもの。主演はジュリア・マッケンジー。
         ミス・マープルの女優といえば、今年のはじめに、ジェラルリン・マクイーワンさんが故人となりました。聡明そうで品のいいご婦人でした。それに比べて、ジュリア・マッケンジーさんはお茶目さが勝ちがちで、ぼくのイメージするマープルに近い。藤田弓子さんの声もよかった。マクイーワン版では岸田今日子さんや草笛光子さんが務めたらしい。
         しかし今回レヴューするのは、『火曜クラブ』ではなく『牧師館の殺人』。ミス・マープルの長篇第一作を飾った作品である。まず読みはじめて、マープルの住むセント・メアリ・ミードの雰囲気があますところなく伝わるような序盤のシーンに舌を巻いた。それは物語に入り込むための導入でもあり、そのお茶の席で繰り広げられる、婦人たちによる村の噂話に聞き耳を立てれば、セント・メアリ・ミードの遠景が目に浮かぶよう。この描写のおかげで、読者はスムーズに長篇小説を読みすすめることができるし、語り手の牧師が身近な存在になる。ミステリー小説の序盤は、なにかと紹介することが多いせいか、とかく説明的になりがちだ。おそらくクリスティーはこの弊を嫌い、古きよきイギリスの風俗も表現できるこの手法を好んだ。
         もうひとつ、語り手について触れたい。クリスティーが推理小説の語り手という枠組みのなかで、あれこれ工夫を凝らしたのは言うまでもないけれど、この『牧師館の殺人』も同様である。最後まで読みとおすと、かなり年下の妻を娶った牧師の視点から物語を眺めた理由もきちんと分かるし、事件の顛末も彼の目撃する情報で察せられる。ただし、ラストの犯人を罠にかけるといった解決への運びはあまり好きではない。ぼくの愛する「名探偵コナン」でもよく使われるのだが……(苦笑い)。
         それではあらすじならず、この小説の導入をどうぞ。
         
         
          <導入>
         
         嫌われ者の治安判事プロズロウ大佐の死体が牧師館の書斎で発見される。その死体を見つけるまえに、レナード牧師は慌てて出てきた画家のレディングと鉢合わせになる。レディングは殺された判事の後妻(アン)と不倫関係にあり、彼女の仕業と勘繰り警察に出頭した。ところが、アンもまた自分が犯人だと自首するので警察は混乱したが、殺人現場の針の止まった時計によって、この二人には犯行が不可能だったことが明らかになる。
         判事の娘、判事との接触を隠す美貌の婦人、その婦人を助ける医者、考古学者とその助手、さまざまな人の思惑がセント・メアリ・ミードで渦巻く。
         そしてミス・マープルはいう、プロズロウ大佐に殺意を抱いていた人なら大勢いますよ、と……。

          
          <追記>
         
         えーとですね、ひとつだけ犯人を捜しあてるヒントをお教えしましょう。必要ありませんか? まあ、そうおっしゃらずに。
         レナード牧師は多くの人に会い、多くの行動を目撃しますが、少なくともひとつ、物語の流れにそぐわない箇所があります。そこに答えが……

        アナウンス「パディントン発4時50分の列車がまもなく発車します」

         おっといけない、今度はこれに乗るんだった。それではまたお目にかかります。さようなら。
        >> 続きを読む

        2015/09/22 by 素頓狂

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      ブル-トレイン殺人事件
      カテゴリー:小説、物語
      2.0
      いいね!
      • このお話し、イントロは、スパイ映画みたいです。
        列車内での宝石強盗殺人事件発生。密室殺人。
        と思いきや、舞台はあっさりと南仏のリビエラへ。
        とまあ、ストーリー的にも論理的にも、いろいろ疑問は多いのですね。

        なぜ億万長者その人がわざわざ危険な町に出向いて自ら
        「物(ブツ)」を受け取りに行かなくてはならないのだ?
        とか、もう、初めっからです(^ー^)

        このお話しでは、ヘイスティングズはいないし、
        ポアロが大活躍というわけでもないのがまた寂しいです。

        クリスティもこの作品が嫌いだとかなんとか言っていたとかいないとか。
        どうやら出版社にせかされて書いたらしいです。

        しかし、クリスティならではの魅力は人物描写にあります。
        セントメアリ・ミード村に住むお年寄りのレディはやっぱり個性的で魅力的。
        彼女は毅然としたお年寄りの女性に好意的なんですよね。

