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スティーヴン・キング

著者情報
著者名:スティーヴン・キング
すてぃーう゛ん・きんぐ
スティーヴン・キング
生年~没年:1947~

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このランキングは1日1回更新されます。
      スタンド・バイ・ミ- 恐怖の四季秋冬編
      カテゴリー:小説、物語
      3.0
      いいね!
      • 8月の課題図書だけど読むのが異常に時間かかった。。
        評判の良い小説だけど、私には合わなかったみたい。

        だけど所々で心に響く言葉があった。

        「なににもまして重要なことは、
        なににもまして口に出して言いがたいものだ。」

        「上流のトレッスルはなくなったが、川はまだ流れている。
        そしてわたしもまた、そうだ。」

        ラストも良かった。
        あれだけ冒険して必死に生きた日々の過ぎ去った姿みたいなものが、すごくドライでリアル。
        時というものは一度過ぎたら決して元に戻らないのだ。

        あと思ったことは、原作の小説と映画がある場合は基本原作から読むべきだということ。映像を見てしまっているから、自分の想像力が広がらない。今度から原作を読みたい場合は必ず原作からにしよう。
        >> 続きを読む

        2014/09/15 by chao

      • コメント 3件
    • 他5人がレビュー登録、 22人が本棚登録しています
      シャイニング
      カテゴリー:小説、物語
      4.5
      いいね!
      • 【秀逸なホラーだと思います】
         私の好きな映画の一つに、スタンリー・キューブリック監督の『シャイニング』があります。
         どうも主演のジャック・ニコルソンの『うひひ振り』ばかりがクローズ・アップされがちですが、映像がとてもすごいと思いますし、幻想シーンは圧巻で良質のホラーだと思っています。

         さて、本作は、その原作となった作品です。
         未読でしたので映画との比較も念頭に置いて読んでみました。

         物語は、主人公のジャックが、生活費を稼ぎ出すために冬季閉鎖されるホテルの管理人の職を得てきたところから始まります。
         ジャックは、アル中で癇癖持ちの中年男です。
         高校教師だったのですが、生徒とトラブルを起こし、それが原因でクビになってしまいます。
         小説なども書いており、リーダース・ダイジェストに作品が掲載されたこともあるのですが、すっかりスランプで、新しい作品が書けません。

         すさんだ生活の中、執筆途中の原稿をまだ幼い長男のダニーが汚してしまったことに激怒し、ダニーの腕を折るなどということもしでかした事がある男でした。
         妻のウィンディは離婚も考えたのですが、ジャックが酒を断ったこともあり、かろうじて踏みとどまっているという状況です。
         ジャックは、生活のため何とか収入を得なければならず、かつての飲み仲間で裕福な知人の紹介でホテル管理人の職を手に入れたのです。

         ジャックは一家揃ってホテルに移り住み、冬の間、雪のため外部と途絶されるホテルで戯曲を書き上げようと考えていました。
         確かに美しい場所に建つ老舗のホテルであり、食料もふんだんに蓄えられているので良い仕事とも思えたのです。
         確かに良い仕事ですよね~。
         外部との交通が途絶されるとしても、私もこんな仕事ならやってみたいと思います。

         ですが、ジャックの採用面接をした支配人は危惧感を抱いています。
         それは、前任の冬季管理人は、閉鎖的な生活に耐えきれず、冬の間に発狂し、同道していた家族を惨殺して自分も死ぬというとんでもない事件を引き起こしていたからです。
         支配人は、ジャックが以前アル中だったということも知っていましたので、またおかしくなるのではないかと不安で仕方がないのです。
         本当ならジャックなど雇いたくないのですが、ジャックの裕福な知人の口添えもあることからやむなく採用したのでした。

         さて、ジャックの長男のダニーには特殊な能力が備わっていました。
         それは、他人の心が読めたり、過去あったことや未来起こるであろうことが分かったりと、そんな能力です。
         ダニーはまだ5歳なので、それが特殊能力だということを完全に理解できてはいないのですが、『かがやくもの』と、その力のことを認識していました。
         つまり、『シャイニング』ですね。

         ジャックに連れられてこのオーバールックホテルに初めて来た時、紹介された料理人にダニーの力が見抜かれます。
         料理人も同じ力の持ち主だったのです。
         でも、ダニーの方が数倍強い力を持っていたのですが。
         料理人は、ダニーに217号室だけには行ってはいけないと強く忠告します。
         また、ここで恐ろしい物を見るかもしれないが、それは絵本の挿絵のようなものに過ぎず、お前に危害を加えることはない。
         目を閉じれば消えてしまうから大丈夫だとも忠告するのでした。
         そして、もし何かあったらその力で俺を呼べとも。

