読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト
こんにちはゲストさん(ログインはこちら) | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト →会員登録(無料)
1クリック登録
チョコレート好きにはこたえられない、夢のようなチョコレート工場のお話し。映画やミュージカルにもなっている、世界的な大ベストセラー&ロングセラーです。ロアルド・ダールは鬼才と評される作家なのですが、この童話を読んでもものすごい想像力の持ち主であるということを実感できるでしょう。そして、誰もが夢にみるでしょう。こんなチョコレート工場が自分のものだったらなあ。と。【ストーリー】外界から隔離され秘密めいたワンカ氏の巨大なチョコレート工場。チャーリー一家はその工場の目の前で暮らしていた。4人の祖父母、おとうさん、おかあさんとチャーリー。全部で7人。仲は良いけれど食うにも困るひどい貧乏暮らし。年寄りたちは寝たきりだし、働き手は父さん一人なのだ。ある日、チョコレート工場の工場主ウィリー・ワンカ氏が秘密のチョコレート工場に5人の子どもを招待すると発表した。板チョコに隠された5枚のゴールデンチケットを求め、世界中が熱狂する。チャーリーにだって、もちろんチャンスはある!工場見学の日の朝、10年間人目を避けていた鬼才ワンカ氏がついに姿を見せた。黒いシルクハット、干しブドウ色の燕尾服、緑色のズボン、灰色の手袋。アゴヒゲをはやし、手にはステッキを持った見るからに風変わりなとても小さな人物だった。秘密の工場の中に広がっていたのはワンカが作り上げた奇想天外な世界!彼の招待の本当の目的は何だったのか?【登場人物】チャーリー・バケット(Charlie Buchet)貧しい家庭に生まれたが、家族愛には恵まれている。チョコレートが大好きだが、貧乏なので年に一度、誕生日に1個しか買ってもらうことができない。バケット夫妻(Mr.&Mrs.Buchet)ジョーじいさん(Grandpa Joe) 父方の祖父。 ウォンカのチョコレート工場の見学にチャーリーの保護者として同行する。ジョセフィーンばあさん(Grandma Josephine) 父方の祖母。ジョージじいさん(Grandpa George)ジョージナばあさん(Grandma Georgene) 母方の祖父母ウィリー・ワンカ(Willy Wonka) 天才的なチョコレートメーカー。 ライバル会社の産業スパイ行為のため従業員を全員解雇し引きこもりに。ウンパルンパ(Oompa Loompa) チョコレート工場で働く小人一族。オーガスタス・グループ(Augustus Gloop) 大食漢の肥満少年。ベルーカ・サルト(Veruca Salt) 金持で何でも欲しがるワガママ娘。 バイオレット・ボールガード(Violet Beauregarde) ガム中毒のお行儀の悪い少女。マイク・テービー(Mike Teavee) テレビ中毒の少年。 ギャングものが大好きで体中にモデルガンをくくりつけている。この本は「大人向けのファンタジー」などではありません。まさに「子どものために書かれた子どもの本」です。だって大人か読むと眉をひそめたくなるか、耳が痛くなるからね。ダールは大人向きの小説ももちろん書いていますが、かなりキツイ作風で、怪奇小説ともグロともいえる。場合によってはうなされます。(^◇^)私のイメージはダール=ダークです。ダールは児童文学を多数書いています。社会への痛烈な皮肉とおちょくりが、児童文学においても見られます。子どもならではの心の純粋さにもきちんと訴えかける、美しさがある。そして一方で下らない冗談と残虐性に溢れています。でも、それと気付かぬうちに、実は倫理的だったりもします。悪い子(と親)に、お仕置きを!(`・ω・´)実はこの作品、日本ではずっと田村隆一氏が翻訳した本作が読まれていたのですね。新訳が出て「田村訳がよかった」という意見が噴出し、評価が真っ二つに割れているようです。私も田村さんの翻訳は好きなので、クリスティの翻訳を新訳にしないでほしい~(T_T)と訴えている一人であります。でも、冷静に比較してみましょうよ。旧訳支持者の言い分にはヒステリックで幼稚で見当違いな意見があるように思うのです。そこまで言うのなら原文に当たってみて。他の作品も読んでみろよ。と。言いたい。だって原作の英文はとても読みやすいよい文章でテキストとして最高です。翻訳に問題があるというのなら、児童文学くらい原文と照らして批判しましょうよ。「子供にどっちを読ませたいかというと、田村訳かなあ。」なんてイメージで決めつけないで。今回旧訳を読んでみて、田村さんだなあ。と思いましたもの。ダールは田村さんのように子どもに「優しい」人ではないのです。これは、ダールの作品ではなく、田村さんの「チョコレート工場の秘密」なんですよね。だって彼は詩人なんです。彼の世界はとても品がいいんです。もちろん、田村ファンが多いことも納得がいきました。「田村版のほうがチョコレートがおいしそう」という声も。これにも私は異論がありますけれどね。新訳は教育上良くない?それも嘘です。旧訳には「禁止ワード」が出てくるんですよ。「気ちがいだ!」「発狂したんだ!」「頭が変なんだ!」「馬鹿!」「白痴!」「低脳!」「変わり者!「狂人!」ね?すごいでしょ?だから新訳に直したんじゃないか?とも考えられます。(最近の出版社の自主規制って過剰だと常々感じています。)あと(よく知られていることですが)田村訳には小さな誤訳があります。例えば、half a mileを1マイル半と誤訳しています。これは半マイルが正しいので、ちょっとしたミスです。1マイルは1.609344 キロ柳瀬氏は「1キロ近く」と訳しています。彼は4フィートも1メートル以上と訳しています。子どもには子の方が親切でいいと私は思います。チョコレートを貪り食うシーンでsolidという単語が出てきますが、これを田村氏は「固形物」と訳しているんですよね。これは、濃厚なとか食べでのあるとかが正解なんですよ。田村さんは物語を訳すのは上手なんですが、簡単な単語チェックは甘いんです。簡単な言葉に時々間違いがあるのです。些細な点ですし、大人で英語感がある人なら気づくからいいんですけどね。何が何でも田村訳。という方は、多分きちんと本を読んでいないのでしょう。くどい様ですが、私はアガサ・クリスティは田村訳が好きです。外国文学は本当は複数の訳を読めるようにしておいていただくのが、一番いいと思うのです。せめてそれを保存するのが図書館の役目ではないかと私は思います。全国の図書館さん、旧訳本を処分しないでくださいね。お願いします。(^人^)余談ですが、ダールの短編集「あなたに似た人」(ハヤカワ文庫)も新訳になったそうですよ。これを期に読む人が増えるなら、いいことですが、またも田村隆一訳が消えるのか…と思うとそれはとてもとても残念です。仕方ない。捨てないで持っていよう……。【おまけ】『チャーリーとチョコレート工場』は作者の学生時代の思い出から生まれた作品でした。カドベリー社(日本語名「キャドバリー」)のチョコレート工場から学校の寮に、しばしば開発中のチョコレートの見本品とアンケート用紙が送られて来たとのだいう。(私の高校時代、同じ経験があります!)ダールは研究室に勤務し、おいしいチョコレートを発明してカドベリー氏に誉められる場面を夢想していたんだそうです。 >> 続きを読む
2013/08/28 by 月うさぎ
【SchindelmanJoseph】 | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト(著者,作家,作者)
ページの先頭に戻る
会員登録(無料)
レビューのある本