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カズオ・イシグロ

著者情報
著者名:カズオ・イシグロ
かずおいしぐろ
カズオイシグロ
生年~没年:1954~

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このランキングは1日1回更新されます。
      わたしを離さないで
      カテゴリー:小説、物語
      4.4
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      • こんなにも感情を抑えて物語が書けるのか。
        些細な事をものすごく細かく書いているのに、登場人物たちの内面にはあまり踏みこんで描かれていない。誰にも感情移入できず、なんだか突き放されたような、不安な気持ちにさせられる。

        あまりにも過酷な運命なのに、登場人物たちはそれを疑うこともなく、当たり前のこととして受け入れているように見える。どうして異を唱えないのか、あらがおうとしないのか。終盤で主人公が行動を起こす場面もあるが、それだってあまりにもささやかだ。こんなことが許されていいはずがないと思いつつ、いつか現実のものとなる日が来るのではないかと、空恐ろしい気持ちになった。

        最後の場面があまりにも悲しい。

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        2019/05/19 by asaki

    • 他20人がレビュー登録、 60人が本棚登録しています
      日の名残り
      カテゴリー:小説、物語
      4.6
      いいね!
      • 執事のスティーブンスは、新しい主人であるファラディがアメリカに5週間帰ることを機に、5~6日の休暇を与えられます。
        イギリスの田園風景の美しさを見ながら、長年仕えたダーリントン卿や父、女中頭との思い出を振り返り、スティーブンスの人生が語られていきます。

        この主人公の印象としては、一緒にいたら息がつまりそうになる程の真面目さ、頑固さを感じました。
        せっかくの休暇ですら、「偉大な執事とは」「執事の品格とは」と仕事のことばかり考えているのですから。
        仕事人間ですね。
        仕える主人が変わり、最大二十八人の召使が雇われていたダーリントン・ホールを四人で切り回す職務計画にも取り組んでいました。
        かなり悩ましい働き方改革だと思います。
        頑固だな、融通が利かないなと思いながらも、執事の品格を常に考え続ける彼にくすりとさせられました。

        ※以下、ネタバレのためご注意ください。





        そんな執事の人生を振り返る旅行記が最後まで描かれていると思っていたのですが、最後の最後でこの本の印象をひっくり返す仕掛けがありました!
        五日目の空白後の、六日目。
        仕事人間の旅の終わりは、実は長年仕えた主人に何もできなかったこと、私生活での失敗で自分を見返り、男泣きの姿が描かれていました。
        読了して読み返すと、初読の時とは違った目で彼を見るようになります。
        回想していた頑固で真面目なスティーブンスというより、旅先で垣間見えた不器用で滑稽な姿が再生されてしまいますね。
        印象ががらりと変わるっておもしろい。
        後悔はあるかもしれないけれど、それでもあなたがやってきた仕事は立派だったよ、と声をかけてあげたくなりました。

        初めてのカズオ・イシグロ作品、とても良かったです。
        続けて「わたしを離さないで」を読んでいます。
        読書ログでchaoさん、弁護士Kさんと語り合えたから読もうと思った本書。ありがとうございます!
        >> 続きを読む

        2018/09/30 by あすか

      • コメント 8件
    • 他14人がレビュー登録、 33人が本棚登録しています
      遠い山なみの光
      カテゴリー:小説、物語
      4.6
      いいね! KEMURINO
      • イシグロ作品にふれる2冊目。英国に住む日本人妻が戦後間もない頃まで過ごした長崎生活を回顧する記憶の物語。

        まるで演劇の幕のように文面に登場人物が現れて語り合い、次の幕へとテンポよく進んでゆく。

        なんか噛み合っていないが、情緒のある登場人物たちの台詞回しは小津安二郎の映画を観ているよう。稲佐山、平和公園、浜屋デパートなど長崎市内の描写も親近感がわく。

        だが、幕が進んでも物語の謎は深まるばかり。主人公の記憶の連なりは幻覚、妄想、狂気を帯び、心理的恐怖劇のように幕を閉じる。不気味な余韻は何を暗示しているのか?