         ホテルという場所は、沢山の事が起きる場所です。
         特に老舗のホテルともなると、そこで様々な事件が起き、また、人が死ぬことも少なくないのです。
         ここ、オーバールックホテルも例外ではありません。
         そんな死の痕跡が、ダニーのような能力を持つ者には見えてしまうのですね。

         ホテルに移り住んだ一家は、当初は非常に順調でした。
         夫婦仲も円満に推移し、それが分かるダニーもごきげんです。
         でも、このホテルに巣喰う過去の死や様々な出来事の重圧でしょうか。
         徐々にジャックの様子がおかしくなっていきます。
         特に、物置部屋でこのホテルに関する過去の事件のスクラップブックを見つけて以降は。
         オーバールックホテルでは、過去相当ひどい事件が起きていたことが分かってしまったのです。

         断酒しているジャックは、酒を飲みたいという強い欲求にかられ、過去、酒を飲んでいた時に頻出していた、口をぬぐう癖が再発してしまい、また、二日酔いの時に常用していたエキセドリンを、頭痛を理由に噛み砕くようにして飲み始めてしまいます。
         いえ、実際に頭痛がしたのですが。

         というわけで、上巻は、徐々にジャックがおかしくなり始める辺りまでが描かれます。
         これが映画ではどうだったかというと、上巻の最初の方はあっと言う間にすっ飛ばしています。
         第一部なんてほとんど映画では触れていないんじゃないかな?
         また、小説ではここまで描くあいだに様々なエピソードが挿入されていますが、映画ではそれもすべてカットされています。
         時間の関係ももちろんあるのでしょうが、映画では、非常にシャープにジャックの狂気やダニーが見る幻覚に集中して描かれていきます。
        その手法がクリアなんですよね~。

         キングの原作も、じわじわ迫る狂気と恐怖を描いていて秀逸ですが、それをああいう映画にしたキューブリックの手腕のすごさが、原作を読んでより一層際だったように感じました。
         下巻レビューもお楽しみに。
        >> 続きを読む

        2019/07/04 by ef177

    • 他4人がレビュー登録、 9人が本棚登録しています
      キャリー
      カテゴリー:小説、物語
      4.3
      いいね!
      • 【余りにも哀し過ぎる】
         スティーヴン・キングのデビュー作です。
         内容は薄々知ってはいたものの、原作を読んだことはなかったので読んでみました。

         主人公キャリーは、16歳の女子高校生。
         母親が狂信的なキリスト教信者で、キャリーを生んだこと(つまり自分が性交したこと)自体を罪と信じており、キャリーをまともに育てようとはしてきませんでした。
         キャリーに対する正常な愛情はなく、宗教一色に染まった生活を強い、16歳の女の子であれば普通に楽しむであろう娯楽も、おしゃれも、何もかも取り上げるような母親でした。

         キャリーは、本来は魅力的な女の子のはずなのに、流行遅れのやぼったい服を着せられ、身だしなみを気に掛けることも許されなかったため、いわゆる鈍くさい女の子としていじめられ続けます。
         今、通っている高校でも、特に女子生徒からの陰湿ないじめを繰り返し受け続けているのでした。

         ある日、体育の後、シャワーを浴びていた時、キャリーは初潮を迎えます。
         母親からはちゃんとしたことを教えてもらえず、確かに学校の授業では習ったはずではあるのですが、キャリーの耳には届いていませんでした。
         出血しているのを見て何もできず、呆然としているキャリーを、女子生徒達はあざけり、からかい、生理用品を投げつけて笑い者にします。
         騒ぎを聞きつけて入ってきた女性教師がその場を収めますが、教師もまさかキャリーが月経を知らないとは思っていなかったため、逆に「何をしているの!」とキャリーを叱責してしまいます。

         学校を早退することを許されたキャリーは、家に帰ると事の次第を知った母親から、「お前は女になったんだよ!」と頭ごなしに怒鳴りつけられ、不浄な存在であるとしてクローゼットに押し込められて祈りを強制させられます。

         実は、キャリーにはテレキネシスの能力が備わっていました。
         精神の力だけで物体を動かすことができる能力。
         それは普段は抑圧されているのですが、強いストレスを受けた時などには解放されることがありました。
         その力が、キャリーの中で育って行ったのです。

