こんにちはゲストさん(ログインはこちら) | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト →会員登録(無料)


SienkiewiczHenryk

著者情報
著者名:SienkiewiczHenryk
生年~没年:1846~1916

この著者の本を読んでいる会員ランキング

このランキングは1日1回更新されます。
      クォヴァディス ネロの時代の物語
      カテゴリー:その他のスラヴ文学
      4.0
      いいね!
      • 【ゆるゆると幕を開けるローマの物語】
         時は、ローマの絶対皇帝、暴君ネロの治世。
         ローマの軍団将校であるウィニキウスは、戦いを終えてローマに戻って来ました。
         彼は、戦傷を癒すために逗留していた老将軍アウルスの家でリギアという娘に出会い、一目惚れしてしまったのです。
         それはもう身を焦がすような想いで、どうあってもリギアを我が物にしたいという一念に取り憑かれてしまいました。

         ウィニキウスは、知恵者として名高く、ネロの覚えもめでたい叔父のペトロニウスにリギアに対する思いを打ち明け、何とか力になって欲しいと相談を持ちかけたのでした。
         ペトロニウスも甥っ子を可愛く思っていたこともあり、ここは一肌脱いでやることとし、ウィニキウスには安心して待っていろと言うと密かに手を回したのでした。

         その後、ウィニキウスがアウルスの家を訪れたところ、何と、リギアが皇帝の命により宮殿に連れ去られたというのです。
         リギアは、そもそもローマの周辺蛮族であるリギ族の王女でした。
         リギ族が蛮族同士の戦いに臨んだ際、その戦火がローマに広がらないことの保障として、リギアが人質としてローマの将軍に預けられたのです。
         その後、リギアの身柄は老将軍アウルスに委ねられたのですが、アウルスもリギアを実の娘のように可愛がり、リギアも幸せに暮らしていたのです。

         ところが、ネロは突然アウルスの家に百人隊長を送り、「これまでリギアの面倒を見てもらって苦労をかけたが、これ以上負担をかけるわけにはいかない。そもそもリギアはローマ帝国に差し出された人質なのだから皇帝直々に庇護するのが筋である」などという都合の良い口実をつけてリギアを連れ去ったというのですね。

         これを聞いて怒り心頭に達したウィニキウス(短気なのですよ)は、「約束が違う!」と激怒してペトロニウスの家に怒鳴り込んだのです。
         しかし、これはすべてペトロニウスの策略だったのですね。
         ペトロニウスは、先ほどのような口実を設けてリギアをアウルスの家から連れ出し、一旦は宮殿に置いた後、翌日には囲い者としてウィニキウスに与えることをネロに約束させていたのでした。
         今夜の宴会にはリギアも出席することになっているから、その隣にお前も座れとペトロニウスに諭され、ウィニキウスは天にも昇る気持ちになったのでした。

         さて、その夜の宴会でウィニキウスはリギアの隣に席を占め、熱烈に口説き始めたのです。
         実はリギアも美貌の将校であるウィニキウスに惹かれるところもあり、ウィニキウスが真摯にその想いを語っている内はその熱意にもほだされかかっていたのですが、酒が回って来るにつれてウィニキウスは単なる酔っ払いの助平おやじと化してしまったのです。
         強引にリギアの唇を奪おうとするなどしたため、リギアの熱は一気に醒めてしまいます。
         まあ、当時のローマ貴族にとってはそんなのは当たり前のことだったのでしょうけれど。
         しかも、悪いことに、自分とペトロニウスの計略によりリギアをアウルスの家から連れ出したこと、明日の夜には自分の家に来ることになっていることなどをペラペラとしゃべってしまうのです。

         事の真相を知ったリギアは、ウィニキウスにすっかり愛想を尽かしてしまい、王宮に伴った巨漢の配下の手助けによって宴席から抜け出してしまったのです。
         そしてその夜、リギアは決意したのです。
         このままではあの嫌らしいウィニキウスの囲い者にされてしまう、そんな目に遭うのなら逃げてやると。

