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アガサ・クリスティ

著者情報
著者名:アガサ・クリスティ
あがさ・くりすてぃ
アガサ・クリスティ
生年~没年:1890~1976

この著者の本を読んでいる会員ランキング

このランキングは1日1回更新されます。
      そして誰もいなくなった
      カテゴリー:小説、物語
      4.1
      いいね! chao sunflower tadahiko tomato Minnie napori Tukiwami akino
      • あまりにも有名な作品ですが、読んだのは初めて(内容も知らなかった)。久々にミステリーを堪能しました。

        嵐で外部との連絡手段を断たれた孤島、姿を見せない屋敷の主、招待された互いに見知らぬ十人の男女・・・いまやミステリーの王道とも言える要素がてんこ盛りで、思わずテンションが上がりました。

        各自の部屋に飾られた童謡の歌詞、その歌詞の通りに一人ずつ殺されていく招待客。そして一人死ぬごとになくなっていく陶器の人形。否が応でも不安がかき立てられていく設定に、怖くてページをめくる手が止められない(矛盾?)。トリックや犯人捜しというよりは、皆が疑心暗鬼に陥り、徐々に追い詰められていく心理面の描写が面白い作品だと思う。怖かったけど・・・。

        >> 続きを読む

        2019/06/22 by asaki

    • 他20人がレビュー登録、 93人が本棚登録しています
      アクロイド殺し
      カテゴリー:小説、物語
      4.6
      いいね! chao Minnie shikamaru
      • 恥ずかしながら初めてアガサクリスティの作品を読みました。
        フェアかアンフェアか当時議論を呼んだとあり、ミステリー小説の歴史を感じます。
        ネタバレさせたくないのであまり書けませんが、イギリスでまさか麻雀をしてるなんて!ビックリしました。ひさしぶりに麻雀したいなあ。卓を囲んでおしゃべりするのが楽しいんですよね。だから負けてもいいのです笑
        >> 続きを読む

        2019/12/24 by たい♣

      • コメント 2件
    • 他14人がレビュー登録、 44人が本棚登録しています
      春にして君を離れ
      カテゴリー:小説、物語
      4.3
      いいね! Minnie MissTerry chao bakabonn Tukiwami
      • 【クリスティだけどミステリではない。しかし、とても恐ろしい作品である。】
         以前、『アガサ・クリスティー完全攻略』という本をレビューしましたが、その本では著者がクリスティの邦訳されている全作品を読破した上で、ベスト10を選出していました。
         著者が選んだベスト10は、私の感覚とは異なるものではありました。
         ただ、その中には私が読んでいない作品が上位にランクされていたことから、「そんなに高評価ならば読んでみなくては」とも思ったのです。
         ということで、本作は第5位にランクインしている作品で、図書館にもありましたので借りてきてみました。

         さて、本作はクリスティの作品ではありますが、ミステリではありません。
         殺人などの何の事件も起きません。
         強いて言えばサスペンス的な要素を持っているとはいえるかもしれませんが、それもさほど強いものではなく、一般小説として読まれるべき作品でしょう。

         主人公のジョーンは、弁護士の夫と3人の子供を持った主婦で、これまでうまく人生を生きてきた、自分はあれこれのことに気を配り、子供を上手に育て上げ、幸せな家庭を築いてきたという自負を持った女性です。
         彼女は、結婚して嫁いでいった末娘が急病になったという知らせを受け、単身ロンドンを発って末娘家族が住むバグダッドへ行ってきた帰りでした。
         末娘の容体はそれほど案ずるほどのことでもなく、あれこれと世話を焼いてロンドンに帰るところなのでした。

         ジョーンは、帰路の途中で立ち寄った鉄道宿泊所で、偶然、女学生時代の同級生のブランチと再会します。
         ブランチは、女学生時代、生徒たちの憧れの的であり、家柄も良く、幸せな将来が約束されたような女の子だったのです。
         ところが、実際には、ブランチはろくでもない男に夢中になり、また、自分が生んだ子供の面倒をみることを放棄して別の男に走るなど、ジョーンからすれば散々な人生を歩んだ女性でした。

         今、こうしてブランチの姿を見ると、年齢の割にはすっかりくたびれ果てて老け込んでおり、服装もみすぼらしく思えました。
         それに比べて、鏡に映る自分の姿は、まだ若々しく、身なりもちゃんとしているではありませんか。
         結局、本当の幸せをつかんだのは自分なのだと思うジョーンでした。

         ジョーンを見かけたブランチは気さくに声をかけてきて、一緒にお茶を飲もうと誘ってくれました。
         ブランチは、自分の人生がどういうものだったかについてあけすけに語るのですが、どうも大して後悔もしていないようにジョーンには感じられました。
         あるいは露悪趣味?
         そんなブランチの姿を見るにつけ、ジョーンはつくづく自分はしっかりと生きてきたんだと安心するのでした。

         ジョーンは、ブランチに対して、自分は毎日毎日、地区病院の理事職、施設の評議員、ガールスカウトのリーダーその他もろもろの仕事で忙しくしているので、一週間でも良いから何もせずにぼんやり過ごしてみたいなどとも言うのです。

         翌朝、ジョーンはブランチと別れて一人で自動車で鉄道駅へ向かうのですが、生憎の雨のため旅程が遅れてしまい、駅に着いた時には乗るはずだった列車は既に出発してしまっていました。
         仕方なく、駅の宿泊所に泊まることになったのです。
         列車は週に三便しかありません。
         宿泊所周辺は良い天気なのですが、その他の地域では雨が降り続いているらしく、列車は遅れに遅れていて、いつ到着するか分からないというのです。

         それなら、ブランチに話したような、何もすることがない時間が望み通り手に入ったのだからと考え、ジョーンは宿泊所近くで無為な日々を過ごし始めたのです。
         最初のうちは、こういう何もしなくても良い時間は良いものだなどとも考えもしましたが、すぐに飽きてしまいました。
         持ってきた本もすべて読んでしまい、何もすることが無くなってしまいます。

         ジョーンは有り余る時間を潰すために色々なことを回想し始めるのです。
         ところが、思い出すことは不愉快なことばかり。
         幸せな人生を歩んできたはずの自分なのに、何故こんなに嫌な事ばかり思い出してしまうのだろう?
         それとも、自分の人生というのは本当は幸せなものではなかったのだろうか?