         キャリーの同級生のスーは、これまでにキャリーがいじめられているのを黙って見てきていましたし、自分から積極的にいじめに加わるようなことはしないまでも、鈍くさいキャリーに嫌悪感のような気持ちを抱いていたことも事実でした。
         そして、シャワー・ルームの一件の時も、何故か他の女子生徒に混じって自分もキャリーに生理用品を投げつけてしまったのです。
         それを恥じ、自己嫌悪に陥ってもいました。

         女性教師は、徐々に事の真相を理解するようになり、自分が思わずキャリーを叱責してしまったことを深く悔いました。
         そして、同級生がキャリーにした仕打ちを許すことはできないと考え、学校側に処罰を求めます。
         その結果、キャリーに生理用品を投げつけた者達は一週間居残りの罰を命ぜられたのでした。
        女性教師は、罰を言い渡した女子生徒達に、自分たちがどれほど酷いことをしたのかを自覚しろと叱り、居残り期間中は厳しく処遇すると言い渡します。
         そして、居残りに反した場合には、間近に予定されている学校主催の伝統的なダンスパーティへの参加を禁じると言い渡したのです。

         キャリーをいじめる中心だったのはクリスという女子生徒でした。
         彼女は自分の取り巻きと一緒になっていつもキャリーをいじめていました。
         彼女の父親は、弁護士で町の有力者でもあったため、クリスはつけあがり、増長していたのです。
         厳しい居残り罰など誰が受けるものか、父親にいいつけてやるなどと考え、居残りをしなかった結果、ダンスパーティへの出席を禁じられてしまいます。

         一方のスーは、キャリーに詫びたいという一心から、自分のボーイフレンドに対し、ダンスパーティには自分ではなくキャリーを誘ってあげて欲しいと頼み込みます。
         ボーイフレンドは、自分が誘ってもキャリーは断るだろうと思っていたのですが、意に反してキャリーはその誘いを受けたのです。
         キャリーだって、ダンスパーティに憧れており、例え嘘や同情でも良いから参加できたらと願ってもいたのですから。

         それは当然のことながら学校中の噂になり、面白くないクリスは、ダンスパーティに出られなくなったのもキャリーのせいだと逆恨みし、自分がつきあっていた不良少年を使って、全校生徒の面前で、キャリーに決定的な生き恥をかかせてやるという復讐を企みます。

         さて、ダンスパーティの当日。
         キャリーは、初めて母親の反対を押し切り、お小遣いを貯めて密かに買っていた生地を使って、生まれて初めておしゃれなドレスを自分で縫い上げ、着飾ってパーティに参加しました。
         そんなキャリーは確かに美しかったのです。
         スーに頼まれてキャリーを誘った彼も、事実、キャリーは美しいと思いました。

         さて、そんなキャリーに対してクリスはどのような復讐を企てたのか。
         その結果は?
         というのが本作の粗筋です。

         作中のスーの言葉の中に、キャリーをいじめたのは男子生徒もいたけれど、女子生徒がひどいのだと言う場面があります。
         男子生徒はいじめたとしてもそれは一過性のもので、すぐにそんなことは忘れてしまうけれど、女子生徒はいつまでもねちねちといじめ続けるのだと独白しています。
         あぁ……。

         ストーリーは至ってシンプルではあるのですが、一気に読ませてしまう力があるのは、デビュー作と言えどもやはりキングだなぁと実感しました。
         映画化もされていますが、ここは一つ、原作を読んでみませんか?
        >> 続きを読む

        2019/06/27 by ef177

    • 他2人がレビュー登録、 9人が本棚登録しています
      ゴ-ルデンボ-イ 恐怖の四季春夏編
      カテゴリー:小説、物語
      4.3
      いいね! kimiyasu
      • 『刑務所のリタ・ヘイワース』
        ラストシーンは鳥肌が立つほどの爽快感。
        集中しすぎていたせいか、電車を一駅乗り過ごしました。 >> 続きを読む

        2016/03/17 by one

    • 他2人がレビュー登録、 8人が本棚登録しています
      It
      It
      カテゴリー:小説、物語
      4.3
      いいね!