         王宮でリギアの面倒を見ていたアクテ(かつてネロの寵愛を受けた女性です)は、リギアに対してもっと冷静になりなさいと諭します。
         もし、リギアが逃亡してもすぐに見つけ出されてしまうでしょうし、逃げてしまえば間違いなくアウルスが疑われ、アウルス一家は皇帝によって滅ぼされてしまうでしょうと言うのです。
         それならとにかくウィニキウスの下へ行き、自分を正妻に娶ることを要求しなさい、そうすれば堂々とアウルスと会うこともできるし裕福な生活も保障されるじゃないですかと。

         アクテの言うことはごもっともなのですが、リギアは聞く耳を持ちません。
         実は、リギアはキリスト教に帰依しており、その教えのこともあり、ローマの放蕩貴族のような生活は耐えられないとも考えていたのです。
         キリスト教は徐々にローマにも浸透し始めてはいたものの、まだよく知られていませんでした。
         何だか分からない淫祠邪教ではないかと誤解もされていたのです。
         しかし、ローマにも着実に信者を増やしていたので、リギアはキリスト教徒達に頼めば自分を救い出してくれるだろうと考えたのです。
         その後、貧しい生活を送らなければならなくなっても神への信仰に生きる分には何ほどの苦労だろうかというのですね。
         そして、その計略通り、翌夜、ウィニキウスの家に送られる途中でキリスト教徒達により奪還されたのでした。

         怒り狂ったのはウィニキウスです。
         ペトロニウスにも責任の一端はあるとしてその協力を求め、配下の奴隷を要所要所に張り付けてリギアがローマ市内から脱出できないようにし、ローマ中をくまなく探すのですがどうしてもリギアを見つけることができずにいました。
         そんなところへ姿を現したのはギリシャ人の自称哲学者と名乗るキロンという胡散臭い老人でした。
         キロンはリギアを探し出して見せると豪語し、高額の報酬を要求するのでした。

         こんな感じで幕を開ける本作は、全3巻という大作で、上巻(約350ページ)では、ウィニキウスがキロンの助けを得てリギアを見つけ出し、強引に奪い返そうとするところまでが描かれます。
         この先まだまだ長いですね~。
         全体の展開がまだ見えないので何とも言えないのですが、気持ちゆっくりとしたスタートのように感じました。

         沢山の人物の名前があちこちで出てきますので、ちょっと面倒かなとも感じますが、でも主要な登場人物はそれほど多くはないので、色んな人の名前が出てきてもさらっと流して読んでしまっても概ね大丈夫です。
         この作品は、某書評サイトで『徹夜小説』と激賞されていたので読み始めたのですが、さて、この先どうなりますか。
         随時レビューしていく予定ですので、よろしくおつきあい願います。
        >> 続きを読む

        2019/10/09 by ef177

    • 3人が本棚登録しています
      クオ・ワディス〈中〉
      カテゴリー:その他のスラヴ文学
      4.0
      いいね!

      • 【「火を消す奴は殺すぞ!」/ローマは燃えているか?】
         キリスト教徒であるリギアに心を奪われたローマ軍団将校ウィニキウスは、狡猾な自称哲学者というキロンの手を借りて遂にリギアの居所を突き止めました。
         ウィニキウスは力ずくでリギアを奪おうとしたのですが、その企みはキリスト教徒達によって阻止されて失敗し、ウィニキウスも負傷してしまいます。

         もはやここまでと観念したウィニキウスは自分を殺すように言うのですが、キリスト教徒達はウィニキウスに赦しを与え、その傷の手当てをしてくれたのです。
         ウィニキウスは、リギアを見つけたキリスト教徒達の集会で聞いた使徒ペテロの説教を思い出し、不思議な思いにかられます。

         その後、ウィニキウスは徐々にキリスト教の教えに惹かれていき、もはや今までのローマの愉しみなど何の価値もないと思うまでに至りました。
         リギアも、信仰を持ち始めたウィニキウスに心を許し、もともと好ましく思ってもいたものですから、その気持ちを愛にまで高めていったのでした。

