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サマセット・モーム

著者情報
著者名:サマセット・モーム
さませっと・もーむ
サマセット・モーム
生年~没年:1874~1965

この著者の本を読んでいる会員ランキング

このランキングは1日1回更新されます。
      月と六ペンス
      カテゴリー:小説、物語
      3.3
      いいね! Tukiwami
      • ゴーギャンをモチーフにした小説。ある若手作家の視点で、他人とは異なった価値観を持つ天才画家、その家族との交流を通して、天才画家の中にあった思想、実現したかったことを探す。成人しかかった子供を含めた家族を捨て、支援者の妻を寝取った挙げ句に自殺を止めず、自らの芸術を完成させる理想郷としてタヒチに移り、現地の女性アタを都合の良い存在として扱う。
        人権など、彼の芸術の前では存在してないかのよう。
        癩病を患い、視力を失いながら人生のカウントダウンが進む中、人としての生活はほぼ破綻していながらも、アタの献身によって彼の芸術は完成する。それは「医師は絵のことを何も知らない。だが、ここの絵はそんな医師にも強烈に作用してきた。…(中略)…なんとこれは天才の業か…」と表現される。モームはこの部分をどう表現しようか相当に悩んだだろうが、言いたいことは日本人である私にも朧気ながら伝わった。そして、芸術も芸術家もわからないというのが、読後の感想だった。
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        2019/08/04 by 兼好坊主

      • コメント 1件
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      月と六ペンス
      カテゴリー:小説、物語
      3.8
      いいね! tomato chao Minnie
      • 2019年6月の課題図書。
        自分は何のために生まれてきたのか、なんで生きてるのか。これは思春期の悩みだと思ってたけど、40歳を越え、死を意識し始めた今、再び考えることしばしば。
        この物語を読んで、死ぬ直前の人に時間を戻せたらどう生きたいか、と問いかけると、他人に気を使いすぎず自分の思うようにしたい、と答える人が多いという記事を思い出した。

        ところで、妻子を捨ててきたおっさんのくせに18の女の子と再婚できるストリックランドは、うらやま死刑。
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        2019/11/21 by たい♣

      • コメント 2件
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      雨・赤毛
      カテゴリー:小説、物語
      4.5
      いいね! chao Minnie
      • 吸い込まれる。

        短編は導入でいかに惹き付けることができるかが重要で、あとは吸い込まれるように読むのみ。モームの場合、しっかり最後の落ちまで用意されているという安心感があるので止まらない。「雨」「赤毛」「ホノルル」三篇収録されているが、いずれも男と女の不思議、興味深い関係について描かれている。
        私はモームが好きでまた次の話も読みたい。
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        2017/03/05 by harubou

    • 他2人がレビュー登録、 8人が本棚登録しています
      モーム短篇選
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
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      • サマセット・モームをなぜかフランスの作家と記憶していたのだが間違いでした。
        そういえば英国情報部MI6に所属していたんだっけ。
        パリで生まれ、世界に冠たる大英帝国のヴィクトリア女王期に生きた人で
        諜報活動をし、数カ国の言語に通じ、生涯を通じて海外旅行を好んだ。
        なるほど彼は正真正銘のコスモポリタンな訳だ。
        アジアのコロニアルのムード、英国上流階級のサロンなど、
        彼の立場でなければ知りえない世界が小説の中に広がっている。
        同時にディッケンズのような典型的な英国文学の香りはここにはない。
        オスカー・ワイルドのような退廃的美学もない。

        モームの小説は言い方は悪いけれどその中途半端さが味わいなのかもしれない。
        完璧な虚構ではなく人間観察の冷静な結果。
        そしてかえってそのために彼そのものが透けて見えるような、
        そんな物語の数々は、同時にその時代を間違いなく写し込んでいる。

        今、モームがブームになりえないのは、その時代性なのかもしれない。
        時を越えた普遍を求める小説とは少し違う。
        彼が演劇を多く手がけていることもそれを反映している気がする。
        さあ、時代とともに生きたモームに出会いにいこうか。

        「エドワード・バーナードの転落」1921年47歳
          アメリカにおける家柄のよい血筋の人々の正しき愛。
          彼らの理想の生き方とタヒチに暮らすことを選択したアウトローの対比は、
          我々には後者の方がより魅力的に映るだろう。
          エドワードを「転落」と断じるのは本気だろうか逆説なんだろうか?
          