      • スティーヴン・キングの「IT」(1~4巻)を、2日間かけて読了しました。

        最初、斜に構えて読み始めましたが、そのうちに、知らない間にのめり込み、こうなるともう、完全にキングの術中にはまってしまって、この長大な物語から抜け出ることが出来なくなっていました。

        しかも、最終章に待っているのは、これまでキング作品に感じたことのない感情なんですね。
        込み上げてくる感動に、いささか戸惑ったのは、キングに対する、ある種の偏見を私が持ち続けていたせいかもしれません。それにしても、参りました。

        六人の少年と一人の少女がITと闘う1958年と、彼らが大人になってから再び闘う1985年が、絶妙にクロスして語られるんですね。

        まずプロローグ的な一章、二章に続く第三章は、大人になった彼らが仲間の連絡を受けて故郷の町に戻って来る1985年の〈現在〉で、故郷で残虐な殺人が発生し、その背景に存在する〈化け物〉と再び闘う時が来た、ということだけが、彼らの現在の生活と挿話を紹介しながら、ゆったりと語られていきます。

        不安を秘めた、実に巧みな導入部だ。

        26~27年ごとに大量の行方不明者や死者が出ることも暗示され、これに続く第二部からいよいよ〈過去の闘い〉と〈現在の闘い〉がクロスしていく。

        彼らが27年前の闘いを忘れている設定なので、我々読者には、ITとはなんなのか、彼らはどう闘ったのか、その肝心の部分が微妙に伏せられたまま進んで行くというのも、実にうまい。

        ITはなかなか出て来ないんですね。膨大な寄り道と言ってもいいが、こういう枝の部分を描くと、キングはもともと群を抜いてうまい作家だから退屈することはないんですね。

        いつもなら、もっと早く出てこいと悪態をつくところなのに、そんな暇もなく読み耽ったのは、枝が徐々に太い幹に収斂されていく構成のうまさとリズムの良さ、そのバランスが絶妙だからなんですね。

        そして、何と言っても圧巻は、最終章の第五部だ。
        ここに至って、ITの正体と27年間の闘いの実態が明らかになるのだ。

        そこに、現在の闘いをクロスさせていくキングの筆致の冴えは、実に見事だ。
        過去と現在が、物語上で捩れていくのは珍しくないが、これはその構成とテーマが不可分なのだ。

        表面的には、化け物の正体にがっかりするという"スティンガー・ショック"に近いものがあっても、もちろんまったく異なっているんですね。

        愛と勇気の物語という、この感動的なラストの力強さは、もっと根源的なものだと思いますね。

        >> 続きを読む

        2018/09/11 by dreamer

      • コメント 4件
    • 他2人がレビュー登録、 6人が本棚登録しています
      ドリームキャッチャー
      カテゴリー:小説、物語
      5.0
      いいね!

      • ホラーの帝王、スティーヴン・キングの「ドリームキャッチャー」(新潮文庫1~4)は、一見、三人称多視点のハリウッド・スタイルに見えますが、いかにもキングらしいというか、キングにしか許されないタイプのエンターテインメント小説の傑作だと思う。

        ただし、映画版はまったく駄目でしたが-------。

        メイン州の山奥に宇宙船が墜落する。
        胞子状の異星生命が、人体に感染して広がるのを防ぐため、特殊部隊が周囲一帯を封鎖する。

        鹿撃ち猟にやってきた幼馴染みの中年男四人組は、山小屋で事件に巻き込まれ、その中の一人は異星人に体を乗っ取られてしまう。

        封鎖を突破した彼を追って、熾烈な追跡劇が幕を開ける---のですが、実を言うと、こうした派手なスペクタクルは、少なくとも私にはどうでもいいんですね。

        この小説の真の舞台は、登場人物たちのインナースペース。
        体を支配された男は、自分の心の中の部屋に立てこもり、段ボール箱に入れて積み上げた"記憶"だけを武器に、地球外生命体に立ち向かうんですね。

        テレパシーを操る宇宙人に取り憑かれた人間は、偶然にも超能力者でした---みたいな設定だから、並みの作家が書けばご都合主義の極みだと謗られるか、プロット段階でボツを食ってもおかしくないんですね。

        しかし、キングの魔術的なストーリーテリングは、その偶然を必然に変えてしまうのだ。
        ちらちらと小出しにされてきた四人組の少年時代の話が、小説の現在に追いついた時、事件の様相は一変するのだった-------。

        中年男の"心象風景"をこんなかたちで書けるのは、恐らくキングだけだろうと思う。

        客観的にみて、娯楽小説としてもSF小説としても破綻しているとは思いますが、そんな欠陥は些細なことだと思う。
        この異様な迫力を堪能すればいいと思う。

        そして、映像化できない部分がキモなので、うっかり映画を先に観た人も大丈夫だと思いますね。

        >> 続きを読む

        2018/05/28 by dreamer

    • 他1人がレビュー登録、 5人が本棚登録しています
      デスペレーション
      カテゴリー:小説、物語
      5.0
      いいね!
      • な、ながかったよ。
        上下2段組550ページありました。

        理不尽に警官に連行される最初のあたりがいい。
        コリー・エントラジアンのキャラが不気味でね〜
        人間の狂気でいくのかと思ったらやはりキングですね!
        文庫より文芸書のほうのカバーが好き。