         ウィニキウスは、これまで自分が力によってリギアを奪おうとしたことは誤りであると気付き、リギアを尊び、崇拝し、愛することを心から誓うようになり、リギアもその思いに応えたのです。
         そして二人の思いは使徒ペテロにも祝福され、ウィニキウスは皇帝のアンティウムへの旅行の随行から戻ったら洗礼を受け、正式にリギアを妻に娶ることを誓いました。

         一方のネロですが、芸術を愛したことは史実のようですが、本作ではそれは滑稽な独りよがりと描かれます。
         もっとも誰もネロに対してそんなことを言うことはできないのですが。
         そして、ネロは、「自分はトロイアのように都市が燃え滅びるのを見たことがないからすばらしい詩作ができないのだ」と嘆くのです。
         そんなネロに対して、側近のティゲリヌスは密かに耳打ちをするのでした。

         ネロがアンティウムに滞在していた夜、急使が駆け込んで来ました。
         「ローマが燃えています!」と。
         ネロは、「今すぐ出発すればその火事を見物するのに間に合うだろうか?」などと言う始末。
         そして、悲劇役者を呼び入れ、火事を見る際にはどのような嘆きのポーズを取れば良いかを相談し始めるのでした。

         火事の知らせを受けたウィニキウスは、ローマにいるリギアを救出すべく馬を疾走させました。
         しかし、ローマから逃げてくる群集に押し戻されなかなか近づくことができません。
         ようやくリギアが身を寄せていた家にたどり着いたものの、そこには既に誰もいませんでした。
         煙と炎にまかれながらかろうじて逃げ出すウィニキウスですが、意識も薄れていき遂に倒れてしまいます。
         そんなウィニキウスを助けてくれたのはキリスト教徒達でした。
         そして、ウィニキウスをリギアやペテロのもとに連れて行ってくれたのです。

         ウィニキウスは、リギアやペテロ一行に対して、自分の領地に避難して欲しいと申し出ました。
         そこには他のキリスト教徒達にも来てもらい、自分の領地をキリスト教の国にすれば良いと言ったのです。
         しかし、ペテロは、ローマで苦しんでいる人々がいるのに自分たちだけが逃げることはできないとこの申し出を断りました。
         ウィニキウスは、ここに至り己の心の狭さを思い知らされ、ペテロの言葉に従いました。
         この時、ペテロはウィニキウスに洗礼を施し、ウィニキウスは正式にキリスト教徒となったのでした。

         さて、大火事が収まったローマは悲惨な状態になっていました。
         市街の大部分が焼き払われ、略奪、暴虐の限りが尽くされ、人々は飢え、苦しんでいました。
         人々の話では火をつけて回った者達がいたというのです。
         火を消そうとすると「これは命令だ。火を消す奴は殺すぞ!」と剣をふるわれたと言うのですね。
         ネロが火を放った……。

         ローマに戻ってきたネロ達も市民達の不穏な空気を感じ取っていました。
         このままでは叛乱が起きる、殺されると。
         ネロは、キロンとティゲリヌスの言を容れ、火を放ったのはキリスト教徒であると己の罪をなすりつけることにし、キリスト教徒の捕縛を命じたのです。

         さて、中巻に入り、史実に名高いローマ大火災が描かれました。
         実際にネロが火をつけたとまでは史実上認められているわけではないようですが、幾多の物語でそのように語られていますよね。
         そして、歴史上、ネロがローマ大火災の責任をキリスト教徒になすりつけて弾圧したことは事実のようです。

         本作は、そんな歴史をなぞりながら、ウィニキウスとリギアの愛を描いていくわけですね。
         あぁ、ウィニキウスは信仰に目覚め、洗礼を受けて正式にキリスト教徒になったばかりだというのに、今度は弾圧が待っているというのでしょうか?

