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FisherDavid

著者情報
著者名:FisherDavid
FisherDavid
FisherDavid
生年~没年:1946~
      スエズ運河を消せ トリックで戦った男たち
      カテゴリー:戦争、戦略、戦術
      4.0
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      • 【ロンメルvs壮大なハッタリ!】
         ジャスパー・マスケリン。
         彼の一族は、代々『不思議なこと』を生業としてきました。
         古くは占星術や錬金術、はたまた天文学。
         最も有名だったのは第8代のジョン・ネヴィル・マスケリンでしょうか。
         彼は、稀代のマジシャンとして名を馳せていました。
         そして、本作の主人公、ジャスパーも卓越したマジシャンでした。

         そんなジャスパーは、激化する第二次世界大戦において、イギリス軍のために自分のマジックの腕を役立てることができるはずだと信じ、軍に志願します。

         当初は、「マジックでどうしようと言うのだ?」という至極真っ当な反応に迎えられ、既に30代後半という年齢もあり、丁重に軍隊入りを断られます。
         しかし、ジャスパーはめげませんでした。
         絶対に役に立ってみせるとの熱意を示し、何とか軍に入ることが許されました。

         しかし、マジシャンをどう使えというのだ?
         困惑したのは軍上層部の方です。
         それでも、一つのセクションを任されることになり、そこに集まったのは……
         動物の擬態を専門とする大学教授、材料の調達(まぁ、真っ当な方法じゃありませんが)なら任せてくれという不良軍人、何かを作るのならお手の物という大工、色の専門家である画家などなど、ある意味では軍では居場所が無いような『不良集団』でした。

         彼らが投入されたのは北アフリカ戦線。
         ドイツの『砂漠のキツネ』と呼ばれた名将ロンメル率いる戦車部隊と対峙することになったのです。

         ジャスパーは最初は半信半疑の軍のお偉方の目前で次々とマジックを実現させていくのです。
         確かに、それまでも偽装やダミーという手段は用いられていたのですが、ジャスパーがやって見せたのはそれらを格段に向上させ、さらにマジック特有の心理的な駆け引きも織り込んだ偽装だったのです。
         それは素晴らしい成果を上げたこともあり、ジャスパーのセクションは徐々に軍に認知され、遂には『マジックギャング』との異名を取るに至り、ジャスパーの元には次々と不可能とも言えるような要請が舞い込むようになりました。

         敵の標的となっている軍港を守って欲しい。
         ジャスパーはその軍港を『移動』させてしまいました。
         ドイツ軍は何もない砂浜に空爆を繰り返すだけで、大事な軍港はしっかりと守られたのです。

         じゃあ、次は、航路の要スエズ運河を守って欲しい。
         ジャスパーは、何と!スエズ運河を消してしまったのです!

         不可能とも言えるリクエストはひっきりなしに舞い込みます。
         折りたたみ式の持ち運べる潜水艦が欲しい。
         高速艇を2種類の船に変身させてくれ。
         パラシュートを使わずに物資を安全に投下できないか?
         敵を釘付けにするために戦艦を一隻作ってくれ。
         砂漠に安全に物資を保管したいのだが。

         ジャスパー率いる『マジックギャング』はこれらのとんでもないリクエストを次々と実現していったのでした。

         何とも痛快なノン・フィクションです。
         しかし、その過程で、仲間を失って悲嘆のどん底にたたき落とされるジャスパーや、前線では兵士達が死んでいっているのに、自分たちは安全な後方でおもちゃを作っているだけで貢献できていないと焦る『マジックギャング』の心情など、シリアスな部分も織り込まれていきます。

         でも、実話だけに、本当にやってくれた!との驚きと、すごい奴らだと溜飲を下げるようなシーンが満載です。
         ジャスパーは、一世一代のイリュージョンを発動させる度に、マジックのステージの決まり文句である「ヘイ! プレスト!」(意外や意外!)を唱えちゃうのですが、これがまた格好良いったらありゃしない。
         胸がスカッとする(そして少しだけ悲しい)楽しい作品ですよ。
        >> 続きを読む

        2019/06/06 by ef177

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