        何冊か間をはさんでからレギュレイターズを読むよー

        >> 続きを読む

        2016/02/18 by 降りる人

    • 他1人がレビュー登録、 3人が本棚登録しています
      シャイニング
      カテゴリー:小説、物語
      4.7
      いいね!
      • 【映画と比較してみる】
         下巻に入り、ジャックの狂気はますます進行していきます。
         それと共に、幻影? いえ、実態を持った者達がオーバールックホテルの中を徘徊しはじめます。

         装飾庭園に設えられた動物の形に刈り込まれた樹木が動き出したり、夜毎仮面舞踏会が開かれたり。
         酒が欲しくてたまらないジャックの前には、バーテンダーが酒を出してきたり。
         正体無く酔いつぶれて倒れ込んでいるジャックからは明らかに酒の臭いがします。
         あるはずのない酒が一体どこから出てきたというのでしょう。

         長年にわたり、オーバールックホテルに棲み着いてきた悪霊のような者たちが跋扈し、ジャックに取り憑き、ジャックを介してダニーやウェンディを殺害しようとします。
         そうすれば、ジャックはオーバールックホテルに棲み付く者達の仲間入りができると唆されてしまうのです。

         さて、本作は、ある意味では『幽霊屋敷』物と言っても良いでしょう。
         オーバールックホテルという『幽霊屋敷』に巣喰っている霊が人間に取り憑き、狂気に陥れていく物語と言えそうです。

         この狂気を余すところ無く描き出したのが、スタンリー・キューブリック監督による映画版シャイニングだったわけですが、原作といくつかの点で違いがあります。
         まず、映画版で私がもの凄く恐ろしく感じたシーンが原作にはありません。
         それは、ジャックはホテルで戯曲を書き上げようとしていたというのは原作にもある設定なんですが、映画では、一心不乱にタイプライターを叩くジャックの姿が映し出され、その山と積み重なっている原稿を妻のウェンディが見ると、そこには”All work and no play makes Jack a dull boy. ”という文字だけがびっしりとタイプされていたという、ジャックの狂気を描いた場面ですが、これは原作にはありません。

         この”All work and no play makes Jack a dull boy. ”は、ご存知の通り、「よく学びよく遊べ」ということわざの英語版ですが、”makes Jack a dull boy.”というところが、登場人物の名前であるジャックとひっかけられていて何とも言えない恐怖を醸し出します。

         また、狂気に陥ったジャックがダニーやウェンディを襲うシーンですが、映画版ではジャックは手斧を振り回して襲ってきます。
         原作では手斧ではなく、ロークという球戯に使う槌を振り回すとされています。
         この槌が壁に叩きつけられて、「どーん!」という音が響き渡る描写があるのですが、この点は原作の方が恐いかも知れません。

         さらには、映画版では、おそらく前任の冬季管理人が殺害したという二人の娘だと思うのですが、その亡霊が登場し、また、廊下中を川のように血が流れてくるという衝撃的なシーンがありましたが、原作にはそのようなシーンはありません。
         あの二人の女の子は恐かったんですよね~。

         そして、ラストの処理の仕方も映画と原作では異なっています。
         私は映画版の方が好きですが、どういうラストになっているのかはお読みいただいてのお楽しみということで。

         いずれにしても心理的にじわじわくる恐ろしさ満載の、良質なホラーだと思いました。
         続編も書かれているということですので、そちらも楽しみです。
        >> 続きを読む

        2019/07/05 by ef177

    • 他1人がレビュー登録、 7人が本棚登録しています
      マ-ティ
      カテゴリー:小説、物語
      3.0
      いいね!
      • スティーヴン・キングによる、ホラーの定番キャラクターとも言うべき狼男をテーマに描いた物語。

        他のキング作品同様、本書もすぐに映画化されましたが、日本では劇場未公開のまま。

        その後 「死霊の牙」という題名で何度かテレビ 放送された時もあるので、キングの原作とは知らずに鑑賞された方もいらっしゃるのでは?

