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KastnerErich

著者情報
著者名:KastnerErich
KastnerErich
KastnerErich
生年~没年:1899~1974

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このランキングは1日1回更新されます。
      飛ぶ教室
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
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      • メリークリスマス!
        クリスマスにふさわしい一冊ですね。
        小学生のころ、児童文学の定番として買い与えられていたので、何度か読んでいます。今回は数十年ぶりでの再読でした。

        「飛ぶ教室」って実はあまり面白いと思っていなかったんです。
        ケストナーではなんてったって「ふたりのロッテ」が一番のお気に入りでした。
        「点子ちゃんとアントン」もステキなお話しです。
        私は女の子だったから、主人公が少年の話に馴染まなかったのか?という訳ではないのです。
        少年が主人公の話はいくらでも読んでいましたし、
        同じくギナジウムの寄宿生の少年たちの物語で「犬のウォータンは同級生」という小説があるのですが、これはそれこそ何度も読み返しているほど大好きで、つい先日も図書館で探して読んだのですが、やはりとびきり楽しい小説でした。
        「飛ぶ教室」より、ずっとずっと面白いと今でも断言できます。

        成績はいつもトップで絵も得意でリーダーシップもあって貧乏で奨学金をもらっているマルティン。
        大食いで喧嘩がめちゃくちゃ強くて、勉強は全然できないけれど弱いものに優しいマティアス。
        親に捨てられて善人の船長に引き取られ、作家を夢みるジョニー、好奇心旺盛で読書家で頭の回転が早く口が立つ(口がすぎる?)ゼバスティアン、ひ弱で弱虫コンプレックスを抱えているウーリの5人組がメイン。
        舎監の先生で少年たちに圧倒的に慕われている「正義さん」とあだ名されるベーク先生。
        世捨て人のように市民菜園に置かれた列車の禁煙車両で暮らしている「禁煙さん」
        魅力的な若い大人も子供たちに重要なかかわりを持っている。

        これで面白くないわけがない。のですが。

        子ども心に戻って「飛ぶ教室」を味わいつつ、不満な点を挙げてみます。

        まず、真面目過ぎるんですね。
        学校同士の出入りの喧嘩にしても弱い者いじめの話にしても、親子の問題にしても。
        正しいことがある。という前提です。
        喧嘩でさえも、味方と敵。敵でも、立派なリーダーとクズ。のような色分けがあります。
        チビのウーリは、蛮勇を見せて自分に自信を持つことができるようになりますが、彼を好きになれないんですよね。
        しかも彼は元々貴族で支配階級の人間であることが仄めかされています。

        教師も全て善人です。
        子どもの為に良かれと思ったことを成すのが教師です。
        しかし子供に都合の良い事ばかりが起こるのは、現実的ではありません。

        確かに、子どもたちは常に正しくありたいと思っています。
        でもそれができない自分もわかっています。
        世の中が「正義」と「不正」に色分けできないことだって、実は知っているのです。
        だから「飛ぶ教室」の主人公たちのように個性はバラバラで欠点だってあるけれど決して「悪」ではない子どもや先生たち。
        それは子どもにとってはフィクション(憧れるけれど現実ではない)なんですね。

        こどもというのは、もっと大嘘な小説をたくさんよんでいるために(小公女や小公子、フランダースの犬とか長くつしたのピッピだとか15少年漂流記だとか王子と乞食だと宝島とか、そういう数奇な運命や冒険の物語がいっぱいありますからね)
        マルティンの貧乏やジョニーの孤独などは、子どもにはどの程度の深刻さかなんてわからなかった気がします。
        愛するお父さんお母さんがいて、休暇に会えないだけなのに。もっと可哀想なのは、親に愛されている確信が持てない子どもでしょうに。とか。

        大人になってから読んだ方が感情移入できるように思える部分がかなりありました。
        親の目線で子どもを思いやることが今の私にはできるからです
        禁煙さんと正義さんの古い友情についても、大人になればこその味わいを感じることができました。

        しかし、犬が物語を盛り上げてくれることもあって、プロットとしては「犬のウォータン」の方が面白いんですよ。

        「犬のウォータン」にも体格がよく勉強ができない落第生とひ弱な少年の対比がでてきます。ひ弱な少年はそういえば、これもやはり木から落ちるんだった。よく似ていますね。
        でもキャラクター設定が全然違うんです。
        力自慢の少年は親との関係が悪く、落第も親を困らせる為でした。
        赤毛でひ弱な少年も、めちゃくちゃ向こうっ気は強いんです。口もたちます。仲間内で喧嘩もします。
        主人公はごく普通の男の子。双子の姉妹たちの中でたった一人の男の子で、女の子にちょっとウンザリしています。
        つまり、人間的により身近な感じがするのです。
        先生達も長所も短所(クセというべきか)も持っている、同じ人間って感じがします。


        ストーリーよりも、事件が起き、それについて、誰が何を語ったか?
        これが「飛ぶ教室」の胆です。
        ウーリのはしご飛び降り事件のあとのゼバスティアンの名言
        「ウーリのほうが恥を知ってるってことなんだよ」
        禁煙さんの「金や、地位や、名誉なんて、子どもっぽいものじゃないか。おもちゃにすぎない。そんなもの、本物の大人なら相手にしない」