        「手紙」 1926年52歳
          女の心の奥底に沈む熱い恐ろしい一面を男の目線で見つめた作品。
          植民地、シンガポールに暮らす英国人という設定があればこその
          リアリティであるような気がする。

        「環境の力」1926年52歳
          イギリス領ボルネオの奥地駐在所で仕事をしているガイとその新婚の妻
          幸せな二人だったが、現地の女が現れるようになると夫の精神が不安定になり始めた。
          イギリス人の植民地政策の基本は現地人と結婚しない。
          統治者と被統治者は厳密に区別するというルールだった。
          それをふまえてこの作品は読むべし。です。

        「九月姫」1930年56歳 
          美しい声で歌を歌う鳥は自由でなければ死んでしまう。
          おとぎ話はいつでも正しいメッセージをストレートに届けてくれます。

        「ジェーン」1931年57歳
          『ピグマリオンは奇想天外な傑作を完成し、ガラテアは生命を吹き込まれた。』
          この作品が私は一番気に入りました。とても面白いですし、ひとつの真理を表しています。
          モーム自身が語り手となって見たままを描いたように書かれた小説。
           
          生真面目で、野暮ったく、田舎者」の50過ぎの未亡人が27歳歳下の男性と再婚した。
          彼のデザインするドレスに身を包んだジェーンは突如として社交界の人気者へと変貌する。
          二人はこのままハッピーに人生を送れるのだろうか?

        「十二人目の妻」 1931年57歳
          モームがシーズンオフのリゾート地で実際に体験した話を書いたかのようにみえる小説。
          『私は有名な結婚詐欺師なのです。』
          結婚詐欺師の勝手な言い分に説得される…訳ないですよね~。
          それでも、夢をみたい人に対して夢をみることを止められない。それも人生の現実な訳で。
          

        巻末にモーム略年譜が掲載されているが、かなり詳しい「略」年譜で
        彼の人間形成や生涯について想像、理解の助けになる。
        これはありがたいおまけです。
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        2013/12/23 by 月うさぎ

      • コメント 12件
    • 他1人がレビュー登録、 4人が本棚登録しています
      読書案内 世界文学
      3.0
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      • 文豪モームによる本の案内書です。

        文はそこまで難解なものではなく、海外文学に詳しくない自分がそれを知るための一助になってくれた良書だと思います。

        特にイギリス文学の章のジョージ・エリオットの文が印象に残ってます。

        紹介文にもある「読書は楽しみのためでなければならぬ」というモームの言葉を見て、丸谷才一さんの「本の読み方の最大のコツは、その本をおもしろがること、その快楽をエネルギーに進むこと。」という言葉を思い出しました。

        「楽しむ」ことはすごく重要なことなんだな、と改めて思います。
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        2015/11/30 by けんいち

    • 1人が本棚登録しています
      世界の十大小説
      カテゴリー:文学史、文学思想史
      3.0
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      • 【あなたは何冊読みましたか?】
         本書は、モームがアメリカの『レッドブック』という雑誌の編集長から、世界の十大小説を選んでくれと頼まれて選んだ作品に解説を加えたものです。
         モーム自身、これ以外の、同等の10冊を選ぶことは可能だし、人によってどの10冊を選ぶかはそれぞれだろうと書いていることから、本書に収録されている10冊が必ずしも絶対的な物とは考えていないと思います。
         それでも、定番的な名作が選ばれているのは間違いないところ。