        本書は良くも悪くもキングっぽい描写が抑えられてるため、スラスラと読めますけど、その分ストーリー展開もさほど新鮮さがなく、キングのファンからすれば " こういった物語も書けるんだ・・・"で納得するしかありません。

        その反動かは定かではありませんが、翌年にはあの「IT」を発表。

        しばらくはとんでもない大作&傑作を相次いで発表し" ホラーの帝王"という称号は不動になったわけです。
        >> 続きを読む

        2017/08/28 by アーチャー

    • 1人が本棚登録しています
      書くことについて
      カテゴリー:英米文学
      5.0
      いいね!
      • モダンホラーの巨匠、スティーヴン・キングによる文章術指南書。
        ただし、最初の3分の1ほどは、断片的なエピソードで綴るキング自身の半生記。

        最初からキングの文章術についての南が始まると期待していると、肩透かしをくらう形になる。
        ただ、その中に将来、ペンで生計を立てる事になるのを感じさせるエピソードもある。
        やはり、子供の頃から文才の片鱗は見せていたようだ。

        キングの半生についての話が終わると、いよいよ文章術についての話になるのだが、「技」は極めてシンプル。

        まず、「面白い小説を書くための、"魔法"は存在しない」ということ。
        "魔法"に最も近い方法は「たくさん読み、たくさん書くこと」
        その後、文体、会話、ストーリー、テンポ、推敲などの話に入っていく。

        その内容は多岐にわたるが、分かりやすい。
        正直、英語と日本語の文法の違いで、今一つピンとこない点もあるにはあるが、それでも言わんとしている事は理解できる。
        実践できるかは別問題だが・・・。

        最初の方に書いてあるが、本書での指南は、キングは、こういう方法を使っている、という事にすぎない。
        要するに万人に等しく当てはまるかは分からないが、自分(キング)には有効だった方法が書いてある、ということ。

        本の感想を書いていたりすると、時々、自分が分かりやすい文章を書いているか、自信が無くなる事がある。
        そんな時は、文章術の本を読んだりするのだが、そこに書かれている事とキングが繰り返し言っている事には共通点があった。

        それは「一つの文はシンプルに」
        どうやら、誰もが同じ結論に至る「鉄則」のようだ。

        それと印象に残ったものがもう一つ、「公式 二次稿=一次稿マイナス10%」
        キングがひたすら小説の投稿を続けていた頃、ある編集者が書いた寸評。

        これを守るようにしてから、投稿作品が掲載される事が多くなったとか。
        キング自身の文章に磨きがかかってきた頃に、このアドバイスを受けたのがいい結果を生むようになった、という事らしい。

        いいタイミングで、いいアドバイスを受けたという「めぐり合わせ」はあったが、それも投稿を続けていたからこそ。
        "魔法"がある事は期待したいが、存在しない前提でいた方が、むしろ近道なのだろう。
        >> 続きを読む

        2013/09/08 by Tucker

      • コメント 8件
    • 3人が本棚登録しています
      ファイアスターター
      カテゴリー:小説、物語
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      • ちょっと前に読んだ「読書会」という本で取り上げられていて
        キングのこれは読んでないなぁーと思い手に取った。

        上巻は父と娘の逃亡の巻ですね〜
        さて下巻は、、、

        映画、見てるはずだけど忘れてるから・・・
        まっさらなような感じで読んでますw
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        2016/01/08 by 降りる人

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      クージョ
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
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      • キング・オブ・ホラーと称される(もはやこの称号は古いし、不必要かな)スティーヴン・キングによる厳密にはホラーではなく、これは動物パとニック小説。

        簡単に書けば、車に閉じ込められた母親と子どもが、狂犬病にかかった大型犬に襲われるお話し。

        単純ではあるけど、単純なお話しもキングの圧倒的な筆力によって、まったく飽きずに読めるんだから、やっぱりすごい作家だと思います。

        映画化作品と違う結末には賛否あるだろうけど、このシビアさがキングがキングたる所以でしょう。

        でも本書は絶版なんだよな~っていうか、キング作品の絶版率高すぎない?





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        2017/08/01 by アーチャー

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      タリスマン
      カテゴリー:小説、物語
      5.0
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      • 主人公ジャックは12歳の少年。
        数年前に父を亡くし、今は母と暮らしている。

        だが、母は、はっきりとは言わないものの、死の病にとりつかれている。
        さらに悪いことに、ジャックの父の会社の共同経営者であるモーガン・スロートは、この機に会社を独り占めにするため、ジャックの母を言いくるめて、書類にサインさせようとしつこくつきまとう。

        そんなモーガンから逃れようと、母子は、アメリカ東海岸の保養地までやってくる。
        母はジャックには詳しい事情を話さないため、ジャックの方は薄ぼんやりとした不安を抱え、毎日を過ごす。

        そして、ある日、寂れた遊園地で、ジャックは謎めいた黒人スピーディと知り合う。

        スピーディーが言うには、
        この世界には、もう一つ、背中合わせに存在する世界「テリトリー」があり、そこは魔法が支配する世界。
        一部の人は「テリトリー」に、もう1人の自分「分身者(ツイナー)」がいて、ジャックや、ジャックの両親もその1人である。