        それ以上に作者ケストナーの言葉
        「人生で大切なのは、なにが悲しいかではなく、どれくらい悲しいか、だけなのだ。子どもの涙が大人の涙より小さいなんてことは絶対にない」
        「自分をごまかしてはいけない。ごまかされてもいけない。災難にあっても、目をそらさないで。うまくいかないことがあっても、驚かないで。運が悪くても、しょんぼりしないで。元気をだして。打たれ強くならなくちゃ」

        子ども時代を決して忘れないと約束してもらいたいというケストナー。
        その人の生き方そのものが小説の形で魅力として迫ってくるから、彼の小説が今でも読まれ続けているのです。
        歌が、その技術以上に、歌い手の人間性や想いを伝えるものであるように、小説にも作家その人の想いが読み手に流れてくることがあります。

        ケストナーは子どもに期待したのでしょう。
        よりよく生きるように。世の中をもっと明るく強いものにしてもらいたいと。

        「どんな迷惑行為も、それをやった者にだけ責任があるのではなく、それを止めなかった者にも責任がある」
        クロイツカム先生の罰則は、メッセージの一つ。
        ナチスの暴走を止められなかったドイツの同朋への批判でもある訳です。
        どうか、同じ過ちを繰り返さないで。
        ああ、今の時代にも、この言葉は伝えたいですね。

        だからこの本は、親が子どもに「読ませたい本」であり続けているのです。

        ケストナーの反骨精神は、確かに打たれ強かった。
        そしていつも市民の側にいた人でした。
        彼の本も同じですね。

        ちなみに「飛ぶ教室」というのは彼ら5人が脚本から演出から舞台美術、役者まで自分たちでやる、クリスマス祭に体育館で上演する演劇のタイトルです。
        >> 続きを読む

        2018/12/25 by 月うさぎ

      • コメント 5件
    • 他5人がレビュー登録、 14人が本棚登録しています
      飛ぶ教室
      カテゴリー:小説、物語
      4.2
      いいね! Moffy
      • 本書のまえがきを読むと著者の人生と正義に関する読者への痛切なメッセージがあり、何かただならないものを感じる人も少なくないと思います。
        それはこの本が書かれた時代を反映しています。
        それは、著者の母国ドイツでナチスが台頭し、世界中が人類史上最悪の戦争に向かっていた時代です。
        著者はナチスに迫害されながらもドイツに留まり続け、次世代を担う子供たちの為に、メッセージを送り続けていたのです。

        元気の良い男子寄宿学生たちが繰り広げる物語。

        読み終わって感じたのは、懐かしさでした。
        昔の子供達ってこんな感じだったよなとしみじみ感じました。
        様々な背景を持った少年たちが一緒に喜んだり悲しんだり、時にケンカもあったりで、ちっともじっとしていない。
        生命力にあふれた少年たちの物語は、クリスマス集会での「飛ぶ教室」という題の劇の上演に向けて集束してゆく。
        彼らは、様々な経験をし、また人生の師とも呼べるような大人たちとの出会い等を通して人として成長してゆく。
        物語のエンディングはクリスマスにふさわしい素晴らしいもので、図らずも少しほろりとしてしまいました。
        >> 続きを読む

        2017/12/28 by くにやん

    • 他2人がレビュー登録、 10人が本棚登録しています
      エ-ミ-ルと探偵たち
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      • 列車の中でお金を盗まれてしまったエーミールが、仲間を見つけ、その仲間たちと協力して、どろぼうを捕まえるお話。
        このお話に登場する子どもたちはみんな自立してる。自分の義務を理解しているし、自分の行動には責任を持つし、だからこそ、自分自身に誇りを持っている。
        こんなにかっこよく真っ直ぐに、私はもう生きていないので、読んでる間中ちょっと後ろめたかった。それから、久々に爽やかなお話を読んだなと思ったし、こんな風に生きていける世界はやっぱりいいなとも思った。
        世の中に悪い大人がいても、子どもたちは真っ直ぐに育つことができる、近くに良い大人さえ居れば。
        >> 続きを読む

        2018/12/24 by はろ太

    • 2人が本棚登録しています
      飛ぶ教室
      カテゴリー:小説、物語
      4.5
      いいね!
      • 2周目。高校生の少年5人が繰り広げる青春ストーリー。

        実業学校とのハラハラする決闘、センスのいいギャグ、ワクワクするクリスマスの雰囲気。読んでいて私の心は本の中の彼らのように輝いた。
        彼らは高校生。高校生にしては(あるいはそれが本来の高校生か)立派な大人のようにしっかりしていて、それでいて子供のようにあどけない。このギャップがけなげでたまらない。

        先生は生徒を大切にし、生徒は先生を尊敬する。
        たとえ生徒が愛おしくて頭を撫でたくても我慢したり、先生が大好きでも抱きついたりしなかったりする両者の立場のわきまえがまたしっかりしているなあと感心する。
        初読の時とはまた違う気づきを持って読めた。

        このギムナジウムの雰囲気は、女や年齢が離れている者には味わえないものがあるんだと思っている。男同士の学生でしか味わえない何かが。
        >> 続きを読む

        2015/06/07 by Nanna

      • コメント 1件
    • 3人が本棚登録しています

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