         モームは、選んだ作品を解説するに当たり、まず、その作者の簡単な評伝を記し、その上で作品について書くというスタイルを取っています。
         作者がどんな人物だったかを知ることは、どんな人がその作品を書いたのかという理解につながるとの考えのようです。
         ですから、むしろ作品解説というよりは、著者評伝という色彩の方が強くなっています。

         さて、モームが選んだ10冊ですが、私は全部は読めていません。
         読んだ本か、そうではないかも付記しつつ、その10冊を追ってみましょう。
         上巻では5冊が紹介されています。

        ○ 『トム・ジョーンズ』/ヘンリー・フィールディング(未読)
         最初っから読んでいない本が出てしまった。
         フィールディングは戯曲も書いていたそうですが、さほど売れた戯曲は残せなかったようです。
         しかし、そんな戯曲を書いていたという経験が、小説を書くに当たっても大変役に立ったのではないかというのがモームの分析です。
         戯曲は、舞台で演じられることが大前提ですので、次から次へと出来事が起き、台詞回しも簡潔にして要を得ていないとならないわけですが、そのような技術は小説を書くに当たっても有用であろうというわけですね。
         しかし、『トム・ジョーンズ』はどうかというと、モーム曰く、かなり本を読んでいる人の中にも『トム・ジョーンズ』は読めないという人が結構いるということであり、おそらくそういった人たちは『トム・ジョーンズ』を退屈に思うのだろうということです。
         また、『トム・ジョーンズ』には1巻ごとにエッセイがつけられているのだそうですが、そのエッセイの内容が小説とは全く関係のないものなのだとか。
         そのエッセイ故に高く評価する人もいるようですが、モームは、初めて『トム・ジョーンズ』を読む人は、このエッセイの部分は飛ばして読んだ方が良いとアドバイスをしています。

        ○ 『高慢と偏見』/ジェイン・オースティン(既読)
         ジェイン・オースティンの評伝を読むと、何だか『高慢と偏見』の登場人物そのままの人のようにも感じられます。
         モームも大体そんなことを書いています。
         『高慢と偏見』は、大いなる婚活物語と言えるのだろうと思いますが、あの時代だったが故に成り立つ話ですよね。
         モームの評価では、ジェイン・オースティンは文豪としてはさして偉大ではないが、その文章は平明率直であり、気取りというものが少しもないということです。
         そして、彼女の作品はすばらしく面白く読めると評価しています。

        ○ 『赤と黒』/スタンダール(既読)
         スタンダールという人は、どうもあんまり感心しない人だったようですね。
         女性に対してはかなり内向的で、うまく話すこともできなかったくせに、妙に熱心に何人も口説こうとしたようです。
        結果はあまりはかばかしくなく、とにかく女性とのつき合いは下手だったようです。
         そんな彼が『恋愛論』を書いているんですよねぇ。
         また、モームの評では、スタンダールには創作力が無いということです。
         作家で創作力が無いなんて致命的にも思えるのですが、どうやらスタンダールは他人の作品を読んで、それを換骨奪胎して自作に仕立ててしまっていたのだとか。
         もちろん、自作化するにあたっては、物事を正確に観察する驚くべき才能と、複雑で気紛れで奇怪な人間の心を見抜く鋭い洞察力を駆使したということですが。
         『赤と黒』に関しては、ジュリアン・ソレルがレナール夫人を射殺する場面について、致命的な欠点としています。
         確かに、何でそんな行動に出るのか不可解極まりないわけですが、モームは、何故スタンダールがこのような展開にしてしまったのかについて考察しています。

