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HobbesThomas

著者情報
著者名:HobbesThomas
生年~没年:1588~1679

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      リヴァイアサン
      カテゴリー:政治学、政治思想
      4.0
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      • 「人は人に対して狼である」「万人の万人に対する闘争」という言葉で知られるイギリスの政治哲学者・トマス・ホッブズの「リヴァイアサン」には昔から関心がありましたが、今回・注釈書ですが読んでみました。(原典は長大なので敬遠しました。)なお、リヴァイアサン(Leviathan)というのは旧約聖書・ヨブ記に出てくる海獣のことです。(キリスト教に詳しい人によると聖書全体では5箇所くらいこの海獣は出てくるそうです。)

         今回、「ホッブズ リヴァイアサン 藤原保信・佐藤正志 著:有斐閣選書1978年初版」を参考にしました。入門書としては、もっとも優れているようです。

         彼ホッブズは、社会を考察する時、自然科学的な視点をとります。物体の運動を観察し、そこから得られた物性論を社会科学に応用します。実験を重んじないアリストテレスの自然観およびそれに従がって構築されたスコラ哲学には真っ向から反対しています。

        ホッブズ(1588-1679)はガリレオ・ガリレイ(1569-1642)と親交があったそうですから、ガリレオが「落体の法則・・・空気抵抗がなければ、どんな物体も同じ加速度で落ちる」を発見した功績に鑑み、アリストテレスの「重いものほど早く落ちる」という実験精神もない愚論には加担しないというわけです。このように見ると、ホッブズは唯物論の立場に近い立ち位置にいるのです。

         ホッブズにとって人生とは欲求を追及し嫌悪を回避しながら、それによって生命活動を維持していく絶えざる運動の過程であるとも言えます。(この部分、語尾を除き、そのままの文言で本書中にあります。)

        さて、人はだれでも「自然権」というものを持っています。生まれながらに保障された権利。でも、それを濫用すると、社会は崩壊してしまうので(万人の万人に対する闘争)、道徳法則として「自然法」が要請されます。そしてこの法により国家(コモンウェルス)が必然化されるのです。そして、この国家は、臣民(国民)を服従させると同時に、臣民を保護するという役割を果たすということらしいです。

         その国家そのものを、ホッブズは「リヴァイアサン」と呼ぶのです。国家は3権:立法・司法・行政を掌握し、ある意味絶対王政を彷彿させます。一回国家に預けた力は、以後国家が独占します。そんな帰結になるなら、絶対王政を到着点とするのも同じことで、それも道理で、清教徒革命において、その指導者のオリバー・クロムウェル(1599-1658)に当然に睨まれ、ホッブズは一時大陸に亡命しています。

        この不可逆的な論理を批判する学者も現れます。「統治二論」の著者・ジョン・ロック(1632-1704)で、必要なら市民革命を起し、現政府(リヴァイアサン)を倒すのも可としています。まあ、この点ホッブズは、たとえ悪い政府でも、混乱した自然状態のままであるよりマシ、といった判断だったのですね。

        なお、キリスト教の論理については、「自然による神の王国」と「預言による神の王国」との二つがあり、どちらも「神に基礎をおけば矛盾はない」としていて、キリスト教が論理に矛盾が起さぬよう考えられているなら、問題はない、と折れ合っています。唯物論者であるホッブズを思い出すと、面白い主張です。

         彼は近代政治哲学者の草分けですが、その論には歴史的な限界があります。まあ、過渡期的な著作なのですね。まあ、逆に言えば歴史的価値のある文献であるというのは、間違いないことです。

        最後に:今回挙げた本、2ヶ月がかりでやっと読めました。読書のスピードが遅いです。半分読むのに時間がかかり、読むのをあきらめようかと何度も思いましたが、あと半分は、案外早く読めました。


        (注:この本は、読書ログのリストにありませんでしたので、原典を表題にしました。)
        >> 続きを読む

        2014/02/10 by iirei

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