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George, Susan

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著者名:George, Susan

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      これは誰の危機か、未来は誰のものか なぜ1%にも満たない富裕層が世界を支配するのか
      4.0
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      •  実に胸糞悪くなる本である。

         貧困と格差。それを生み出した張本人たちは無事に暮らし、何の罪もない現場の労働者たちが失業や収入減を余儀なくされる。

         犠牲になるのは常に現場だ。

         2008年9月。サブプライムローンの破綻に端を発したいわゆるリーマンショックによりバブルが崩壊し、世界的な不況に見舞われた。各国では失業者が続出し、当然ながら犯罪発生率も増加。世界中を大混乱に陥れた。

         原因となったローンの中身はこうだ。少し長いが本文を紹介しよう。

        「債務無担保保証券(CDO)を作るために銀行が考え出した、まったく新しい手法はこうだった原料としてさまざまな債務を金融大釜に放り込み、よく混ぜてから注ぎ出汁、ソーセージ型に丸めて輪切りにし、その輪切りを、儲かる金融商品として売る。原料となる債務の性質は問わない。当初は質のいい(「プライム」)住宅抵当ローンだったが、後には学生ローン、クレジットカード債務、自動車などの高額消費財購入ローンなども含まれた。ソーセージの輪切りには、「シニア」さらには「スーパーシニア」(共産主義者がウォール街を乗っ取らない限り、払い戻し可能という意味)が最も優先度が高く、あとは段階的に下がっていく。払い戻しが確実そうに見えるほど、価格が高い」

         早い話が、危険な借金も、(比較的)安全な借金も混ぜて、売ってしまおうという金融商品である。

         あれもこれも詰め込んで、今思えばまったく正気の沙汰ではないようなこのような行為も、ハーバード大学とかを出た知識エリートが推し進め、政府もまた後押しした。

         例えは悪いが、考えなし(としか思えないほど)戦線を拡大した、第二次大戦中の大日本帝国陸海軍のようである。戦争によって戦争を解決しようとした、いわゆる戦争バブルだ。当時、陸海軍や政府の上層部を指導したのも陸大や海大、それに帝国大学を主席で卒業したようなエリートたちである。

         本書は別にエリートそのものを批判しているわけではない。ただ、バブルを膨らませるだけ膨らませて爆発した後の責任を自分では取らず、その後片付けを自国や各国の市民に圧しつけた連中に対する批判である。

         社会が育てた従業員を使い潰して、その後始末を社会にゆだね、自分は利益だけを得ようとする、いわゆる「ブラック企業」にも通じるものがある。このような行為を許すわけにはいかない(ただし、リーマンショックはブラック企業よりもはるかに被害が大きかったが)。

         利益は自分たちが独り占めにし、損失は社会全体に負担させる。これが卑怯と言わずに何と言おうか。

         本書では、自分たちの社会を取り戻すために銀行の国有化まで主張している。さすがにそれはやり過ぎかもしれないけれど、富の偏在は必ず社会を不安定化させる。それは間違いのないことだ。

         別に筆者は個人の儲けを否定するつもりはない。自己利益の追求は市場経済では無くてはならない原動力だ。しかし、「貨幣」という言葉にもあるように貨幣の貨は貸し借りの貨である。社会で共有するからこそ貨幣には価値があることを忘れてはいけない。

         本当にお金が大好きなら、自分で「1リーマン」みたいに勝手に通貨を作り、そいつを部屋で満たしておけばいい。それで買い物ができるかどうかは、よく知らないけれど。
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        2014/09/21 by ぽんぽん

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