        おりしも73回目の8月15日。原爆投下、敗戦、復興の片隅に置き去りにされたままの無数の記憶の一つに思えた。
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        2018/08/15 by まきたろう

    • 他2人がレビュー登録、 9人が本棚登録しています
      わたしたちが孤児だったころ
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      • ノーベル文学賞ということで読みましたが、どうもつまらない。内容が頭に入らない。私にはいまいち合わないと思った。なにが面白いのかわからない。 >> 続きを読む

        2018/01/05 by rock-man

      • コメント 2件
    • 他2人がレビュー登録、 7人が本棚登録しています
      わたしを離さないで
      カテゴリー:小説、物語
      4.8
      いいね!

      • カズオ・イシグロの「わたしを離さないで」の語り手は、優秀な介護人キャシー・H。

        彼女は提供者と呼ばれる人々の世話をしています。
        キャシーが育ったのは、ヘールシャムという全寮制の施設。
        介護人として働きながら、キャシーはヘールシャムのことを思い出します。

        図画工作といった創造性の高い授業に力を入れたカリキュラム。
        毎週の健康診断。保護官と呼ばれる教師たちが、時に見せる奇妙な言動。
        生徒たちの優秀な作品を展示館に集めている、マダムと呼ばれる女性。

        恩田陸の学園ものの雰囲気に似たミステリアスな寄宿生活を送る中、キャシーは知ったかぶりのルースや、癇癪持ちのトミーと友情を深めていくのだが-------。

        ヘールシャムは、どんな目的で運営されているのか?
        提供者と介護人の関係は?

        そうした、早々に我々読者に明かされてしまう幾つかの謎なんか、実はどうでもいいのです。
        大切なのは、例えばこんなエピソードです。

        子供時代、一本のカセットテープに収録された「わたしを離さないで」という曲が気に入って、繰り返し聴いていたキャシー。

        ある日、何者かによって盗まれてしまったそのカセットテープと、キャシーは後年、トミーと共に再会することになるのです。
        この物語の感情的なキーポイントとなる、特別な場所で。

        この曲の歌詞は、物語の終盤でトミーのこんな言葉と呼応し合うんですね。
        「おれはな、よく川の中の二人を考える。どこかにある川で、すごく流れが速いんだ。で、その水の中に二人がいる。互いに相手にしがみついてる。必死でしがみついてるんだけど、結局、流れが強すぎて、かなわん。最後は手を離して、別々に流される。おれたちって、それと同じだろ?」

        この作品は、為す術もなく人生を奪われる"人間の存在理由"を描いて、厳しい物語だ。

        流れの速い川の中で、互いに「わたしを離さないで」としがみつくような愛を育んでも、否応なく引き裂かれるしかない運命を描いて、切ない恋愛小説だ。

        そして、子供時代をノスタルジックに描いて、その夢心地の筆致ゆえに残酷なビルドゥングスロマンになっているのだと思う

        「なぜ、彼らは理不尽な運命に逆らわないのか」という疑問を抱く人もいるかもしれません。
        けれど、この小説の舞台は、現実とは異なる歴史を持つ、もうひとつのあり得たかもしれない世界なんですね。

        今此処にある当たり前が、当たり前として通用しない世界に、今此処の常識を当てはめるのはフェアな態度ではないと思う。

        ラストシーンがもたらす深い悲しみと苦い読後感-----、いつまでも余韻を引きずりながら、心に残ります。

        >> 続きを読む

        2019/02/10 by dreamer

    • 他2人がレビュー登録、 7人が本棚登録しています
      充たされざる者
      カテゴリー:小説、物語
      3.8
      いいね!
      • いや~長い長編。
        しかし3日しかストーリー的には進んでなくて。
        で、
        次から次へと、予定が入り・・・で。
        でも
        不思議とストレスは溜まらない。
        むしろ「えっ?!」ってユーモアもある。
        読みやすい。
        個人的には好きではないけども、登場人物が多いからメモおススメ。主要人物はある程度限られているから、文庫本に付録的につけていただけたらありがたいとも個人的には思う。

        しかし久々の投稿。汗

        でも決して読みにくくないです。

        そして読み終えた時の達成感はさすが長編!って感じですよね!