        ちょっと興味深いのは、キャストの年齢設定です。
        33歳の独身女性が2名(2名とも魅力的な女性)、男性は30代後半
        30代、40代の美女はでてくるけれど、20代の女性は、美しくて魅力的ではない。
        (当のクリスティーは37歳)
        ミレールもあまり若いイメージではないです。

        つまりクリスティーが『大人の恋愛』を描いた作品。といえるでしょう。

        だからこの小説はミステリーというよりも恋愛ものとして楽しんだ方が正解です。
        ポアロが今回の相棒に選んだ女性キャサリンの恋愛も無事に成就しそうです。
        読者が、その恋のお相手に納得できるかどうかは保証しませんが…。
        多分、主人公はあくまでキャサリン。なのでした。

        【蛇足】
        舞台として、ミス・マープルの住む村、セント・メアリ・ミード村が登場することも話題性のひとつ。

        私が持っているのは、この
        『ブルートレイン殺人事件』 中村妙子訳  新潮文庫 です。

        2009年03月14日、日本の青列車、九州行きの「はやぶさ」と「富士」が最後の運行を終えました。
        北陸行の列車もなくなり、今では北海道と北東北、山陰・四国行きの寝台特急がわずかに残っていますが、
        新幹線が開通したらそれも、全廃になるかもしれません。

        日本では「ブルートレイン」もそのうち死語になるのかしら。
        だとすると、かなり寂しいことですね。
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        2012/12/19 by 月うさぎ

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      ゴルフ場殺人事件
      カテゴリー:小説、物語
      3.0
      いいね!
      • 凝ったプロット、どんでん返し、ロマンスにどたばたに法廷劇に、
        探偵同士の意地の張り合い、しまいにはアクションシーンも飛び出すという
        いろいろなネタが詰まっていて、かなりがんばった作品だと思います。

        「ゴルフ場殺人事件」はなんと、創元推理文庫と新潮文庫とハヤカワ文庫(新旧訳あり)から4通りの翻訳が出ているのですね。
        私は早川の旧訳(田村隆一訳)で読んでいたのですが、図書館にあったので新潮文庫の翻訳のほうも読んでみてびっくりしました。、
        新潮文庫版のほうが、随分文章が(ページも)多い。
        早川文庫にはない文がかなり多く含まれているのです。
        この違いは、おそらく用いた底本の違いなのですが、
        どちらが本来の姿なのでしょう?
        ちょっと調べたところだと、文章を削った方が最終版らしいですね。
        状況説明的文章がこの削除された部分のようですので、
        無くても困らない、もしくは無くていい感じです。
        比べてみたいかたは試し読みしてみて下さい。

        お好みで翻訳者を選べるところはありがたいのですが、
        どちらがいいの?という悩みも出てきますね。

        翻訳者が違うということは何よりもニュアンスや印象の違いを生みます。
        例えばポワロとポアロという表記の違いもあります。
        (本当はPOIROTはポワロがフランス語読みとしては正しいのですが、
        日本ではポアロが定着しちゃってますよね)

        田村隆一訳との違いとしては、ヘイスティングズとシンデレラの会話に違いが顕著にみられます。
        田村さんの訳が好きなのですが、誤訳もあるのですよね。
        訳を比べると、確かに変な表現があったりします。
        (そこだけ直してくれればいいのになあ)

        蕗沢忠枝 訳の本書は、シンデレラの言葉については
        田村隆一訳よりもいいと思います。
        二人の出会いのシーンのやり取りは見どころでもあるので、
        きれいに訳してもらいたい部分でもあります。

        ただし、ポワロの言葉のほうはいい加減。
        一人称二人称の使用がまちまちで、「おれ」まで飛び出します。
        ヘイスティングズのポワロへの言葉もちょっとぞんざいで、なんか、敬意が薄い感じ。
        私はポアロ・シリーズは、彼のキャラクター設定で翻訳本を選んでいるので、
        「おれ」が出てきた時点でNGです。すみません。
        >> 続きを読む

        2012/09/21 by 月うさぎ

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      アクロイド殺し
      カテゴリー:小説、物語
      5.0
      いいね!
      • 「アクロイド殺し」はあらゆる意味でクリスティーの原点です。
        この作品があったからこそ、その後のクリスティがいます。

        「アクロイド殺し」を徹底的に嫌う人もいますが、
        そういう潔癖な方は、そもそもミステリーには向かないのではないでしょうか?
        『騙される快感』というめっぽう楽しい快楽に無縁の人なのですから。