        ○ 『ゴリオ爺さん』/バルザック(既読)
         モームは、バルザックこそ天才の名にふさわしいと高い評価を与えています。
         ただし、人間的には困った人だったようですね。
         浪費家なのですよ。
         バルザックは、生前から作品が売れたわけで、それなりの収入もあったにもかかわらず、とにかく後先考えずに濫費し、女性もその財産目当てに近づくようなところもあったようで、人としてどうよ?と言いたくなっちゃいますねぇ。
        『ゴリオ爺さん』に関しては、モームは高い評価を与えています。
         また、下宿屋を物語の舞台にして、様々な人物が登場することを自然に見せることができるという方法を初めて使ったのはこの作品ではないか?としています。
         確かに、『ゴリオ爺さん』は面白かったのですが、私、以前から感じているのですが、このタイトルで随分損をしているんじゃないかなぁと思うんです。
         内容は面白いのに、読もうという気持ちをそそるようなタイトルではありませんよね。
         
        ○ 『デイヴィッド・コパーフィールド』/チャールズ・ディケンズ(未読)
         ディケンズは、性格的に気持ちの良い人だったようです。
         『世界の十大小説』で取り上げられている作家の中で一番マトモな人だったんじゃないでしょうかね。
         でも、ファッションセンスは問題だったとか。
         洒落者で、凝った服装をしていたそうなんですが、それが似合わないし、何だか奇妙な格好だったのだそうですよ。
         また、ディケンズは、複数の小説を並行して書くという離れ業を平気でできた人だったそうで、モームもこれには舌を巻いています。
         で、ディケンズの代表作は、『デイヴィッド・コパーフィールド』なんですか。
         読んでいないので何とも言えないのですが、『二都物語』とかじゃないんですね。
         モーム曰く、『デイヴィッド・コパーフィールド』はとにかく心地よい楽しみを与えてくれる作品であるということなので、これもその内読みましょうかね。

         ということで、まず、上巻の5冊をご紹介しました。
         冒頭に書いたように、モームが挙げている10冊が絶対だということではないわけで、各人評価のベスト10があってもちろんしかるべきなのですが、モームが挙げる10冊というのも参考になるのではないでしょうか。


        読了時間メーター
        □□□     普通(1~2日あれば読める)
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        2019/12/09 by ef177

    • 1人が本棚登録しています
      世界の十大小説
      カテゴリー:文学史、文学思想史
      4.0
      いいね!
      • 【結構意外な文豪の素顔】
         さて、下巻に入って取り上げられた5作をご紹介しますよ。
         人物評や作品評はあくまでもモーム視点です。

        ○ 『ボヴァリー夫人』/フローベール(未読)
         フローベールという人は相当凝り性だったようですね。
         凝り性というか完全主義者というか。
         例えば、同じ1ページに同じ言葉を2度使うことは避けるとか、彼なりのルールがあったようですが、そのために呻吟してえらい時間をかけてたった2行しか書けなかったとかもあるそうです(モームは、この独自ルールはほとんど評価していません)。
         フローベールは、若い頃には結構美男子だったんだそうですよ。
         肖像画をご覧になったことがある方は「うっそー!」と言っちゃいそうですが、それもそのはず(あ、本作は、各作者の扉絵に肖像画が掲載されております)。
         30代になると突如劣化が始まり、禿げるは腹は出るはで、かつての美貌は跡形もなくなったのだとか。
         さて、『ボヴァリー夫人』ですが、これは知人から聞いた実話を小説に仕立てたものだそうです。
         モームの評では、『ボヴァリー夫人』の登場人物は、例えばディケンズなどの作品の登場人物に比すると、現実に存在する人という印象を与えないような人物造形になっているということです(でも、作品は高く評価しているのですよ)。
         フローベール、読まなきゃなぁとは思っているのですが、大分昔に『繻子の靴』を読んで、「つまんね~」と思ってしまって以来手が出ないのですよ。