        やっぱ物質、紙で重さを感じながらの読書が好き。
        コーヒーお供にね!
        >> 続きを読む

        2018/03/03 by ジュディス

    • 他1人がレビュー登録、 6人が本棚登録しています
      浮世の画家
      カテゴリー:小説、物語
      4.7
      いいね!
      • 寂しい・・・切ない・・・

        変わり方が”極端”なんだな~。右から左へ。

        中道を堂々と歩けばいいんだけど、どこが中道なのかがわからない。その時代の空気によって、迷いながら生きている人間。それが人間。

        みんな最善を尽くしているつもり。よかれと思って・・・。

        「”若者の性格”が変わってしまった」のではなく、「社会の変化」に順応しているのでしょう。

        ”急激な”変化のもたらす混乱。たしかに、戦前より礼儀正しさや人柄のよさ(従順さ?)はなくなったかも知れない。それは戦争による混乱や変化が大きい分、強く感じられるかも知れない。がそれは一面(憂うべきものかも知れないけど)。戦前がよかったというのも、戦前はよくなかったというのも、どちらもちがう。大ざっぱすぎ、善悪極端すぎる。色々な面がある。いつでも、良い面良くない面両方ある。

        大人は、過去の過ちを直視すること。勇気と正直さでもって。
        反省しつつよりよい方向へと、小さくてもできることを精一杯、今をしっかり生きいていく。それしかない。それでいい。

        戦争(革命)はよくない。大きな変化や混乱をもたらすものは、危険。それが、一部の人間の考えによるものなら特に。

        よりよい変化は一人一人の人間の内側から起こる。社会の変化はその”総意”であるべき。(社会の影響とその責任は非常に大きい)


        戦争の罪の深さを感じる。



        小野さんの思いが胸に迫る。
        色々と考えさせられるすばらしい作品だと思います。

        (方向性が違っていれば、”じわじわと”気がつかないうちに大変なことになってしまう。だから、方向性が重要なんです。”戦争や革命”がない時期には、方向性をよくよく見極めておかないと危険だと思うのですが、、、。でも修正の可能性はあります。)
        >> 続きを読む

        2017/10/29 by バカボン

    • 5人が本棚登録しています
      夜想曲集 音楽と夕暮れをめぐる五つの物語
      カテゴリー:小説、物語
      3.7
      いいね!
      • 【美しくて哀しい5篇の音楽】
         この短編集は、いずれも音楽にまつわる物語を収録した物です。そのどれもが美しく、そして悲しみをたたえているように感じました。好著だと思います。

        ○ 老歌手
         舞台はベニス。バンドを渡り歩いているギタリストのヤネクが往年の大歌手トニーと偶然出会います。トニーは、ヤネクの演奏を気に入り、一緒にゴンドラに乗り込んで伴奏してくれないかと頼んできます。何でも、とある窓辺でトニーが歌うのだそうです。曲の構成はこうしよう、この曲は知っているか?などと熱心に語りかけるトニー。
         トニーは妻と一緒にベニスに来ているのですが、おそらく奥様に歌ってあげるのだろうと、ヤネクは思っていたのですが……。

        ○ 降っても晴れても
         古い友人の夫婦を久しぶりに訪ねた主人公ですが、どうも夫婦の様子がおかしいのです。何やら険悪な雰囲気も。旦那の頼みで夫婦関係修復のためにあれこれやってみる主人公ですが、これがまた失敗続きで。しかも、偶然奥さんのメモを読んでしまい、愕然とするハメに。
         この作品には音楽家は登場しませんが、主人公と奥様が共通の音楽の趣味を持っているという設定で、アメリカの古いブロードウェイ・ソングがBGMのように登場します。


        ○ モールバンヒルズで
         主人公はシンガーソングライターを目指す青年。カフェを経営している姉夫婦の元に転がり込み、手伝いをしながら曲を作っていました。そんなとき、カフェに客としてやってきた夫婦に出会い、彼のオリジナルを気に入ってもらえます。
         奥様はかなりツンケンしているのに、旦那様はそれを一生懸命なだめる人当たりの良い人のように思えるのですが、どうも雰囲気がおかしい。
         「あの……うまくいっていないのですか?」

        ○ 夜想曲
         スティーブは才能豊かなジャズ・サックス奏者。実力はあるのですがどうにも売れません。マネージャー曰く、「その顔がなぁ。」スティーブはひょんなことから成形手術を受けることになります。マネージャーは、「これで大ウレ間違いなし!」と妙な太鼓判を押します。
         この成形医はかなり高名な医者で、有名人からの依頼もひっきりなし。そのため、この医者の手術を受けた者は、顔の傷が癒えるまで、顔を包帯でぐるぐる巻きにされたまま豪華なホテルに閉じこめられます。
         さて、とある時、偶然このホテルで成形の傷が癒えるのを待っていた大スターの女性と出くわします。はじめは嫌々ながらも、マネージャーからの「チャンスを逃すな!」との叱咤激励もあり、そのスター女性の部屋を訪れるようになったのですが……