         子供たちはみんな良い子で、私を愛してくれていたのに、幸せじゃないなんていうことはあり得ない。
         でも……、あの時、あの子が言った言葉の意味は、本当は……。
         私は、愛する夫をしっかりと支え、夫がろくでもない農園を経営したいなどと言い出した時も、しっかり引き留めてちゃんと弁護士事務所に勤めさせた良い妻ではないか。
         でも、本当は、夫は……。

         ジョーンは、徐々に、自分の人生が本当に正しかったのか、自分は良い妻だったのか、自分は幸せだったのか等について疑いを抱くようになっていきます。
         自分一人だけが何も分かっていなかったのではないか、と。

         これまで確固たるものと信じていたことが、突然根底からぐらつき始めるというプロットは、クリスティはミステリの中で使ったことがありましたが、本作は、それを何の犯罪も起きない一般小説の中で語っているのです。
         これは、大変恐ろしいことではないですか。

         さて、本作についてどう評価するか。
         まず、ラストがどうなるのかが読んでいる途中から気になり始めました。
         あっちへ持っていくのか、それとも……。
         そして、読み終えた後、最後に書かれているエピローグは必要だったのだろうかとも考えました。
         もちろん、エピローグを書いた方がクリスティの意図は明確になるでしょう。
         ですが、私は、あるいはエピローグは不要だったのではないかとも思えました。

         大変恐ろしい、また、読んでいて辛さを伴う作品だったと思います。
         本作に高い評価を与える読者がいることも理解できるところです。
         ただ、私がこの作品を好むかというと……。

         なお、蛇足ですが、文庫版の表紙に描かれている女性(これってジョーンですよね?)って、何故ビーサンのようなサンダルを履いているんでしょうか?
         私、どうもそこが気になってしまって、気に入らない点の一つなんですが……。


        読了時間メーター
        □□□     普通(1~2日あれば読める)
        >> 続きを読む

        2020/10/13 by ef177

    • 他11人がレビュー登録、 25人が本棚登録しています
      オリエント急行の殺人 クリスティー文庫)
      カテゴリー:小説、物語
      4.6
      いいね!
      • 再読。
        この小説は私が初めて読んだ本格ミステリである。
        クリスティの代表作であるが、本格ミステリを読んだことがない人は、初めて読む本格ミステリとして、本書と「アクロイド殺し」は避けていただきたい。
        なぜかというと「全ての本格ミステリの犯人はこのパターンなのか」と誤解する可能性があるからである(そのせいで僕は本書を読了後しばらく本格ミステリを読まなくなった苦い思い出がある)。
        本書と類似のトリックとして、森博嗣の某作品や清涼院流水の某作品が挙げられる。
        第二部の証言(関係者の証言シーン)に100ページ以上(全体の三分の一以上)のボリュームを割いており、これを丁寧と見るかまどろっこしいと見るか意見が別れるだろう。
        登場人物の一人のクリスチャン・ネームが「ハーマイオニ」なのは笑った。
        クリスティの作品は、誰の訳でも読みやすく、何を読んでも面白く(今のところ)、まさにミステリの女王である。


        >> 続きを読む

        2019/06/01 by tygkun

    • 他7人がレビュー登録、 25人が本棚登録しています
      そして誰もいなくなった
      カテゴリー:小説、物語
      4.8
      いいね! niwashi
      • 良かった。
        良かった。

        作品の落ち(犯人は死んだふり)まで聞いておきながら、最後まで誰が犯人か分からなかった。

        すごい、すごい。
        >> 続きを読む

        2017/08/19 by フッフール

    • 他5人がレビュー登録、 27人が本棚登録しています
      ABC殺人事件
      カテゴリー:小説、物語
      4.1
      いいね! Minnie
      • 【どうしたってあの男が犯人に思えてきてしまう】

         いよいよクリスティの名作の登場です。
        ミッシング・リンクものの傑作であり、以後、数多くのミステリ作中でも言及されることになる古典です(例えば、エラリー・クイーンは、『九尾の猫』で本作のトリックを『ABC理論』と称して紹介しています)。

         ある日、ポアロのもとに不可思議な手紙が届きます。
         その手紙には、〇月〇日にA……(Aで始まる地名)で事件が起きると予告しており、ABCの署名がありました。
         ヘイスティングズは、誰かのいたずらに決まっていると取り合いませんが、ポアロは不吉な予感に襲われるのです。
         ポアロはこの手紙を警察に持ち込むのですが、警察も著名な名探偵の申し入れなので無碍にはできなものの、やはりいたずらではないかと考えます。

         しかし、予告の日にA……という町で、Aのイニシャルの婦人が殺害されるという事件が起きました。
         犯行現場にはABC鉄道案内が置かれていました。
         確かに手紙の予告どおりではあるけれど、偶然の一致かもしれない……。
         警察はいまだに半信半疑です。
         しかし、ポアロは、現場に置かれていたABC鉄道案内に指紋が残っていなかったことから、これは犯人によって故意に置かれたものだと看破します。

         そして再びABCから予告の手紙が届きます。
         今度は、B……(Bで始まる地名)で事件が起きるというのです。
         予告されていたにもかかわらず、またしてもB……という町でBのイニシャルの女性が殺害され、現場にはやはりABC鉄道案内が残されていました。
         もはやこれは偶然の一致などではない!
         警察はようやく本腰を入れ始めました。

         しかし、それをあざ笑うように、C……での犯行を予告する手紙が届き、予告通りにC……でCのイニシャルの男性が殺害されます。
         これはどこまで続くのか?
         Dで阻止できるのか?
         犯人は一体何の目的でアルファベット殺人を続けるのか?
         殺人自体を楽しんでいる狂人なのか?

         本作は、その構成にも工夫が凝らされています。
         基本的にヘイスティングズの手記という形で書かれているのですが、作中の一部には、これはヘイスティングズが書いたものではないとわざわざ断り書きをした章が挿入されているのです。
         そこでは、ある男の生活が描かれるのですが、これが上手く書かれているために、読者はどうしたってこの男が犯人ではないのか?と思わざるを得ないのです。
         クリスティの叙述の妙ですね。

         ポアロものには傑作がいくつかあるのですが、本作はそのベストに推しても決して不思議ではない作品だと思います。
         私は、『アクロイド殺し』と並んで、本作を高く評価してしまいます。


        読了時間メーター
        □□□     普通(1~2日あれば読める)
        >> 続きを読む

        2019/02/09 by ef177

      • コメント 3件
    • 他4人がレビュー登録、 29人が本棚登録しています
      スタイルズ荘の怪事件
      カテゴリー:小説、物語
      3.4
      いいね!
      • 【エルキュール・ポワロ見参!】
         本書は、アガサ・クリスティのデビュー作であり、エルキュール・ポワロが初めて登場した作品でもあります。
         物語は、ヘイスティングズが逗留していたスタイルズ荘において、その女主人がストリキニーネによって毒殺されるという殺人事件をポワロがいかに解決するかというものです。

         ヘイスティングズとポワロは旧知の間柄でしたが、殺人事件発生当時、ポワロも偶然スタイルズ荘の近くに住んでいたことから、二人は再会し、事件の捜査に乗り出すという構成になっています。
         ポワロは、ベルギーの腕利きの警察官でしたが、今はリタイアしているという設定です。

         シリーズ物は、回を重ねるに連れて段々登場人物のキャラクターができあがっていくという面があると思うのですが、ポワロも例外ではありません。
         初登場のこの作品を読むと、その後何作にも渡って作り上げられていった「完成型」のポワロのイメージとはやや違う印象を持つのではないでしょうか?

         ポワロの外見的イメージは、既にこの作品で完成しており、以後もそれほど変わらないように思えますが、推理のスタイルについては大分変わっていく印象があります。
         ポワロと言えば、「灰色の脳細胞」であり、アームチェア・デティクティヴ(安楽椅子型探偵)の代表選手のようなイメージがありませんか?
         でも、本作のポワロは、結構精力的に動き回っていますし、ヘイスティングズを置き去りにして一人であちこちと出かけて行きます。
         有名な「灰色の脳細胞」という言葉も、台詞の一か所でさらっと出てくるだけであり、さほど強調もされていないんですね。

         また、ある重要な証言を得られた時など、うれしさのあまり芝生の上を走ったり飛び回ったりしますし、推理に行き詰まるとトランプで「カードの家」を黙々と積み上げたりします。
         何かちょっと雰囲気が違いませんか?

