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私の大好きな作家のひとりであるジョン・グリシャムの、トム・クルーズ主演で映画化もされた「法律事務所」を再読、今回も法廷サスペンス小説としてあまりの面白さに一気読みをしてしまいました。ハーヴァート・ロースクールを優秀な成績で卒業した主人公が、税務中心の法律事務所に破格の待遇で就職するのが、この物語の発端。この法律事務所、規模は小さいのに、とにかく待遇が群を抜いている。BMWは無料で貸してくれるし、低金利の住宅ローンは付いているし、といたれりつくせり。こんなにうまい話があっていいのかと思うほど。そのかわりに仕事もきつい。家に帰る暇もないほどのハードなビジネスなのです。"仕事中毒人間"の日本人にはまさに他人事とは思えない設定で、そのためにこの若き主人公は、たちまち妻との仲がおかしくなってしまいます。この小説の前半はそんなふうに物語が進展していきます。その法律事務所にはどうやら裏があるらしく、途中で何度も暗示されるが、物語のちょうど半ばで事態の真相が明らかになるのですが、結局、待遇が破格であることにはやはり理由があったのです。そして後半は、この主人公がその真相といかに闘うのか、ということになっていくわけです。この後半の展開は、いささか"コーン・ゲーム"的になるのですが、グイグイと読まされて気がつくともう一気読み状態になっているのです。主人公の兄を始めとする個性的な脇役たちが、随所に配置されているのがいいし、物語がスピーディに展開するのが何よりもいいんですね。ただ、残念なのは、私がこの主人公にどうしても共感出来ないということです。理想とかに燃えるのではなく、ただ待遇にのみ惹かれて法律事務所に就職するという冒頭から、私はこの主人公に全く共感出来ないのです。世の中をそんなふうに甘く考えている人間には、いずれしっぺ返しが来るだろうと思っていると、案の定、物語の半ばで事の真相が判明して、彼は窮地に立たされるのです。しかし、この主人公、この挫折を通して人間として成長するというのなら話も別ですが、基本的な考え方や生き方にその後もあまり変化がなく、闇の力と闘う後半を通しても、一向に人間的な成長は遂げていないのです。ハラハラする法廷サスペンス小説としては、確かに何度読み返しても面白いのですが、やはり主人公の人間性に共感出来ないと、読後の爽快感、カタルシスもあまりなく、つらいものがありますね。 >> 続きを読む
2016/11/27 by dreamer
50人近い証人が計530時間も証言71日間の正式事実審理更に42時間の陪審評議そしてその後陪審員が出した前代未聞の評決クレイン化学が投棄していた廃棄物がボウモアの町の水を汚染し、摂取、接触をした住民が次々に癌に倒れて行った気になったのは夫ピートと小さな息子チャドを癌で亡くしたジャネット・ベイカーの弁護をしていたウェスとメアリ夫妻がこの訴訟で経済的に大ピンチになるのだが自分たちだけでなく小学生の娘ライザ、保育園児の息子マックを貧乏な環境にする事に心を痛めている下り弁護士だから裕福な生活をしていた訳だが、瀟洒な新築の家からボロイ狭い住居、車もランクを落としているなどの辛さや不満を感じている辺りアメリカの話とは言え、アメリカですら家にも事欠いたり仕事もないといった人々が多い筈でなんか、贅沢な連中だなあとその辺はあまり共感できなかったクレイン化学を有するトルドー・グループの最高経営責任者であるカール・トルドーは高額な賠償金支払いの評決に怒り心頭、最高裁に上訴する予定最高裁の裁判官に自分の息のかかった人間を送り込む企みを始める評決後にジャネットが思い出すピートの最期は辛すぎる大柄な30歳が55キロの体重に減り、喉と食道の悪性腫瘍の間に水を流し込むチューブを通され、激痛に泣き叫ぶ姿こんな事がボウモアの至る所であった評決後にも17回目の葬儀があったアイネス・パーデューは61歳生前から他の被害者らと同様に血液や組織のサンプルを採取と 検死解剖の同意をしていた癌と戦う多数の人もまた葬儀になるのかなというボウモアウェスとメアリ夫妻は上訴まで事務所の経営と家計が持ちこたえられるのかトルドーの企みは巧くいってしまうのか下巻が楽しみ >> 続きを読む
2020/01/23 by 紫指導官
産廃の不法投棄で多くの住民を癌へと導いたクレイン社と癌で夫と幼い息子を亡くしたジャネット・ベイカー側との対立構造…という単純なものではないなと気づかされた上巻から引き継がれ下巻は別ルートに尺を取られるクレイン社に有利な判決をする裁判官を選挙に勝たせようという動きが更にクローズアップされていくジャネットや住民たち、ウェスとメアリに感情移入したいのに少し消化不良それにしても著者はなんの為にこれを小説にしたのかこんなもん読みたい人がいるのか… >> 続きを読む
2020/02/02 by 紫指導官
リーガル・サスペンスの旗手というか、もはや巨匠とも言える存在のジョン・グリシャムの「自白」(上・下巻)を読了。この「自白」は、強姦殺人犯の黒人青年が死刑になる四日前に、真犯人を名乗る男が現われるという話なのですが、ここでうまいのは、真犯人が罪を告白する相手が牧師だということだ。牧師は守秘義務があるうえに、法律の知識などない。どう対処すればいいかわからないんですね。その間にも死刑の期日は、どんどん迫ってくる。単純なタイムリミット・サスペンスでありながら、その組み立て方が実に巧みなのだ。しかもこの作品、中心に据えられたテーマが骨太で、強烈な衝撃力があるんですね。このあたりは、読みながら、黒澤明監督の「生きる」や「七人の侍」にも参加した、脚本家の橋本忍の諸作に通じるところがあるような気がしましたね。全体の構成などは、橋本忍の脚本のある作品を思わせるんですね。ただ、テーマとしては重いものの、エンタメ度は抜群で、さすがジョン・グリシャム、手練れのエンターテイナーだと思いますね。ラストが少し甘いものの、これは我々読者のカタルシスを最優先した、ジョン・グリシャムのサービス精神からくるものだろう。 >> 続きを読む
2019/02/19 by dreamer
【GrishamJohn】(GrishamJohn) | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト(著者,作家,作者)
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