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BanvilleJohn

著者情報
著者名:BanvilleJohn
BanvilleJohn
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生年~没年:1945~

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      海に帰る日
      カテゴリー:小説、物語
      5.0
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      • 「時間テーマ」というと、何かSF小説の専売特許のように思われるかもしれませんが、実は文学において「時間」をどのように捉えるかというのは、永遠の命題であり、今まで多くの作家が多様なアプローチを行なってきたと思う。

        今回読了したジョン・バンヴィルの「海に帰る日」は、かのノーベル文学賞受賞作家・カズオ・イシグロの「わたしを離さないで」をおさえて、英国での最高の文学賞と言われるブッカー賞を受賞していて、まさにこの「時間テーマ」に挑んだ作品なんですね。

        引退した美術史家モーデンは、波打ち際にたたずんでいる。色彩、匂い、風や潮の動き、皮膚の感覚、心中に湧く気分がくっきり鮮やかだ。

        老いた自分がそこにいるのだが、同時に過去がよみがえっているようでもあるのだ。物語が進むうちに、そうした区別はだんだん意味を失っていく。

        彼の意識は、恋と官能を知った少年時代の夏にあり、最愛の妻と過ごした甘やかな日々にあり、未来を失った現在にある。それらの時間の断片を結びつけているのが、かろうじての自分なのだろう。

        ジョン・バンヴィルという作家が凄いのは、"記憶のしわざ"によって、精緻なモザイクを組み立てつつ、それとは別に推理小説に似た衝撃的なトリックをひそませているところだと思う。

        ただし、単にサプライズを目指しているのではなく、これもまた、我々が生きる「時間」のありようを示す仕掛けになっているんですね。


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        2018/04/03 by dreamer

    • 1人が本棚登録しています
      無限
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!

      • 現代アイルランドを代表する作家、ジョン・バンヴィルの「無限」の語り手は「神」だ。

        そういうと何だか壮大な物語のようですが、焦点となっているのは、脳卒中で死にかけている男と、彼を取り巻く家族の実にささやかな物語。

        そんな平凡な話も、神から語られると、深淵となるのか?
        逆に、「神のような全知全能の語り手」によって進行する物語なら、本当に語り手を神にしてしまえばいいじゃないか!---というような軽やかさが、この作品の肝なのだ。

        偉大な発見をした数学者のアダムと、アルコール依存症気味のその妻、頼りない息子のアダム二世、アダムの美しき女優の妻、自傷癖のある娘ピートラ、そして彼らの世話をする没落階級のアイヴィ。

        どうやら、ギリシャ神話で言うところのヘルメスらしき語り手の神は、時に彼らの思考に入り込んだり、彼らの身近に寄り添ったり、時に人間に化けて、この機能不全の家族のドラマに介入していく。
        そして、ヘルメスがいる以上、その父親のゼウスらしき存在も出て来て、実に彼らしいエロい行動に及ぶ。

        神は、確かにこの世界を創ったが、その全てをコントロールすることは出来ない。
        そして、神が創ったとされるこの小説の世界は、どうやらパラレル・ワールドらしく、我々が住んでいる世界と微妙に事実が違ったりする。

        そこが、とても面白い。この作品は、題名の重厚さを裏切る、とてもチャーミングで心温まる、お伽噺なのだと思いますね。

        >> 続きを読む

        2018/12/16 by dreamer

    • 1人が本棚登録しています

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