         また、ヘイスティングズのポワロを見る目も、シリーズが成熟した時期の、完全な信頼を置いた目とはまた違っているのです。
         作中、ヘイスティングズ自身が、「自分は推理には自身がある。」、「自分で私立探偵のようなことをやってみたい。」などと言いますし、ポワロの推理や振る舞いに相当懐疑的、批判的なまなざしを向けたりもしています。

         推理小説としては、クリスティ一流のエキセントリックな仕掛けがあるわけではなく、かなり地味でオーソドックスなものになっています。
         読者をあっと驚かせるようなトリックも見られません(まぁ、あるとすればかろうじてあの点でしょうか)。
         また、ロマンスの要素をかなり多めに盛り込んでいるところも特徴的かもしれません(この点では、ヘイスティングズにはかなり可哀想な役回りを振られています)。

         いずれにしても、ポワロはこの作品から始まりました。
         最初の一作をお読みになり、また、この後に書かれたいくつもの「傑作」と比較してみるのも一興かと思います。
        >> 続きを読む

        2019/11/29 by ef177

    • 他3人がレビュー登録、 22人が本棚登録しています
      三幕の殺人 クリスティー文庫)
      カテゴリー:小説、物語
      3.3
      いいね!
      • 【これは評価が分かれそうだ/ポアロしらみ潰し企画10】
         タイトルの通り、3つの殺人事件が起きます。
         第一の事件は、引退した俳優のチャールズが自宅で開いたホームパーティーで、招待された地元の牧師がカクテルを飲んだところ死亡してしまったという事件でした。
         当初は自然死と思われたのですが、第二の事件が発生した後、死体が掘り起こされて再調査された結果、ニコチンを飲まされて殺されたことが判明したのです(ニコチンは即効性の毒物ということです)。

         しかし、牧師が飲んだカクテルのグラスからはニコチンは検出されていません(それだけは事件直後に検査されていたのです)。
         牧師は、パーティーにやって来てすぐに亡くなりました。
         カクテル以外に口にしたものは無いのです。
         また、カクテルも、ホストであるチャールズが作ってグラスに注ぎ分け、それをメイドがお盆に乗せて持って回ったのを、客がそれぞれ好きなグラスを取って飲んだもので、牧師も同様です。
         犯人がどうやって牧師に毒入りのグラスを渡せたのかが分かりません(グラスからはニコチンは検出されていないので、カクテルは関係ないのかもしれません)。

         また、殺されたのは人の良い田舎の牧師であり、人から恨まれていることもなければ金を持っているわけでもありません。
         何か秘密を知っていたということもなく、殺される理由が全く分からないのです。

         その後、第一の事件のパーティーにも出席していた精神科の医師が自宅で開いたパーティーで、その医師自身がやはりニコチン入りのポートワインを飲まされて殺されるという事件が起きます。
         しかし、やはりこのグラスからもニコチンは検出されていないので、ポートワインにニコチンが仕込まれたのではないのかもしれません。
         第一のパーティーに出席していたほとんどの客は、こちらのパーティーにも出席していました。
         第一の事件とあまりにも似た状況でしたので、第一の事件も殺人の疑いが濃くなり、再調査された結果殺人だと分かったのです。

        第二の事件発生後、執事が行方をくらましており、警察はこの執事が犯人ではないかと疑うのですが行方が分かりません。
         素人探偵となったチャールズとその友人のサタースウェイトが調べたところ、執事の部屋から執事が何者かに宛てて出そうとした強請の手紙の書き損じを発見したのです。
         どうやら執事は医師を殺した犯人を知っているようで、その犯人から金を強請り取ろうとしていたようです。
         うまく金を取って逃げたのか、断念して逃走したのか……。

         第三の事件は、殺された医師が運営している病院に新たに入院してきた女性が、何者かから送り付けられたニコチン入りのチョコレートを食べて死亡したというものです。
         この女性は、殺される少し前に、ポアロに宛てて秘密を打ち明けたいという内容の電報を打っていたのです。
         どうやら口封じとして殺されたように思われます。

         さて、この連続殺人事件の謎が本作のテーマとなるのですが、クリスティも思い切ったことをしたものです。
         極めて大胆というか、開き直りというか、相当なトリックを読者に仕掛けています。
         その大胆さにおいては『アクロイド殺し』に匹敵すると言っても良いのではないでしょうか。

         その点だけからすれば、私も本作を相応に評価したい気持ちは山々なのです。
         しかし、一方でそれはあまりにもという気持ちもあるのです。
         いくら何でもそんなことはしないだろうという思いがぬぐい切れませんでした。
         トリックを書けないので非常にもどかしいのですが、いくらミステリだからと言っても、ある程度のリアリティは必要だと私が考えているからそう思うのかもしれません。

         もっと割り切って、パズラーなのだから、たとえ非現実的であろうとも、トリックとして優れていれば良いのだと考えるのであれば、本作を相当高く評価するという読者がいてもおかしくないでしょう。

         これは評価が分かれそうな作品だ~。


        読了時間メーター
        □□      楽勝(1日はかからない、概ね数時間でOK)
        >> 続きを読む

        2020/10/31 by ef177

    • 他3人がレビュー登録、 10人が本棚登録しています
      ナイルに死す
      カテゴリー:小説、物語
      3.9
      いいね!
      • 面白かった。

        これは筆者の渾身の作品だなあと感じさせるのは、なかなかなかなか誰も死なないところ。
        殺人もの推理小説では相当初期に第一の殺人が起こるのが常道で。
        その点この作品は、全570頁にあってようやくそれが起こるのが250頁。

        長い。

        これは相当の能力と、そして自信が無いと成し得ない組立て。
        さすがはアガサクリスティと感嘆。
        >> 続きを読む

        2017/08/19 by フッフール

    • 他3人がレビュー登録、 17人が本棚登録しています
      五匹の子豚 クリスティー文庫)
      カテゴリー:小説、物語
      4.5
      いいね!
      • 【今度こそ真相を見切った!……と思ったらまた騙された (´・ω・`)ショボーン
         今回、ポアロが挑むのは16年前の殺人事件の真相解明です。
         16年前、エイミアスという天才的な画家が毒殺されるという事件が起こり、犯人として逮捕された妻のキャロラインはエイミアスの自殺を主張しましたが容れられず、裁判で有罪となり終身刑の判決を受けますが、その1年後に亡くなってしまいました。
         しかし、キャロラインは、亡くなる前に事件当時5歳だった娘のカーラに宛てて、自分は殺してなんかいないという内容の手紙を書き残していたのです。

         成人し、結婚することになったカーラは、この母の手紙のことがどうしても気になり、ポアロに16年前の真相を解明して欲しいと依頼してきたのです。
         とは言え、16年も前の事件です。
         今更証拠など残っているはずもないのですが、ポアロは関係者から当時の話を聞くことにより、灰色の脳細胞を使って真相を解明することを引き受けるのでした。