        そして、ジャックの母は「テリトリー」の女王であり、やはり死の床に臥せっている、という。

        「テリトリー」の女王を救う方法は、ただ一つ、「タリスマン」を手に入れること。
        それはジャックの母を救うことにもなる。

        ジャックは、2つの世界を行き来しながら、遥か西の土地(「テリトリー」では辺境の地))にあると言われる「タリスマン」を求める旅に出る。

        行く手を阻むのは、ファンタジーでお約束のモンスターは勿論、欲深な居酒屋の店主、歪んだ信念に囚われた宗教者(というより狂信者)など、バリエーション豊か、というか、妙にリアル。
        「タリスマン」自体も、その性質の一つに「純粋なもの」という側面があり、「純粋」なだけに「危険」でもあり、それゆえ厳重に閉じ込められている、という点が、個人的なお気に入りポイントの一つだった。

        登場するキャラの中で好きだったのは狼男のウルフ。
        (この「ウルフ」というのも、それが、この青年の名前であるか定かではない。「自分達の一族」という意味で、「ウルフ」と言っている節もある。)
        成り行き上だったが、ジャックの旅の前半の相棒。

        ウルフは、ホラーやファンタジーでおなじみの狼男一族で、言葉遣いや行動こそ、乱暴だが、その分を差し引くと、気のいい青年で、おとぎ話に出てくる、ドジな狼を連想させるところもある。

        モーガンに追われて、やむなくだったが、ジャックは、自分の世界にウルフを連れてきてしまう。
        「テリトリー」でも比較的田舎育ちのウルフに、現代社会は「悪臭」ばかり。
        生まれて初めて見るものも、たくさんあり、ことあるごとにパニックに陥ってしまう。

        ジャックは、そんなウルフを「お荷物」と思ってしまうが、自分が連れてきてしまった手前、決して口に出さない。
        ウルフの方が何歳か年上だが、ジャックは、まるで出来の悪い弟を扱うかのように接する。

        だが、ウルフは、その優れた嗅覚で、ジャックの気持ちを敏感に感じ取っていた。
        ジャックが思っている以上に、ジャックの気持ちを理解していたのだ。

        時たま、ジャックの役に立てる事があった時のウルフの喜びようは、いじらしい、とさえ感じる。
        そして、そんなウルフの最大の、そして最後の見せ場は、物語前半のクライマックスでもあり、その結末は・・・。

        しばらく、ウルフの、この口癖が頭にこびりついてしまった。
        「バッキャロー」
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        2015/07/05 by Tucker

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      ローズ・マダー
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
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      • モダンホラーの帝王・スティーヴン・キングの「ローズ・マダー」(上・下巻)を読み終えました。

        この小説は、サイコ・ホラーというより、ダークなサイコ・ファンタジーといった趣の作品だと思いますね。

        有能な警官だが、家庭では暴君と化す夫に、虐待され続けてきた妻が、覚悟の家出を決行、遠隔地で新生活を始めるが、狂気の虜となった夫の執拗な追跡にあって-------。

        この小説は、簡単に言えば、ただそれだけのお話が、ひとたびキングの手にかかると、ロマンスあり、バイオレンスあり、感動秘話ありの起伏に富んだノンストップ・サスペンスへと一変する。

        しかも、そこに、神話めいた情景を描いた一幅の絵画にまつわる話を大真面目で絡めてしまうあたりがまた、いかにもキングらしいんですね。

        この小説のヒロインは、絵の中の異世界と現実の世界を往還し、あまつさえ彼の地で、夫とのラスト・バトルに臨むことになる。

        その意味で、この小説はジャック・フィニィに代表されるような、心優しきアメリカン・モダン・ファンタジーの流れを汲む作品なのかも知れません。

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        2018/07/14 by dreamer

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      回想のビュイック8
      カテゴリー:小説、物語
      5.0
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      • ペンシルヴェニア州の田園地帯にある州警察D分署。
        この分署の警官がある日、酔っ払いが運転していた暴走車に轢かれ、殉職してしまう。

        その息子、ネッドは雑用を手伝うと称して、父の勤務していたD分署に入り浸るようになる。
        まるで、そうしているうちに、また父に会えるのでは、と思っているかのように。

        次第にD分署の警官達と打ち解けてくるネッド。
        こぢんまりとして家族的な雰囲気のあるD分署は、ネッドにとって、ある意味、「家族」だったのかもしれない。

