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PessoaFernando

著者情報
著者名:PessoaFernando
PessoaFernando
PessoaFernando
生年~没年:1888~1935

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      〈新編〉不穏の書、断章
      カテゴリー:ポルトガル文学
      5.0
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      •  暗い、暗い、暗い! どうしてこれほど悲観的になれるのか、陰鬱な台詞を吐き続けられるのか、そのネガティブっぷりには笑ってしまうほどです。人ってもっと楽観・悲観の波があるものじゃないの? 絶望の中に希望が感じられるのがお決まりなんじゃないの? と。

         ただ、読んでいくうちに、だんだん悲観的には感じなくなっていきました。彼の言い分が、一つの側面では、どうしようもなく真理を捉えているからだろうと思います。何物からも目を逸らさず、現実を見つめ続けること。人が冷徹と言う態度を貫いた、一人の人間が得た世界が広がっています。

         と、その魅力の片鱗を捉えかけたのもつかの間。やっぱり、普段の感覚からは陰鬱なことこの上なく……。慣れてきたというのも、自分自身がネガティブになっていったからと言えなくもないのです。
         巻末の池澤夏樹さんはこう書いています。

         フェルナンド・ペソアには用心しなければならない。
         彼は読者に憑くのだ。(p,363)

         ペソアの散文には、あまり歓迎したくないものが多いです。しかし、心のどこかで、少なくとも一側面では真理だと認めてしまいます。(はっきり真理だとは認めない笑)そして、自分の思いとペソアの言葉の齟齬がどうしても気になってしまう。そのとき、私はペソアに憑かれたのかもしれません。

         飲み込まれそうになったとき、私は、こんなものは厨二病さ、と鼻を鳴らし、現実はもっと希望に溢れれているもんさ、と肩をすくめることで乗り切りました。思っているより人はお気楽にできているのだと思います。

         書物は少なからず人を変化させると思います。そして、本書は特にその幅が大きい一冊です。用法・用量を守ってどうぞ。

         ところで、ペソアの言葉、引用したくてしたくて堪らなくなります。引用だらけになることを恐れて何とかここまで書きましたが、もう限界なのでひとつだけ。

         表現することをほんとうに感じたかどうかが重要なのではない。そう思って、感じたふりをすることができれば十分なのだ。(p.22)

        (仮にも感想を書く場でこの文句を引用する捻くれっぷりは、多分ペソアのせいです)

         さて、作品と作者を切り離すべきかは難しい問題だと思います。
        (似たようなことで、映画がノンフィクションであることをはじめに断るか、最後に言うか、言わないかという難問もあります。う〜ん、難しい! でも強いて言うなら最後派です)
         ペソアの作品の特徴は、本人とは生まれも育ちも異なる別人が作り出され、架空の詩人・作家によって書かれている点です。しかし、私はどうしても彼らの作品として本作を読むことは出来ませんでした。恐らく、ペソアの印象が私の中で強すぎたためです

         フェルナンド・ペソアは、その死後、トランクから見つかった膨大なメモで初めて評価された詩人です。20世紀の巨匠たちの列に最後に加わった人物と評されています。
         もしペソアが生前に成功を納めていれば……と言うのは、下劣な仮定かもしれません。しかし、少なくとも本書はなかったと私は思うのです。
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        2015/05/21 by あさ・くら

      • コメント 9件
    • 1人が本棚登録しています
      不穏の書
      カテゴリー:ポルトガル文学
      4.5
      いいね!
      • 前回の本が、半ば同人誌のようなものだったので、口直しもかねて(オイ)、以前から読んでみたかったまともな散文を読んでみました。

        読むまでは、異名・・・ペンネームと違うのは、名前だけでなく、架空の来歴や人格をもつ別の人物として、作品を作った・・・をしていた人物という情報が先行していて、どこまで人物を作り出せる人なのだろう、と期待していました。

        もちろん、そんなものはなかったです。
        むしろ、そんなものはどうでもよかった!

        ペソアらしさがいいんであって、自分の中に人物を作り出すとか、そもそもどうでもいい瑣末な問題です。
        タイトル通り、不穏な・・・不思議と落ち着かない気持ちにさせられる内容で、物騒な内容が書いてあるからとかではなく、そのペソアらしさが気持ちをざわつかせます。

        そのペソアらしさとは何なのか・・・それはきっと底抜けなまで(実際、底が抜けているに違いない)のポジティブさです。
        明るい内容があるのか?と言われると、そうでもないのですが、有体のまま肯定できるポジティブさが横たわっています。
        そう、例えば、人の暗い部分について指摘された時、多くの人は「No, negative!」と答えるでしょうが、それを「Yes, positive.」と淡々と答えれる、そんな感じ。


        小難しく考えず、感性で読んでいける散文です。ただ、ポルトガルについての章は、日本人には???かもしれません。
        (ポルトガルがコスモポリタンだ!とかっていわれても?という人が多そう)


        最後に・・・よくよく考えると、この人も職業作家ではないのですよね・・・結局、ひどい言い方をすれば同人誌!?
        ただ、売れる売れないを考えないからこそ、存在している文章な気がしますので、それでよかったのかなとも思います。
        (この本を読んだ本来の目的から目を逸らしつつ・・・)
        >> 続きを読む

        2016/05/22 by ミコト・T

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