         エイミアスは、事件当時、エルサという若い女性を愛し、キャロラインと離婚してエルサと結婚する約束をしていました。
         この件で夫婦は激しい喧嘩となり、キャロラインは「ほかの女に渡すくらいならあなたを殺してやる」とはっきり言ったことが関係者の証言から明らかになっています。

         エイミアスの死因はビールに入れられたコニインという毒物でした。
         エイミアスらが住んでいた家の近くには、エイミアス夫婦とも以前から親しくしているブレイク兄弟が住んでいたのですが、兄のメレディスは素人薬剤師であり、自分で抽出したコニインを所持していたのです(少量の使用なら喘息などに効果があるそうです)。
        ところが、事件があった前の日、メレディスはエイミアス夫婦その他の関係者らに自分の作業場を案内し、コニインについても見せて説明したことがあったのです。
         そして、その後、コニインが減っていることに気付いたのです。

         キャロラインは、裁判で、自分がメレディスのところからコニインを盗んだことを認めました。
         エイミアスの態度に絶望し、自殺を考えてコニインを盗み出し、香水の空き瓶に入れてしまっておいたというのです。
         コニインが入っていたメレディスの薬瓶や、取り分けたという香水の瓶にはキャロラインの指紋だけが残っていました。

         そして、事件があった日、エイミアスはエルサをモデルにして公園で絵を描いていたのですが、暑い日だったこともあり、やって来たキャロラインに冷たいビールが飲みたいと所望したのです(近くの四阿にもビールはありましたが、ぬるいと言うのです)。

         キャロラインは言われるまま家から冷えたビールを持ってきてグラスに注ぎ、エイミアスはそれを飲み干したのですが、「おかしな味がする」と言い、その後しばらくしてコニイン中毒により死亡したのです。
         コニインはビール瓶の中からは検出されず、グラスだけから検出されました。
         
         現場付近にいた犯行可能な関係者は以下の5人です。
         1エルサ、2メレディス、3フィリップ(メレディスの弟)、4アンジェラ(当時13歳だったキャロラインの義妹)、5セシリア(アンジェラの住み込み家庭教師)。
         この5人の中に真犯人がいるのか?それともやはり裁判は正しく、キャロラインが犯人なのか?あるいはキャロラインが主張していたとおりエイミアスの自殺だったのか?

         私は、真ん中辺りまで読んでこの事件の真相が分かった!と思いました。
         本作は、様々な客観的証拠が提示されてそこから推理するというタイプのミステリではなく、読者に与えられるのはあくまでも関係者の供述のみです(当然嘘をついている関係者がいる可能性もあり、供述が真実とは限りません)。
         ポアロに言わせれば、関係者の心理から真相を導き出せると言うのですが……。
         私は、一応納得できそうな真相にたどり着いたつもりだったのです。

         ラストの解決編に入っても、私の推理は当たっていると思って読み進めたのですが……あらら。
         またもやクリスティにうっちゃられてしまいました。
         確かに、クリスティはその真相のための伏線を張っています(一点だけ不親切だと思ったのは、コニインがどういう状態なのかが描写されていないこと。私は粉末ではないかと思っていたのですが、どうやら液状のようですね。いや、まぁそれは途中で何となく気づくのですが)。

         今度こそは当たったと思ったのに、まったく食えないおばさんだ!(笑)
         でも、そんなこと言ったらクリスティから、「あなたが不注意なのですよ」とかしれっと言われそう。
         クリスティにうっちゃられてみたいというあなた、本作をどうぞ読んでみてください。

         なお、本作のタイトルや造りは童謡の見立てになっているのですが、こちらはあまりうまく行っていないと思いました。
         童謡見立てにする意味があまりなく、効果も上げていないのですよね。
         そこんとこ、☆を引くかな~とも思いましたが、今回もやや甘めの評価でいきましょう。


        読了時間メーター
        □□□     普通(1~2日あれば読める)
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        2020/08/01 by ef177

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      ゴルフ場殺人事件
      カテゴリー:小説、物語
      3.0
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      • ポアロに助けを求める一通の手紙。急いで現地に向かうポアロとヘイスティングズだが、手紙の送り主はすでにゴルフ場で殺されていた。

        ポアロシリーズ第二作。ポアロの推理手法、ワトソン役ヘイスティングズのキャラクター紹介のような作品である。ワトソン役のわりには登場作品が多くないヘイスティングズだが、この作品では大活躍だ。

        犯罪すれすれで美女のために走り回る彼のキャラクターを好きになれるかどうかで評価はわかれそうだが、私は困った人(美女)をほっておけないお人好しのヘイスティングズが嫌いではないので、十分楽しめた。クリスティもヘイスティングズを書くのは楽しかったのではないだろうか。

        犯人につながる大きな謎が思ったより早く種明かしされるため、途中で犯人が推測できてしまうという欠点はあるが、トリック解明を重視していない読者であれば、ヘイスティングズの立場で事件の真相に考えを巡らし、ある程度推測できた時点で「さあ、ポアロがどのように犯人を追い詰めるのか」と予定調和を楽しむことができる。クリスティのしっかりとしたキャラクター造形のなせる技である。

        ただ、このタイトルはいかがなものか。ゴルフ場が事件に関係ないわけではないが、タイトルにするほどの重要性があるようにも思えない。タイトルで損している作品だと思う。
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        2020/09/03 by matatabi

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      青列車の秘密 クリスティー文庫)
      3.0
      いいね!
      • 【オリエント急行の裏返し……かな?/ポアロしらみつぶし5】
         青列車(ブルー・トレイン)車中で起きる殺人・宝石盗難事件をエルキュール・ポワロが解決するというミステリです。
         クリスティは、本作でなかなか凝ったトリックを用意してくれています。

         クリスティの傑作の一つに「オリエント急行殺人事件」がありますが、「ある意味では」本作は「オリエント急行」の裏返し的なところが無いとも言えないかもしれません。
         すみません、ミステリのレビューという性質上、ネタばれ厳禁なもので、どうしても奥歯に物が挟まったような言い方しかできなくて。

         本作は、ポワロ物ですが、残念ながら良き相棒のヘイスティングズは登場しません(一か所だけポワロの台詞中に出てきますが)。
         その代わりに、ポワロの相方的役割を少しだけ担ってくれるのが、ポワロが青列車の中で偶然に知り合ったキャザリン・グレイという女性です。

         キャザリンは、長年、セント・メアリ・ミードという田舎の村で、老婦人の家政婦として働いていた33歳の未婚女性なのですが、その老婦人が亡くなったことで莫大な遺産を相続したのですね。
         キャザリンは、これまで老婦人のお相手をして小さな村に籠もりっきりの生活だったため、一度はリヴィエラへ旅行してみようと思い立ち、青列車に乗ったわけです。

         青列車の食堂車の中で、たまたま相席になったポワロは、キャザリンが推理小説を持っているのに目を留め、話しかけたところ二人は知り合いになるのです。
         キャザリンは、ミステリのような刺激的なことは現実には起きないと言うのですが、ポワロは「そんなことはありませんよ。きっと起きます。」と言ったところ、まさに二人が乗り合わせていた青列車の車内で冒頭の殺人・盗難事件が発生したというわけです。
         ポワロは、キャザリンが聡明であることを見抜き、この事件は私とあなたの二人で解決しましょうとキャザリンに言うのでした。

