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SüskindPatrick

著者情報
著者名:SüskindPatrick
SuskindPatrick
SuskindPatrick
生年~没年:1949~

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      香水 ある人殺しの物語
      カテゴリー:小説、物語
      4.4
      いいね! Tukiwami
      •  時は18世紀。場所はフランス。
         当時の衛生観念なんて今から思えば不潔極まりない状態でした。
         かのベルサイユ宮殿だって、ろくにトイレもなく、園遊会などに招かれた貴族達も、庭園の茂みで用を足すというのが当たり前(いや、これ本当)。
         ましてや、庶民が住む町などはそれはそれはという状態で、町中悪臭が立ちこめていました。ペストなどの悪疫が流行するのもさもありなんです。
         
         物語は主人公が産み落とされるところから始まります。
         主人公の母親は魚屋で生魚を捌いていました。
         陣痛が来ましたが、何、いつものこと。
         彼女はこれまでも何人もの子供を産み落としてきました。
         そう、いつものこと。いつものように、魚を捌いている包丁で産み落とした子供と自分をつなぐへその緒を切ってしまえばよいこと。
         その後、産み落とした子供は、地べたに放り出してある魚の臓物と一緒にして捨ててしまえば良いこと。
         時には、魚の臓物と一緒にそばを流れるセーヌ川に放り込めば手間もかからない。

         もちろん、今度だって同じこと。
         いつものように、へその緒を切って地べたに捨てた。
         でも、今回はちょっと違った。
         どういうわけか出血がひどくて。ついふらふらと倒れてしまった。
         それに気付いた周りの人間が「どうしたんだ」と駆け寄るけれども、「どうもしないよ。何でもないさ。」と言うだけ。
         でも、その時、産み落とした赤子が泣き出したんだね。
         それで全てがばれてしまって、(当時は拷問のようなこともしたのでしょうね)、母親はこれまでに産み落とした何人かの子供のこともしゃべってしまい、死罪になったそうです。

         さて、生まれてすぐに身寄りの無くなった主人公は、修道院に預けられます。
         修道院とて、慈善事業じゃやってられない。
         わずかな金を与えて、乳が出る女にそういう身よりのない子供を預けます。
         主人公もそうやって、とある「乳母」(と、いうのだろうか?)のもとに預けられます。

         しばらく後、その乳母は、主人公を突っ返しにやってきます。
         「子供はさ、子供の匂いがするもんじゃないか。こいつは何の匂いもしやしない。恐いんだよ。」
         そう言って、給金を上げてやるという司祭の言葉も聞き入れず、主人公を押し返してしまいます。

         時は流れて、主人公は革のなめしやにほとんど売られるようにして連れて行かれます。
         それはそれは重労働で。
         でも、彼は、自分がどういう人間かということに気付いていたのです。
         自分は、毒虫の様な奴なのだと。
         だから、何を言われても、どんなにひどい仕打ちを受けても、じっと毒虫のように身を固くして耐えていました。

         とある時、あるきっかけで、彼は自分の秘められた才能に気付きます。
         その才能とは、匂いに極めて鋭敏だということ。
         どんなにかすかな匂いでも、どんなに混じり合った匂いでもたちどころにかぎ分けてしまえたのです。
         たとえば、吝嗇家が家のどこかに隠した金貨の匂いだって分かってしまいます。そこに金貨を隠してあるのだって、忽ちお見通しになってしまうのでした。

         そして、「毒虫」は蝶(なのだろうか? あるいは毒蛾?)に成長します。
         過去の名声だけはかろうじて保っているけれど、もう力も何もなくしてしまった香水の調合士に取り入ることに成功します。
         正に天職! 彼は素晴らしい香水を次々と調合していきます。
         そして、それを師とした調合士の名前で売り出すことだって許します(というか、それが条件なのでしょうね)。

         彼の鋭敏な嗅覚はさらにすごい「香水」を作り出すようになります。
         人間の感情さえも左右してしまえるような「香水」です。
         さらには、「とある」香りに魅せられてしまうのでした。
         その香りを定着させるためにはどうすれば良いのか?
         彼は、従順を装い、師からその技術をある程度まで学び取ります。
         しかし、それでもまだあの「香り」を残すことはできない。

         何という小説でしょう。
         ある意味、猟奇的です。
         心地よく読める本をお探しでしたらお薦めしません。
         ですが、不思議な魅力をもつ作品です。
         詳しくはお話しできないのですが、まぁ、なんていうことを……
         物語としてのおもしろさは十分にあります。
         大変インパクトの強い作品だと思います。
         ここまでのご紹介文を読んでピンと来たら読んでみても損はないと思いますよ。
        >> 続きを読む

        2019/03/07 by ef177

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