        ○ 『モウビー・ディック』/メルヴィル(既読)
         『白鯨』ですな。
         メルヴィルはかなり波乱の人生を歩んだようで、実際に船に乗り、『人食い人種』が住む島に捕らえられたことがあるのだとか。
         その事を書いた作品もあるようです(未読です)。
         私、『白鯨』大好きなんですよ。
         主たるストーリーにも惹かれますが、あの鯨の博物誌的な部分も大好きです。
         でも、ここは評価が分かれるところでしょうね。
         モームも、この作品の構成は良くないと言っています。
         モームが言うには、もうメルヴィルは他人からの評価とかそんなことはどうでもよくてこの作品を書いたのではないかというのですね。
         メルヴィルは、どうも大げさなというか、荘重な言葉を好んで使っているようで、それが上手くいくと『白鯨』のような、荘厳な雰囲気を醸し出す傑作が書けるというのがモームの分析です。
         ただし、キャラクターの書き分けが下手で、どんな身分の者でもその身分にそぐわない荘重な言葉を使ってるのはどうよ?とツッコンでいます。
          
        ○ 『嵐が丘』/エミリー・ブロンテ(既読)
         モームのこの作品のミソは、取り上げた作品を語るに当たって作者の人生、経歴などから読み解くという手法を取っているところなのですが、エミリー・ブロンテに関しては少々困ったようです。
         何故かと言えば、残されている資料から見ると、他のブロンテ姉妹のことは沢山書かれているのに、どうもエミリーは影のようにしか現れてこないと言うのです。
         男性的な気質を持った人だったと分析しており、そこからなのか、同性愛者だったとモームは考えています。
         ですから、シャーロットが書いた『ジェーン・エア』(読んでいます)とは全く違った『嵐が丘』の様な作品が生まれたのだと。
         確かに、あの陰鬱な雰囲気、ヒースクリフというとんでもないキャラクターの創造、『ジェーン・エア』とは相当に違いますよね。
         でも、私はどちらか選べと言われたら『嵐が丘』を選ぶのですが。
         モームは、『嵐が丘』について、構成が下手で、文章もダメだと辛辣に批評しています。
         ですが、それでも十大文学に選ぶだけの魅力がある作品だと高く評価しているのです。

        ○ 『カラマーゾフの兄弟』/ドストエフスキー(既読)
         ドストエフスキーって、ひっでえ奴!
         モームが紹介するところによれば、本当にとんでもない男です。
         「自惚れが強く、嫉妬深く、喧嘩好きで、邪推深く、卑屈で、利己的で、高慢で、信頼ができず、思いやりがなく、偏屈で、狭量だった。」ということです。
         それぞれの具体的エピソードも語られているのですが、それが本当ならとんでもない奴ですよ。
         もう将来設計も何もなし。
         借金しまくり。もう借りられないというところからドストエフスキーの借金は始まるのだ!
         女に手を出しまくり、責任全く取りません。
         女の持ち物も質入れさせて、それで何をするかというと賭博三昧(全部負けます)。
         こいつは学習能力というものがないのか?
         妻をほったらかして西欧に旅行に行き、賭博やりまくりで金使いまくり。
         帰ってみたら妻は瀕死。
         死んでしまうと、「私は妻を愛していた。片時も傍を離れることはなかった。」などと書くのですよ。嘘つくな、このやろー!!
         そんなドストエフスキーが書いた『カラマーゾフの兄弟』は、悔しいけれど本当に好きな作品なんだなぁ。
         どうしてこういう人格、品性下劣な奴がこんな素晴らしい作品を書けるのだろう?
         モームもその辺りは色々分析しているのですが、「そうか!」と膝を打つような分析にまでは至っていない……というか、やっぱりこれは謎だよ、謎。
         そういう奴だったからこそ、あれが書けたのかねぇ……。