         さて、この犯罪の目的を達するためだけなら、もっとシンプルな方法が可能だとは思うのですが、そこはそれ、ミステリですから。
         クリスティもその辺は気づいていて、ポワロの口を借りてやや苦しい言い訳をしています。

         また、この作品でポワロが真相にたどり着く手法として「心理」ということを強調しています。
         まぁ、人間のキャラクターということですね。
         証拠上いかに疑わしい人物であっても、そのキャラクターが犯行手口にそぐわなければ犯人ではないと言うのですね。
         まぁ、そういうこともあるかもしれませんが……(やや弱いかなぁ)。

         そうそう、この物語を通じて、もう一つの「謎」が仕組まれているんですよ。
         それは、キャザリンは結構モテまして、様々な男性からモーションをかけられるのですが、キャザリンの意中の人物は誰か?という「謎」です。
         これが、本来の中心的な「謎」と絡み合うように書かれています。

         そうそう、最後にもう一つ。
         今回、キャザリンが暮らしていた村として登場するセント・メアリ・ミード村ですが、後に、この村からミス・マープルが登場することになるのですよ。
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        2020/01/27 by ef177

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      ポアロのクリスマス
      カテゴリー:小説、物語
      4.2
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      • 【ミステリにもクリスマス作品が結構あります。】
         本作は12月22日から28日までの出来事が描かれます。
         殺人事件が起きるのは24日、ポアロが解決するのは27日ですから実質4日間ですね。
         今回の被害者は、ゴーストン館に住む億万長者のシメオン老人です。
         彼は、若い頃、南アフリカのダイヤ採掘事業で大儲けしましたが、道徳的には決して褒められたような男ではなく、好き勝手な人生を歩み、外にも何人もの女性をつくり、また、妻を大切にもしなかったために妻は早くして亡くなっていました。
         今はすっかり年を取って衰え、長男であるアルフレッドとその妻と共にゴーストン館で隠棲していたのです。

         シメオンの一族は決してうまく行っておらず、疎遠な関係なのですが、シメオンはどういう風の吹き回しか、今年のクリスマスには一族をゴーストン館に集めたのです。
         国会議員をしているジョージは吝嗇家であり、その妻は浪費家でした。
         デヴィッドは画家ですが、母親っ子であり、母親が亡くなったのはシメオン老人のせいだと今でも深い恨みを抱いていましたが、妻の説得もあり、二人でゴーストン館にやって来ました。
         また、ハリーという放蕩息子がいるのですが、彼は若い頃に家を飛び出しており、今回久しぶりに舞い戻ってきました。
         さらに、シメオンには娘がいたのですが既に亡くなっており、その娘(シメオンの孫に当たります)のピラールもスペインから呼び寄せられていました。

         シメオンは、老境を迎えて一族を集め、温かいクリスマスを過ごそうとした……なんていうことでは全くありませんでした。
         シメオンはとことんひねくれており、不仲な兄弟たちを集めてさらにその諍いを助長するような言動に及び、また、遺言を書き換えると言い出し、お互いの不信感を募らせるようなことをします。
         
         そしてイヴの夜、自室に籠っていたシメオンの部屋から家具が倒されるような大きな物音が聞こえ、それに続いて悲鳴のような絶叫のような音が響き渡ったのです。
         兄弟やその妻たちは慌ててシメオンの部屋に駆け付けたのですが、部屋の唯一の出入り口ドアは内側から施錠されていました。
         ドアを破って室内に入ると、そこは血の海で、家具が引き倒され、その中でシメオンが喉を搔き切られて絶命していました。
         窓から人が出入りすることは不可能です。

         密室殺人なわけですが、室内には凶器がありません。
         通常、犯人が密室殺人を仕立てる理由は、自殺に見せかけるためというのが最もありそうな理由ですが、室内に凶器が残されていない以上自殺はありえず、一体何のために密室を作り上げたのかが全く分かりません(何故犯人が密室を作ったのかは最後に説明はされますが)。
         まぁ、密室の点については、早期にトリックが暴かれますのでこれが主要な謎ではありません。
         大体、物音が聞こえてから一族が駆け付けるまでわずかな時間しかなく、そんな短い時間で密室を作り上げ現場から逃げ出すというのは相当に難しいように思えます。
         また、シメオンは室内の金庫にダイヤの原石を保管していたのですが、それが紛失しており、殺人事件との関連も問題になってきます。

         さて、本作のミステリとしての出来ですが、とにかく読者に情報が開示される時点が非常に遅いのです。
         ポアロが関係者の前で謎解きを始めてようやく読者に明かされる情報も多く、それなりのほのめかしはその前にも多少は書かれているものの、それだけでこの真相を論理的に推理することはきわめて困難でしょう。

         私は、本作を読んでいて、まったく手がかりらしい手がかりも与えられないまま解決篇に入ってしまったという印象を強く持ちました。
         決め手になるような情報がほとんど読者に与えられないので、その点では不満の残る出来だと思います。

         トリックとしてはなかなか面白いものが用意されており、私もそういうことじゃないか?という想像(推理とは言えません)はしたのですが、それが正解だと判断できるだけの手がかりが与えられないのです。
         ですから、犯人を見破りたいという読者にはいささか不親切な構成になっています。

         巻末解説では、本作はクリスティの脂が乗り切った時期の作品であるとしてかなり高い評価を与えていますが、これは少々割り引いて読むべきだと思いました。
         もちろん、駄作ではありませんし、決して悪い作品ではないのですが、水準点というのが良いところではないかというのが読み終わっての私の感想です。
         なお、本作は一応クリスマスをうたっていますが、さほどクリスマス色は強く出ていないんだなぁ。


        読了時間メーター
        □□□     普通(1~2日あれば読める)
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        2020/06/27 by ef177

    • 他2人がレビュー登録、 10人が本棚登録しています
      杉の柩
      カテゴリー:小説、物語
      4.2
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      • 【絶対的不利な状況からポアロは逆転できるのか?/ポアロしらみつぶし企画8】
         久しぶりの『ポアロしらみつぶし』企画です。
         今回選んだ本は、以前レビューした『アガサ・クリスティー完全攻略』で、ポアロものでは第7位にランクインされていた作品です。

         事件はかなりシンプルです。
         メアリイという女性がモルヒネを盛られて殺されるのですが、彼女の胃からは直前に飲食したサンドイッチと紅茶しか検出されませんでした。
         モルヒネは、直接飲んだか、あるいはサンドイッチか紅茶のどちらかに入れられていたとしか考えられません。
         そのサンドイッチは、エリノアという女性が作ったもので、エリノアはメアリイとホプキンス看護婦を呼んで三人で一緒に食べたものでした。
         紅茶の方は、サンドイッチを出した時にホプキンス看護婦が淹れたもので、エリノアは飲みませんでしたが、他の二人が飲んだものです。

         エリノアは、ロディーという義理の甥と婚約していたのですが、ロディーはメアリイに心移りしてしまったため、婚約は破棄されていました(でも、メアリイはロディーからプロポーズされた時に、あなたはエリノアと婚約しているではないですかと言って断っているんですけれどね)。

