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MankellHenning

著者情報
著者名:MankellHenning
MankellHenning
MankellHenning
生年~没年:1948~

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このランキングは1日1回更新されます。
      殺人者の顔
      4.2
      いいね! Tukiwami

      • ヘニング・マンケルの「殺人者の顏」は、地味な警察小説だが、そこはかとない味わいのある、なかなか読み応えのある作品だ。

        農家の老夫婦が惨殺され、その事件を捜査する小さな港町の警察官たちの奮闘ぶりが、丁寧に描かれていく。

        スウェーデンの警察小説と言えば、マルティン・ベックシリーズを連想するが、この本の主人公クルト・ヴァランダーは、同じ中年男ではあっても、マルティン・ベックとは雲泥の差があるような気がします。

        妻に逃げられ、娘も家出、老いた父親との関係もうまくいかず、おまけに中年太りだから、カッコよくないのだ。

        たまに妻に会うと、帰ってきてくれないかと泣き出したり怒ったり、それで美女と会ったりするとすぐその気になって、なんだかだらしのない中年男なのだ。

        もちろん、警察官としての情熱は熱く、諦めることを知らない男だ。
        この主人公の個性豊かな人物像は、等身大の人間として描かれていて、惹かれるものがあるんですよね。

        それから、マルティン・ベックシリーズがそうであったように、スウェーデン社会の現在を物語の背景に置いている点が、なかなかいいと思いますね。

        例えば、クルト・ラヴェンダーは、スウェーデン南部の小さな港町イースタの警察官なのだが、この港町はバルト海に面しているので、ドイツ、ポーランド、エストニア、リトアニアなど、さまざまな国から亡命者や経済難民がやって来て、それが社会問題になっているんですね。

        だから、外国人が容疑者として浮上しても、事がはっきりする前に漏れてしまうと、外国人に対して人種差別的な反感を持つ一部の人々を刺激する恐れがあるので、伏せておかなくてはならないので、捜査も大変なんですね。

        地味な作風ではあるものの、脇役たちもとても丁寧に描かれていて、その着実さに好感が持てるんですね。

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        2019/01/06 by dreamer

      • コメント 1件
    • 他4人がレビュー登録、 6人が本棚登録しています
      ファイアーウォール
      4.0
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      • 北欧ミステリの巨匠・へニング・マンケルの「ファイアーウォール」(上・下巻)は、ミステリとしての充実度では他の追随を許さない完成度を持った作品だ。

        ご存知、現代スウェーデンを代表する警察小説の"ヴァランダー警部"シリーズの第8作目の長篇小説なんですね。

        冒頭から、主人公のクルト・ヴァランダー警部が「目くらましの道」の犯人の葬式に出席する場面が描かれるなど、過去の作品に関する言及が多く、シリーズ自体が完結に近づいていることを予感させられる。
        しかし、このシリーズの大ファンである私には、感傷にふける暇もないほどに、内容は賑やかだ。

        前々作の「五番目の女」と前作の「背後の足音」では、先行きがまったく読めない事件の捜査が、五里霧中の状態にあるヴァランダー警部の視点から描かれ、霧がだんだん晴れていくさまを克明に描いて、我々読者を惹き付けるという手法がとられていました。

        このシリーズでは他に、複数の事件が同時に描かれて意外な地点で合流する、というプロットを用いた作品もありました。
        この作品は、その両者が組み合わされ、大きな効果を上げているんですね。

        ヴァランダーが最初に担当するのは、19歳と14歳の少女がタクシー運転手を殺して、金を奪うという凶悪犯罪だ。
        未成年者が、凶悪犯罪に走ったことに憤懣やるかたない思いを抱くヴァランダーは、それが理由で困った立場に陥ることになる。

        その挿話で、読みながら心に動揺が走ったところに、著者はさりげなく別の事件に関する話題を出してくるのだ。
        二つの事件はまったく接点が無いように見えるが、ある地点でやはり結合を果たすんですね。

        その趣向だけで楽しいのだが、謎解きまでの展開には十分な膨らみがあり、かつサスペンスの途切れる箇所がまったく無いのが凄いんですね。

        ミステリの謎は、その内容だけが問題になるのではなく、どう語られるか、どう明かされるかが重要なのだと、改めて認識させられた作品でしたね。

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        2018/12/15 by dreamer

