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カズオ・イシグロ

著者情報
著者名:カズオ・イシグロ
かずおいしぐろ
カズオイシグロ
生年~没年:1954~

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このランキングは1日1回更新されます。
      わたしを離さないで
      カテゴリー:小説、物語
      4.2
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      • よかった。すごくよかった。

        この本の背景にあるテーマは重く非常に考えさせられましたが、それだけでなくとっても面白かった。この本はいつかまた絶対に読み返したい。

        以下、ネタバレします。















        医療の発展で失われるはずの命が助かるようになりました。
        しかしその一方で、人間は取り返しのつかない、入ってはいけない領域に足を踏み入れているのかもしれないと思いました。

        本の中に出てくるキャシー、ルース、トミー…。みんな個性的で、あれ?と違和感を持ちつつも感情移入しながら読みました。読み進めるうちにその違和感の意味がわかりましたが、それでもだからといって読み方が変わることもなく物語に入り込んで読みました。

        本当に私たちと何も変わらない、悩んだり、恋をしたり、悲しんだり、怒ったり、見栄をはったり、仲間を大事に思ったり、希望も不安も持つ、そんな登場事物たちはヘールシャムで保護官によって創作活動に取り組むように言われ数々の作品を生み出しますが、最後にその目的が、心を持っていることを証明するためであったことが明らかになります。登場人物たち、つまり私たちが今クローン人間と呼んでいる存在に完全に感情移入した後に明らかになったこの事実は本当にショッキングでした。でも、私たち人間がいかにも考えそうなことです。たとえば実際に同じようなことが行われたとして、心のこもった作品をクローン人間が作ったとして、それがニュースになったとしたら。科学の進歩スゴイ!と思ってしまうかもしれません。その残酷さに気付くこともなく。

        本の中にも出てきますが、では科学は進歩しなくて良いのかと言われるとそうとも言い切れない自分がいます。娘に何かあった時に助かるかもしれない手段があるのだとしたら。私は何としても娘を助けたいと思うのでしょう。

        この本に出てくる大半の登場人物はクローン人間。
        でもクローン人間と聞いて思い浮かべるような、たとえばクローン対人間の戦いというような派手さは全くなく、とっても繊細で、人間らしい、リアリティのある物語。
        ルースの言動なんて、私が知っている誰かを見ているようで。

        だからこそ怖いし悲しいし胸に迫るのだと思います。
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        2017/12/04 by chao

      • コメント 8件
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      日の名残り
      カテゴリー:小説、物語
      4.5
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      • 初読。遠い昔の英国が舞台だが、久しぶりに川端や谷崎を味わっているような文学の美しさを堪能。

        最近「品格」を問う出来事が後を絶たないが、経済、国勢が傾くと、品は二の次になるようだ。

        英国のように歴史、文化、伝統が成熟し切った国でも「品格」が揺らいだ時代性と、人生の終焉へ向かうの主人公の心境がシンクロするラストの日の名残りが実にほろ苦く、美しかった。
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        2017/11/24 by まきたろう

    • 他7人がレビュー登録、 21人が本棚登録しています
      わたしたちが孤児だったころ
      カテゴリー:小説、物語
      4.5
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      • 租界というものが存在した時代の中国(上海)で幼少時代を過ごしたイギリス人の主人公は、やがて探偵になり、活躍します。

        そして、上海で行方不明になった両親を探すために、大人になって再び上海を目指しますす。
        砲弾の飛び交う中で、幼少の頃に一緒に遊んだ日本人との再会、そして両親の真実を知ることになるのでした。

        ストーリーだけをこうして書き出すと、勇敢な青年の冒険物語ですね。
        しかし、この小説の本質はそこにありません。
        混乱の時代に、命を守ることがどれだけ大変だったのか。
        そして、いつの時代も市民は戦争の犠牲になるしかないという悲しい現実でした。

        「孤児だったころ」というタイトルです。
        人はいつも、結局のところ、孤児としてこの世に放り出される運命にあります。
        孤児だった過去を乗り越え、人はどうなっていくのでしょうか。

        だから「わたしたち」とは、この小説の登場人物に限定されないのではないでしょうか。

        人はみな、この世の孤児である。
        悲しく辛い過去を受け入れ、それでも生きていかねばならない、というイシグロさんからのメッセージを受け取った気がします。

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        2016/07/19 by 中華ドレス

      • コメント 1件
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      遠い山なみの光
      カテゴリー:小説、物語
      5.0
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      • カズオ・イシグロの処女作。
        舞台は長崎とイギリス。
        長崎は主人公悦子が妊婦の時代のシークエンス。イギリスは悦子の2人目の夫との子、ニキとのシークエンス。それらのシークエンスを交互に織り混ぜて作品は成り立っている。