        ○ 『戦争と平和』/トルストイ(未読)
         これ、読まなきゃなぁと思っていながらなかなか手がつけられない小説なんです。
         何よりも長い!
         いや、それよりも長い小説(例えば、『失われた時を求めて』とか)を読んだ経験もあるので、長過ぎて読み切れないのではないかというおそれを抱いているわけではないのですが、長大な小説に取りかかるにあたっては、覚悟というか気合いのようなものが必要で、どうもこの作品に関してはそういった覚悟や気合いが出てこないんですよねぇ。
         さて、トルストイですが、伯爵なのですね。
         裕福な家柄なのですが、狂信的だったようです。
         当初は、キリスト教を信仰するのですが、徐々に自分独自の神を思うようになり、清廉潔白な生活に憧れるものの、自分は貴族で金もあるというところに矛盾を感じていたそうです。
         別に良いじゃないかと思うんですけれど、それが嫌で嫌で仕方なかったらしく、妻子の生活を省みずに全財産を放棄しようとしたのだとか。
         また、そういうトルストイを焚きつける取り巻き連中がいたようで、トルストイは手もなくそんな胡散臭い奴らの言うがままになっていたところもあるようです。
         どうも生活人としてはあまりよろしくなかったようですね。
         さて、『戦争と平和』ですが、あれだけの登場人物を書きこなしていることに関しては、モームは絶賛しています。
         ほとんど手放しで誉めてはいるのですが、モスクワからの退却とナポレオン軍の壊滅に関する記述については、どうしても必要な部分ではあるのだけれど、長過ぎて歴史を知っている普通の読者にとっては既に知っていることを改めて読ませられるという不利な点があり、それはこれだけ長大な物語を書き続けていく中に現れた筆力の衰えではないかと分析しています。
         ふ~む。やっぱり時にだれるというか、退屈になってしまう部分もあるのでしょうか。
         いずれにしてもいつかは読んでみないとね。

         モームは、10の小説について語った後、『結び』を書いています。
         驚くべきことに、これら文豪の文章は必ずしも上手い文章ではないと書いているのです。
         上手な文章というのがどういうものなのかというのは私にも実はよく分からないところなのです。
         確かに、例えばドストエフスキーの作品など、冗長とも言える語りが結構多く、読んでいてうんざりすることもあります。
         そういった点を捕らえて上手い文章ではないというのであればそうなのかもしれません。
         ただ、どれも味がある文章であることは間違いなさそうですよね。
         時に退屈したり、うっとおしい部分があるにせよ、読み終えた後、面白かったと思えるという意味では味がある文章なのでしょう。


        読了時間メーター
        □□□     普通(1~2日あれば読める)
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        2019/12/10 by ef177

    • 1人が本棚登録しています
      人間の絆
      カテゴリー:小説、物語
      3.0
      いいね!
      • あっという間に上中下巻を読破。
        ちょっとだけトルストイっぽい雰囲気があった。

        2016/06/02 by one

    • 1人が本棚登録しています
      夫が多すぎて
      カテゴリー:戯曲
      5.0
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      •   幸せ~って 何だっけ 何だっけ♪
         うまい醤油のある家(うち)さ うまい醤油はキッコーマン♪

         七月某日、ぼくは木場公園で一時間ばかり泣きました。そして何か笑える本を読もうと思い立ち、大型書店に寄ってこの『夫が多すぎて』を買い、さらにスーパーにも行って減塩醤油などを購入した。減塩醤油はいざ知らず、モームの戯曲であるこの本は抱腹絶倒もので大当たり。それではあらすじをと行くまえに、ちょっと愚痴をいいですか(読み飛ばしても構いません)。


        <愚痴>
         
         三十代の頃に腎臓を摘出し、おまけに二度大きな手術を経験してから、三か月ごとに健康診断を受けていて、今月は検査の月。去年あたりからずっと健康数値が芳しくなく、病院に行くのを考えるだけで身の毛もよだつ。この恐怖は、病気になって死ぬこともよりも、かなり健康に気をつかった生活をしているのに関わらず、それが結果として表れないため、医者と話すのが辛いといった方が正しい。試験でわるい成績が返ってくるよりも試験を受けることが辛いといえば納得されようか。
         