        言うまでもないことですが、犯罪ノンフィクションでも、クイズでもない。
        ミステリーは文学です。

        特にクリスティの作品はその文学的側面がかなり濃い。

        彼女の作品には人間のドラマや個性、愛情などが目に見えるように描かれています。
        交わされる会話の妙、人間心理の追求。
        人物の表情や言葉の抑揚、息遣いまで聞こえてきそうです。

        たとえ時代を経て、ディテールが古びていっても、
        その作品に生きる登場人物たちの魅力を決して損なわない。

        そして、私は、といえば、ポワロは「好きな探偵№1」なのです。

        彼の魅力は、どうやら、女性によりストレートに響くものらしく、
        男性ファンのウケが今一つなのが、残念。
        (その理由はわかるけど、長くなるからまたいつか)

        また、日本の多くの推理小説作家でクリスティの影響を受けていない作家はいない
        と言ってもいいかもしれません。
        横溝正史、赤川次郎、綾辻行人、西村京太郎、夏樹 静子他多数。
        もちろん、海外の作家陣も。

        つまり、アガサ・クリスティとは、
        「ミステリー作品の文学としてのスタイル」を築いた人なのだと思います。


        この版は私のお気に入り田村 隆一氏の翻訳
        画像がないですが、表紙もいいです。 (ハヤカワ・ミステリ文庫) 早川書房 (1979/2/28)

        犯人がわかっていても、じっくり読み返してみると、
        ここは、告白。ここは、ミスリード。ここは、わざと明言を避けている。
        ポアロの断定的意見に要注意。
        とまあ、いろいろ楽しめる上、クリスティーも丁寧に書いていますから
        込み入った状況も収まるところに収まって、気持ちいいです。
        それほどこの作品はおもしろいですし完璧です♪

        ユーモアたっぷりのシーンもたくさん。
        ポワロのいかにも外人くさい奇態が滑稽で、
        ヘイスティングズがいなくなって悲しんだり、引退を後悔したり、
        とてもかわいいです。

        かぼちゃのエピソードはちょっとドタバタですが、
        片田舎のお話のこと、他作品によくあるような「ド派手な人物」は出てこないので、
        筋を追うのをメインにした本格推理小説といえるでしょう。

        シェパード医師の姉・キャロラインはミス・マープルの原型と言われています。
        編み物をしながら家を出ることなく、直感的推理で真相にせまる老嬢。
        ってパターンです。

        彼女に対しポアロが敬意と愛情を示しているところも見られ、
        この作品のなかでもっとも生き生きとしたいいキャラクターになっています。

        いつものよう若い恋人たちのLOVEもあり。


        この作品を頂点に似かよったバリエーションの作品も見られます。
        ですから、この作品は「最後」に読むべき作品と言うより、
        クリスティーのエッセンスを新鮮なうちに味わったほうがよいです。

        そして、何度も読み返してみてね。と、お伝えしておきたいです。



        【内容】
        「アクロイドが殺された」という電話に駆けつけたシェパード医師は、村の名士アクロイド氏が刺殺された姿を発見する。
        シェパード医師はこの殺人事件を事実を元にした手記にまとめようと考えた。
        容疑者である甥ラルフ・ペイトンが行方をくらませ、事件は行き詰まる。
        シェパード医師の隣の家「からまつ荘」に越してきたカボチャ作りにいそしむおかしな小男の外人が
        名探偵ポアロと判明し、真実を知りたいというフロラの依頼によってポアロは事件を引き受けることに…

        1926年発表
        クリスティ6作目の長編で、エルキュール・ポアロシリーズとしては3作目
        >> 続きを読む

        2012/12/12 by 月うさぎ

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      ABC殺人事件
      カテゴリー:小説、物語
      4.5
      いいね!
      • ほとんどの「名探偵」がクラシックの世界の住人になってしまっているのに、
        エルキュール・ポアロは現代でも特に愛されている探偵ではないでしょうか。
        「ABC殺人事件」では、ポワロの推理は証拠や目撃者探しによる犯人追求ではなくて、
        犯人の心理と行動の裏に隠された「目的」を発見することに絞られます。
        犯人を今で言うプロファイリングという手法で特定しようとします。
        クリスティの提案は非常に進歩的だったということです。


        ABCの順番に選ばれた殺害現場と被害者。
        犯行現場に残された『ABC鉄道案内』の謎。
        犯人は警察の見立て通りに精神異常者の殺人狂なのか、それとも?