    • 他1人がレビュー登録、 3人が本棚登録しています
      リガの犬たち
      3.5
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      • 今回読了した「リガの犬たち」は、次々に登場する謎で読ませる、スウェーデンの鬼才ヘニング・マンケルが書いた、センスあふれる警察小説の傑作だ。

        ヘニング・マイケルという作家は、今やスウェーデンのみならず、ミステリ界全体を代表する警察小説の書き手だと思う。

        デビュー作の「殺人者の顔」で、いっぺんで彼のファンになりましたが、この「リガの犬たち」は、ヴァランダー警部シリーズの2作目の作品ですね。

        スウェーデン南部の海岸に、赤いゴムの救命ボートが打ち上げられた。
        なかには、スーツ姿の若者の死体が二つ横たわっていた。

        ラトヴィア人だとわかると、バルト海を挟んだリガの警察から中佐が派遣され、死体を引き取っていったが、帰国直後に中佐は何者かに殺されてしまう。

        ラトヴィア側からの要請を受けて、ヴァランダー警部は、異国へと旅立つことになるのだった----。

        ほんとに、つかみの上手な小説だ。
        ボートの漂着を知らせる謎の電話がかかってくるプロローグから、主人公がラトヴィアへと向かうまでの展開が、実に素晴らしい。

        次から次へと不可解な謎が提示され、たちまち読む者を、この物語の世界へと引き込んでしまう。

        そして、後半は、知られざるラトヴィアの姿が描かれていくが、この小説が発表された1992年は、旧ソ連邦から独立した直後であり、首都リガの生々しい描写が、暗い世相を映し出しているようで、実にリアルなんですね。

        東欧社会主義の暗部、裏切り、密告-----、これは何と言っても、懐かしの正統的冒険小説の魅力も湛えた、国際政治スリラーになっているんですね。

        「人が闘うのは自由と独立のためだ」という登場人物のセリフも泣かせますね。

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        2018/05/06 by dreamer

    • 4人が本棚登録しています
      白い雌ライオン
      4.0
      いいね!
      • 再読。スウェーデンの警察小説ヴァランダーシリーズ第三弾。
        第一作と第二作ではスウェーデンをめぐる国際情勢がからんでいたが、今作ではさらにスケールが大きくなって地球の反対側の南アフリカで秘かに進行する暗殺計画にヴァランダーが巻き込まれる。

        スウェーデンの田舎町で不動産業者の女性が行方不明になる。捜索する警官たちの目の前で謎の空き家が突然、爆発炎上する。現場に残されたのは、黒い肌の指とロシア製の通信機器、南アフリカ製の銃。行方不明の女性と関係があるのか? 謎を追うヴァランダーは、娘リンダの命までも危険にさらす陰謀に巻き込まれていく。

        仕事に疑問を抱いてきたヴァランダーだが、正当防衛とはいえ容疑者を射殺し、リンダまでもが狙われたことで精神が音を上げ、ついに長期の疾病休暇をとることになる。

        今作で活躍したスヴェードベリは、この先の第七作で悲劇に遭うことになっている。それを知った上で読み直すと、誠実なスヴェードベリの優しさが感じられて、またしても惜しい人物をヴァランダーは失うのだなと胸が痛んだ。

        本作は700ページの大作だが面白いので、いつものように夢中になって読んだ。特に、最後の緊迫した展開はどきどきした。ただ、南アフリカ側の描写の部分は訳者が違うのではないかと思うほど直訳調の固い訳文で、読むのに時間がかかった。初読みのときは、プロローグですでに挫折しそうになったものである。

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        2018/04/11 by Kira

    • 2人が本棚登録しています
      目くらましの道
      5.0
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      • 目くらましの道 上下  CWAゴールドダガー賞受賞

        シリーズの5作目、ちょっと先に順不同で読んだがやはり面白い。
        「ミレニアム」で難しかったVの多い名前、その上登場人物も多くて頭も目もぐるぐる。
        しかしそんなことは二の次で、面白かった。慣れれば一気読みで、解決したときはほっとした。

        倒叙型ミステリというのか、はじめの方で犯人がわかる。それを追い詰めるヴァランダーが率いるイースタの警察官チーム、事件が大きくなるにつれ、近隣から応援が来る。

        読み始めて少しすると、全貌はこうでないかと予想が付く。
        その上で、捜査の過程や、心理上の葛藤が興味をひく、巧い。
        文章も静かで、残忍なシーンや緊迫した場面でも読者は静かに深く引き込まれていく。