        長崎では仕事人間の夫次郎と暮らす。次郎の父緒方は戦前の常識を引きずったままの言わば堅物。緒方は悦子の恩人。そして近所に住む佐保子。その7.8才の娘万里子。
        イギリスでは英国人の夫と暮らす。長崎の時お腹の中にいた景子は、自殺してしまってこの世にいない。
        ニキはロンドンに一人で住んでいる年頃の娘。

        何か無理をしているような強がっているような長崎での友人佐保子。空回りして無理をしているような母に半分放置され、暗い影が見える、子供らしい無邪気さを見せない万里子。
        そんな佐保子とそれに無理にあわせるしかない悦子。
        戦前の価値観が正しいと信じて疑わない緒方と、それを疎ましく思う息子次郎。
        いろんなことがズレている。噛み合わないまま物語中でそれらが修復した気配はない。

        佐保子はアメリカ人と暮らすと言い、長崎を出てどうなったか分からない。景子は何故死んだのか分からない。最初の夫次郎と何故別れたのかも分からない。
        何か足りないような余韻を残したまま、物語は進む。
        でも最終的に悦子はイギリスで平和に暮らしている。

        長崎とイギリスの景色だけぽかんと頭の中に残る。
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        2017/10/13 by Reo-1971

    • 5人が本棚登録しています
      浮世の画家
      カテゴリー:小説、物語
      5.0
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      • 寂しい・・・切ない・・・

        変わり方が”極端”なんだな~。右から左へ。

        中道を堂々と歩けばいいんだけど、どこが中道なのかがわからない。その時代の空気によって、迷いながら生きている人間。それが人間。

        みんな最善を尽くしているつもり。よかれと思って・・・。

        「”若者の性格”が変わってしまった」のではなく、「社会の変化」に順応しているのでしょう。

        ”急激な”変化のもたらす混乱。たしかに、戦前より礼儀正しさや人柄のよさ(従順さ?)はなくなったかも知れない。それは戦争による混乱や変化が大きい分、強く感じられるかも知れない。がそれは一面(憂うべきものかも知れないけど)。戦前がよかったというのも、戦前はよくなかったというのも、どちらもちがう。大ざっぱすぎ、善悪極端すぎる。色々な面がある。いつでも、良い面良くない面両方ある。

        大人は、過去の過ちを直視すること。勇気と正直さでもって。
        反省しつつよりよい方向へと、小さくてもできることを精一杯、今をしっかり生きいていく。それしかない。それでいい。

        戦争(革命)はよくない。大きな変化や混乱をもたらすものは、危険。それが、一部の人間の考えによるものなら特に。

        よりよい変化は一人一人の人間の内側から起こる。社会の変化はその”総意”であるべき。(社会の影響とその責任は非常に大きい)


        戦争の罪の深さを感じる。



        小野さんの思いが胸に迫る。
        色々と考えさせられるすばらしい作品だと思います。

        (方向性が違っていれば、”じわじわと”気がつかないうちに大変なことになってしまう。だから、方向性が重要なんです。”戦争や革命”がない時期には、方向性をよくよく見極めておかないと危険だと思うのですが、、、。でも修正の可能性はあります。)
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        2017/10/29 by バカボン

    • 3人が本棚登録しています
      充たされざる者
      カテゴリー:小説、物語
      3.0
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      • 終始よく分からない話なんです。
        でも最後のページまで辿り着くと、少しだけ心が軽くなったような気になる。そして朝ごはんっていいなって思える。そんな話。 >> 続きを読む

        2016/03/17 by one

    • 4人が本棚登録しています
      わたしを離さないで
      カテゴリー:小説、物語
      5.0
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      • 前置きとして、まず読んで思いに浸りましょう、それぞれに。
        だからちょこっとだけ感想書きます。

        読み終えた時、とても静かな悲しみが自分の周りに広がっていた。冬、誰もいない海岸、目の前の広大な海に、ブイだけがぽつんと浮かんでいる、そんな静かな悲しみ。

        その静かな感じはどこから来るのか?

        カズオ・イシグロが自然に、とても自然にストーリーを運んでいっているからだ。だから主人公のキャシーは次々に起こる死を静かにに受け入れていく。キャシーと同じように私たちも死を(死の場面を)静かに受け入れる。それは私たちが提供者の宿命を分かっているからかもしれないが、カズオ・イシグロのストーリー運びの絶妙さに依る所もかなり大きいと思うのである。

        一番私の心に居座っているのは、我々が他人や自分の死を受け入れる時の心の持ち方を(提供者というフィルターを作品から少し獲得した心で)、改めて考えることである。

        火をつけるとパチパチ火花が勢いよくはぜて、そのうち小さなチリチリになって、そして小さな火の球ほのかに光り、最後にポロッと落ちる、そんな線香花火のような風情の作品だと感じました。
        >> 続きを読む

        2017/10/18 by Reo-1971

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【カズオ・イシグロ】(カズオイシグロ) | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト(著者,作家,作者)

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