         また、この事件が起きる直前に、病弱だったエリノアの叔母が亡くなったのですが、叔母は遺言書を残していなかったため、本来ならばロディーにも遺産が残されただろうと思われていたにもかかわらず、最も近親者であるエリノア一人に莫大な全遺産が相続されることになってしまったのです。
         ロディーとしては、婚約者の財産を目当てに結婚したと思われるような状況は我慢できなかったという事情も、婚約を破棄した理由の一つだったかもしれません。

         この件もエリノアに不利に働きました。
         エリノアは、婚約者を奪ったメアリイを憎み、殺害する動機があったと考えられたのです。
         サンドイッチを作ったのもエリノアです。
         もちろん、そのサンドイッチはエリノア自身もホプキンス看護婦も食べてはいるのですが、一番上のサンドイッチにだけモルヒネを盛っておき、最初にメアリイに勧めれば、当然メアリイはモルヒネ入りのサンドイッチを取って食べることになるでしょう(実際にエリノアは最初にメアリイにサンドイッチを勧め、メアリイは一番上のサンドイッチを食べたのです)。

         モルヒネについても、ホプキンス看護婦が鞄に入れていたものが紛失するということが少し前にありました。
         鞄は誰もがいじれる場所にありましたので、もちろんエリノアがモルヒネを盗むことも可能な状態でした。

         しかも、メアリイの叔母の死体が掘り返されて再検分されたのですが、叔母の死体からもモルヒネが検出されたのです。
         これは、メアリイが叔母が遺言書を書いていない内にモルヒネで殺害して遺産を独り占めし、さらには婚約者を奪ったメアリイまでも同じ手口で殺したとも十分考えられます。

         このような事実からエリノアは殺人罪で裁判にかけられてしまったのです。
         証拠からはエリノアは絶対的に不利だと思われます。
         しかし、エリノアの無実を信じる医師は、ポアロに何とかエリノアを助けてやって欲しいと依頼するのですが、ポアロはこの絶対的に不利な状況をひっくり返すことが可能なのか?というミステリです。

         さて、本書を読み終えての感想ですが、そつなくまとめられたコンパクトな作品と感じました。
         大きな欠点も無く、無難な出来だと思います。
         目が覚めるようなトリックはありません。
         一つあるとすればあの点なのですが、そこは私も見落としてしまいました。
         しかし、ポアロが主張するほど明確に書かれているかというと(その部分を読み返してみましたが)それほどはっきり書かれているとも思えませんでした。
         また、読者には完全に与えられていない情報もあり、フェアじゃないと言われればそれも仕方ないところでしょう。

         ポアロは、依頼を受けた後、登場人物一人一人と面会して質問を重ねていくのですが、その過程はかなり淡々と描かれています。
         本作にはヘイスティングズは登場しませんので、いつものようなポアロとヘイスティングズの軽妙な掛け合いを楽しむこともできません。
         最終的な真相の披露も、物語の設定上、ポアロによって与えられた情報が裁判で明らかにされ、判決で決着がつけられるという形になっています。
         ミステリの定番である関係者を一堂に集めての謎解きというシーンは無いのです(まぁ、判決の後、ポアロが依頼者の医師に若干の補足説明をする場面はありますが)。

         あの関係者を一堂に集めての謎解きシーンは、あまりにもわざとらしい、芝居がかっているということで批判されることも多々あるのですが、それでもドラマティックな演出であることは間違いなく、それを使わないとするとどうやって盛り上げるかという他の方法を考えなければならなくなるところ、本作ではそのような盛り上げはやっていません。
         ですから、なんとなく終わっちゃったという印象を与えることになるかもしれませんね。

         このようなもろもろの点を考え合わせると、私としては本作はポアロものの中ではまぁまぁの作品という評価になりました。

         しかし、邦題は何故『杉の柩』なんでしょうね?
         私は、読了してもその意味が分かりませんでした。
        原題は”SAD CYPRESS”なので、直訳すれば『悲しい糸杉』ということになるでしょうか。
         確かに、糸杉は柩を作る時に用いられる木だそうですので、そこから『杉の柩』としたのかもしれませんが。
         でも、糸杉は、一度切ると二度と生えてこないことから、『喪』の象徴ともされているそうです。
         それがメアリイと叔母の哀しい喪を表しているという方が当たりのような気もしますね。
         いずれにしても邦訳しにくいタイトルではあります。


        読了時間メーター
        □□□     普通(1~2日あれば読める)
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        2020/10/14 by ef177

    • 他2人がレビュー登録、 12人が本棚登録しています
      秘密機関
      カテゴリー:小説、物語
      3.5
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      • アガサ・クリスティはミステリーの女王としてあまりにも有名な作家ですが、今回読了した「秘密機関」は、1920年に「スタイルズ荘の怪事件」でデビューしたクリスティの第二作目の作品ですが、このデビュー直後に書いた何作かの"冒険スリラー"は、彼女の華やかでゴージャスな"本格ミステリー"のせいで、ほとんど忘れ去られているような気がします。

        この「秘密機関」は、彼女の"冒険スリラー"の代表作だと確信していますが、第一次世界大戦中にイギリス政府がドイツと結ぼうとした秘密協定の草案文書をめぐる陰謀に、主人公の若き男女トミーとタペンスが巻き込まれるという、"巻き込まれ型のスリラー"なのです。

        秘密文書の鍵を握る女性ジェーンはどこにいるのか、陰謀団の黒幕ブラウン氏とは誰なのか----という二つの謎を中心に、刻限までに秘密文書を回収しなければならないというサスペンスが、最後の最後まで私を惹きつけて離さない、これはまさしく傑作だと思います。

        監禁あり追跡ありのめまぐるしい展開も、非常に快調なテンポでスリリングに描かれていて、やはりクリスティは初期の頃からストーリー・テラーだったんだなと嬉しくなってしまいます。

        クリスティはこのトミーとタペンスという、主人公のコンビをその後も「NかMか」「親指のうずき」「運命の裏木戸」といった作品に登場させ、最後の作品ではなんと75歳前後の老人コンビになっているというのも非常に興味深く、彼女がこのトミーとタペンスのコンビにいかに愛着を持っていたのかがわかるような気がします。

        アガサ・クリスティの"冒険スリラー"の特色について考えてみると、一番怪しくない人間が犯人だという、「アクロイド殺し」に代表される"本格ミステリー"の謎を、この作品でもその"核"にしている事だと思うのです。

        そのために、この作品が"冒険スリラー"や"スパイ小説"でありながら、"謎解きミステリー"の要素が非常に濃いような気がします。

        もう一つの特色は、女性を主人公にして恋物語にしている事だと思います。つまり、ロマンス小説的な味わいもあると思うのです。

        そして、最大の特色は、物語の背景に必ず共産主義者がいて、その黒幕に国際的な犯罪組織やギャング団の首領がいるとの構造を持っている事だと思います。

        シャーロック・ホームズ物で有名なコナン・ドイル同様に、頑迷な保守主義者だったクリスティには、執筆当時の第一次世界大戦後の新しい社会の風潮が、"古き良きイギリス"を破壊していくように思えたのかも知れません。そういう混沌とした時代に対する"苛立ちと不安"が、クリスティの"冒険スリラー"には色濃く漂っているように感じます。