        ○ チェリスト
         イタリアのリゾート地で観光客相手にチェロを弾く主人公。実は正規の音楽教育を受けており、高名な師匠にもついていた経歴を持っているのですが、そんな彼の演奏を聴いて話しかけてきた女性がいました。
         要は、あなたには良い才能があるのだけれど、このままではダメだと。
         分かったような口をきくことから、「すみません、あなたのお名前は?」と尋ねるも、全く知らない名前。でも、女性はチェロの大家だと言います。これは自分が共産圏出身のために情報に疎いだけかもしれない。
         女性から誘われたこともあり個人レッスンのようなものを受けることになります。
         確かにこの女性の指摘は的確で、指導を受けることによりこれまでにはない演奏ができるようになっていきます。
         ですが、どうしたことか、この女性は一度もチェロを弾こうとはしません。それは……

         大変素敵な短編ばかりでとても気に入りました。
         音楽をテーマにしているというのも良いですよね。
         特に、最初の「老歌手」と最後の「チェリスト」が私のお気に入り。
         静かで、悲しみをたたえた作品です。
         2作目の「降っても晴れても」と4作目の「夜想曲」は、ユーモラスな一編ですので、真ん中の「モーバンヒルズで」を挟んで、まるでA-B-C-B-Aという構成の一つの楽曲のようにも思えます。
         カズオ・イシグロは「私を放さないで」に続いて2作目の読書でしたが、なかなかに好きな作家さんかもしれません。
        >> 続きを読む

        2019/02/13 by ef177

    • 5人が本棚登録しています
      夜想曲集 音楽と夕暮れをめぐる五つの物語
      カテゴリー:小説、物語
      5.0
      いいね!
      • カズオ・イシグロは、長篇小説で本領を発揮する作家だと思っていた。

        彼の作品ではいつも、語り手の「私」の言葉を追っているうちに、どうも変だ、この「私」は何か大切なことを隠しているのではないかという、疑念と不安が大きくなっていく。

        率直で明快に見える言葉の向こうに、真実を探すことの"快楽と緊張"が、カズオ・イシグロを読むことにはあり、当然かき分ける言葉が多ければ多いほど、得られるものは大きくなる。

        今回読了したのは、いつか読みたいと思っていた彼の五つの短篇小説からなる「夜想曲集」。
        自らの十八番を封じて、どのような技を見せてくれるのか、大いなる興味を持って読みました。

        この短篇集では、1作を除き、語り手やその他の登場人物の多くがミュージシャンなんですね。
        そして、彼らの誰一人として、音楽の世界で成功しているとは言えない。

        今ひとつ「イケてない」彼らに共通するもの、それは音楽への限りなく深い愛情だ。
        だからこそ、忘れ去られた老歌手も、売れないのは顔のせいだと整形手術を受けさせられるサックス奏者も、チェロを弾けないチェロ教師も、音楽は夜のように分け隔てなく、優しく包み込み、愛に応えてくれる。

        それまでのカズオ・イシグロの作品の主旋律とも言える「私は何者なのか」という問いは、この短篇集で表立っては現われない。
        むしろ、それぞれの短篇で、語り手は音楽をきっかけに他者と出会い、強く惹きつけられ、その他者が何者なのかをストレートな言葉で語る。

        ふと耳にしたフレーズやメロディーのように、他者の記憶がいつまでも忘れられずに甦る。
        音楽は確実に、そして軽やかに人と人とを結びつけている。
        この軽やかさこそ、この短篇集の真骨頂なのかも知れない。

        「夜想曲集」というだけあって、全体のトーンは哀切だ。だが夜のとばりが不意に、笑いで揺れることがある。
        特に「降っても晴れても」「夜想曲」の2篇で登場人物たちが繰り広げる言動は、抱腹絶倒のおかしさに満ちている。

        読み終えてみて新たに思うのは、カズオ・イシグロは、本当に芸域が広い作家だなということですね。

        >> 続きを読む

        2018/10/14 by dreamer

    • 1人が本棚登録しています

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