         悩みはまだある。ぼくは月に二回カウンセリングを受けているのですが、その先生(60才)がなんと再婚した。しかもお相手の方は36才ですって。だからぼくは、
        「絶対に遺産目当てですね」
        と茶化してかかるのだけど、向こうは、
        「いや、前世からの契りだから」
        とおどける始末。なんか腹が立つ。とはいえ病院を代えることもできなくて、受付の子が好みだし、この先生、今のぼくが本の貸し借りをする唯一の友だちなんです。今度会わせてくれるらしいけど、それを喋るときの先生の表情がめちゃくちゃムカつく。次は若い妻が浮気に走る小説を貸し付けてやる(なにかいい本があったら教えてください よろしくねぇヽ(〃´∀`〃)ノ)
         
         最後の悩み、それは最近なんだか淋しい。心なしかカミさんも冷たい気がするし(更年期かな?)、妙に胸がつまる。河合隼雄の著作によく「中年の危機」というフレーズが出てくるのだけど、もしかしたらそれかもなあ~。ぼくは何事にも打ち込んで来なかったから、積み上げたものが一つもないのね。だから悲しいのかなあ? 一昨日上司に、
        「近況はどうだ?」
        と訊かれたから、かくかくしかじかで公園で泣いちゃいましたと返すと、肘でぼくの腕をつつきながら、
        「おまえは友だちがいないわりには休日が充実してるんだな」
        と冷やかされたので、
        「ほっとけ」
        と微熱のこもった声を漏らした。


        <あらすじ>
         
         舞台は第一次大戦後すぐのイギリス。美人で我が儘のヴィクトリアは、夫であるウィリアム少佐を戦争で失ったため、きちんと喪に服したのち、ウィリアムの親友のフレデリック少佐と再婚した。
         この戯曲はヴィクトリアとマニキュア師(婚約したばかり)との会話からはじまり、ヴィクトリアは前の夫も今の夫も両方愛しているけれど、もしフレデリックが死んでも、三番目の夫を心から愛すると言う。
         マニキュア師が帰ると、母親のシャトルワース夫人が訪ねてきて、お金持ちのレスター・ペイトンと結婚してほしかったとヴィクトリアに打ち明ける。噂をすれば何とやらで、ペイトンも家にやって来る。彼はヴィクトリアに惚れており、不足している生活物資を持って来てくれるので、ヴィクトリアも好意を持たずにおれない。
         そこへフレデリックが家に戻るとヴィクトリアはおかんむり。約束していたランチをふいにされた事情も訊かずに延々とまくしたて、
        「ウィリアムに帰ってきてほしい」
        と嘆けば、フレデリックがそれを聞いて嬉しい
        「三分後には彼はここに到着するはずだから」


        <補足>
         
         ウィリアムがなかなか面白い男で、フレデリックとヴィクトリアが結婚したことに言われるまで気づかないのが可笑しい。もっと可笑しいのは、ウィリアムとフレデリックが彼女を譲り合うところ。どちらが夫になるか争っていたはずなのに、じつは二人ともヴィクトリアと別れたがっていた(フレデリックは浮気してるらしい)。
         ヴィクトリアが弁護士を連れてきて、二人の夫と離婚交渉するのだけれども、そのやり取りも愉快で笑える。とにかく笑えます。そして三番目の夫になるペイトンの多難を案じて幕が下ります。
         
         かなり無茶苦茶な話ですが、この戯曲は笑劇であり、笑えれば何でもありの芝居です。一年くらいまえかな、大地真央さんがヴィクトリア役の舞台が公演されてました。
        >> 続きを読む

