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テネシー・ウィリアムズ

著者情報
著者名:テネシー・ウィリアムズ
てねしー・うぃりあむず
テネシー・ウィリアムズ
生年~没年:1911~1983

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このランキングは1日1回更新されます。
      ガラスの動物園
      カテゴリー:戯曲
      4.7
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      • 「欲望という名の電車」などの戯曲でアメリカを代表する劇作家テネシー・ウィリアムズは、チェーホフと並んで、日本では異様に人気の高い劇作家であるような気がします。

        それはなぜかと考えてみると、滅びゆくものとか儚いものの側に立って描いている、作家としての創作の姿勢が、判官贔屓の日本人の心情にフィットするからだと思う。

        それから、少女とか女性が主人公の作品が多いというのも、演劇を観るために劇場に足を運ぶ多くが女性の日本では、そういうところも受ける要因なのかもしれませんね。

        しかも、彼が描く作品世界は、圧倒的に新しい。
        彼は「演劇的なリアリズムと写実のリアリズムは違う」ということを明確に意識している作家だし、そこが時代を経ても決して古びない戯曲になり得ているのだと思う。

        ポール・ニューマン監督、ジョアン・ウッドワード主演の映画化作品を観て、それで原作の戯曲を無性に読みたくなり、シェークスピアものの戯曲の翻訳で定評のある小田島雄志訳の「ガラスの動物園」を読みました。

        この「ガラスの動物園」には、しょっぱなにその新しさを象徴するセリフがあります。
        語り手のトムが、いきなり観客に向かって「そう、ぼくは種も仕掛けもちゃんと用意してあります」と語りかけるんですね。

        続けて「だが手品師とはまるで正反対。手品師は真実と見せかけた幻想を作り出しますが、ぼくは楽しい幻想に装われた真実をお見せします」と。
        初手から、この芝居の核心を突くセリフを提示するんですね。

        古き良き時代のアメリカ南部の価値観そのままに、落ちぶれた現在の生活からの脱出を目指して、娘の縁談に躍起になっている母親。
        その期待に応えられず、どんどん自分の殻に閉じこもっていく足の不自由なローラ。
        姉を愛していながら、こんな家から早く出ていきたいと夢見ているトム。

        テネシー・ウィリアムズの凄いところは、ローラに代表される儚くて弱々しい魂に共感しながらも、ローラ側の虚飾やら無力さに対する、突き放すような視点も同時に備えているとこだと思う。
        そして、最後の最後、ローラ的なものを決して救わない。
        無惨な結論から目をそらさないんですね。

        絶望のぎりぎりのところで踏み留まっているローラを、ほんの指のひと押しで奈落の底へと突き落とすのは、トムの同僚で、かつてローラの通う高校で人気者だったジム。

        このジムがローラの家に訪ねてきて、ローラにさんざっぱら思わせぶりなことを言うシーンがあります。
        それで、ローラが天にも昇る心地の頂点にいるところで、「つきあってる娘がいる」なんて話をする。
        その時のローラの気持ちを思いやると、つらくて、たまらなくなるんですね。
        とにかく、きつい芝居ですよね-------。

        この作品は、ローラがコレクションにしているガラス細工の動物の使い方が、実にうまいんですね。
        ジムのせいで、一番大切にしてたユニコーンの角が折れるシーンがあります。
        あそこでローラは、「角をとってもらって、この子もやっと----ふつうになれたと思ってるでしょう! 角のないほかの馬たちと、これからはもっと気楽につきあえることでしょう」と言うのですが、つまりユニコーンは、ローラのメタファーであり、角が折れるという変化が、そのままローラの底知れない失意にも対応しているのだと思うんですね。
        >> 続きを読む

        2018/06/28 by dreamer

    • 他2人がレビュー登録、 4人が本棚登録しています
      欲望という名の電車
      カテゴリー:戯曲
      3.5
      いいね! Minnie
      • 戯曲を初めてちゃんと読んだのがこの本だったと思います。その後もそんなに数は多くはないものの戯曲をいくつか読みましたが、最初に読んだ作品だからなのか、やはり名戯曲だからなのか、心に残っている本です。

        今は必ずしもそういうイメージばかりではありませんが、超大国、豊かなアメリカ。そんなアメリカの中に存在する弱さや貧しさを感じることのできる作品です。

        デリケートで優しい心を持ったブランチが現実に対応できずに自己崩壊していく様は人間の本質について考えさせられるものがあります。
        >> 続きを読む

        2012/09/11 by Minnie

      • コメント 7件
    • 3人が本棚登録しています
      欲望という名の電車 新訳
      カテゴリー:戯曲
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      • 「わたしが好きなのはね、魔法よ!」

         主人公のブランチはこう叫びます。
        テネシー・ウィリアムズの有名戯曲で、舞台でも映画でもヴィヴィアン・リーのブランチ役が有名。

         戦後まもないアメリカ南部、ニューオルリンズ。そこに1人の「蛾のような」着飾った女性が降りたつ。ブランチ・デュボアは、妹、ステラをたよってこの街にやってきました。

         貧しい、労働者階級の人々が暮らす街。
        ブランチは妹、ステラと再会しますが、ステラはポーランド系の労働者、スタンリーと結婚している。

         ブランチは、かつては南部の大農場の上流階級の娘。祖先はフランス系でプライドが高い。
        しかし、ステラはどうやら家を飛び出してしまったらしく、その事でブランチは「自分1人が大変な思いをした」と妹を責める場面が出てきます。

         色々と華やかな自慢話をするブランチですが、プライドが高くスタンリー達、ニューオルリンズの街を見下し、虚言と妄想の中で生きている。

         かつては、裕福だった、若かった、美しかった・・・すべてが過去形なのに、ブランチはその現実を受け容れられず、「自分は万能で美しく、男達が私を離さない」と思い込んでいる。

         嘘をついているというより、もう、その現実でないことが受け入れられず現実逃避の中で生きている状態。そんな態度のブランチが気に入らないスタンリーは、事実をつきとめブランチを追い詰めていく。

         追い詰められるほど、ブランチは誰も褒めないから、自分で自分を褒め、自慢をし、わずかに残った豪華なドレスや宝石にしがみつく。

         時代は変わっても、人間の本質的な所は変わっていないことがよくわかる戯曲。

         人間の内面を描く物語なので、舞台が一番似合うと思います。舞台が狭いからこそ、ブランチの狂気が際立つというもの。映画化されていますが、舞台を一度観て見たいと思います。
        >> 続きを読む

        2018/06/15 by 夕暮れ

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