        とにかく、この作品は主人公のトミーとタペンスが「二人の年をあわせたところで、四十五にはならなかった」という若き日の冒険だけに、物語の全編を通して、溢れるほどの活力が漲っていたと思います。

        強烈な謎へのこだわりと巧みなプロットの展開を持つ、この作品のような"冒険スリラー"が、1930年代以降、彼女が"本格ミステリー"の世界へ移行したために、作品としてほとんどなくなっていったのは、"冒険スリラー"の大ファンとしては、残念でなりません。
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        2016/10/25 by dreamer

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      検察側の証人
      カテゴリー:戯曲
      4.8
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      • 月うさぎさんのレビューが素晴らしく是非お読みいただきたいです。私のレビューは軽いですが…戯曲につきどーよてな感じで読み始めましたが、戯曲なのに読ませてくれます。夫が殺人の罪を着せられて(またこれか…すみません私の前回レビューご参照ください)妻の証言が重要な意味を帯びてきます。転から結に向かうジェットコースター並みの展開にご期待ください。どんでん返しの典型のように評される本作品ですが、内容よりもこの展開の速さこそがそう評される所以なのかなと思います。 >> 続きを読む

        2015/09/12 by kobe1225

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      オリエント急行の殺人
      カテゴリー:小説、物語
      3.5
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      • 近日映画公開という事なので、また読んでみました。過去三回ほど読んでますが何度読んでも面白い。結末が分ってますがそれでも関係無い。ただ残念なのは、近場に映画館が無くなった事で、ツタヤにDVDが出るまで待つしかないです。また何時か読もうかな。 >> 続きを読む

        2017/12/03 by rock-man

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      エッジウェア卿の死 クリスティー文庫)
      カテゴリー:小説、物語
      4.5
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      • 【このトリックは秀逸だ! この作品は推せますよ!/ポアロしらみつぶし企画9】
         奔放で自分の望むものは何でも手に入れてきた美人女優のジェーンは、エッジウェア卿と結婚していました。
         しかし、既に結婚生活は破綻しており、ジェーンは家を出ていたのです。
         ジェーンは、次の結婚相手として、裕福で地位も高いマートン公爵に狙いを定めていました(男性としてはつまらない男かもしれませんが、結婚すれば公爵夫人ですからねぇ)。

         ジェーンは、偶然知り合ったポアロに、何とかエッジウェア卿に離婚を承諾させて欲しいと依頼してきたのです。
         これまで弁護士などを通じて離婚を迫ってきたのですが、ことごとく拒否されてきたと言います。
         同席していたヘイスティングズ大尉は、ポアロがそんな離婚交渉などに乗り出すものかと思っていたのですが、何と!ポアロはこの依頼を引き受けてしまうのです。
         ポアロは何を考えているんだ?

         さっそくエッジウェア卿に面会に出かけたポアロは、ジェーンが離婚を望んでいることを切り出したのですが、何と、エッジウェア卿はこれをあっさり承諾したばかりではなく、離婚を承諾することについては既に半年前にジェーンに手紙で知らせていると言うではないですか。
         今度はポアロがあんぐりと口を開ける番でした。
         ジェーンは、そんな手紙は受け取っていないと言うのですが、何にせよエッジウェア卿の離婚承諾を取り付けてきたことには間違いないので、さすがはポアロだと褒めそやすのでした。

         これは一体どういうことなんだ?と首をかしげるポアロとヘイスティングズです。
         ところが、そんな騒ぎのすぐ後にエッジウェア卿が自宅で何者かに後頚部の急所を一突きされて殺害されるという事件が起きました。
         エッジウェア家の執事と秘書は、いずれも犯行推定時刻の少し前にジェーンが訪ねて来て、少しして一人で帰っていったと証言します。

        警察はジェーンが犯人だと決めつけ逮捕しようとするのですが、既にエッジウェア卿が離婚に承諾していたという事実を知っていたポアロは、ジェーンには動機が無いと指摘します。
         実際、ジェーンは、犯行推定時刻にはパーティーに出席していたという鉄壁のアリバイがあることが判明するのです。

         それでは執事と秘書が見たというジェーンは何者なのでしょうか?
         これはポアロの推理により、物真似を得意とする女優のカーロッタの変装であることが明らかにされます。
         しかし、カーロッタは所持していた麻薬の過剰摂取により死亡していたのでした。

         確かに、カーロッタの部屋からはジェーンの変装に用いたと思われる衣装なども発見されましたので、ポアロの推理通り、カーロッタが何らかの理由でジェーンに化けてエッジウェア卿を訪ねたのは間違いなさそうです。
         しかし、カーロッタの死亡が偶然の事故というのはあまりにもできすぎです。
         ポアロは、カーロッタに変装をさせた黒幕がおり、その黒幕がカーロッタの口を封じたのではないかと推理するのです。

         この後、もう一つの殺人事件が起きますが、本作のメインとなるのはご紹介したエッジウェア卿とカーロッタの死と言って良いでしょう(三番目の殺人は付け足し的であり、さほど重要なものではありません)。
         さて、本作には手紙に関するトリックが出てくるのですが、これは私にも分かりました。
         しかし、最も重要な、犯人が誰かという謎についてはクリスティーにしてやられてしまいました。
         なるほど、これは考えましたねという秀逸なトリックが用意されています。
         ただし、日本人にとっては動機はちょっと分かりにくいと言わざるを得ませんが。

         本作は、なかなか緊密な構成を備えており、ミステリとして隙の無い作品になっていると思います。
         犯人の意外性という点でも十分に合格点が与えられる作品です。
         以前ご紹介した『アガサ・クリスティー完全攻略』ではポアロ作品のベスト10圏外でしたが、私は、本作はもうちょっと評価されても良いのではないかと思います。
         なかなか優れたミステリだと思いますよ。


        読了時間メーター
        □□□     普通(1~2日あれば読める)
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        2020/10/22 by ef177

    • 他1人がレビュー登録、 4人が本棚登録しています
      メソポタミヤの殺人
      カテゴリー:小説、物語
      2.7
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      • 【客観的証拠がほぼ無い!ポアロのこの推理が正しいと何故言えるのか?/ポアロしらみつぶし企画12】
         ポアロもの12作目の作品です。
         本作は、クリスティ最初のオリエントもので、丁度2番目の夫であるマックス・マローワンと出会った頃に書かれた作品だということです。
         ちなみに、本作の最後の方で、この事件の後、ポアロはオリエント急行に乗ってまた事件に出くわすと書かれており、刊行は『オリエント急行殺人事件』より本作が後になりますが、作中時間では『オリエント急行』より前に起きた事件であるとされています。

         本作では遺跡調査団が宿泊する施設で起きる二つの殺人事件が描かれます。
        最初の殺人事件は、遺跡調査隊長エリック・ライドナーの妻であるルイーズが殺されるという事件です。
         ルイーズは、自室に一人でいた時に、頭を鈍器で殴打されて殺されてしまいました。