        連続殺人といっても、猟奇的、ホラー的な要素を期待するべき作品ではありません。

        ポアロの態度がのんびりしているので、読んでいるほうがイライラするかも。
        けれど、事件が進行していく様がじんわりと怪しげに描かれることで
        奇妙な緊張感と不気味さを醸し出すことに成功してもいるのです。

        ポアロ自身は動かずに、関係者として事件に巻き込まれた数人の男女がチームを組み、
        ポアロに協力し、素人探偵として事件解決に乗り出すという点も目新しいです。


        殺人は予告通り起こるのか?被害を防ぐことはできるのか?
        犯人との知恵比べに勝ち、とらえることはできるのか?

        捜査線上に浮かび上がってきたイニシャルA.B.C.の男の存在。
        本名アレグザンダー・ボナパルト・カストとは何者なのか?

        さあ、みんなで騙されよう!


        田村隆一氏翻訳の旧早川文庫版です。真鍋博さんのカバーも人気でした。
        田村氏には時々誤訳だか誤植だかがあるのですが、日本語的に文学的な文章になっていて、
        クラシカルな雰囲気を伝えてくれよい訳なので、今でもファンが多いのです。
        誤訳といっても文脈を想像すれば正しい意味で読み替えられると思いますので、
        作品のテイストを壊す翻訳よりはよほどマシだと私は思います。
        (つまり田村訳が好きだといいたい訳です)

        問題の誤訳はたとえばこの部分です。

        【第一の挑戦状】
        MR.HERCULE POIROT―You fancy yourself,don't you,
        at solving mysteries that are too difficult for our poor thick-headed British police?
        Let us see,Mr.Clever Poirot,just how clever you can be.
        Perhaps you'll find this nut too hard to crack.
        Look out for Andover on the 21st of the month.
        Yours,etc.,
        A.B.C.

        「ミスター・エルキュール・ポワロ――きみはうぬぼれているようだね、
        あわれなる、愚鈍なわがイギリス警察が手におえない事件でも、自分なら解決できる、と。
        では、お利口なポワロ氏よ、きみがどれほど利口か、みせてもらおうか。
        おそらく、このクルミは固くて、きみには割れないだろう。
        今月21日、アンドーヴァ(Andover)に注意せよ
           草々 ABC 」    (中村能三氏訳)

        「エルキュール・ポアロ氏へ
        あんたは頭が鈍いわれらが英国警察の手に余る事件を解決してきたと自惚れているのではないかね。
        お利口さんのポアロ氏、あんたがどこまで利口になれるかみてみようじゃないか。
        たぶん、この難問(ナッツ)は、固すぎて割れないことがわかるだろう。
        今月21日のアンドーヴァーに注意することだ。  敬具 ABC」 (堀内静子訳)

        「エルキュール・ポアロ殿
         貴殿は、かのあわれむべき鈍物のわが英国警察の手にあまる難事件の解決をなし得るのは我をおいて他に人なしと自惚れておられるのではないか。
        そこで、賢明なるポアロ氏よ、貴殿がいかに敏腕か、ひとつお手並みのほど拝見いたしたい。
         おそらくこの胡桃は砕くに固すぎることはないであろう。今月の21日、アンドーヴァを警戒されたし。
             草々 ABC」 (田村隆一訳)

        『クルミは割れるだろう』という意味になっている点が誤訳です。

        もちろん犯人の言いたいことは、きみには謎は解けないだろうという挑発です。
        こういう誤訳は本来は編集者が直せばいいだけのことなんですけどね……。



        【おまけ】
        クリスティは、事件を解明し犯人を指摘するだけではなく、罪がどう裁かれるべきかを考えます。

        どうやらクリスティって犯人のことが好きだと逃がし、
        同情すると自殺させて、嫌いだと縛り首にする傾向がありますよ。

        不幸にも犯罪に関わりを持たざるを得なかった人物を救済することも忘れません。

        ポワロ作品のこういう厳しさと優しさが私は大好きなんです。
        ホームズ等の探偵ものと決定的に違う点だと思います。
        私はその人間的なドラマや人物の深さからミステリー作家としてだけでなく、
        小説家クリスティを、いいえ、人間としてのアガサが好きだなあと思うのです。
        >> 続きを読む

        2014/05/12 by 月うさぎ

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【アガサ・クリスティ】(アガサ・クリスティ) | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト(著者,作家,作者)

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