        ドミニカ共和国にドロレス・マリアという娘がいた。話はここから始まる。


        6月の終わり、ヴァランダー警部は、やっと暖かくなったスウェーデンの季節を楽しんでいた。夏休みには恋人と旅行する計画だった。
        そこに通報があり、出かけた先は農地一面に菜の花が咲いていた、その中で、ガソリンをかぶって少女が自殺した。

        しばらくして、以前法務大臣だった人物が鉈で背骨を切りつけられ即死、頭の皮をはがされていた。
        次に裕福な画商がパーティの途中に、東屋で頭をまっぷたつに切られ頭の皮をはがされていた。
        次に、駅前の工事中の穴から、目を焼かれやはり斧で切られた死体が出た。
        暫くして、不審なペーパー取引で話題になり、その後も犯罪の臭いがしていた会計士が殺された。

        連続する殺人事件を捜査する警察官は泥のように疲れた体を動かして事件を追っていた、
        一方犯人は、特異な儀式のように、綿密な計画でことを成功させてきた。

        ヴァランダー警部は発病した父を見舞うことも、夏休みの旅行の期限が迫ることも、菜の花の中で残酷な自死を遂げた少女のことも心から離れない。


        捜査官にも個人的な生活があり、それぞれ性格も違っている。読むうちのそれも事件捜査に深くかかわってきて、面白い。
        指揮を任されたヴァランダー警部は、心の奥深くに自分でも立ち入りたくない思いを抱えている。それがいつの間にか、犯人に向かう捜査線からはずれ「目くらましの道」に踏み入っていた、と解決した後で自戒することになる。

        ホラーチックなサスペンスであり、捜査官たちの群像劇でもある。

        スウェーデンの変りつつある世相を背景に、穏やかだった昔と違って現代の殺伐な事件を嘆く、ヴァランダー警部の心が迫ってくる、少年の犯した罪の背景はものかなしい。
        >> 続きを読む

        2015/07/24 by 空耳よ

      • コメント 6件
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      タンゴステップ
      3.0
      いいね!
      • タンゴステップ(上下)

        ヴァランダー刑事に代わって主人公は、ボローズ署のステファン・リンドマン。
        彼は舌癌に罹り、検査や治療のためにに入院することになっているが、それまで暫く休職している。

        定年で引退した先輩が殺された。彼は北部の森の中で訪れる人も無い山奥に隠れるように住でいたが、リンドマンにはすでに過去の人になっていた。
        訪ねてみると現場は凄惨で、無残に殺され、タンゴを踊ったような血に染まった足跡が残っていた。

        地元警察の捜査とは別に、先輩の過去を追っているうちに、彼は次第に警察に協力することになる。

        そして森の中でまた一人殺された。
        二つの殺人に、つながりがあるのかないのか、手がかりを求めるうちに、次第に過去の出来事、戦争中のドイツとスウェーデンの関わり、などが明らかになっていく。

        ここで犯人が登場する。彼は復讐のための警官殺しは成功したが、その隣人は殺してない。復讐はやむなしとしても、犯行は元警官を殺しただけ、二件目まで疑われるのは納得できない。
        そこで犯人は、帰国を延期し、次の殺人犯を追うことにする。
        この犯人の心理も巧くて面白い。

        昔の出来事につながる糸が見つからない。警察は手詰まりになるが、次第に縺れた糸がほぐれてくる。

        読みなれると、ストーリー展開に新味はないが、癌を恐れながらも事件に引きずり込まれる警官の心の揺れが細かく実感がある。
        また管轄の違う警官同士の付き合いもなかなか味わい深くいい感じがする。

        立場を競って、神経を削りあうような日本の警察小説とは肌合いが異なる。

        タンゴを踊ることが好きだった孤独な警官になぜ人形を相手に踊らせたのか犯人(作者)の意図がなんとなく不明。

        裏社会で密かにナチの精神を受け継ぐ人がいる。
        当時はどうであったかわからないにしても、今になってはコントロールされたというわけでない、ドイツ近隣諸国にまで広がったナチスムがまだ生きていて題材になっていることに驚いた。

        島国でない、多くの国々と国境を接する欧州の国には、同じ地球上に住みながらも人々の意識に大きな相違があることに、驚きを感じることも多い。
        >> 続きを読む

        2015/05/01 by 空耳よ

      • コメント 10件
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