         実は、ルイーズは過去に一度結婚したことがありましたが、その夫はスパイだったことが分かり、愛国心から政府機関に密告したところ、前夫は粛清されてしまったのだと言うのです。
         その後、ルイーズは現在の夫エリックと再婚するのですが、これにも紆余曲折があったと言います。
         ルイーズは大変な美貌の持ち主で、前夫と死別した後も、多くの男性から求婚されたそうなのですが、結婚しそうになる度に前夫を名乗った者から脅迫の手紙が届き、自分以外の男との結婚は認めないと脅されたと言います。

         前夫は死んだはずなのですが、その死体はひどく損傷していたということですので、あるいはどこかでまだ生きているのかもしれません。
         または、前夫には弟がおり、その弟が兄の復讐のためにルイーズを脅しているのかもしれません。
         ただ、エリックと結婚する際には脅迫状は届かなかったのでエリックとは結婚したのだとか。

         とは言え、エリックと結婚した後、「お前は遂に他の男と結婚してしまった。復讐してやる。」といった内容の脅迫状がまた届くようになったということなんです。
         ルイーズは、今回の調査団の宿舎でも、謎の男を見かけたなどの理由で、すっかり怯え切っていたそうで、遂に殺されてしまったという経緯でした。

        とすると、今回のルイーズの殺害は前夫またはその弟の仕業なのでしょうか?
         しかし、犯行時刻に外部から現場である宿泊施設に入った者はいないことが確認されています。
         となると、宿泊施設にいた調査団のメンバーが犯人なのでしょうか?
         ポアロは、被害者の人となりこそ真相を解き明かす鍵だと考え、調査団のメンバー一人ずつから、ルイーズとはどういう女性だったのかを聞き取り始めます。

         そうこうしているうちに、調査団のメンバーの一人であるミス・ジョンソンが酸を飲まされて殺害されるという第二の殺人が起きます。
         ミス・ジョンソンは、殺される直前、「外から中に入る方法が分かった」と話していました。
         ということは、やはり外部に真犯人がおり、真犯人はミス・ジョンソンに気付かれたことを知って殺害に及んだということなのでしょうか?

         ポアロはこの謎を解き明かすのですが、私は本作には不満を感じました。
         というのは、ポアロが名指した者が真犯人であることを決定的に裏付ける客観的な証拠は(ポアロ自身も認めるとおり)皆無であり、また、理論的にもそれしかあり得ないという論証はなされないのです。

         ポアロが真相にたどり着いた過程も、ポアロが色々な人から聞いた話から被害者の性格や人となりを想像し、また、読者に分からないところで海外に電報を打って得た情報を基にしての推理だということになっており、その推理にまったく説得力が無いのです。

        真相を暴く過程で、ポアロは調査団の全メンバーが犯行に及ぶことが可能であることを論証し、また、全員に動機があり得ることも論証してしまいます。
         となると、誰が犯人であっても理論的にはあり得るということになってしまいます。
         最終的にポアロが真犯人を絞り込んだ理由は被害者の人となり等の上述の根拠しか無いので、その推理に説得力が欠けていると感じてしまうのはやむを得ないと思いませんか?
         一応、最後に名指しされた真犯人が自白することにより、クリスティはポアロが正しかったのだと決着させていますが、推理としては不十分と感じてしまいます。

         また、本作でクリスティが用意したコアとなるトリックがあるのですが、私にはここには相当な無理があるように読めてしまったのです。
         少なくとも読者を誤解させる極めて不親切な書き方だろうと思います。
         トリックに関することなので詳しくは書けませんが、ある場所にある物があるとはっきり書かれており、通常のその物の形状からすればこのトリックは不可能だと読者が考える方が当たり前だろうと思うのです。
         クリスティは、その物の形状はこのトリックを可能にするほどには〇〇だったので、できると書いていますが、それは謎解きの時にそう書かれているだけで、最初にこの物を描写している時には何も注釈を与えず、単にそれがあるとしか書いていないのですからかなりズルいと言われても仕方ないのではないでしょうか。

         良い本格ミステリを読んだ時に得られるカタルシスは、読者に推理をさせ、それが見事にひっくり返され、それでいて真相を基礎づける証拠はちゃんと読者に示されていて、読者がそれに気づかなかっただけだということが示されること、そして作者が読者に示した真相は、理論的に筋が通っていて破綻しておらず、その真相しか理論的にあり得ないことがちゃんと証明されていることにあると考えます。

         この点、異論はあるかもしれませんが、私としてはそう考えているので、本作はその基準に照らすと非常に不満足な推理しか示されていないと言わざるを得ないのです。
         読者には真相を推理できるだけの手がかりは十分に与えられず、ポアロが示す真相が、他の可能な推理を理論的に排斥できるものにもなっていないからです。
         ということで、あくまでも本格ミステリとしての評価としては、本作には残念ながらあまり高い評価は与えられないと感じてしまいました。


        読了時間メーター
        □□□     普通(1~2日あれば読める)
        >> 続きを読む

        2021/01/12 by ef177

    • 他1人がレビュー登録、 9人が本棚登録しています
      ひらいたトランプ クリスティー文庫)
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      •  一時期、人が死ぬ、だとか、殺人だとか・・・物語とはいえ(映画でも)人が死ぬのが嫌だった時期があって、遠ざかっていたのですが、アガサ・クリスティのミステリは確かに人が殺される。

         しかし、クリスティのミステリは、横溝正史が言っていたのと同じ「謎を解く楽しみ」の方に力が入れられていて、この『ひらいたトランプ』は謎をとく心理戦を楽しむ事ができました。

         名探偵ポアロは、偶然からあるパーティに招かれる。
        パーティの主はシャイタナ氏。金持ではあるけれども、人の噂話やスキャンダルが大好きで恐喝まがいの事までするという、評判のよくない人物。

         殺人の前科を持つ者ばかり集めたパーティなんですよ・・・悪魔的な楽しみでもってシャイタナ氏は客人を招きます。

         そしてポアロを含めて8人が二部屋に別れてトランプのブリッジをすることに。

         若いミス・メレディス、独身の医者のドクター・ロバーツ、探検家のデスパード少佐、ブリッジ好きの老婦人、ロリマー夫人の4人のテーブルの近くに座っていたシャイタナ氏が、トランプの最中に何者かによってナイフで心臓をさされて死んでいました。

         犯人はブリッジをしていた4人なのですが、皆、隠したい過去を持っており、一体誰が?

         登場人物はたくさんいないのですが、各人の過去まで話が広がるとだんだん誰が犯人でもおかしくないような気がする。

         真相は二転三転し、なかなかポアロは真相を話さない。
        話の転がし方など大変、トリッキーかつ堂々としていて、読んでいてミステリの楽しみというものを久々に感じる事ができました。

         中井英夫の『虚無への供物』の麻雀をしながら、犯人捜しをする所を思い出しました。
        やはりアガサ・クリスティのミステリは、鉄板だなぁ、と思います。

         この小説が書かれたのは1936年。全然、古さを感じない、クリスティワールドさすがです。
        >> 続きを読む

        2018/07/11 by 夕暮れ

    • 他1人がレビュー登録、 7人が本棚登録しています

【アガサ・クリスティ】(アガサ・クリスティ) | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト(著者,作家,作者)

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