        そんなネッドは警官志望でない事を知りながら、警官達は通信係の仕事の助手をやらせてみたり、半ば「同僚」扱いする。
        だが、D分署には関係者しか知らない「公然の秘密」があった。

        ガレージの中に置かれているビュイック8(エイト)

        それが「公然の秘密」
        名目上、「押収品」となっているため、警察署にあっても、おかしくはないものではある。
        が、冷静に考えると、そんなものが長年、置かれたままなのは奇妙な話。

        ネッドもやがて、その存在に気付き、父の親友でもあった分署長サンディに尋ねる。
        いつかその質問がくることを予期していたサンディはビュイック8に関する奇怪な話を語り始めた。

        「あのビュイック8はビュイック8に似ているから、そう呼んでいるだけで、ビュイック8ではない。それを言うなら、”あれ”は車ですらない。」


        すべての経緯を知っている人物が過去を語り、過去と現在のエピソードが並行して進む形式は、著者の「グリーン・マイル」を連想させる。(と思ったら解説にも書いてあった)
        「グリーン・マイル」では過去と現在の話の中にオーバーラップする人物が登場する。
        本作品でも、現在の話に登場するネッドと、過去の話の中に登場するネッドの父親がオーバーラップする。

        最初はサンディだけが話をしていたが、そのうち他の警官も集まり、入れ替わり立ち代り、ネッドに「ビュイック8」の話を聞かせる。
        ビュイック8の話を聞かせる事は、仲間として受け入れるための「儀式」の意味もあるのかもしれない。

        「グリーン・マイル」もそうだったが、ある程度まで話をしてから、一転して、関係なさそうな話を始めて、ストレートに話を進めず、読者を焦らす「イジワルさ」は健在。

        印象的なのは、ビュイック8に関する奇怪な話よりも、一生かかっても理解できないような「謎」を目の前にしても、日常的に接していると「慣れて」しまう事。
        人間の柔軟性の高さ、と言えばその通りだが、「おそろしい」面でもある。

        「喉元過ぎれば、暑さ忘れる」
        というのは、全世界共通で使える諺なのだろうか。
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        2012/10/27 by Tucker

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      トム・ゴードンに恋した少女
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね! youmisa
      • 「トム・ゴードンに恋した少女」スティーブンキングのホラー。広大な自然保護区で行方不明になった少女。
        http://youyou-bookmovie.blog.so-net.ne.jp/2015-03-20
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        2015/05/03 by youmisa

    • 2人が本棚登録しています
      セル
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      • 「セル 上」キングホラー。携帯電話を使っていた人々が突然狂いだした!

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        http://youyou-bookmovie.blog.so-net.ne.jp/2015-11-01
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        2015/12/01 by youmisa

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      セル
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
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      • 「セル 下」S・キングのホラー。狂人たちの群れの中、主人公は家族を探す…果たして

        レビューの続きはこちらへ↓

        http://youyou-bookmovie.blog.so-net.ne.jp/2015-11-03
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        2015/12/03 by youmisa

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      アンダー・ザ・ドーム
      カテゴリー:小説、物語
      5.0
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      • 感想は下巻に書いてますよ。

        2017/09/08 by アーチャー

    • 2人が本棚登録しています
      アンダー・ザ・ドーム
      カテゴリー:小説、物語
      5.0
      いいね!
      • 一時期キングの作品は不調のように言われたことがあります。

        きっと「ローズマダー」「骨の袋」くらいの頃を指摘していると思われますけど、個人的にはそんな時期の作品も面白く読んでいました。

        そんな時期を乗り越えて「悪霊の島」「リーシーの物語」を発表し、やっとキングは往年の筆力を取り戻したと評されましたけど、私は本書「アンダー・ザ・ドーム」を数年前読み終えた時"この変態的な圧倒感こそがキングだ!"と確信しましたね。

        ドラマ化もされた本書は善悪だけじゃなく、メガトン級の得体の知れない謎と恐怖が入り乱れたまま迎える結末と真実は人によって"!?"となるでしょう・・・って、一応誉め言葉ですよ。

        でも、キングの作品の良いところは、ちゃんと自己責任において問題と対峙する人間をしっかり描いてあるところで、これが私が数十年間キングを読み続ける大きな魅力なんです。

        下巻242ページで書かれた"ぼくたちは遅かれ早かれ、どこかで賭けに出るしかないのさ"という言葉、胸にグッと染み込みました。

        本書は既に文庫化されていますが、出来ればハードカバー版で、この超ド級のエンタテイメントを味わってほしいです。
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        2017/09/08 by アーチャー

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【スティーヴン・キング】(スティーヴン・キング) | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト(著者,作家,作者)

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