         下巻を読了したら引き続きレビューいたします。
        >> 続きを読む

        2019/10/10 by ef177

    • 2人が本棚登録しています
      クォ ヴァディス ネロの時代の物語
      カテゴリー:その他のスラヴ文学
      4.0
      いいね!
      • 【本を読む時の予備知識などについて】
         クオ・ワディス、全3巻読了しました。
         下巻は、ローマ大火災の後のネロによるキリスト教徒迫害と、その中でのリギアとウィニキウスの絶望的とも思える愛の行方が描かれていきます。
         そこでは、敬虔なキリスト教徒として目覚めるウィニキウスと、キリスト教の力を認めつつも最後までキリスト教への帰依を拒否し、己の信じる快楽と美に殉ずる道を選ぶペトロニウスとの対比が際だって来るように思われました。

         そう、この作品、主人公はウィニキウスなのでしょうけれど、時としてウィニキウスは単純過ぎるように感じる部分もあり、ペトロニウスの存在はかなり重要です。
         むしろ、ペトロニウスの生き様に共感する読者も多いのではないでしょうか。

         読了してみて、読み応え十分の作品と感じました。
         そして、これは歴史小説なのだと再認識した次第です。

         本を読み始める時、それがどんな本なのか、ある程度の知識を持って読み始めることが多いと思います。
         その方が、おそらくその本に向かい合う姿勢というか、どういう心構えで向き合うかという自分の心の準備ができるでしょうから、望ましいことが多いように思えます。

         もちろん、『予備知識』の程度は様々で、内容をかなり詳しく承知した上で読み始める場合もあれば、SFとかミステリという風にジャンル程度を認識した上で読み始める場合もあるでしょう。
         時には、「これ面白かったよ」というオススメの言葉程度しか知らずに読み始めるという場合もあると思います。

         どういうケースが理想的なのかということについては一概には言えないとは思うのですが、本作に関して言えば、少なくともローマを舞台にした歴史小説なのだという程度の予備知識は持って読み始めた方が楽しめますし、おそらく読みやすいと思われます。

         私も、ある程度のことはブックレビューによって承知はしていたつもりだったのですが、いざ読み始めた時にはそんなことはすっかり抜けていて、かなり白紙の状態で読み始めてしまったため、「さて、これはどういうお話なのだろうか。どういうスタンスで対峙したら良いのだろうか。」と上巻位までは手探りに近い状態で読み進めてしまいました。

         フィクションの部分もありますが、一応歴史的事実を下敷きにしている歴史小説なのだと承知して読み始める方が良かったと、読了後思いました。
         私は歴史小説にはそれほど造詣は深くないのですが、例えば佐藤賢一さんの作品のように、史実をベースにしつつも、作者一流の解釈を加え、エンターテイメントとしても楽しめる作品に近いような読後感を感じたのが本作でした。

         キリスト教を軸にしており、その賛美的な部分もかなりのヴォリュームを占めますが、そこはそれ、そういうお話なのだと割り切ってお読みになればそれほど鼻につくこともないのではないでしょうか。
         素直に読めば感動的な美しいと思える場面も見つかると思います。

         私がそういう読み方をしたせいかもしれませんが、巻を追うに連れて読みやすくなり、またのめりこみ易くなりましたし、評価も上がっていったように感じました。
         それはきっと、この作品はこういう作品なんだという割り切りというか、心構えが自分の中で確立したからではないかと思うのですね。
         だったら最初からそういう作品だと知って読めばもっと早くから入り込み易かったかなともったいなくも感じた次第です。

         というわけで、上巻、中巻の私のレビューは粗筋中心に書かせて頂きましたが、そこである程度のこの作品が描く舞台、世界を把握して頂き、この下巻のレビューを参考にして読み始めて頂けたら、割と入りやすくならないかなと思い、ややこれまでとは異なるスタイルでレビューを書かせて頂きました。

         良い作品だったと思います。
         大作ですが、興味を持たれた方は、ご自身でお読みになられても損はないと思います。
        >> 続きを読む

        2019/10/11 by ef177

    • 2人が本棚登録しています

【SienkiewiczHenryk】 | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト(著者,作家,作者)

会員登録(無料)

今月の課題図書
読書ログってこんなサービス
映画ログはこちら
読書ログさんの本棚

レビューのある本