        2015/07/29 by 素頓狂

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      サミング・アップ
      4.0
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      •  とてもお世話になった名エッセイ集の一つに、サマセット・モームの『サミング・アップ』がある。
         学生の時分、アルファベットの羅列が目に入るだけで目眩を起こしていた私は、懸命になって外国語から逃げていた。が、いよいよ崖のふちまで追い込まれ、「困ったなあ~」とだらだら勉強をはじめる。挿入文の多いものや、語句のつながりに割り込みが入る文章が不得手だったので、英国の作家のエッセイで慣れることにした。とりわけ、オルダス・ハクスリーの難解な言い回しについて行けたとき、すこし自信を深めたものだ。そういう学びの事始め、俗にいう英学事始の第一歩が『サミング・アップ』だったのである。
         正直に白状すると、南雲堂が出している現代作家シリーズに『対訳モーム4』という本があって、この本のように日本語付きでないと不安だったのだ。しかし、さすがかつての東大入試によく顔を出したモームの英文。モームとこのシリーズのオーウェルの本を何冊か読むと、辞書さえあれば原書でもおおよそ大丈夫になった。(この「おおよそ」の解釈はむずかしいが、もちろん全てには程遠い)
         最後に、内容を紹介せねばならないが、いかんせんサミング・アップ。題名のように上手くは要約できない。今では、モームの小説をたくさん訳した行方さんの翻訳があるので、この翻訳本を一つ、英語の学習が必須の方は原書でも一つどうでしょうか。
        >> 続きを読む

        2015/03/03 by 素頓狂

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      月と六ペンス
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      • 有名な本はとりあえず読んでおこう、と図書館で借りたんですが、

        1ページの字数が少なくて字も比較的大きい。あれ?子ども向け?と思いながら読み、、、あとがきを読んで、これ、原作の3分の2弱しかないそうです^^;。内容はわかったんですが、ちょっと残念。ちゃんとしたのを読んでみたいと思いました。

        芸術家小説というのは、
        >だいたい、この種の小説に登場する芸術家で人格円満な者はいないと相場は決まっていて、常軌を逸した行動、狂ってるかのごとき情緒不安定、一途な情熱といった要素を必ず持っている。

        と訳者があとがきで書いているが、「ジャン・クリストフ」もそうだったな、たしか・・・。

        このストリックランドも、なんちゅう非道い、自己中人間。普通に生活してる人間から見ればそう見えます。

        タヒチは彼にとっていい場所だったのでしょう。でも、いきなり妻や子どもを捨ててしまう、親切な友人の妻を寝取って無慈悲に捨てる、、、傍若無人で、人の親切にも嫌悪感丸出しの振る舞い、、、絵を描くためなら何やってもええんかいっ!て思うわ。

        自分の人生を生き切る…って、自己中人間は結局本当の幸せを感じることはできないんじゃ? だって、”自分”に縛られてて自由じゃないから。

        けれど、きっと彼は世の中の常識が嫌になって、何もかもから(特に女性や家族や世間)自由になりたかったんだろうなあ、と思います。自分を放っておいてくれることを望む、てところはわからなくはない。ただ社会に暮らすと難しい。なので、100%嫌なヤツとは思えない、ちょっと気の毒な人。”自分”からも解放されればもっと楽に生きられたんだろうけど。

        ちなみにゴーギャンはここまで非道い?人ではなかったそうです。
        ついでに、月は芸術 六ペンスは俗世間を表してるそうです。


        ・・・カットされてないのをもう一度読んでみようかな?でも、けっこう面白かったです。
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        2015/10/13 by バカボン

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      昔も今も
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね! Tsukiusagi
      • 面白い小説だった。
        マキャヴェリという人物を通じてモームという作家の考えが表現されていたと思うが、賢い人の頭の中を垣間見た気がする。
        マキャヴェリは人と会うと自己の目的に合う相手かを瞬時に推定し、会話を通じて判断を施す。自己の目的に合うと判断された場合は、巧みに自己の印象を演出して、利用する。小説中でうまくいったか、というと一枚上手の相手がいたりするし、思い通りに行かないこともある。現実でもこんな風に考えている賢い人はいるのだろうな、思った。

        マキャヴェリの洞察力、推理力は、古典の読書によって培われたような書きぶりになっていた。多少なりとも聡明になれたらなと思っている私には、参考になった。面白いし、ためになるし、モームの別の作品を読みたいと思っている。
        >> 続きを読む

        2016/01/31 by harubou

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